異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第3章 第3部 植物族編『詐欺ライトボール』
第1話 初めての区の移動


七志とルリエッタは顎骨町から西に向かった場所まで来てそれを見ていた。

まるで関所・・・

そう連想させるような門だけがそこに設置されていた。

 

「ここを抜けたら私たちの区、覚悟は良いですか?」

 

脛骨長唯一の宿屋、そこで待っていた自称エルフのソフィと合流した七志とルリエッタ。

共に向かってくれると言う七志に感謝しつつもその表情は少し暗かった。

 

「あぁ、ここまで来て引き返すってのもネタとしては面白いかもしれないけど・・・」

「フフッそんなこと言ってますけど、七志さんソフィさんの事心配してたんですよ」

「ちっちがっ・・・」

「それはそうと、区を移動する時のリスクが心配ですね」

 

七志の右腕を召喚した時からルリエッタは七志の考えている事が何となく分かるようになっていた。

嵐とも念話が繋がり、二人で七志をからかったりしているうちに主張が強くなり始めていた。

だがそれは七志側にもルリエッタの気持ちが通じている事の証明でもあり、ルリエッタが自分に惚れている感情を疑う余地はなく、結果尻に敷かれているに近い状態になりつつあったのだ。

 

「区の移動リスク・・・」

 

それは昨夜にソフィから聞かされた信じられない事実・・・

世界を分ける区、そこにはそれぞれ独自のルールが存在するのである。

ソフィからその話を聞いた時は流石に耳を疑ったが、七志の魔法の変化を本人が自覚していたからこそ納得がいったのだ。

 

「そう、ここを潜るとこの区のルールに縛られる・・・私が常識だと考えていたそのルールにね」

 

そう言ってソフィは歩を進めた。

それに七志とルリエッタも続く・・・

門番らしきものも居らず、ただ解放されているだけの門・・・

木でも鉄でもない不思議なその門以外の場所を通り抜けようとすればペナルティが発生するという。

驚く事に、その者の今まで得た知識や経験がリセットされると言うのだ。

それはつまり、魔法やスキルが初期化されレベルが下げられるという事に他ならない。

かつての大戦で侵略を企てた部隊がこれを実証するまで無駄な犠牲が多数見受けられたという話はあまりにも有名であった。

 

「それじゃあ行こうか、半日は大丈夫だけど変にリスク背負う必要もないからね」

 

そのソフィのセリフを立証しているのが近くに転がる石化した者達であろう。

この門を潜らなければ隣の区へ移動できない、それならばこの門だけ見張れば良い。

誰にでも思い付きそうなその発想の結果がそれらの石だ。

この門を見てから半日以内に潜るか遠くまで離れなければ石化する呪いに掛かってしまうのだ。

その為、大戦時には拷問としても使われたとされるこの門・・・

七志達は隣の区へと足を踏み入れたのであった・・・

 

 

 

 

 

門を潜り歩く事30分、とっくに安全圏まで来ているが七志達は歩き続けていた。

従者として雇った者達は脛骨町でスマイル館へと戻っていった。

それも仕方ないだろう、動物が区を移動する門を怖がるからだ。

本能なのだろう、危険を察知しているのか分からないが知的生命体以外は門に近寄るのを極端に怖がるのだ。

 

「しかし、徒歩ってのが辛いよなぁ~」

「七志さん、私は大丈夫ですよ」

「いや、別にルリエッタ・・・」

「そんな優しいところも大好きですよ」

「お・・・おぅ・・・」

 

先頭を歩くソフィの後ろに続くルリエッタと七志。

初々しいカップルかと言わんばかりの二人の会話にソフィはずっと苦笑いであった。

ちなみにこのシーンは視聴者から七志に呪いが多数送られると困るので、嵐の方で新シーズンのオープニングとしてフリー素材の音楽を用いた編集が行われていた。

カメラアングルは自称エルフのウサミミソフィをローアングルから映していたのは言うまでもないだろう。

短い動画と言うのは広告を付けるのは難しいが、一定層の視聴者に再生を促す効果もあるのである。

 

「ほらっ見えてきましたよ。アレがこの区唯一の街、交易都市『ひまつぶシティ』です」

「ひまつぶシティ・・・」

 

この区は90%が森が覆っており、区を移動できる門が存在する場所のちょうど中間に通じる場所に唯一街があると聞かされていたが、まさかの名前に固まる二人・・・

 

「とりあえず私達エルフが住む森の中のレズの都、そこに案内できる知り合いが居る筈なので向かいましょう」

「ひまつぶシティ・・・」クスクス

 

ルリエッタ、街の名前がツボッたらしく一人笑い続けていた。

そのすぐ横では真剣な表情の七志。

それもその筈、日が少し傾き始めた時刻だと言うのにひまつぶシティからは随分強い明りが出ていたのだ。

電気の無いこの世界であれだけの明りを照らす為には間違いなく魔法が必要であろう。

だが、この区のルールを考えればそれが凄い事だというのは直ぐに理解できた。

 

「七志さん、気付いたみたいですね。そう、あの明りは魔法・・・この区のルールは知っての通り・・・」

「あぁ、死神将軍の区で俺の魔法がファイアーボール等の媒介に出来る魔法を介してしか使えなかった様に・・・」

「そう、この区では・・・希少金属を媒介にしてしか魔法は使えないのです」

 

電気以上に世通り明りを灯すのに必要な経費が掛かる、それを理解した七志は交流の中間地点と言う事も踏まえそれを感じ取っていた。

そう、あの町には・・・

 

「ギャンブル・・・があるんだね?」

「・・・はい!」

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