『ラストエリクサー』と言う神話にしか出てこないアイテムを見て気を失ったメール。
ぶっ倒れるのではなく、フラ~と意図的にゆっくり倒れる様子に少しワザとらしさを感じるが…
そのメールをまるで演技するようにジルが支え…
「おーい、大丈夫かぁ~」
気を失ったメールをまるで演劇のように介抱するジル。
いつもと逆で普段はジルがメールに介抱されているその光景に、マコトも遠い目のまま微笑んで現実逃避する。
今自分が手にしているのがラストエリクサーで、これ一つで下手すれば国が買えるのだ。
なんの打ち合わせもせず、同じタイミングで三人揃って違う形で現実逃避しているのである。
「しかしまぁ、またとんでもない物が出たわね…」
フーカがため息を吐きながらゴンザレス太郎に語りかける。
その値段もそうだが、その効果をフーカはスキルで見ていたのだ。
「まぁ実在するアイテムなら出るみたいだし、仕方ないんじゃない?」
そう、ここが大切なのだ。
正確には『実在する』ではなく『実在した事実がある』なのである。
つまり現代に残っているアイテムに限らず、現存しない歴史、伝説、神話に残されているアイテム、その他にも絶滅した魔物の素材に至るまで全てからランダムでアイテムが変化するのだ。
「あれっ?私…あれれっ?」
メールが目を覚ましジルに手を借りて体を起こす。
その様子から『ラストエリクサー』の存在に驚いて意識を失ったのを覚えていないようである。
やはり少し演技臭いが、天然なのであろう。
「さて、んじゃあメールも起きたし、次のを掘りますか」
メール、ジルに続きマコトも手にしたラストエリクサーは見なかった事にしたようである。
気を取り直して一体次は何が出てくるのか?とワクワクしているマコト…
依頼の品をどうするのかすら忘れている辺り、結構彼も流されやすいようだ。
「ここ掘れバウバウ…ん?なんだこれ?」
その声に反応し、マコトからラストエリクサーを受け取っていたフーカが視線をやると、マコトは何やら黒い紐のような物を持ち上げていた。
それを見たフーカは慌てて叫ぶ!
「あぁっ!?それを切っちゃダメ!」
だがフーカのその声が届くと同時に、マコトはその紐を持ち上げようとして引きちぎってしまった。
その瞬間、マコトを中心に周囲が強烈な光に包まれ、大爆発が起こった!
誰もその爆発に反応できず、全員一瞬にして視界も思考も真っ白の世界に染め上げられた。
その刹那の一瞬、フーカが最後に見た表示は…
『クイーンボムの堪忍袋の緒:切れると切れた場所を中心に半径500メートルを吹き飛ばす大爆発を起こす』
っであった。