異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第4話 敗北のガレフ

「イ、イカサマだ!」

 

ガレフと思われるチーターの様な獣人が立ち上がり叫ぶ!

黒服たちが一歩前に出るが、それをスーツ姿の男がスッと手を挙げて制止する。

 

「お客様、ご冗談をおっしゃられては困ります。私共は公平な勝負を行いましたよ?」

 

そう言ってスーツ姿の男がチラリと視線を向けた先には一匹のギャンブルドック。

それはこの場では魔法やスキルが一切使用されていないという証拠である、この場に居る誰もがそれを理解しているからこそガレフと思われる男に助け船を出す事は無い・・・

 

「だ、だが連続で4回も赤に入るなんておかしいだろ!」

「いえいえ、確率は確かに低いかもしれませんが実際に起こったでは無いですか?」

「し・・・しかし・・・」

「それよりもお客様、まだゲームを続けますか?」

「ぐっ・・・」

 

既に肌着のみとなっているガレフ、全身に毛が生えているのでそれほど違和感を感じないのは七志が人間だからだろう。

普段から衣類を身に着けている他の者からしてみれば、今のガレフと思われる男の姿は恥ずかしいものである。

歯ぎしりをしながらガレフと思われる男は拳を強く握り締める・・・

怒りの矛先を向ける場所が見当たらないのであろう。

 

「お客様?追加のご融資はどうなさいますか?」

「た・・・頼・・・」

「ちょっと待って下さい!」

「っ?!」

 

ガレフが口を開こうとした時にソフィアが口を挟む、それに驚いてガレフは目を見開いて言葉を詰まらせた。

この場に居る筈の無い者が居たのだから驚くのも無理はないだろう。

 

「ガレフ、ここまでにした方が良いわ」

「ソフィア・・・お前なんで・・・?」

「そう言うわけだから今日の所はこれで失礼させてもらうわ」

 

そう言ってガレフを引っ張って立たせたソフィアだったが、その両隣に黒服の男がスッと移動した。

逃がさない、まるでそう示している様に立った黒服の姿にソフィアは動きを止める。

 

「そうはいきませんよお客様、お貸しした分の返済をして頂かないと」

「なっ?!ガレフ、アンタまさか?!」

「す・・・すまないソフィア・・・」

 

そう、既にガレフは家の家具など金目の物は全て回収され、最後の勝負とばかりに借金をしてギャンブルに挑んでいたのだ。

その額・・・実に・・・

 

「きちんと今日の分の25万デール、返済していただかないと困りますね~」

「なっ?!借りたのは銀貨2000枚だろ?!20万デールの筈だ!?」

「何を言っているのですか?借金には利息と言うモノが発生するのは当たり前では無いですか」

 

楽しそうに笑うスーツ姿の男、日本円にそのまま同額となるデールは非常に分かりやすい金額である。

そして、ガレフにはこの他に金貨150枚の借金がある・・・

その額は実に150万円である、例えこの場を離れても返済は絶望的な金額なのは間違いない・・・

起死回生を狙って借金してギャンブルに挑んだガレフの考え方はギャンブル狂いの最底辺そのものである。

 

「この建物を出られる時は全額返済して頂くという契約でお貸ししたのですから」

 

そう告げるスーツ姿の男性の言葉に俯くガレフ・・・

まさに万策尽きたとは彼の事を言う言葉なのだとその姿が示している様であった。

そんな状況に七志が一歩前に出て口を開いた。

 

「その借金はこの建物を出る時に返済すればいいのですよね?」

 

全員の視線が七志に集まる、一見すると何処にでもいる単なる冒険者。

だが自信満々に告げた七志は胸ポケットから先程両替したと言い張った銀貨を2枚取り出した。

 

「なんですかそれ?たった200デールでは到底足りませんよ?」

「返済に必要なのは25万デール、つまり銀貨2500枚ですよね?」

 

ルリエッタは直ぐに気付いた、七志は所持金からこの区の銀貨を出そうとしているのだ。

だが、それはまさしく失策であった・・・

 

「これで・・・っ?!」

「ギャン!ギャン!」

 

銀貨を出そうとした瞬間、七志の体は黒服の男に地面に倒されて抑え込まれていた。

そう、このドーム内では魔法やスキルと言った詐欺に派生しそうな行いは禁止され、どんな事情があろうとギャンブルドックが反応する行為は禁止されていたのである。

結果、七志が銀貨を出現させようとした次の瞬間には取り押さえられていたのであった・・・

 

「ぐぁ・・・ぁぐ・・・」

「お客様、当ドーム内では魔法やスキルのご使用は禁止させて頂いています」

「七志さん?!」

 

ルリエッタが慌てて近寄ろうとするが別の黒服がそれを制止する。

 

「くそっ・・・」

「お客様のお帰りだ、罰則はしっかりと受けてもらいますよ」

「七志?!」

「ぐぁっ?!」

 

押さえ付けられた七志の腹部に黒服の強烈な拳が叩き込まれ、七志の意識は闇に沈んだ・・・

彼の最後に聞いたのはソフィアの七志を呼ぶ声であった・・・

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