異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第11話 ルーレットの結果!

ハンニバルは口から泡を吹きながら白目を剥いていた。

それも仕方ない、七志の魔法によって復元させた書類の殆どが偽物であったから・・・

これが適当な用紙であったのであればいくらでも誤魔化しが効いたであろう、七志が何かのトリックを用いて適当な紙と灰を入れ替えたとか言う等の方法が・・・

だが、復元された書類の幾つかは、ハンニバルが闇に葬る為に燃やして破棄した書類だったのだから仕方あるまい・・・

そして、その中に・・・

 

「あーあ、こんな物まで混ぜてたとわなぁ~これはアカンわ」

 

ギンジョーが嬉しそうに白目を剥いているハンニバルに向けた書類。

それはこの商会の裏帳簿の一部であった。

完全にアウトなその内容はハンニバルを失脚させるには十分な内容。

この町を管理する町長に対する完全な裏切りを証明する物であったのだ。

 

「おいそこの姉ちゃん、町長の元へ使いを出しておいてくれ」

「か、畏まりました」

 

ハンニバルの秘書と思われる女性にギンジョーが声を掛け慌てた様子で駆けていく秘書。

完全にハンニバルは終わりである。

 

「さて、それじゃあこっちはワシの部下に任せておくとするわ。ここの商会への損害賠償も計算に時間が掛かりそうやしな」

 

そう言ってギンジョーは七志に向き直る、右手を差し出し握手を求めてきた。

七志は大きく頷きその手を握り返す。

 

「それじゃあこの礼はさっきの話に協力するって事で・・・だが詳細の方は聞かせてもらうで?」

「もちろん!」

 

七志とギンジョーの話はまさに耳を疑うモノであった。

横で聞いていたルリエッタもギンジョーの部下達も唖然としながらその話を聞き続ける・・・

 

「なるほど、それならワシには一切損は無いな・・・けどええんか?」

「あぁ、目的はさっきも言った通り・・・」

 

七志はチラリと受付前で銀貨を数えるのに協力しているソフィの方へ視線を送り・・・

 

「俺達の目的はガレフって奴隷を助ける事だから」

「くはっくはははは!!!えぇでえぇで!お前おもろすぎるわ!」

 

手を大きく叩きながらギンジョーは七志の考えた作戦に感動した。

とても常軌を逸した内容だったが自分に損が無い事、結果が大いに自分を儲けさせる事が確定していたので協力を約束したのだ。

二人は再度握手を交わし直ぐに行動に移そうとするのだが・・・

 

「その前に、七志はんやったな?まずは服を何とかせんとな」

「あっ・・・ははっそうですね」

 

こうしてこの町の帝王と呼ばれるギンジョーの協力を得られた七志・・・

七志の作戦はついに実行に移されるのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は現在に巻き戻る・・・

 

 

 

 

 

 

「分かってますよね?当たれば500倍ですよ?」

 

七志の言葉に支配人は驚きの目を見せる。

だが銀玉が1周した時点で支配人は声をいつも通り上げた。

 

「そこまで!」

 

その掛け声と共にベット台の金銭の移動は禁止される。

その動きは周囲に立つ黒服によって完全に監視され、誰一人それに触れる事は許されないのだ。

それを確認し、支配人は下に俯き肩を震わせた。

 

「くふっくふふ・・・くぅっはっはっはっはっはっ!」

 

突然の大笑いに周囲の誰もが驚く。

今までポーカーフェイスを貫き通してきた支配人の豹変に驚いたのだ。

 

「いや~お客様、今回はこれほど大儲けさせていただきありがとうございます」

「あぁん?まだ勝負は決着してないやろ?」

「ギンジョーさん、貴方はとても大きなミスを犯しました」

「俺が・・・ミス?」

 

支配人の言葉にギンジョーは困惑の表情を浮かべる。

今回の賭け金が全て七志が借りた金だという事に関しては一切公言してない。

 

「はい、そちらの・・・えぇっと七志様でしたか?ここまでの演技は見事でした。ですがギンジョーさんのたった一つのミスで全て水の泡です」

「だから、どういう事やと聞いとるねん?!」

「今まで私とこのルーレットで勝負して勝利された方はいらっしゃいません、それはこれまでも、これからも・・・です!」

 

自信満々に言い切る支配人、チラリと回転する銀玉に視線をやって嬉しそうに語りだした。

 

「ギンジョーさん、貴方最初に私に言いましたよね?」

「な・・・なにをや?」

「あなた・・・『今日はちょっと儲け話に乗らせてもらってな』っておっしゃいましたよね?それだけでこの勝負に貴方が入ってくる事は予想していました」

「なっ・・・!?」

「何故ならば、それしか貴方がおっしゃった儲けに繋がる事が無いのですから」

 

涼しい顔でドヤァっと笑みを浮かべる支配人、そして・・・銀玉は仕切りに当たって跳ねた。

その音に全員の視線が向く。

 

「この勝負・・・私の勝ちです!」

 

何度か跳ねた銀玉は一つのポケットに吸い込まれるように入っていった。

そして、そのマスの数字を見て凶悪な笑みを更に強めた支配人は嬉しそうに告げる・・・

 

「黒の18!」

 

そこは七志もギンジョーも賭けていない最初と同じマスであった・・・

この瞬間、七志の賭けた金貨138枚、銀貨13枚・・・

そして、ギンジョーの賭けたプラチナ金貨1枚が全て没収と言う事となった・・・

その総額、日本円にして約238万1300円の損失・・・

一般人の年収にも匹敵する損失が僅か数分で発生した・・・

それは周囲の人間の哀れみに満ちた視線が七志達に突き刺さるのも仕方ないのである・・・

しかもそれは七志が借金をして作った金だったのだから・・・

誰もが七志達がこれから辿る運命を嘆き哀れみの視線が集中する・・・

だが支配人はそんな事を一切気にも止めない、勝負は勝負なのだから・・・

 

「それでは集計に入らせていただきます」

 

支配人のその言葉で黒服たちが動き出す。

ポケットは黒の18、それを確認し『黒』と『18』に置かれた金銭を確認し報酬を用意する。

 

「こちら配当金になります」

 

そう言って勝者へ返金が行われる・・・

それを沈んだ面持ちで見守る七志とギンジョー。

その配当金が配られている時に一人が声を上げた!

 

「ちょっと待って下さい!」

 

それは今までそこに座っていて、何も話さなかったルリエッタであった・・・

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