異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第15話 ルリエッタのビギナーズラック、手に入れたのは・・・

「すまんかった・・・本当に助かったわい・・・」

「ガレフ・・・もう何も心配要らないわよ」

 

奴隷から解放されたガレフは七志に土下座せんばかりの勢いで頭を下げる。

それはそうであろう、今日会ったばかりの七志の手で1or8の奴隷から解放されたのだから。

しかもそれがソフィアが連れてきた人物と言うのだから・・・

 

「それでガレフ、レズの都に戻りたいんだけど案内お願いできるかしら?」

「分かってる、お前が俺のところにこの人を連れてきたって事はそう言う事なんじゃろ?」

 

そう、忘れてはいけない、七志達はソフィアに頼まれて忘れずの都、通称レズの都におかしくなったユグドラシルを何とかしてほしいと頼まれてここまで来たのである。

その道案内にガレフが必要と言う事で会いに来たのがここまでの経由だったのだが・・・

 

「なんや?あんたら世界樹に行くつもりなんか?」

「はい、ギンジョーさん何か知ってるんですか?」

 

七志達の会話が聞こえたのか近くに居たギンジョーが声を掛けてきた。

既に七志とは義兄弟とも言える程に信頼を得ている彼、流石この町の帝王と呼ばれるだけあった。

 

「それやったら冒険者ギルドの方から依頼受けたら行けた気がするんやけど・・・」

「「「えっ?」」」

 

七志とソフィア、そしてガレフまで驚きの声を上げていた。

その存在は確認されているのは仕方が無いが、まさか行く方法まで知られているという事実に二人は動揺を隠せない。

 

「馬鹿な!あそこに行くには案内人の誘導が・・・」

「だから依頼者が案内人なんやと思うで、まぁ気になるんやったら冒険者ギルドに行ってみたらええわ」

「そうしますか、ギンジョーさん大変お世話になりました」

「ええてそんなん、俺とあんさんの仲や無いか。それにあんな好条件付きなんやからな」

 

そう、七志はギンジョーにこのドームの権利を譲渡した。

更にギンジョーの部下にギャンブルに参加して面白い事を定期的にやってもらうだけで、ギンジョーに報酬を支払うと約束をしたのだ。

それをやってくれた部下に分配するという話で納得を得たのだから・・・

面白い事をして、それを動画でアップロードする許可に繋がるのだが、ギンジョーにそんな事が理解できる訳が無いのは言うまでもない。

だが、時間を焼却して物の状態を過去へと復元する魔法が使える謎の魔導士である七志、その実力を知っているのだからそんな不思議な事で報酬を支払えると言う嘘みたいな話も信じていた。

 

「しっかし、七志のその魔法は本当すげーな」

「ギンジョーさんのおかげで通貨の種類が知れたのは本当助かりましたよ」

 

そう言ってナナシは1枚の金貨を握り締め、手を開けば中に銀貨が100枚溢れ出す手品の様な物を披露する。

遠くでギャンブルドックが「ギャンギャン」と吠えている事から魔法かスキルを使用しているのは間違いないが、どうやっているのかギンジョーには全く分からなかった。

単純に手の中の金貨を七志の口座に収納し、同額の銀貨を手の平に出現させているだけなのだが、本当にあり得ない光景であった。

 

「それじゃ冒険者ギルドに行ってきます」

「あぁ、また近くに来た時は顔出してな~」

 

そう言って会話を終えた七志一行はこの町の冒険者ギルドに向かおうとするのだが・・・

 

「七志さーん・・・止まらないのどうしたらいいんですか~?」

 

ルリエッタがそこに座っていた。

邪魔をしないように暇潰しにルーレットで分配された銀貨を使ってスロットの様な魔動機で遊んでいたのだが・・・

 

「な・・・777?!」

「ルリエッタ・・・あんた一体・・・」

「ふぇぇ~遊べば遊ぶ程お金が増えちゃいますぅ~」

 

ビギナーズラックとは本当に恐ろしいモノであった。

 

 

 

 

 

 

 

「っで、お前らとは別れをすましたばっかりな気がするんだが・・・」

「まぁまぁ、それよりこれ交換して下さい」

 

ルリエッタが1or8入り口横のカウンターに1枚のコインを置いた。

紫色に輝く珍しいその硬貨はこの1or8の当たりコイン。

どこかのギャンブルに数枚だけ混ぜられている景品交換コインなのであった。

配られた報酬の中にこれが混ざっていた場合は正規の報酬とは別に受け取れ、これを手に入れた者はこのカウンターで激レアな商品と交換できるのである。

 

「それではこちらから一つカプセルを取り出して下さい」

 

支配人が居なくなった事で路頭に迷うかと思われていた黒服達、だがギンジョーにここで働き続ける意思が在る者は受け入れると言われ、全員がここに残ることになったのは言うまでもないだろう。

貸金の利息で生計を立てているギンジョーがカジノの売り上げをそれほど目当てにしてないという事もあり、計算の得意な例の部下に相談したところ、支配人の支払っていた額よりも1.3倍の給料アップをしても十分に利益が出続ける事が確認されたのでそれが約束されたのだ。

その為、ルリエッタに笑顔で箱を差し出す黒服もまた七志達に協力的だったのは言うまでもないだろう。

しかも面白い事をすればボーナスが彼等にも出るというのだから・・・

 

「ん~これにします!」

 

そう言ってルリエッタが箱の中から取り出したカプセル。

そこには『魔導書』と書かれていた。

 

「ま・・・どうしょ?」

「おめでとうございます。こちらが商品でございます」

 

そう言って黒服が渡してきたのはとある魔法の魔導書。

それはどの区でも関係なく魔法が覚えられる現在では超レアな物であった。

ただ一つ、その属性の魔法を使える人物であればであるが・・・

それでもこの魔導書自体それなりの値段がする物なので、売ればかなりの額になるのは間違いない。

それがどれ程使えない魔法で有ろうと・・・

 

「七志さん、これ受け取って下さい!」

「ルリエッタ?いいの?」

「はい、だってこれ私使えたとしても・・・」

 

そう、七志以外は知らないがルリエッタは召喚を使う一族である。

その為、属性魔法は覚えても性能が格段に落ちるので意味が無い、しかもルリエッタの一族は魔力ではなく寿命を消費するのだから・・・

 

「分かった。ありがとう、このお礼は今度なにかでさせて貰うよ」

「はい!楽しみにしてますね」

 

そう言って魔導書をルリエッタから受け取った七志。

しかし、その魔導書の魔法名を見てギンジョーが高笑いを上げた。

 

「おいおい相棒!また面白い魔法当てたじゃねーか!」

「ははっですね・・・」

「早速覚えていくんだろ?ほら、これ使え」

 

ギンジョーの七志への呼び方がコロコロ変わる事に苦笑しつつ、ギンジョーが差し出してきたそれを受け取る。

それは希少金属、ミスリルの破片であった。

言うまでもないがこの区では魔法を使用するには希少金属を消費する必要があるのだ。

それは勿論、魔導書から魔法を覚える際に必要なのは言うまでもないだろう。

その為、この町で魔導書を手に入れた者は区を移動してから魔法を覚えるのが常識となっていた。

 

「良いんですか?」

「あぁ気にするな、俺達相棒だろ?」

「はい!ありがとうございます!」

 

そう言って嬉しそうに七志はギンジョーからミスリルの欠片を受け取る。

そして、魔導書を開かずにその上に手を乗せて唱える!

 

「インストール!」

 

それを唱えた瞬間、七志の脳内に魔導書の中身が入っていく・・・

以前ファイアーを覚えた時の様な現象が七志の身に起こる。

周囲の音が消え去り、その魔法が白色魔法だと自動的に認識され変換されていく・・・

今回の魔導書は以前の様なコピーではなくカット&ペーストとなっており手の中の魔導書が消えていく・・・

 

「『これ・・・マジか・・・』」

 

七志と嵐の言葉が同時にリンクした。

それは二人同時にその魔法の効果を理解したからである。

そのとんでもない効果を起こす魔法の名前は・・・

 

白色魔法『ライトボール』

 

本来は灯りとなる光の球体を浮かべるだけの魔法。

しかし、その効果が七志の詐欺魔法によって変化していたのだ。

一歩間違えればとんでもない事となるその魔法、七志と嵐は出来る限り使用を控える事を誓うのであった・・・

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