異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第50話 魔人族の進軍と魔王姫サラ

「なんだと?!一体どう言うことだ?!」

 

王座に腰掛け周囲に異形の怪物達に囲まれた一人の男が居た。

見た目は人間だが顔は青く本当に人間なら顔色が悪いなんてレベルじゃない、そして叫び声と共に体から同じく青いと言うより黒に近い靄のような物が昇る。

異常な程濃密に圧縮された魔力が肉眼で確認出来るのだ。

その男の発する声は空気を振動させ、天井に吊るされたシャンデリアの様なものが揺れる…

 

「申し訳ございません魔王様」

「謝罪よりも説明を求めているのだニセバスチャン!」

 

腹の傷が癒えたニセバスチャンが魔王と呼ばれた男の前に頭を下げ首を横に降る。

 

「突然でした。お昼のおやつをお食べになられていたお嬢様が突然胸を押さえまして、暫く動かなくなられたと思ったら「会いたい!」っと突然申されまして…」

「それでお前に攻撃を仕掛けて我が家を飛び出したと?ペットの銀獅子を寝惚けて抱き枕にして絞め殺してから自分の力が怖くなり、外に出なくなった娘が突然だと?」

「はい、もしや何か精神支配的なスキルの持ち主の仕業ではないかと…」

 

王座に腰掛けた男は少し考える…

 

「まさか我等の計画が漏れて人質として利用されたと言う可能性は?」

「魔王様、その可能性は低いかと思われます」

 

ニセバスチャンとは反対側にローブを被った男がいつの間にか立っていた。

気配を消していたとかではなく、今そこに出現したのだ。

 

「悪魔大元帥アモン戻ったか、してその根拠は?」

「人間族は未だに魔海を超えることが出来ず、こちら側に我々魔族が存在する事すら知りません」

「ならば偶然我が娘は被害に遭ったと?」

「もしかしたら神が何か手を出したのかもしれませぬ…」

「異世界召喚か…」

 

魔人族には以前神が人間を異世界から召喚し、魔人族を滅ぼすと占われた事があった。

これは将来的にこの世界を作った神がやる予定の事だったのだが、それはまだまだ先の話。

だが勿論この世界の住人はそんな事は知らない。

ただ、未来を占うスキルの持ち主は居て、そのスキルの持ち主が遠い未来にそんな事が起こると言うのを占っていたのだ。

 

「魔王様、もし異世界から召喚された勇者が居るとするならば、強くなる前に全戦力を使って先に葬った方が宜しいかと」

「悪魔大元帥、何故だ?」

「その者が力を付けて我々魔人族を滅ぼすのならば力の無いうちに倒してしまう、出る杭を引き抜いて石橋を叩いて壊しウサギを倒すのに全力を尽くすと言う人間族の諺を逆手に取るのです」

「出る杭を引き抜いて石橋を叩いて壊しウサギを倒すのに全力を尽くすか…良かろう!予定していた進軍は来期の春だったが今!行動を開始する!まずは我が娘『サラ』を助けに行くぞ!」

「オオオオオオオオオ!!!!」

 

この日、人間族の住む島から魔海を隔てて存在する魔人族の島から魔人族が人間族の島に攻め混む行動を開始したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「近い…近いわ!あの町…あそこに居る!あぁ、早く会いたい!」

 

禍々しいオーラを全身からまるでジェットエンジンの様に後ろに放ち、空中を滑走する一人の少女が平原を爆走していた。

あまりの勢いに少女の背後の地面は大きく抉れ、内陸まで海水が流れ込み始めている。

勿論海水の流れ込む速度が彼女の移動速度に追い付くわけもなく、それははるか向こうでの出来事なので知りもしないが…

 

「あれ!もしかしてあの人が!」

 

町の入り口からピラミッド状に冒険者達が彼女に対してSランク冒険者『盾極のデニム』を先頭に待ち構えているのだが、彼女の視界には遥か彼方の城壁の上に居るゴンザレス太郎しか見えていなかった。

そして、最初の障壁が彼女『魔王姫サラ』と接触し障壁67枚を貫通し、遂に彼女の突進は止まるのであった…

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