盾極のデニムは目の前で起こってる事実に冷や汗を流しながら平静を装っていた。
自らが張った障壁99枚の内67枚が魔王姫サラの突進で一瞬にして砕けたのだ。
これ一枚ですらAランクの冒険者数人掛かりで破壊できるかどうかという障壁だと言うのに、67枚も一瞬にして砕け散ったのだ。
しかもデニムには分かっていた。
目の前の存在は攻撃を仕掛けたわけではない、魔力を後方に放出する事で自身の体を加速させていただけで彼女自身は障壁に何の保護もなしに顔面から突っ込んだのだ。
つまり、その肉体の強度だけで67枚を一瞬にして砕いたのだ。
「おいおい、冗談きついぜ…」
そう呟いたデニム、目の前の存在が拳を握りしめ振り上げるのを最後にその意識を失う。
「邪魔っ!」
その一言と共にサラの無慈悲な拳が振るわれた。
残った全ての障壁がその拳の風圧で木っ端微塵に消し飛び、デニムの構えていた巨大な盾をデニムの体ごと後方へ吹き飛ばしたのだ!
その勢いは凄まじく、デニムを先頭に三角形の陣形を組んでいた冒険者達はまるでボーリングのピンのように吹き飛ばされる。
デニムの盾により死人は出なかったが、デニムを含む冒険者は既に戦える状態ではなかった。
たった一撃のパンチで勝敗は決したのだ。
当初の作戦だった交渉の余地もなく、第一の作戦は無に帰った。
それを見たマコトは手に持つデニムから託された『封印石』を握りしめ使うことを覚悟する!
次の瞬間サラは軽くジャンプするように飛んで障壁の上まで飛び上がった。
まるで浮いているようにフワリと浮かび上がったサラはそのままマコト達の前に着地する。
その目にはゴンザレス太郎しか見えていなかった。
「隙有り!」
マコトの叫びが響き、手に持ってた封印石をサラに向けて使用する!
だが、その封印石が封印出来るキャパシティを超える魔力が一瞬で注ぎ込まれ、破裂するように封印石は粉々に砕けるのであった。
「スキ?…そうか、これが好きと言う気持ち…」
そう呟いたサラにマジメの3人は一斉に攻撃を仕掛けるがマコトの剣はサラに触れる直前に根元から消し飛び、ジルの魔法はサラを避けるように違う方向に飛び、メールの障壁は霧のように飛散した。
「そんな…ありえない…」
フーカはその目でサラのステータスを見て震えていた。
先程ギルドで見たデニムのステータスと全ての数値の桁が2桁違ってたのだ。
次の瞬間サラから魔力を放出しただけの突風が吹き、マジメの3人は障壁から下へ吹き飛ばされ落ちていく。
そして、サラはゴンザレス太郎とフーカの前に立ち…
「あ…あなた、名前…名前は何て言うの?」
急に魔力をゼロにして、顔を真っ赤にして目を泳がせながら両手の人差し指を胸の前でツンツンと突っつき合わせ、恥ずかしそうに名を聞いてくるのだった。
ををっと?!
投稿時間指定に4月31日があって罠に掛かるところだったぜ!?