異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第58話 激戦に隠されたコードの秘密

「今発動しているのはね…」

 

フーカはその言葉にオッドアイを輝かせながらゴンザレス太郎の言葉を待つ。

ループした中では起こらなかった魔物の襲撃、人間とは隔絶した力を持つ相手の撃退。

何度も何度も死に戻った中で感じた事の無い高揚感に、興奮が押さえられなくなりつつあるのを感じていた。

 

「実は2つあるんだ。」

 

そして、語られるゴンザレス太郎のコード!

その内容に最早唖然とするしか無いフーカは口を開けたまま聞き入っていた。

 

「あの時、サラとか言うあの人が突っ込んできた時に、もしもの場合を考えてガチャを回しまくって何か使えるのが出ないかと思っていたら…今回使った一つ目のコード『HP減らない』が出たんだ。」

 

そう、一つ目のコードはHP減らないであった。

これがゴンザレス太郎がゴズの風魔法で意識を失って、フーカのキスで目覚めた時から発動していた。

サラの好感度MAXと引き換えに使用されたコードなのだ。

 

「だけどね、これじゃ駄目なんだ。だってこのコードの反映範囲は自分だけじゃないからね」

 

ここが重要であった。

以前の実験でも分かっていた通り、ゴンザレス太郎のコードは本人だけでなく周囲にもその影響を及ぼす。

その証拠に、ゴンザレス太郎がこのコードを発動して以降は回復をする者は居てもいても、ダメージを受けている者は敵味方含めて一人も居なかったのである。

これがゴンザレス太郎がどんな攻撃を受けても立ち上がり続けられた理由であった。

だがダメージを受けずHPが減らないとしても、疲労は蓄積される…

今のゴンザレス太郎が疲弊しているのはそれが理由であった。

 

「それで更にガチャを回し続けて出たのが『追加効果確定』なんだ。」

 

武器やスキルには確率で追加効果を発動するものがある、例えば『炎の槍』という武器は一定の確率で追加効果を発動して炎の追撃が、スキル『ぶんどる』には攻撃後一定の確率で相手の持ち物を盗む、と言った追加効果があるのだ。

このコードはその追加効果を確実に確定させる効果がある。

 

「このコードが出た時にメールさんから以前貰った毒針の事を思い出してね、ぶっつけ本番でスキルの並行使用が出来るか試したんだけど成功して良かった」

「なん…だそりゃ…」

 

すぐ後ろから声がした。

そこにはデニムさんが呆れた顔をして立っていたのだ。

 

「あっ…今の話聞いちゃいました?」

「あぁ…それでか、俺のユニークスキル『リフレクドシールド』は相手の属性攻撃を跳ね返せる代わりに自身のHPを半分にするのだが、使用しても俺はピンピンしていたんでな、全く大した子供だよお前達は!」

 

そう言ってゴンザレス太郎とフーカの頭をグシャグシャと撫でる。

最初の強面な感じはどこへやら、今は優しい近所のおじさんっと言った感じのデニムの笑い顔にゴンザレス太郎とフーカは寄り添い、抱き付いたまま疲れが限界で眠るのであった。

 

「お前達の秘密は他言しないから後は大人に任せてゆっくり休め」

 

意識を失う直前、デニムのその声をゴンザレス太郎は耳にした気がした。


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