「かくかくしかじかなのよ!」
「なるほど!って分からんわ!」
目を覚ましたゴンザレス太郎が見たのは、涙を流しマコトに寄り添っているサリアと「どうしてこうなった?」っと立ち尽くすマコトであった。
それで状況を聞こうとフーカに尋ねたら…
「かくかくしかじか」
マジに言ったのだ。
愛があればこれで通じる筈!っと自信満々なフーカに呆れ顔を見せていると、マコトさんが何があったのか説明してくれた。
だが、それで何故この状況に陥ったのかが分からずゴンザレス太郎は口を開いた。
「とりあえずサリアさんを冒険者にする為に『レベル譲渡』のコードを使って強化する作戦なのは理解したけど…」
そう、この流れで何故サリアがマコトに寄り添って泣いているのか結局分からないままである。
その後、マコトに寄り添ったサリアが落ち着くまでこれから譲渡する為のレベリング計画をフーカと話し合う。
おおよその目安が決まった頃にはサリアさんは落ち着き始めており、フーカがこれからの予定を話し始めた。
ゴンザレス太郎はその間にマコトからもっと詳しく説明してもらおうと話を聞いたら…
「いや、俺にもよく分からないんだ。俺は「君を俺が冒険者にしてやる!何があっても俺が守ってやるから安心してくれ」って言っただけなんだ」
(あーこれ鈍感主人公がフラグを立てちゃったパターンだわ。)
ゴンザレス太郎には分かった。
マコトはパーティーの一員として守るって言ったんだけど、サリアはマコトが何があっても一生守るって言ったと勘違いをしたパターンである。
「マコトさん?サリアの事嫌いですか?」
「い、いやそんな事は無いぞ」
「じゃ好き?」
「うっ…ま、まぁな…」
はい、言質頂きましたー。
「まっマコトさん!」
「はっはい!」
「私もマコトさんが大好きです!」
サリアどうも恋をすると暴走する系だったようだ。
っとまぁそんな事があってジルとメールに事情を話し、現在慟哭の洞窟に向かって親指口に入れた6人で移動中である。
出発前に最低限のステータスは必要だろうとゴンザレス太郎のレベル譲渡を試してみたところ、コードを発動させた状態のゴンザレス太郎の近くで対象を指差して「○レベル譲渡」って言うだけで譲渡出来た。
名前変更の実験は無駄ではなかったのは何よりである。
それはさておき、向かう先が慟哭の洞窟と言うことで前みたいに偉い目に遭わないかとゴンザレス太郎は考えたが、マジメの3人もあの魔物騒動で随分レベルアップしていたので余裕との事だった。
「はい、じゃゴンザレス太郎宜しく」
「うーこれ今夜寝れないパターンな気がする…」
ゴンザレス太郎、既に名前変更で1回、解除で2回、出発前のレベル譲渡で3回、移動で4回、そして今から打つ経験値○倍で5回、帰りの移動で6回、最後のレベル譲渡で7回、の強制寝て起きてが最低でも確定しているのである。
2秒で眠れる射撃が得意な小学生ではないのだ。
「まぁいいや、スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」
いつものそれを起動し、もう慣れた手付きでコードを入力し、フーカのスカートの中膝枕で暗黒睡眠堕落沈を受けて眠る。
地べたに毎回座って膝枕してくれるフーカに今度下に敷くクッション的な物を買ってやろう!と考えながらゴンザレス太郎は眠る。
数分後、フーカのキスで強制的に目を覚まさせられ、それからの一同はえらいこっちゃだった。
「あーなんていうか…魔物を1匹倒す度にレベルが10単位で上がるからなんか違和感だらけだわ」
ジルの言葉に全員が頷く、現在ゴンザレス太郎のコードで魔物を倒して手に入る経験値は最大の255倍である。
これは2桁の16進数最大の『FF』をコードの空白部分に入れたためである。
人ナンバーの件がなければこの事にもきっと気付かなかったと考えると何が幸いするか分からない。
知識は財産とはよく言ったものである。
こうして一同のレベリングはとんでもない速度で進み、レベル譲渡しなくても弱いサリアは直ぐにレベルが999でカンストしそうになる。
なので少し進んでは休憩しステータスに振ったりスキルを得たりと着々と進んでいた。
誰一人気付かなかったのは、レベルをステータスに振り続けていて既に全員がSランク冒険者レベルの強さを手にしているという事実であった。
そして、一同はあの場所に再び足を踏み入れる…
そう、今回の目的地…モンスターハウスである!
この日、Sランク冒険者を軽く凌駕する人類最強の6人が人知れず誕生しているのであった。