「をっ遂にやったか!」
封印の洞窟入口にてデニムは自慢の盾を構えてヤバイを出迎えた。
これから最後の試練として、本気で戦う自分と決闘を行うことを伝えなければならない。
デニムは10年以上前に自分も体験した事を思い出していた。
デニムの前のSランク冒険者は『法聖のタトナス』という魔導師、今となっては最早名前しか伝わってないが実は現ギルドマスターだったりする。
この決闘はタトナスにとって『相性の悪いデニム』だからこそ勝利出来たと言われてもおかしくなかった。
事実デニム以外の誰にも気づかれてはいないが、先日の魔物襲撃の時もタトナス一人で正面以外の魔物を殲滅していたりする。
次の世代へバトンを繋ぐと言う行為にも似たこの決闘の事を話そうとヤバイに声をかけようとしたが…
「デニムさん俺やっちまったよ…」
「うむ、良くやった。だがまだこの試験は…」
「違うんだ俺やっちまったんだよ!」
Sランクにこれで成れると興奮しているのだろう、デニムはヤバイの話を聞かず決闘の話を何とか伝えようとするのだが、ヤバイは自分が仕出かした事に混乱していた。
二人の噛み合わない会話は数分続き、やがてデニムもヤバイの様子がおかしいことに気付いて話を聞いて驚愕した。
「さ…祭壇に頭から突っ込んで破壊しただと?!」
「すまない、本当にすまない…」
その後、デニムも同行し祭壇の状況を確認した二人は急いでギルドマスターにこの件を伝えに走るのであった。
この祭壇には厄災の鬼が封印されていると聞いていたデニム、最悪の事態を想定しマコトやゴンザレス太郎の協力を頼もうと考えていた。
そして、その二人は現在…
「邪魔だぁ!」
芋虫の様な魔物が立ちはだかりそれを蹴り一発で吹き飛ばすゴンザレス太郎。
そして、死んだ魔物を優先して喰らいに行く戦鬼。
喰い終われば再びゴンザレス太郎達を襲うのでその隙にいくら攻撃を当てても…
「駄目、全快まで回復してるわ」
フーカの一言でその攻撃が無駄だと知らされ、逃げながら対策を考える一同。
だがこうしている間もモンスターハウスであるこの部屋には魔物が新しく出現し、次々と襲い掛かってくるので対処する。
するとその魔物を喰らって更に戦鬼は強くなる。
「くそっ、これじゃどうしようもな…」
「キャアアアアア??!!」
ジルの叫びであった。
なんと戦鬼の手から白い糸が出てそれがジルの体に巻き付いたのだ?!
「くっ、まさか食らった魔物のスキルを覚えたのか?!」
慌てて白い糸を斬りにマコトが行動を起こす、だが新しく生まれた魔物に邪魔をされて近付けない。
その時であった。
「飛べ!セーブラック!」
サリアが右手から白く光る光元体、左手から黒く光る光元体を同時に放った!
白い光はジルの体に着弾し黒い光は戦鬼の体に着弾した。
直後ゴンザレス太郎が殴り飛ばした魔物が別の魔物にぶつかり、その衝撃で空中に飛び上がる!?
そのまま天井にぶつかり天井が崩落した!?
だが岩盤は戦鬼の上を中心に落ちてジルは奇跡的に無傷、しかも白い糸は偶然にも尖った岩石に切られて助かっていた。
これがサリアのユニークスキルが進化した姿であった。
幸運と悪運を同時に飛ばす事でバランスを保たせる独自の進化を遂げたのだ!
だが戦鬼には殆どダメージが通っておらず、直ぐに動きだし倒れていた魔物を6本の腕のどれかが掴み戦鬼の口元へ運びその傷を癒す。
ジルが助かったのは良かったが事態は何も好転していなかった。
「くそっ、この化物め!これでも喰らえ!」
ジルのアイテム袋にあった毒草を戦鬼に投げ付ける、だがそれすらも戦鬼は掴んで食べてしまう。
「駄目、あれも効いてない。回復してるわ」
フーカはこの状況を打破するための方法を考えながら、誰かが何かをやったら効果があるか、直ぐにスキミングで確認して報告する。
だがそのフーカの言葉を聞いてゴンザレス太郎は一つの考えが浮かんだ。
「マコトさん!もしかしたら行けるかも!」
「?!」
ゴンザレス太郎の異常なユニークスキル、その想像を超えた効果を理解しているマコトはその言葉に一切の疑いを持たず…
「俺達は何をすればいい?!」
その一言だけを返すのだった。