異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第72話 戦鬼遂に撃破!

砕け散る岩壁、舞い上がる砂埃…

 

「ふ…フーカァァァァ!!!」

 

ゴンザレス太郎は慌てて穴から飛び出そうとする!

だがその体をマコトが捕まえる。

 

「離してください!フーカが…フーカがぁぁ!!」

「落ち着けゴンザレス太郎!」

 

マコトに肩を揺さぶられるが、ゴンザレス太郎は今すぐに飛び出して助けに行こうとする…

崩れたその場所に戦鬼のもう3本の腕が叩き込まれる!

それを見てゴンザレス太郎は絶句する…が。

 

「ジル達なら一撃だけなら大丈夫だ!」

「何が大丈夫なんですか!避けれてても崩れた岩に生き埋めになっていたら…」

「ジルのユニークスキル『うつせみ』は一日に一度だけ物理攻撃を仲間ごと転移してかわせるスキルだ!」

 

マコトの言葉を証明するように戦鬼の背後で吹き飛ばされた魔物に目が行った。

そこにはジルを支えるフーカの姿があった。

スキルの消耗なのだろう、フーカの肩を借りてやっと歩けるジルをマコトが確認し飛び出す!

合わせてサリアが幸運をマコトに、悪運を戦鬼に飛ばす。

 

メールと共にメンバーが戻ってこれるように、途中の魔物を魔法で倒して無事に合流を果たす。

だが、それに戦鬼が気付いて穴に戻ってきたフーカ達にパンチを打ってくるのはほぼ同時であった。

だがサリアのセーブラックのおかげで間一髪、戦鬼の足元にいた魔物の死体を戦鬼が踏み、足を滑らせたせいでパンチは少し外れ壁に激突!運良く全員無事であった。

だがジルはスキルのせいでまともに動けない、サリアは運を使い果たした。

メールが張る結界も神力を異常に使うので、最早それほど余裕は残されていなかった。

 

「なにか…何か無いのか…」

 

考えるゴンザレス太郎…

その時ゴンザレス太郎の視界に入ったのは、サリアが腰に巻き付けていたあのぬいぐるみ!

それは忘れもしない、ゴンザレス太郎の部屋に在ったあの犬っぽい魔物のぬいぐるみである!

 

「ちょっとサリアそのぬいぐるみ貸してくれ!」

 

ゴンザレス太郎の言葉に困惑しながらも文字通り鬼気迫る状況、サリアは腰から取り外しゴンザレス太郎に犬のような魔物のぬいぐるみを手渡す。

迷わずそのぬいぐるみの口の中にゴンザレス太郎は手を突っ込み… 

 

「あった…!」

 

そこから出てきたのはあの白金貨であった。

皆が何故そんなところから白金貨が出てくるんだ?!っと言う目を一瞬したが、ゴンザレス太郎だから仕方ないの思考で直ぐに落ち着いた。

白金貨を手にしてたゴンザレス太郎は前世で好きだったあの超有名アニメを思い出す。

 

「いけるか?…いや、やるしかない!皆聞いてくれ!」

 

ゴンザレス太郎は自身のコードのせいで回復アイテムが使えないジルも含めて説明をした。

 

「本当にそんな事が可能なのか?」

「私は…ゴンザレス太郎を信じる!」

「この現状を打破するためにそれしか無さそうね…」

 

マコトは疑問に感じフーカは絶対の信頼、そしてジル、メール、サリアは試す価値ありと考えた。

そして、一斉一代の大博打が始まる!

 

「結界!」

 

メールが台になるように結界を張り、そこにゴンザレス太郎が白金貨を置く、見た目は白金貨が空中に浮いてる状態だ。

 

「「雷撃魔法!」」

 

その左右でジルとフーカが電撃魔法で電気のレーンを作る。

これで準備はOKだ。

 

「うぉぉぉぉぉ!!!」

 

マコトとゴンザレス太郎が穴から飛び出し、戦鬼の周りの魔物を次々に倒した。

戦鬼は量産される餌を両手で次々に掴み食べていく!

確かにダメージとなっていくのだがそれ以上に戦鬼自体が強化され、自己治癒力が増して体力が減らなくなってきた。

だが目的は足止めだ!

 

「サリアいけぇーー!!!!」

 

マコトが戦鬼の動きが止まったのを確認して叫ぶ!

 

「いきます!」

 

結界に乗せられた白金貨をサリアが指で前方に弾く!

前に進んだ白金貨はジルとフーカの電撃魔法で作り出された電位差のある2本の電気伝導体製の代わりとなる結界で作られたレールの間に、電流を通す電気伝導体となる白金貨を弾体としてこの弾体上の電流とレールの電流に発生する磁場の相互作用によって、白金貨を加速させる!

要は磁力を利用して加速させたのだ!

そう、金はとても電気を通しやすいのである!

それにより加速させられた白金貨はまさにレーザー兵器となり戦鬼の腹部を貫いた!

 

みんな大好き超電磁砲、レールガンである!

※正確には電磁投射砲や電磁加速砲と言う。

 

戦鬼の腹部を貫いたレーザーは洞窟の壁すらも容易く貫き、既に日も暮れ始めた空に光の道を作り出した。

 

だが、戦鬼は死んではいなかった!

腹部から出血した傷も自己治癒力で直ぐに回復に向かい始めた。

 

「くそっこれでも駄目なのか!」

 

圧倒的髙威力ではあるが、口径が小さすぎた。

どれ程速度があろうと傷自体は小さかった。

マコトがそう発言したと同時にゴンザレス太郎の叫びが響く!

 

「サリア打てーー!!!!」

 

直ぐ様次のレーザーが戦鬼の体を貫き、更にもう一発!更にもう一発!

そう、現在この空間はゴンザレス太郎のコード『弾無限』が発動している為、メールの結界の上には打ち出した後も白金貨が存在しているのだ!

次々に打ち出されるレールガンの嵐!

これの恐ろしいところはメールは1枚の結界、ジルとフーカは腕に電撃魔法で電極を作るように帯電するだけ、そしてサリアは指で白金貨を弾くだけという超省エネ極悪連射砲台なのである!

 

次々に体に風穴を空けられる戦鬼も堪ったものではないだろう。

超速度で打ち出される白金貨は避けることも叶わず、相手は神力を殆ど消費することなくほぼ無限に自身の体を貫く防御力無視のレーザーを放ってくるのだ。

 

その光景に唖然と立ち尽くすマコト…

ここがモンスターハウスであると言うのに彼は立ち尽くしたのだ。

だが魔物はマコトを襲ったりはしない、圧倒的兵器の前に怯えモンスターハウスから出れない魔物達は隅に逃げることしか出来なかったからだ。

 

まるで蜂の巣のように体を穴だらけにされ戦鬼は遂に前に倒れ始め、その頭部を貫いたレーザーにより遂に戦鬼はその命を散らすのであった…


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