冒険者ギルドにゴンザレス太郎とフーカが来たので、一同はギルドマスターの部屋に移動して詳しい話を聞いた。
「半月前に突然鬼達が…ですか…」
サラの説明により、魔界では鬼の大群による被害で全ての町が壊滅したとの事だった。
と言っても魔界にある町は2つだけだったらしい、小さい集落に関しては把握もされておらず無事かどうかも分からない。
「しかし、戦鬼が10体以上に龍鬼に鬼王…触手鬼に加えて時間と共に更に強大な鬼も…ですか…」
ギルドマスターはゴンザレス太郎達が6人がかりで戦鬼を倒したと言う話を聞いていた、なのでその話に絶望しか想像できなかった。
しかし、それは間違いである。
ゴンザレス太郎達が戦った戦鬼、あれは慟哭の洞窟にある世界最高レベルと言ってもいいほどのモンスターハウスの魔物を無尽蔵に食したからこその強さなのである。
それも比較するのは間違いなのだが、そんな事が分かる筈もない。
ゲームでもレベル5の勇者とレベル50の勇者ならどちらが強いかと聞けば分かるだろう。
しかし数は力なのもまた事実であるが…
「現在は私の兄『魔王子アーサー』がユニークスキル『冥凶死衰』で母の魂石を守っているので大丈夫ですが、それが破られたら魂石を取り込んで、父である魔王と同等の力を得た鬼が誕生し、魔海を渡ってこちら側にも攻めてくるでしょう」
沈黙が場を支配する。
しかし、まだ語られてない事がある…
「サラさんのお父さん…魔王さんはやられたのですか?」
メールが恐る恐る聞く、あの魔物襲撃の時に鑑定スキルを持ってなくても遥か彼方に居る魔王の実力を感じ取っていた。
だからこそ魔王がやられたのか気になったのだ。
「いえ、父魔王は触手鬼に取りつかれて、操り人形となって町を襲いました。」
絶句を超えた時に人はどうなるのか、理解が及ばなすぎて思考回路が停止する者が大多数である。
そんな中、ヤバイが確認として口にする。
「つまり、鬼の進行で世界が滅びるまで後数ヵ月しかなく、防ぐ為には操られている魔王を倒すか無力化して、無限に近く繁殖する鬼を殲滅し、更にSSSランクの魔物が敵わなかった敵多数を倒さないと駄目ってことか?」
ヤバイが改めて口にした事を聞いて、サラは絶望的状況になってるのを再認識し頷いた。
説明不足に憶測が多く含まれた話ではあるが、あながち検討違いとも言えない状況を全員が理解した。
そして、現状的に完全に詰んだ状況なのを理解した上で全員が視線を向けたのはゴンザレス太郎であった。