こんな絶望的状況においても落ち着いて話を聞いているゴンザレス太郎。
彼ならばもしかしたら…
誰もがそう考え、視線を彼に送った時に立ち上がったのはフーカであった。
「皆さん、聞いてほしい話があります」
そして、フーカは遂に自分のユニークスキル『転生タイムリープ』を皆に話した。
その効果は死んだら生まれた瞬間から記憶を持ったままやり直す。
つまり…
「ここでその話をすると言う事は、この戦いは負けると言うことだな」
ギルドの人間にシェルターの見張りを代わって貰い、戻ってきていたデニムのその言葉にフーカは首を横に振る。
「私が経験した今までの世界では、私は次の3月31日までに必ず死にました。理由は様々ですがその中に鬼の大群に町ごと滅ぼされた事があります」
「待ってくれフーカ!君が死ぬ理由は色々あるのか?!」
ゴンザレス太郎はただ死ぬとだけ聞いていたので驚いていた。
その言葉に縦に頷くフーカ。
事実フーカが繰り返した世界で、もおフーカは様々な理由で必ず3月31日には死んでいた。
そして、今回の鬼騒動も紐解けばフーカが体験した歴史にあったのだ。
「ただ一つ、私が繰り返した歴史にゴンザレス太郎は居ませんでした。」
そう、ゴンザレス太郎が居ると言う事で歴史は既に大きく変化していた。
事実、この鬼騒動もヤバイがSランク冒険者の昇格試験を受けなければ発生しなかった。
そのヤバイも魔物襲撃の件がなければここまで強くなれず、その場合昇格試験を受ける事はなかった。
そして、過去にフーカが体験した世界で同じように別の理由で鬼騒動が発生した時も、ゴンザレス太郎が倒した魔物の幹部が生きていた為に戦況は拮抗し、これ程早く魔物の国が滅びることはなかった。
「ゴンザレス太郎…いえタツヤ、お願い助けて」
フーカのオッドアイがゴンザレス太郎を見つめる。
ゴンザレス太郎は笑顔で答える。
「約束だからな、フーカは俺が守る」
見詰め合うゴンザレス太郎とフーカ、子供同士の筈なのに桃色空間が広がる。
そしてゴンザレス太郎は全員の方を向いて頭を下げる。
「俺一人では限界があります。ですが皆さんの協力があればきっと…」
サラ以外の全員が根拠の無い言葉に何故か安堵し、各々好き勝手に「任せろ!」「便りにしてるわよ!」と事態を楽観視している雰囲気に包まれた。
それを見てサラは怒りを露にした。
「ふざけないで!魔王の町が半月と持たずに壊滅したのよ!そんなやつらを相手にただの人間がこの人数でどうにか出来るわけないでしょ?!」
サラの叫び、それに落ち着いた口調でゴンザレス太郎は聞き返す。
「一つだけ聞かせてくれ、魔王子アーサーのユニークスキルはどんな攻撃でも完全に防げるんだよね?」
「えぇ、そうよ。発動すれば死ぬまで絶対どんな攻撃でも防げるって聞いてるわ」
「町ごと消滅するような攻撃でも?」
「…まさかあなた…」
ゴンザレス太郎のまるで新しい玩具を見つけたみたいな笑顔に内心ドキドキが止まらないサラ、こんな状況だがやはり魔族と言う事なのだろう。
ゴンザレス太郎ならもしかしたらと考え協力を約束するのであった。