異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第9話 人の夢と書いて儚いと読む

窓から差し込む月明かりに照らされる輝く硬貨…

夢じゃないかと疑いたくなるが、ずっしりと手に重さを感じて現実だと再認識する…

 

「こ…これ白金貨ってやつだよね…」

 

ゴンザレス太郎の声が震える…

それはそうであろう、この白金貨を日本の通貨価値からすると、手にしたその白金貨1枚で約1000万円くらいの価値があるのを知っているからだ。

以前両親に連れられて買い物に行った際に、一度だけ目にしたそれが手の中にあるのだ!

 

ゴクリ…

 

そして、もう一つ確かめたい事があったのでゴンザレス太郎は白金貨を取り出した財布を手に持つ。

手にある白金貨と入っていた袋の大きさを比較して…

 

「入っても15枚だな…」

 

つまり、実に1億5千万円がこの中に在ることになる。

この家を売ったとしても半分にもならない金額である。

だが、手が震えるゴンザレス太郎が考えていたのはそんな事ではない。

 

「1.2.3.4.5」

 

袋に手を入れ、手に5枚の白金貨を掴んで袋から取り出す。

そして、枕元に5枚の白金貨を置いて袋の中を見る…

それを確認したその顔がほくそ笑む。

 

「はは…マジでか…」

 

もう笑うしかない状況に興奮を覚えるが、ゴンザレス太郎は暴れだしたい自分を必死に押さえていた。

騒いでママンがやってきて、この光景を見たら気絶するかも知れないからだ。

 

目の前にあるこれだけで約5000万円くらいの価値があり、この世界の価値換算から真面目に頑張って、生涯稼げる額くらいが目の前にあるのだ。

しかもそれだけではない、取り出した袋の中には白金貨が中から取り出したにも関わらず、袋の入れ口限界まで入っていたのだ。

そう、これがプロアクションマジリプレイによる所持金MAXの効果で、使用しようが中に追加しようが入るだけ限界まで入った状態が維持されるのてある。

 

ゴンザレス太郎は手に持っていた白金貨を袋の中に戻した。

予想通り、違和感を覚えるほど不思議な現象が現実のものとなった。

袋の中にはもう白金貨が入らない筈なのに、まるで入れた分だけ減ったかのように袋の中に白金貨は戻ったのだ…

それを見て、再度興奮をし始めたゴンザレス太郎…

使っても減らず、隠したいのなら戻せば良い…

ゴンザレス太郎は明日この白金貨を一体何に使おうかとニマニマしながら再び眠るのだった。

高額硬貨を両替しないと使いにくい、という事実に気付かず…

 

 

 

そして、翌朝…

ゴンザレス太郎の部屋から絶叫が響くのだった…

 

「うわぁー!銅貨2枚しか入ってないー!?なんでー?!」


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