2日目の旅は天気にも恵まれ快調な旅路で進めた。
道中盗賊の襲撃があったそうなのだが、ニセバスチャンが馬車の影から飛び出して『OHANASHI』で解決したらしい。
執事服に食べた記憶のないケチャップが付いてたが、隠れてオムライスでも食べてたのかもしれない。
ん?この世界にケチャップってあったっけか?
「ケチャップ?新しい魔法ですか?」
作るのはあまり得意ではないが、料理の知識はかなりあるジルさんは知らないようだ。
それじゃあれだ!きっと何か辛いものを…
「ニセバスチャン服が汚れてますわよ」
「これは失礼お嬢様、先程の盗賊の返り血…」
「あーあーあーあー聞こえないー」
っと特に障害もないまま2日目の夜営になった。
地面に座り火を囲む、キャンプをしているようで前世ではこういうのって楽しかったな…
ゴンザレス太郎は久々に前世での事を思い出しながらメールとジルの合体魔法の練習を眺める…
明後日には魔海を超えて決戦の地に着く、ゴンザレス太郎は自分が決めた目標を頭に浮かべながら火を見つめていたら誰かが横に座ってきた。
「ねぇ、ちょっといい?」
サラであった。
サラが隣に座ったのを確認した反対側に座ってたフーカは直ぐにゴンザレス太郎の腕に抱き付く。
二人の視線がゴンザレス太郎の目の前で交差する。
「両手に華だな」
マコトが要らんこと言うが、お前も両隣にジルとメール連れているじゃないか!?
と言いそうになるが3人はそういう関係じゃないのを思い出し、マコトが二人に集中攻撃を受ける未来しか浮かばなかったので口には出さなかった。
「フーカと言ったわね?別に貴女とどうこうしようって気はないから安心して、それよりゴンザレス太郎は昨日言ったことを本気で実現させるつもりなのよね?」
昨日の夜言った、この戦いの最終目標の事だと直ぐに理解したゴンザレス太郎は頷く。
そのゴンザレス太郎の顔にサラの拳が迫る、だがそれを軽々と手のひらで受け止めるゴンザレス太郎。
「だったら見せてもらうわよ!そのあり得ないくらい高望みした願望が実現するのかを」
サラは笑っていた。
ゴンザレス太郎には最悪無理だと判断したら逃げて、と言おうと思っていたのに違う事を言ってしまった。
だが…
(それを真剣に受け止めて夢を見させてくれる彼に惚れない訳がないじゃない)
ゴンザレス太郎にはフーカが居る、ニセバスチャンから『人間は基本的に番の相手を一人しか作らない』と聞いていたので自分の入る隙間は無いかもしれない、でもこの気持ちに嘘はつきたくなかった。
サラは決めた。
(もしこの戦いが終わってどんな結果になったとしても私とゴンザレス太郎が生きていたら告白をしよう。例え全滅して逃げ帰ったとしても…)
こうして2日目の夜も過ぎていき三日目の昼過ぎ、一同は魔海にたどり着いたのだった。
「ここから先はサラの通った後がないから道が分からないな」
マコトの言葉を聞いて、ここまで道案内がてら以前サラがゴンザレス太郎に会おうとして超速移動で出来た掘られた地面を見つめ、一同はゴンザレス太郎に視線を移す。
そう、ここからが問題なのだ。
この魔海を人類は渡る術が無いのだ。
水よりも重く毒があり、更にSランククラスの魔物が多数生息しているこの海を超えられない為、人類はこの先に魔物の町が在るのを知らなかったのだ。
「それじゃあ今日はここで夜営をして明日ここを渡ります!」
ゴンザレス太郎の言葉に今すぐ渡ると思っていた一同はずっこけるのであった。