翌朝、魔海を目の前に一同はゴンザレス太郎がどうやってこの海を渡ると言うのか楽しみにしていた。
サラやニセバスチャンは毒に耐性もあるし、その気になれば魔力を放出して飛んで渡ったり出来なくはない。
事実サラはそうやって渡ってきたのだから。
だが人間はそうはいかない、魔海の毒は強力で人間は皮膚に触れるだけで炎症を起こしてしまう。
「それじゃマコトさん行きましょう」
「えっ?いや…あの…どうやって?」
馬を操るマコトが砂浜を前にゴンザレス太郎に聞く。
もちろん馬も魔海の水に触れればただでは済まないのだ。
「このまま真っ直ぐ進んでください」
「真っ直ぐ…」
これがゴンザレス太郎と出会ってすぐなら馬鹿なことを言うなと声を大にして言うところ、だが今までの事を考え常識を忘れマコトは馬を前進させる。
馬は魔海を目の前にして止まった。
それはそうだろう、動物とはいえ…いや、動物だからこそ本能的にこの水が良くないものだと理解しているのだ。
だがマコトは一度降りて馬を落ち着かせ進むように促す。
そして、一同は馬車の中からまるで夢を見ているような光景を目撃するのであった。
「う、浮いてる?」
「いえ、これは水の上を進んでいる」
ジルとメールが驚きつつも自分達の状況を分析する。
そして、サラとニセバスチャンは…
「な、なんなのこれ…」
「いやはや、長いこと生きてきましたがこれ程驚いたのは初めてですよ」
っと語り合いフーカの一言で全員の視線が集まる。
「タツヤ、これアレね?」
「うん、今朝実験済みだったけどこうやって見ると凄いね。」
「本当に凄いわ…」
「ちょっと二人で分かり合わないて説明してよ」
ジルの言葉に全員が頷く。
「僕のユニークスキル『プロアクションマジリプレイ』の効果の一つ『地形の影響受けない』ですよ、これを使うと水面は歩けるし坂道も平坦と同じ感覚で移動できるんです。」
全員絶句していた。
だが本人のゴンザレス太郎以外誰一人このコードの本当の凄さは理解していなかった。
実はこのコード、地形として捉えられるものなら全て影響を受けないので剣山や炎の中、それこそ火山の火口の中ですら普通に歩けるのだ!
サラもニセバスチャンも理解が追い付かないのだろう、これもゴンザレス太郎のユニークスキルの効果だと言う一言で片付けるには異常すぎるのだ。
だがそれ以外に説明のしようも無いのが事実。
(もしかしたら私達はとんでもない化物の前に居るのかもしれませんね。)
とニセバスチャンは考え、流石サラが惚れた相手だと納得するのであった。
その後、何事も起こらず馬車は真っ直ぐ魔海の上を進み、半日かけて魔物の町から約2時間の場所に上陸して無事に魔物大陸に到着したのであった。
「それじゃ今日はここで夜営して作戦の最終チェックと準備をして明日決戦です!」
ゴンザレス太郎の言葉に全員が頷き覚悟を決める、ここからではまだ見えてはいないが決戦の地はすぐそこである。