異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第99話 死と終わらない悪夢

決戦前日、馬車に揺られながらジルとメールがゴンザレス太郎と話をしていた。

フーカはサラとの共闘の為、外で互いの戦い方を話し合っているので馬車内は3人だけである。

 

「本当にそこまで必要なの?」

 

ジルはゴンザレス太郎の言葉に疑問を投げ掛ける。

それはそうだろう、ゴンザレス太郎の話通りなら最初の太陽の光を凝縮して焼く攻撃だけで地図を書き換えないといけないくらいの被害が出ると言うのに…

 

「何事も、もしもの事を想定してですよ。実際に慟哭の洞窟にも、炎を吸収して回復する魔物居たじゃないですか」

「サラマンダーダックスフンドでしょ?確かに居るけどさぁ…」

 

可愛い犬なのにフェニックスの羽根の生えた魔物を思い出し、煮え切らない返事を返すジル。

火を食べて、水を浴びると溶ける不思議な生体は地球には居ない存在である。

 

「もしもですよ、もしも動いてくる敵が居たら使うことも考慮に入れて下さい」

「分かったわ」

 

ゴンザレス太郎の更なる案とは、もしも太陽光を集束した攻撃に耐性を持って耐え抜いた鬼が居た場合に、追撃として考えた方法。

それは太陽光を集めるのに使ったジルの水をそのまま氷らせ、メールの結界で溶けないように守りながら加速させ遥か上空から落下させる攻撃であった。

氷にも耐性があったとしても、大気圏よりも高い位置から落ちてくるそれに物理的に潰させてしまえ!と言うことである。

本来ならば空気抵抗で落下速度というのは限界があるのだが、メールが結界を意識した場所に落とすよう操作すれば音速を遥かに超えた速度で落下させる事が可能と予測していた。

 

そして、それが今目の前にある巨大な氷の正体であった。

ジルとメールは経垂れ込んで座り込む。

 

「はっははっこれあたしたちがやったんだよね…」

「そうね、あの子の言う通りだったね」

 

二人は目の前の数十分前と何もかもが変わり果てた風景を眺めながら語り合う。

神力は鬼の山を消滅させた際に一気に補充されたが、魔法のコントロールに集中力を使いすぎてバテたのだ。

 

「本当、初めて会った時は何処のボンボンかと思ったけど、まさかこんな所でこんなことをする事になるとは思ってもみなかったね」

「全くよ、ゴンザレス太郎に大人の色気で迫っておけばよかったわ」

 

メールの意外な発言にジルは目を大きく開く。

フーカに聞かれたら色を無くした目で迫られるのは間違いない。

 

「あんたって誰か守れる人が好きって言ってたのにあの子がいいの?」

「だってあんな強い子を守れるなんて最高じゃない!」

 

どうにも少し好みの男性のタイプがずれているらしいメールの発言に笑うジルであった。

 

 

 

「終わったの?」

「えぇ、倒したみたいよ」

 

フーカはサラの背中を包み込むように支えて話をする。

両腕だけでなく体の前面は熱で焼け爛れ、酷い有り様であった…

 

「ははっ本当にやりのけたのね」

「だから言ったでしょ?彼を、タツヤを信じろって」

「本当に凄い人に恋しちゃったもんだわ…」

「サラ…もしかして目が…」

「うん、実はもう全然見えてないの。パパは?魔王は生きてる?」

 

フーカは視線を向けるが飛ばされた時に何処に行ったのか分からなかった。

 

「ちょっと見当たらないけどきっと無事よ」

「そうね、アイツ言ったもんね。最終目標は鬼を全滅させて全員無事で更に助けられる人を全て助けてこの町の復興資金も用意するって」

「タツヤが言ったんだから絶対大丈夫だよ」

「そうね、あぁ…ちょっと眠るわ、彼が来たら起こして、乙女の寝顔は刺激が強いから…」

「うん、おやすみサラ」

 

サラはそのまま息を引き取る…

フーカは泣きながらサラの亡骸を後ろから抱き締めて回復魔法を息をしてないサラに使い続ける…

 

 

 

 

「終わりましたか…」

「みたいだな、ありがとな」

 

マコトはニセバスチャンの回復魔法でとりあえず会話が出来るくらいまで回復していた。

ニセバスチャンも片足を失いその状態で二人を守り治療まで行っていた。

 

「ゴンザレス太郎は何処に飛ばされたのかな?」

「彼の事です。きっと無事ですよ」

 

ニセバスチャンはまだサラが死んだ事を知らない。

そんな二人が談笑をしている時に目の前の氷が動いた。

 

「なっなぁ、今動かなかったか?」

「まさか、もうお腹一杯ですよ」

 

ニセバスチャンの冗談を聞いたと同時に目の前の氷に次々とひび割れが入るのが目に入った。

そして、氷が砕けその奥底から聞きたくない叫び声が響く!

 

「GUGOOOOAAAAA!!!!」

 

悪夢は再び地の底から這い上がってくるのであった。

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