グラウンド
「個性把握テストォォォォ!?」
「入学式は!? ガイダンスは!?」
丸顔のうららかそうな女の子の麗日お茶子が相澤にそう聞いてくる。
「そんな悠長な事はやってられん。さっきも言ったろ?時間は有限だ。それに、雄英の校風は『自由』だ。入学式を踏み倒してもなんら問題はない」
だが、それを相澤は一蹴し、中学時代の宇覇のソフトボール投げの記録を聞いた。
「入試の首席は分倍河原だったな。中学の時の個性ナシでのソフトボール投げ、何mだった」
「俺は異形型なんであんまり参考にはなりませんよ?」
「構わん。言え」
「105mです」
「「「105!?」」」
「……本当か?」
流石の相澤もこの桁違いな記録に本当なのかと再び聞いてしまう。
「……とりあえず個性アリで投げてみろ」
持ち直した相澤は地球の赤道のように一直線に中央に装置のついたソフトボールを宇覇に渡した。
「……スキャニングチャージ!」
スキャニングチャージ!
宇覇はオースキャナーを取り出してベルトのメダルを読み込み、頭の角にボールをはめ込んだ。宇覇のガタキリバは分身無しで単体のスキャニングチャージをした場合は身体能力などが大幅向上するのだ!
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……ハァ!」
キーーーーン!!
宇覇はクワガタホーンの放電で擬似的なレールガンを作り出してソフトボールを射出。ソフトボールは赤熱しながら超音速で飛んでいった。
「記録……計測不能。恐らく摩擦熱でボールが消えたな。先ずは自分の限界を知ること。それがヒーローの素地を形成する合理的手段の第1歩だ。」
「すげぇぇぇ!!」
「計測不能ってマジかよ!?」
「個性全力で使っていいんだ!流石ヒーロー科!」
「なにこれ!面白そう!」
「……面白そう、ね。お前ら、そんな気持ちでヒーロー科に在籍するつもりか?よし!トータル成績が最下位の者は見込み無しとして除籍処分としよう」
「「「「……はぁぁぁぁ!?」」」」
「生徒の如何は先生の自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」
そう言って相澤先生が髪をかきあげてニヤリと笑う。パッと見だと犯罪者にも見える。
「待ってください!初日からそうなんて、そんなの理不尽すぎます!」
そう麗日が抗議するが……
「自然災害、大事故、そして身勝手なヴィランたち、それらのいつどこから来るかわからない厄災……」
「世界は理不尽にまみれてる。そういうピンチを覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったならお生憎様。……そんな奴はヒーロー科には不要だ」
「これから三年間、我々雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。さらに向こうへPlus ultraさ。……全力で乗り越えて来い!」
「あ、分倍河原。お前とウヴァは別々に計測するぞ。……サボるなよ?ウヴァ」
「言われるまでもない事だ。俺をなんだと思っている……」
「いいからやるぞウヴァ。まずは……俺は50m走だな」
「俺とやるのは……砕拳か!」
「お!宇覇とやるのか!よろしくな!」
「よーい……」
「……」グググ……
「竜人形態……!」
宇覇は足のバネを溜め、砕拳は体を変化させて全身を黒曜甲で覆い『竜人形態』となった。
「スタート!」
「はっ!」ビュン!
「だりゃぁぁぁぁぁ!!」ドドドドドド……!
「……記録、分倍河原が1秒3、破巌が2秒9」
「負けた……!瞬発力には自信があったんだがなぁ……」
「バッタの跳躍力を舐めないでほしいな!」
ドレミーが走る所を見ると、ベッドに乗って飛んで2秒6を叩き出していた。ドレミーが想像した物を扱えるとはいえ速すぎだろ……
握力
「……よし!」
宇覇は少し考えた後、分身を出して2人で握った。
「「「増えた!?」」」
「「せーのっ!」」
ベギッ!
「「あっ」」
「「折れた!?」」
「握力には自信があったんだが……」
「先生、計測不能でいいですか?」
「計測不能な。あ、握力計は予備が大量にあるから弁償しなくて構わん」
ドレミーと砕拳は普通に握り潰してた。あいつらも異形型なんだよな……
なんか俺らが入ったせいか異形型の割合高くね?
走り幅跳び
「海へ!ピョーーン!!」
(((何故海……?)))
(よゐ〇濱〇さんのネタですか……)
「記録、200m。次は破巌だ」
「ジャンピング土下座!」
(((また変な掛け声!)))
記録 103m
「次、甘夢だ」
「どじゃぁぁん!!」
ドレミーはどこからか風船を3つ取り出してフワフワと浮いてずっと飛び続ける。
「……そのアイテムチョイスは何とかならんのか?」
「これが私の最善手ですから…ふふふ……」
「……無限な」
「無限が出たぞ!?」
「でも絵面がシュール……」
反復横跳び
「分身!」
「よう俺、反復横跳びだな?」
「俺らの得意分野だな!」
「数の暴力と質の暴力を両立した俺らなら!」
個性で高性能な体のパーツを生み出せる障子 目蔵に計測してもらう。
「「「「無敵だ!」」」」
「……ダメです。1人を追いかけるだけでもギリギリ見えるのがやっとです」
「そうか。計測不能な」
砕拳は反復横跳びは苦手なのかあまり成績は振るわなかったが、ドレミーはハンモックでボヨンボヨンと跳ねて好成績を出していた。
長座体前屈
「……縦伸びガタガタガタキリバ!」
「いやそんなんアリかよ!?」
分身体を連結させて記録4倍で200cmだ!
砕拳は体が硬めなのか40cmで、ドレミーは勝手に動く油圧ジャッキを使って無限を出していた。本当になんでもありだなドレミー。そしてその変な表情はなんなんだ……?
上体起こし
4人でやって記録も4倍。という訳で記録は180回だ。
ドレミーと砕拳は尻尾が生えているので同じく尻尾が生えている尾白と上位争いをしていた。勝ったのは尾白だった。個性尻尾の面目躍如だ。
ソフトボール投げ
俺は既に計測不能を出しているので見学だ。
……まずは砕拳か。どんな記録が出るかな……?
「粘菌活性化……!」ベロベロ……
砕拳は手を舐め始める。すると砕拳の手が緑色のネバネバしている物体に覆われてオレンジ色になった。
ドレミーは少し引っかかる所があるのか砕拳の手を見つめていた。
「……爆砕拳!」BOMB!
砕拳の手がソフトボールに当たると同時に爆発が発生してボールを思いっきり吹っ飛ばす。
「……記録、1035m」
「いよっしゃ!いい記録出たで!」
「……私も負けていられませんね。無限を出しちゃいます!」
ドレミーはまたもやベッドを取り出してベルトをボールに装着。そのまま飛ばして宣言通り無限を出した。
その後緑谷が指を犠牲にボールを投げて爆発さん太郎が突撃。それをドレミーがハンモックで止めてニヤニヤとしていた。爆豪はターゲットを変えてドレミーに突撃したがまたハンモックで吹っ飛ばされた後に相澤先生の捕縛武器で拘束されていた。ここで肩入れするのはちょっと不自然なので強化フラグはもう少し先にすることになった。
続いて持久走。これに関しては凄く地味だ。俺の場合直線はバッタレッグで跳び、カーブを普通に走るだけだ。ドレミーはまたベッドで飛んでた。砕拳はバイクと並走しながら鼻歌を歌っていた。八百万と飯田に俺らはドン引きされていた。そりゃそうだ。跳んで走って、ベッドが飛んで、ただの走りでエンジンだのバイクだのと並走しているのだから。ドレミーのベッドに至ってはどんどんスピードが上がっていって最終的には俺達先頭以外を周回遅れさせていた。爆豪が沸騰しまくっていたのはひどく印象に残った。
「そんじゃ記録発表ね。1位、甘夢、2位、分倍河原、3位、八百万、4位、破巌、5位、轟、6位、爆豪………………最下位、緑谷」
緑谷はこの世の終わりのような表情で固まっているが、俺達はこの後に相澤先生が何を起こすか知っているのでなんとも思わない。
「あ、除籍ってのはウソだから。」
「「「……はぁぁぁぁ!?」」」
「あれは君たちに本気を出させるための合理的虚偽だ」
「あんなの嘘だってすぐに分かりますわ……」
黒髪ポニーテールの八百万 百がそう言うが、俺達は相澤先生がマジだったのを知っている。だが言わない。どうせはぐらかされるしな!
「相澤くんのうそつき!」
「オールマイト、今回は全員見込みありと見なしただけです。次が同じとは限りませんよ」
「それにしても今年は凄まじいメンバーが揃ったね……とくに上位の4人が優秀だ」
「甘夢が1位は意外でした。俺の予想では分倍河原か八百万が1位になると思ってたんですが、甘夢の個性が思ったよりも応用の効く個性だったようです。個性『獏』……本当にここまでの事ができるのか?」
「あぁ、それは私も気になったよ!……何故だか分倍河原少年と甘夢少女は私が覗いていたのに気がついていた気がするし……」
「破巌も規格外ですが、やはり分倍河原と甘夢のポテンシャルは凄まじいです。しかも異形型だからいざと言う時俺が抑えられない。……幸いな事にあいつらは俺に従順ですが、あの目は俺の本音に気がついていた目だ。……あの2人は少し警戒して様子見ですかね」
「そうか……」
転生者は宇覇君を除き8人までの予定だけど、アリ?ナシ?
-
アリ
-
ナシ