「すみませ〜ん、分倍河原 宇覇とウヴァです!職場体験に来ました!」
「邪魔する。……随分とごちゃごちゃな部屋だな……」
俺は仮面ライダー事務所の少しボロめのドアを叩き、反応が無かったのでギィと音を立てながら開ける。
そこには、左に近未来な家具が、右には茨と果物の意匠を取り入れた家具が置かれていて、左右に1人ずつ、それぞれリーゼントの不良のような男と、お人好しそうな男がソファに座っていてら、2人は疲れているのか、片方は大きないびきをかきながら眠っていた。
「……起きろ!職場体験に来た意味が無くなるでは無いか!」
「……んあ。……! す、すまねぇ。昨日はちょっと強い奴を追ってたからな。ご覧の通りだ」
「えっと……分倍河原 宇覇とウヴァです。よろしくお願いします!」
ウヴァが怒声をあげると、いびきをかいていたリーゼントの男が目を覚まして謝る。
宇覇はその見覚えのある顔に困惑するが、確証を得られていないと考えて追求することは無かった。
「俺は如月 弦太郎だ!こっちで寝ているのは葛葉 紘汰!事務はこいつに任せっきりなんだ。昨日の仕事の後処理が結構難儀してな……こうなったら半日経たないと起きないんだ。そっとしといてくれ」
如月 弦太朗に葛葉 紘汰。どちらも聞き覚えのある名前だ。
「よし、早速だけどパトロールだ!……ヒーロー名は?」
如月は不思議な形状のアイテムを懐から出し、腰に装着して学ランを着ながらついて来いとジェスチャーして、振り返りヒーロー名を聞いてくる。
「オーズです!仮面ライダーオーズです!」
「!……
如月が意味深な言葉を言うと共にドアを開けて事務所を出る。
「あら、体育祭で優勝した子かしら?もしそうならサイン、貰えるかしら?」
「いいですよ!」
宇覇は17歳程の高身長の女性にサインをお願いされ、OOOのサインを書く。下にHappy birthday!!!という文字も添えて。
「独特なセンスをお持ちなんですね。ふふっ……」
「こうすればすぐに分かるでしょう?サインの記念すべき第1号として誕生祝いとして追加でサービスもしました!」
「それは光栄ね。世界に一つだけのサイン……素晴らしいわ」
「では、俺はこれにて」
「貴方、名前は?」
「ヒーロー名ならいいですよ。……オーズ。仮面ライダーオーズです!」
宇覇は名前を聞かれたので、ヒーロー名ならばと思い、オーズと答える。
「オーズ……覚えたわ。ありがとうね?オーズ」
そう言って女の人は手を振りながら立ち去っていった。
「おばちゃん!いつもトンカツオマケしてくれてありがとな! ん? どうしたんだオーズ。……あの人が気になるのか?」
「……なんか、やたら花の匂いがしたんですよ。花畑にでもいたのかな……」
「……ここら辺には花畑なんて無いぞ?」
「観光客ですかね……なんだか不思議な人でした」
「観光客……ねぇ」
その後、特に事件も起きずに1日が終わった……