北斗と砕竜
ここは群馬県グンマータウン。仲良くモヒカンが暮らす世紀末タウンである。治安はお世辞にも良くないが、活気に溢れた良い街だ。
そこに1人の少年(勿論ターバンのガキではない)、破巌 砕拳が訪れる。北斗事務所というヒーロー事務所という場所で職場体験をする為なのだが……
「ヒャッハー!! 金を出せぇ! そしたらこの女は解放してやる!」
強そうなモヒカンがナイフを振りかざして銀行強盗をしていた。周囲の見た目は強そうなモヒカン達もナイフにビビって手を出せない。
(ホントは個性使ったらダメだが……やるしかないか!?)
破巌が構える中、上下レザーのジャケット(袖なし肩パッド付き)とパンツを着用しており、ジャケットの下にシャツを着込んで、レザーの色はブルーもしくは黒、右腕にはリストバンド、左腕にはバンテージと、何故か統一しないものを巻いている男が来る。
「なんだぁてめぇ! 近づいたらぶっ殺すぞ!」
モヒカンがそう叫んで男にナイフを振り下ろすが、突然男がジャケットを引き裂いて奇声をあげる。
「ほぁぁぁぁたぁ!アータタタタタタタタタタタタタタタタタタほぁぁぁぁたぁ!」
「ん〜? おめぇのパンチなんて蚊ほども効かねぇなぁ!」
そんなモヒカンの言葉を無視して男は振り返り……
「
「うわらば!」
ナイフを持っていたモヒカンは変な声をあげて倒れ伏し、白目を剥いて気絶していた。
「お前が破巌 砕拳だな? 俺は霞 ケンシロウ。ケンと呼んでくれ」
「ハ、ハイっす!」
破巌は木造建築の二階建ての家に連れられた。立て札には北斗事務所と書かれている。
「ここが北斗事務所……」
「……入って構わない」
「お、お邪魔します……」
ケンシロウに促されて破巌が家に入ると、3人の男がちゃぶ台を囲んで座っていた。銀髪で色黒の大男が砕拳を見定めるように見つめ、黒髪の細身の男が茶をすすりながら破巌を興味深そうに見て、珍妙なヘルメットを被った男がケンシロウに茶々を入れる。
「む? ケンシロウ、彼が破巌 砕拳か?」
「彼がケンシロウの目にかなった男……」
「ケンシロウ、おめぇが弟子とるなんて、明日はオールマイトがこの家を壊しにでも来るのか?」
「あ、あの! 破巌 砕拳ッス! 今日からしばらくお世話になります!」
破巌がペコりと頭を下げると、銀髪の大男と細身の男は頭に手を当てて、ヘルメット男は呆れるようなポーズをとる。
「ケンシロウ……俺達の事を離さないでここに連れて来たのか? ちゃんと説明はしろとトキの兄者から散々言われてたじゃないか!」
「む……すまないジャギ。忘れていた」
ケンシロウはどこかうっかりしている所があるようで、ケンシロウはジャギと呼ばれた男に説教され始めていた。
「トキ……? !! もしかして、秘孔の個性を持つトキさんですか!?」
霞 トキ。特殊なツボの位置を把握出来る、『秘孔』の個性を持つ医者で、特別に医療に個性の使用許可を貰っている数少ない者である。 その腕前と、鍼を使うことから奇跡の鍼医師とも呼ばれており、医学界では、日夜秘孔の位置を突き止める為の研究がされる程と言われればどれだけ有名か分かるだろう。砕拳も幼い頃、砕竜の個性がコントロール出来ずに重傷を負った時、トキの秘孔治療により一命を取り留めたことから恩を感じていた。
「あぁ、私がトキだ。確か破巌君は自身の個性のコントロール不足で重傷を負った子だったかな?」
「覚えていてくれたんですか……!」
「患者の事を覚えておくのは悪い事ではない。それに、特に君は印象に残っていただけさ……さて、私の話ばかりではなんだし、ラオウ兄さんも自己紹介をしたらどうだい?」
「……うむ。数日間は同じ屋根の下暮らすのだから話した方が良いか。我が名は霞 ラオウ。世間からは拳王の称号で呼ばれていた者だ」
「……もしかして! 無個性でありながら、個性ありでの無差別格闘技の大会で颯爽と現れ、並みいる強豪をその拳ひとつで真っ向から叩き潰し、その次の大会を最後に忽然と姿を消した……あの世紀末覇者ラオウ! 俺、ファンなんです!」
「もう良い。昔の話だ……」
ラオウはどこか不満そうな顔でそっぽを向く。ようやくジャギによるケンシロウへの説教もちょうど終わったようで、ケンシロウが立ち上がって破巌についてくるように促す。
「……まぁいい。ケンシロウ、今回の説教はこれくらいにしておいてやる。弟子の事を待たせる訳にもいかんからな」
「ぬぅ……破巌、ついてこい。あそこはここからかなり遠い。通り道と侮るな」
「? はい……」
◇◇山道◇◇
「い、移動って山になんの用なんですか!?」
「修行だ。君には2つの技術を学んで貰う。……闘気と水影心だ。君にその2つを覚え、君が良ければインターンで様々な技を教える。闘気は勿論、水影心は俺の持っている技の中で一二を争う習得難易度だ。……死にはしないだろうが、待っているのは地獄だぞ……」
「闘気と水影心……俺、絶対に習得してみせるッス!」
破巌はそう意気込んで山道を登る。その先が本当に地獄だと知らずに……