個性『ガタキリバ』   作:プリズ魔X

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ヒーロー殺し

「さて、体育祭の映像を見たが、君は個性の使い方が大雑把すぎる」

 

少し物が少ないガレージにて、フィリップは梅花にそう告げる。

 

「大雑把……?」

 

「僕の個性で調べたんだけど、君の個性の性質って、エネルギーの増幅とほぼ同じなんだ」

 

「エネルギーの増幅……もしかして、エネルギーの総量と容量を大きくする個性……っていう意味ですか?」

 

「そうだね。例えるなら、どんどん電池を大きくしていく感じなんだ。それで、使い方が大雑把って言った理由は、何でもかんでも構わず大きくしてしまっているからさ」

 

フィリップの説明をどんどん理解していく梅花。

 

「例えるなら、沢山の風船をひとつの口で膨らましている感じかな……。それだと息切れが早くなるし、弱いヴィランへの手加減も難しくなる。……そこでだ。膨らます風船の数や種類を絞る」

 

「攻撃力だけを上げたり、防御力だけ上げたり、個性の持続時間を上げたり……そうすれば息切れは自然と遅くなるし、コントロールもより繊細にできるはずだよ」

 

フィリップの言う通り、梅花の課題は早すぎる息切れであった。手っ取り早く息切れ対策をするにはうってつけであり、すぐさま梅花は自身の個性で倍加を繰り返して試行錯誤し始める……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……くうっ! はぁ、はあ、はぁ……」

 

夕方、個性の連続使用により遂に倒れる梅花。フィリップも頃合かと思い切り上げようとする。

その瞬間、ガレージのドアが開く。

 

「お、こんなとこにいたのかフィリップ! こいつが梅花 誠一だよな? 俺は左 正太郎! 仮面ライダーWの半身だ!」

 

「ふぅ……その説明、ちょっと前にもう聞いてます……」

 

体力を回復させるために梅花がガレージの床に寝そべってる間、フィリップと正太郎が何かを話していた。しばらくすると、フィリップが白紙の本を取り出して、時々ホワイトボードに何かを書き込んでいく。

 

「梅花君、明後日は保須市の路地裏を中心にパトロールするよ。どうやらヒーロー殺しはそういう薄暗い所で出没しているのが証明された。万が一、1人でヒーロー殺しに遭遇したりといった危ない時はこれを使うんだ」

 

そう言ってフィリップは蜘蛛のような腕時計を渡す。蜘蛛の腹と胸の辺りに黄色いUSBメモリを模した物が刺さっており、梅花が手に取ると、腕時計が動き出して梅花の手首にしがみついた。

 

「このスパイダーショックは糸を出したり発信機を飛ばせる。これで上手く時間稼ぎをするんだ」

 

「……はいっス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保須市の路地裏でフィリップと正太郎、そして梅花がパトロールをしていると、梅花のスマホに二通のメールが届く。それに気づいた梅花がメールの内容を確認すると、どんどん顔が青ざめていく。

 

「フィリップさん! 正太郎さん! エンデヴァー事務所でトラブルがあってエンデヴァー事務所の人達はパトロールに向かえないそうです! それと、変なメールが来ました!」

 

「……正太郎、これは関係性自体はない。だけどこの座標、ここからかなり近いね……この座標で起きていることに対しての妨害、そう考えるべきかな? すぐに向かおう」

 

実際は唯の偶然なのだが、その偶然が2人の雄英生を大いに苦しめていた。

 

 

 

バタフライエフェクト……それは原作改変を望む転生者に立ちはだかる、とても巨大な壁である。Aを救えば、本来救われる筈のBが殺されるというように、保須市の大通りは5体の脳無によって混沌としていた。一体の脳無は地元のとあるヒーローが抑えているが、他の脳無はエンデヴァー事務所という最高戦力が居ないため、本来の何倍も苦戦していた。

 

黒い脳無が一人の名も無きプロヒーローを叩き潰そうとする。

そこに、一条の赤い粒子が通り、一体の脳無を輪切りにした。

 

その粒子は残像を残しており、それを見た者は、ロボットのような見た目であったと語った……

 

腕が棘に覆われた脳無が一瞬でプロヒーローとの距離を詰め、串刺しにしようとした。そこに何本ものレーザーが脳無の体を貫き、脳を破壊された脳無は機能を停止する……

 

周囲のプロヒーローの証言によると、空には青い翼のようなものを背中に生やしていたロボットが飛んでいたとのこと……残像のロボットとの関連性は不明である。

 

 

 

 

「ぐっ……!」

 

梅花達が座標に到着すると、飯田と一人のプロヒーローが倒れており、フルカウルを発動している緑谷がボロボロになりながら戦っていた。

 

「お前の血、貰ったぞ……」

 

赤い布を各所に巻いた男が血を舐めとると、途端に緑谷は動きを止めて倒れてしまう。

 

「緑谷! フィリップさん!正太郎さん! 個性の使用許可を!」

 

「「……プロヒーロー、仮面ライダーWの名にかけて、梅花 誠一の個性使用許可を与える!」」

 

梅花がファイティングポーズをとり、正太郎が赤いバックルのようなものを腰に巻いて、緑色のUSBメモリを模したもののボタンを押す。それと同時にフィリップの腰に巻かれた、全く同じ見た目のバックルに紫色のUSBメモリを模したもののボタンを押して入れる。

 

サイクロン!ジョーカー!

 

メモリを挿した途端、フィリップが倒れて、正太郎の体を薄いポリゴンのような物が覆い、緑色の右半身、紫色の左半身のデザインが施され、その冠する名を表すW字のアンテナが現れ、最後に白いマフラーが巻かれる。これが2人で1人のヒーロー……いや、仮面ライダー。仮面ライダーWだ。

 

 

『「さぁ……お前の罪を数えろ!」』

 

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