個性『ガタキリバ』   作:プリズ魔X

46 / 58
英雄回帰と日常の素晴らしさ

「ハァ……貴様が噂に聞いた仮面ライダーWか。本物か見極めさせてもらうぞ……」

 

『梅花君は自己強化しながら緑谷君を助け出してくれ。まずはこいつを抑える』

 

ヒーロー殺しが刃こぼれしている日本刀を構え、フィリップの声がエコーしながら響き、仮面ライダーWが疾風の如きスピードで駆けてヒーロー殺しに回し蹴りを入れる。

 

「速い……ハァ、スピード重視のヒーローという事か…?」

 

 

 

「おっと、切り札をそう易々と話す訳にはいかねぇんだ。フィリップ、ヒートメタル使うぞ!」

 

梅花が緑谷を下がらせたのを見た仮面ライダーWは、どこからともなく赤色のメモリと銀色のメモリを取り出して、ダブルドライバーのサイクロンメモリとジョーカーメモリを入れ替えた。

 

ヒート!メタル!

 

仮面ライダーWの右半身が赤色に、左半身が銀色に変わり、メタルシャフトによる力強い棒術でヒーロー殺しの連撃を真っ向から弾く。

 

「戦闘スタイルが変わった……? 先程までスピード重視の戦い方だったが、色が変わってからはパワー重視に変わった……ハァ、厄介だな……」

 

「ご明察。言っておくが、パワー勝負に関しては負けないぞ!」

 

仮面ライダーWはメタルシャフトの先端を赤熱させて更なる連撃を叩き込む。ヒーロー殺しもカウンターの要領で何度か攻撃を入れるが、メタルメモリによってもたらされる強靭な肉体に刃が阻まれてしまう。

 

「チッ、血が無ければ……」

 

「『トドメだ!』」

 

メタルシャフトの重い一撃が腹に入ったヒーロー殺しは怯み、隙を晒してしまう。

 

ヒート!メタル!

 

マキシマムドライブ!

 

赤熱していたメタルシャフトに炎が纏われ、それを垂直に振り回す仮面ライダーW。脳天に直撃したその一撃は、遂にヒーロー殺しの意識を刈り取った。

 

「ふぅ……梅花君、ヒーロー殺しをスパイダーショックで拘束しておいてくれ。俺達は……」

 

ルナ!トリガー!

 

『これで君達の護衛をする。外部からの妨害が入る可能性があるからね…っと、すまないね緑谷君』

 

ルナメモリとトリガーメモリに変えてルナトリガーに変身する仮面ライダーW。

気絶しているヒーロー殺しを、動けるようになった梅花が引きずり、飯田がネイティブというプロヒーローと支え合いながら歩き、応急処置を済ませた緑谷が意識を失っているフィリップを背負いながら、昔仮面ライダーWを見たことがある気がして気になっていた。

 

大通りの脇道から1人の小柄な老人が現れる。

老人の割にはコスチュームっぽい格好をしているなと梅花が思った瞬間、緑谷を見た途端に形相を変え、老人とは思えない速度でこちらに接近してくる。

 

「ん!? 何故お前がここに!!」

 

「グラントリノ!!」

 

「緑谷、知り合い?」

 

「うん、僕の職場体験先のヒーロぶぶぅ!!?」

 

「座ってろっつったろ!!!」

 

その老人を見るなり緑谷は声を上げ、梅花が聞き、緑谷が彼の説明しようとした瞬間、顔面をグラントリノに蹴られていた。

 

「まァ…よくわからんが、とりあえず無事なら良かった。生き延びるのが最優先だ」

 

「グラントリノ…ごめんなさい…。」

 

グラントリノが怒りながらも安否を確認し、無事を確かめていると、足型がついた緑谷が謝る。

するとグラントリノが出てきた細道からぞろぞろと他のプロヒーロー達がやってくる。

その中の、骨っぽい一人が仮面ライダーWの前に出てくる。

 

「ン? 仮面ライダーWじゃねぇか。久しぶりだな」

 

『やぁボーンズ。ヒーロー殺しは捕らえたよ』

 

「そうか。ウチの事務所はエンデヴァーの旦那が倒れたせいで苦労したが、引退する程の怪我人も特に出なかったぜ」

 

「……! ヒーロー殺し!」

 

「偽者が蔓延るこの社会も、徒に力を振りまく犯罪者も、粛清対象だ。 全ては、正しき社会の為に…!正さねばーーー…! 誰かが…!血に染まらねば…!英雄を取り戻さねば!!来い、来てみろ贋物ども…!俺を殺していいのは本物の英雄、オールマイトだけだ!!」

 

その鬼気迫るオーラに、殆どの人は動けなくなった。仮面ライダーWとボーンズは話を聞いて、己の考えを話そうとした……だが、一人の勇敢な少年は動いた。

 

「お前が…そんな事を語るな! お前の言う正しい社会の…為なら何を…したっていいのかよ! たくさんの…人の幸せな未来を奪ってまでやる事かよ! この……わからず屋が!

 

「……見事だ。……貴様、名はなんという」

 

梅花がそう言って篭手の着いている方でヒーロー殺しを震えながら殴った。その時のヒーロー殺しの表情は、まるで救われたかのようだった……

 

「梅花……誠一だ……覚えとけバカヤロー……!」

 

「そうか……梅花 誠一……覚えたぞ」

 

「っ!?伏せろ!!!」

 

ヒーロー殺しがそう言った途端、グラントリノは空中から迫り来る何かを察したのかこの場にいる人全員に聞こえるくらいの声で叫ぶ。

翼の生えた脳無が此方に向かって飛んできたのだ。

 

「!?」

 

女性ヒーローがそう声を上げた瞬間、滑空して来た脳無は攻撃してくるのではなく、フィリップを降ろしていた緑谷を捕らえて上空へと飛び立った。

 

「緑谷君!!」

 

「え、ちょ……!!」

 

不意の連れ去りに身動きが取れなかった者達の中、飯田が叫ぶ。かなりの速度で飛び立つ脳無にグラントリノは自身の個性が届かなくなると悟ったのか冷や汗を流す。

 

「やられて逃げてきたのか…!?」

 

「『「任せろ」』」

 

脳無が逃走成功すると思いきや、大量の銃弾とレーザーが正確に脳無だけを貫いて脳無が墜落。緑谷は仮面ライダーWのルナボディの伸びた腕で回収された。

 

「……! ヒーロー殺しが居ない!」

 

「アレは時間稼ぎって事だったのか!」

 

ヒーロー殺しが消えた道には、ヒーロー殺しのものと思われる滴った血が文字を象っていた……『ウメバナセイイチよ、いつかまた会おう』と……

救助レースは……

  • みたい
  • カット
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。