個性『ガタキリバ』   作:プリズ魔X

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レースも負け無しプトキリバ

午前の授業が終わり、午後のヒーロー基礎学の時間となったA組生徒達は学校から少し離れた特殊な運動場へと集合していた。

工業地帯を催したその場所はとても運動場とは言えない光景だった。

流石雄英高校。……だが、どうやってこんな大規模な建造物を建てているのだろうか?

そんな中、授業が始まる時間が差し掛かると、何処からともなくオールマイトがヌルっとA組の前へと現れた。

 

「ハイ、私が来た。ってな感じでやっていくわけだけどもね。ハイ、ヒーロー基礎学ね!久しぶりだ少年少女! 今日も元気か!?」 

 

「ヌルっと入ったな」

 

「久々なのにな」

 

「パターンが尽きたのかしら」

 

珍しくいつもより(比較的)自然に現れたオールマイトに生徒達はボソボソと言うと「尽きてないぞ。無尽蔵だっつーの」と強がる様な表情を浮かべ脂汗を流す。やはり嘘をつくのが苦手すぎる。

すると緑谷がオールマイトのコスチュームを見て興奮気味に「ゴールデンエイジのコスだぁぁ!」と言うと、オールマイトは苦笑して口を開いた。

 

「職場体験直後って事で今回は、遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!」

 

オールマイトのその言葉に、コスチュームの損傷により体操服を着ている飯田は質問をするべく勢いよく挙手をする。

 

「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」

 

「あそこは災害時の訓練になるからな。だけど、今回求めているのはちょっと違う! 私は何て言ったかな?」

 

「レースですか?」

 

「YES!そうレース!!」

 

オールマイトは人差し指を立てて尋ねると、瀬呂が答え、オールマイトは頷き説明をし出した。

 

 

「ここは運動場γ!複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯!5人2組と6人2組に別れて1組ずつ訓練を行う!私がどこかで救難信号を出したら一斉にスタート!誰が1番に私を助けるかの競走だ!!勿論、建物への被害は最小にな! な!」

 

「指差すなよ……」

 

スススと1番やりかねないと言わんばかりにオールマイトは爆豪に指を指し、爆豪は嫌がる様にそっぽを向く。

そしてすぐにオールマイトは最初の1組目のメンバーを選び、その6人はスタート地点へと移動する。

 

「じゃあ初めの組は位置について!」

 

「「「「「はいっ!」」」」」

 

オールマイトの指示に、瀬呂、芦戸、飯田、破巌、緑谷、煉黒の6人が返事をする。

 

 

 

 

位置に立つ5人を他の生徒達はオザシキという謎の場所でモニター画面を見て待機をしていた。

 

「飯田、まだヒーロー殺しと戦いの傷、完治してないんだろ?見学すりゃいいのに…」

 

「クラスでも機動力良い奴が固まったな」

 

「うーん、強いて言うなら緑谷さんが若干不利かしら…」

 

待機の生徒達はモニター画面の6人を見てそう言っていると耳郎が隣に座る八百万に画面を見ながら話しかける。

 

「確かに体育祭の時に使いこなしてたみたいな感じだったけど、宇覇達が凄すぎて……」

 

緑谷は個性の扱いの熟練度に関しては圧倒的ドベ。

そして今回のレースなどどう足掻いてもフルで個性を使えば怪我を免れない。慣れない力をどれだけ使いこなしているかがカギだった。

2人はそう思いながら話していると、他の生徒達は誰が1位になるか予想し、言い合っていた。

 

「俺は破巌…あー、やっぱ瀬呂が一位っ!」

 

「トップ予想な。いやいや、煉黒だろ! アイツってスピード重視の姿があるしな!」

 

「オイラは芦戸!アイツ運動神経すげぇぞ!」

 

「デクが最下位」

 

切島、上鳴、峰田が1位を予想していると、聞いていた爆豪は緑谷をビリと予想する。また、麗日と蛙吹も口を開いた。

 

「怪我のハンデがあっても飯田君な気がするなぁ」 

 

「ケロ」

 

機動力と言えばエンジンの飯田。入り組んでいて、直線の少ない地帯と言えどその脚力とスピードで駆け抜ければ1位は取れると予想した者は多い。

 

そして、視点は変わり、各々が準備運動、深呼吸などをして精神を整っている中、破巌はどうするか考えていた。

 

(ブラキディオスになるのはダメだ……図体がデカすぎて邪魔な瓦礫に阻まれる……竜人形態は身体の柔軟性が落ちるのが不味い…それだと煉黒ちゃんの劣化になっちまう……ここは闘気を使って基礎能力で勝負するか……? ……! よし、竜人形態でいこう)

 

やや遅れて破巌が竜人形態に変身し、全員の準備が終わったのを確認したオールマイトはマイクを持って大きく合図を出した。

 

「START!!」

 

6人は一斉に駆け出す。

工業地帯を地上から駆け出す者、障害物を足場に跳んで行く者など、それぞれが自身の個性を活かしてオールマイトの元へ向かって行く中、瀬呂はテープを伸ばして工業地帯の空中を某蜘蛛男のように移動していた。

 

「ホラ見ろ!!こんなごちゃついたとこは、上行くのが定石!」

 

「となると滞空性能の高い瀬呂が有利か」

 

オザシキから見ていた切島が立ち上がり予想していた瀬呂が1番に向かっているのを確認し叫ぶ。

いつも通り口を複製して障子も言葉を発して瀬呂に注目していた。

そしてテープを伸ばして移動する瀬呂は調子に乗っていたのか、上機嫌になって口を開く。

 

「ちょーっと今回ばかりは俺にうってつけ過ぎ…」

 

ドガボガボゴバガバゴォォォォン!!

 

「…るぅぅぅぅ!?」

 

瀬呂の真下からとてつもない轟音が鳴り響き、瀬呂が下を向くと、頭と両腕を前に突き出した破巌が恐ろしいスピードで瓦礫を横に吹き飛ばしながら重機関車の様に走っているではないか。そのスピードは間違いなくトップクラスで、瀬呂と首位争いをしていた煉黒を追い抜こうとしていた。

 

瀬呂や煉黒達移動方法は、跳躍などによる加速と減速を繰り返す事でノンストップに動けているが、結局ペースを上げるのには地形に依存してしまうものだし、飯田は常に得意分野である直線を移動できず、瀬呂に至ってはテープの射出時間という、中々無視できないタイムラグが存在する。対して破巌の移動方法は、瓦礫を吹き飛ばして一切の減速をせずにトップスピードを維持する方法。1度でも並ばれればそこからペースアップしない限り追い抜かれるのは明らか。

 

「フィニーーーッシュ!」

 

オールマイトは叫び1組目の競争は無事終了した。

1位は破巌が大きく突き放しての勝利となり、惜しくも終盤で足を踏み外してしまった緑谷は最下位となってしまいゴール地点の集合場所で倒れていた。

よって順位結果は破巌、瀬呂、煉黒、飯田、芦戸、緑谷となっていた。

1位の破巌は『助けてくれてありがとう』と書かれた襷をオールマイトから貰い画風のヤバいヤツが画風のヤバいヤツに助けてくれてありがとうと言われるのを想像したあなたは悪くない、オールマイトが口を開いた。

 

「一番は破巌少年だったが、皆入学時より個性の使い方に幅が出てきたぞ!!この調子で中間テスト、及び期末テストへ向け準備を始めてくれ!!」

 

「そっか、もうすぐ中間と期末も控えてるのか」

 

オールマイトの言葉に緑谷は立ち上がりながら呟いていた。

 

 

 

そして次の宇覇・ウヴァコンビ、ドレミー、障子、爆豪、轟の5+1人組の番。ここも機動力や汎用性の高い個性のメンバーになる。

 

「さて、ウヴァ。俺達はどっちもゴールしないとダメらしいから策を練ってみたんだ……」

 

「ほう? どうするんだ?」

 

「ま、どちらにせよ今回使うのはプトティラコンボかな!」

 

キン!

キン!

キン!

 

プテラ!

トリケラ!

ティラノ!

 

 

プットッティラ〜ノザウル〜ッス!

 

「ハァァァァァ!!」

 

「スタート!」

 

「凍れッ!!」

 

宇覇のプトティラコンボの頭部にある『エターナルフィン』の擬似凍結効果により、ゴール地点の方角の地面が全て凍り、スケート場のようになる。

 

「成程な……ふんっ!」

 

ウヴァは足の爪を器用に地面に引っ掛けさせてスピードスケーターの様に滑る。途中の障害物は蹴り砕くか飛び上がって回避している。

 

「さて、俺もっと!」

 

宇覇はエターナルフィンを羽ばたかせて空を飛び、メダガブリューのバズーカモードでウヴァの進行ルートにある大きな障害物に狙いを絞って吹き飛ばしてサポートする。

 

「ごきげんよう宇覇さん。では……お先に失礼します!」

 

ウヴァに轟と障子は地上中心に動き、爆豪、ドレミー、宇覇は空中で移動する。レースはどんどんヒートアップしていき、最後には宇覇・ウヴァコンビ、ドレミー、爆豪、轟、障子の順にゴールインした。

 

 

 

ヒーロー基礎学も終わり、生徒達はコスチュームから制服に着替えるべく更衣室で服を着替えていた時の事だった。

 

「久々の授業汗かいちゃった☆」

 

「俺、機動力課題だわ」

 

「情報収集で補うしかないな」

 

「それだと後手に回んだよな……お前や瀬呂、宇覇とかが羨ましいぜ」

 

服を着替えながら男子生徒達は反省点を述べて話し合っている最中、峰田が近くにいる緑谷に向かって手招きしながら突然叫ぶ。

 

「おい緑谷!!ヤベェ事が発覚した!!こっちゃ来い!!」

 

「ん?」

 

若干興奮気味なテンションの峰田に上着を脱いでいた緑谷は振り返ると、峰田は壁に貼られていたチラシを捲る。そこには壁に工具か何かで開けた小さな穴があった。

 

「見ろよこの穴、ショーシャンク!!恐らく諸先輩方が頑張ったんだろう!!隣はそうさ!わかるだろう!?女子更衣室!!」

 

覗きと言う行為は学生の醍醐味だと言わんばかりに興奮する峰田の言葉に砂藤、瀬呂、上鳴がピクッと反応する。

だが委員長として、真面目な飯田は止めに入る。

 

「峰田くんやめたまえ!!覗きは立派なハンザイ行為だ!」

 

手首をスナップさせなごら飯田は止めるが、言葉だけでは通用せず峰田はチラシを剥がし、その興奮がエスカレートしていき、息は荒くなり、涎を垂らしながら覗き込もうとする。

 

「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ!!八百万のヤオヨロッパイ!!芦戸の腰つき!!葉隠の浮かぶ下着!!麗日のうららかボディ!!ドレミーちゃんの漠発ボディ!!蛙吹の意外おっぱァアアア!?」

 

 峰田が急に驚いて腰を抜かしていると、コロコロと血走った目玉が穴から転がって落ちた。

続けざまにメモが押し込まれ、ひらりと落ちる。

 

「んーっと、ドレミーが書いたのか?……あなたを詐欺罪と器物損壊罪で訴えます……あっ」

 

今日もドレミーのおふざけは絶好調である。

 

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