個性『ガタキリバ』   作:プリズ魔X

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電王と悩める人間

ドレミーの部屋で一服したイマジンズは再びデンライナーに戻り、各機器の故障を応急処置していた。

 

「うーん、こっちはダメ〜!」

 

「こりゃ動かせねぇな…1番大事なワープゲートの心臓部がイカれちまってる……」

 

「すまない! Newデンライナーやゼロライナーとも規格が違うようだ!」

 

「どうするべきだろうね……? オーナー達に連絡したけど、忙しいから数ヶ月はこのままになるみたいだよ?」

 

ボロボロのデンライナーに頭を抱えるイマジンズ。

それを見たドレミーが何か手伝える事が無いか探すが、どれを見ても自分にはちんぷんかんぷんで分からない機構をしている。

 

「私に手伝える事、何か無いですかねぇ……あら?」

 

ドレミーの視線がモモタロスが唸っている前にある扉の先に移り、とてとてと走って光るベルトを手に取る。

 

「……デンオウベルト」

 

「な!? お前電王も知ってるのか!?」

 

ドレミーはファンとしての嬉しさでデンオウベルトを装着しようとする。

それをイマジンズが止めようとするが……

 

「……本当につけられちまった!?」

 

「と、なると…ドレミーちゃんは特異点なんだね。それにデンオウベルトが突然光った……」

 

本来特異点のみに装着を許すデンオウベルトが、ドレミーの腰に装着できてしまった。

そしてデンオウベルトが光る時、ある事が起きている証拠でもある。

つまり……ドレミーは電王として戦わなければいけないのだ。

 


 

 

 

「……ぐ、うぅ……」

 

宇覇は期末試験の後倒れてしまい、その後なかなか目覚めなかった。

幸いにも夏休みの1日前が期末試験だったのでそこまで遅れは無かった。

 

「…ここは……」

 

宇覇が目覚めて起きると、そこは自分の住んでいるアパート、摩鏡(まきょう)にある自分の部屋である203号室だった。

宇覇が起き上がろうとすると、ドアが開かれる。

 

「起きたか…遅いぞ、この世界の仮面ライダー」

 

「大丈夫か、宇覇。どこか異常は感じないか?」

 

「ウヴァに……ディケイド!?」

 

ドアの先には、グリード体のウヴァと、管理人のような服装の門矢 士がいた。

 

「士と呼べ。どうやらここは歪な世界のようだな……仮面ライダーはいるにはいるが、皆何らかの力を失っている……フォーゼと鎧武は力を失っている程度だが、Wが特に歪だな。俺の場合はオーロラカーテンを別世界に繋げようとすると上手く操作できん。何らかの力が俺達仮面ライダーをこの世界に留まらせているようだな……どうやら歪みを治すまでは、この世界に入ることは出来ても、出ることは出来ない。この問題を解決するまでは協力関係を結ぼう。お前は経験を得られて損はしないはずだぞ?」

 

「……まぁ、いいよ。ライダーは助け合いって言うし……」

 

「宇覇、そろそろこのイラつく身体を何とかしてくれ。お前の分身が俺から外されてそのままだ……」

 

ウヴァが宇覇に分身体を出させようとした瞬間、ドアが勢いよく開かれる。

 

「宇覇さん! 速報です!」

 

「どうした、ドレミー。……ん? その後ろにいる奴らは……」

 

ウヴァがドレミーの後ろにいる数名の怪人? の正体を問う。

すると、ドレミーは少し嬉しそうに答えた。

 

「私も仮面ライダーになりますよ! 電王に!」

 

「「……は?」」

 

「………なるほど、だいたい分かった」

 

理解が追いついていない2人と、いつも通り理解してしまった士だった……

 

少女説明中……

 


 

ドレミーのやや長めな説明によりようやく事態を飲み込めた2人。

ちなみにイマジンズは自己紹介をしてさっさとデンライナーの修理に戻ってしまった。

 

「……成程、それでいきなり電王になれるって言い出したのか」

 

「……だがここにいるディケイドの下位互「それ以上はいけないよウヴァ」……あぁ」

 

(二度と使うか、あんな物……)

 

失言をかましそうになったウヴァを宇覇が止めたが、きっかけとなった当の本人は二度と使う気が無いようだ。

 

「! そういえば、あれから何日経ったんだ!?」

 

「……3日だ」

 

宇覇が自分がどれだけ眠っていたのか聞き、ウヴァが3日間眠っていたと返す。

つまり、あの買い物には間に合わなかったという事だ。

 

「……緑谷達は無事なんだよな?」

 

「あぁ、死柄木と遭遇したらしいが、危害は加えられなかったそうだ」

 

ウヴァが緑谷達の安否を伝え、宇覇はそれを聞いて安堵の息を吐く。

 

「とりあえずそこの改変は無かったか…………ドレミー、鍛えるぞ」

 

「!? でも宇覇さんはまだ病み上がりのようなものですよ! 少しは休憩を挟まないといざと言う時に……」

 

ドレミーが安静にするように諌めるが、宇覇は頑なに首を縦に振らない。

そのオレンジ色の複眼には焦りの色が見えていた。

 

「この前轟から聞いたぞ、ドレミー。お前が荼毘…いや、燈矢を助け出したって」

 

「はい。確かに燈矢さんを助けましたが……まさか、開闢行動隊のメンバーに変化が?」

 

「可能性は大いにある。そもそも無いって考える方がおかしいしな……」

 

「そもそも俺は、仁義父さんが原作と同じヴィランになってないっていう最初の時点で気がつくべきだったんだよ。この世界は間違いなく原作とは全く違う世界だって……クソッ!! もっと早く気づいていれば! あんなお気楽な動きは絶対にしてなかったはずだ!」

 

宇覇は、もっと早く手を打っていればもっとより良い結末を生み出せたのでは……そんな後悔の念で床の畳を叩く。

 

「……抱え込みすぎですよ、宇覇さん」

 

「でも……「忘れてないですか? ……結局個性を手に入れたところで、私達の心はやはり人間に過ぎないという事を」……でも、今まで通りに上手くいくなんて保証はどこにも無いだろ……」

 

「……ヒーローは全てを救えない。それは今までのヒーロー達が証明してしまっています。そして、人を助けるのに自分の命を平然と賭ける狂人です。……私達は、強さだけはある狂い切れていない中途半端な存在……出来ないことに手を伸ばして、できることを掴めずに後悔する……それが今の宇覇さんです」

 

「でもよ…諦めきれないんだよ。憧れたヒーローと同じになるのを」

 

ドレミーが現実を突きつけるが、宇覇の考えはそれでも変わらない。

 

「……心をねじ曲げても、そこにいるのは貴方じゃない…別の人ですよ」

 

「じゃあどうすればいいんだよッ!! 」

 

「……できる範囲でやればいいんですよ。……まだ、私達は歩み始めたばかりなんですから」

 

ドレミーのその言葉は、宇覇の考えに深く突き刺さるのであった……

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