母性たっぷりの聖母様先輩が義母になった件。~取り敢えず、お隣さん全員が家族になりました。~   作:藤宮氏

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第10話 朝食

 三人が引っ越して来て早一日が立った日曜日。俺はいつもより一時間程早い朝の六時半に目を覚ました。

 

 多分昨日は疲労で早く寝てしまったのが原因だろう。バイトは朝九時から。本来であればまだ寝ていても良い時間なのだが、部屋の扉から微かに漏れる廊下の電灯がついているのを目にした為、俺は私服に着替え、階段を下りる。

 

「あ、おはよう秀君、ごめんね? 起こしちゃった?」

 

 キッチンで朝ごはんを作っているのだろうか? フライパンを片手に千晴さんがひょっこりと角から顔を出す。他の二人は……まだ起きていないようだ。

 

「いえ、今日はバイトが有るので大丈夫ですよ」

「なら、良かった。あ、目玉焼きの味付けは何にする?」

「ありがとうございます。では、醤油で」

 

 千晴さんは「はいは~い」と言ってまた料理に集中しだす。

 

 何度夢見たことだろうか、エプロン姿の千晴さんがうちのキッチンに立って朝ごはんを作ってくれている。それだけじゃない。一色家姉妹全員と一つ屋根の下で暮らしている。

 

 このことが学校の皆にバレたら多分俺はギロチンで首を両断されるか十字架に貼り付けに、いずれにせよ無事では済まないだろう。そう考えれば俺は三発の巨大爆弾を抱えていると言っても過言ではないだろう。何事にもリスクは付き物なんだな。

 

 そんなことを考えていると、千晴さんが昨日買ったプレートにハムチーズトーストと目玉焼きをのせ持ってきてくれる。

 

「はい、秀君のは醤油だからこっちね~」

「わざわざありがとうございます!」

「いいのいいの~」

 

 俺は朝食の載ったプレートを受け取る。すると、千晴さんがハムチーズトーストの上に目玉焼きをのせ、ケチャップをかけ始める。

 

「へぇ~、そんな食べ方も有るんですね」

「そうそう、ラピュタパンって言うらしいわよ~」

「ラピュタパン……」

 

 確かに作中にこんな食べ物が有った様な? だが、見た目と匂いはかなりおいしそうだ。

 そう思っていると、千晴さんが何を思ったのか、まだ食べていない場所をこちらに近づける。

 

「一口、食べる?」

「え?」

「食べたいんじゃないの?」

「え、まあ、気にはなりますけど」

「じゃあ、はい。あーん」

 

 先輩はそういうと、俺の口元までトーストを持ってくる。

 これってかの有名なあーん、そして千晴さんが俺の食べた場所を食べる。美人先輩からのあーんと間接キスの二大イベントが一気に来ているのでは!? 

 

「んも~! 秀君、食べないの? 食べないなら私が食べちゃうよ~?」

「あ、ああ、食べます食べますっ!」

 

 俺は急いで目玉焼きトーストに(かぶ)り付く。

 

「どう~?」

「美味しいです」

「よかった~!」

 

 そう言って千晴さんはニカっと笑う。

 よく考えればそりゃあうまいはずだ。パンと卵、チーズと卵、ケチャップと卵、ハムと卵、全てよく合う組み合わせだ。

 

 ふと、千晴さんが時計を見て声を上げた。

 

「あ! 私もう出ないと!」

 

 時刻は午前七時。まだ早い時間だが、千晴さんは残っていたトーストを平らげると、リビングに用意していた持ち物をまとめ始める。

 小さめのショルダーバッグにハンドバッグ、そしてスーツケースが一つ。千晴さんは()()()()()()()()()()()()。これでも今日はまだ少ない方である。多い時にはスーツケースが二つなんてことも、まあそういう日には大抵荷物を取りに来てもらうことが多いのだが。

 

「今日はどこで撮影ですか?」

「え~と、県外の動物園と、ショッピングモール。そしてここから割と近くの喫茶店の三本だわ~」

「県外が二本も!? 大変なんですね」

「いやいや、これくらいは普通だよ~? 海外じゃないだけマシだね。あ、私先に出るわね。秀君も、バイト頑張ってね~!」

「千晴さんこそ、頑張ってください」

 

 そう言って千晴さんは急ぎ足で家を出て行く。

 さっき近所の喫茶店って言ってたような気がするが……まさかな。

 

 俺は少し冷めてしまったトーストを食べ終えると、バイトの用意を始めた。




お読みいただきありがとうございます!
それと、初めまして藤宮氏です。普段はカクヨムにて活動しております。
一応、これにてカクヨムで執筆していた分は投稿し終わりましたので、これからは少しペースが落ちます。
評価の方もして頂けると大変助かりますのでよろしくお願いします!
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