母性たっぷりの聖母様先輩が義母になった件。~取り敢えず、お隣さん全員が家族になりました。~   作:藤宮氏

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第5話 『義』姉・妹

「――つまり、千晴さんは法律的な立場としては()()で本当は千晴さんのお母さんである勝美(かつみ)さんが()()。そして佐奈や心愛は俺の()()に当たる……と?」

「うん、そういう事~」

 

 俺は千晴さんの作ったカレーを口に運びながら、千晴さんの説明をまとめる。そして今も尚、戸惑っている体を麦茶でクールダウンする。

 

「そういう事~じゃないですよ! いきなり千晴さんに『今日から義母だよ』って言われたときは心臓止まるかと思いましたよ!」

「ん~、でも形としてはお母さんだから……いいかなって?」

「はぁ……」

 

 お姉さんキャラに似合わない健気な顔で「てへっ」とする千晴さんに俺は溜息を吐く。

 

 一色家の両親は二人共、イタリア大使館で働く外交官で有り、家に帰って来るのは半年に一度らしい。俺も何度か実際にお会いしたことはあるが、少し海外かぶれている部分はあるが、優しくいい人たちだ。だが――

 

「何で一色家がわざわざ俺の事を養子として迎えてくれることになったんですか?」

「だってほら、秀くんもまだ高校生な訳でしょ。何かあったら頼れる人が近くに居ないと困るだろうし。それに――」

「それに?」

「う、ううん。困ったときはお互い様だしね」

 

 そう言って千晴さんは苦笑いすると「あっ、そうだ」と話を続ける。

 

「私、明日からここに住むから」

「…………」

 

 ……ん? 気のせいかもしれないがさっき「私、明日からここに住むから」と聞こえた気がしたが……。千晴さんが住む? 俺ん家に? いやいやそんなことは無いだろう。第一、高校生の男女が一つ屋根の下で一緒に住んでいいはずが無い。そうだ。これは空耳だ。あくまで幻聴。

 

「ううん。幻聴じゃなくて確かにそう言ったわよ?」

「だから心を読むのは止めてください!!」

「ワタs」

「いやだからそのネタはもう飽きましたって。それよりどういうことです――」

「(バタンッ!)」

「――え?」

 

 俺が言いかけた途端、リビングのドアが豪快な音を立て開く。

 

「ゼェ、ゼェ、お姉ちゃん! 私がこれから秀の叔母ってどういう事!?」

「そうなのです! 私は秀にぃの妹が良いのです~」

 

 そこに居たのは、息を切らしながら完全に不法侵入をカマしている佐奈と心愛だった。

 

 

 

「はあ!? 秀が家の養子に!? 何でもっと早くに言ってくれなかったの?」

「だって~、言ったらさーちゃん嬉しすぎて夜寝れなくなっちゃうでしょ~」

「んなっ、そんなことないもん!」

 

 時刻は二十一時半を回った頃。俺ん家のリビングでは何故か『一色家家族会議』が行われていた。

 俺は千晴さんをジト目で見ながら言った。

 

「千晴さん。貴女(あなた)、実の妹にも今この時まで隠していたんですか……?」

「もう……秀くんったら乙女にそんな顔しないで?」

「お姉ちゃん! まずはちゃんと状況を説明して!」

 

 佐奈がここまで問い詰めてくるのが予想外だったのか、千晴さんはあたふたとしながら、さっき俺に話したことを説明する。

 

 

「――秀にぃが私たちの家の養子になることは分かりました。でも、ちい姉が秀にぃの家に住むのはダメです!」

「そうよ、年頃の男女が二人きりで住むなんてその――……ふ、不埒よ!」

「だ、だよな!」

 

 さっきこそ千晴さんが義母になる妄想をしたが、今となっては俺が犬として飼いならされる未来が目に見えているので、俺は二人に同意する。――も、佐奈は何故か顔を赤らめ言った。

 

「――だから、私たちも一緒に住む!」

「「「…………」」」

 

 …………。は?

 

「はぁぁぁぁぁ!?!?」

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