パニッシャーが人類最後のマスターと共に戦うようです   作:ドレッジキング

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アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようですの番外編の続きがこちらになります。あれ以上番外編を作ってたら本編そっちのけになりそうなんで、独立した作品として作ってみました。


第1話 地上最強のヒーローチーム

アベンジャーズ、X-MENのメンバーを乗せたヘリキャリアは彷徨海の上空に突如として現れた。キャップを始めとするアベンジャーズのメンバーはヘリキャリアの外から外に広がる漂白化した地球の表面を見て驚く。

 

「凄いや……僕らの地球と同じように漂白化されちゃってる……」

 

スパイダーマンは自分達が元々いた地球と同様に、この地球も漂白化している光景に息を呑む。ソーが北欧に出現した巨大な竜巻の中に入り、そこでカルデアなる組織と出会い、カルデアがいた世界が漂白化した原因が異聞帯の空想樹にあると聞かされ、ソーはカルデアの面々に助力した。そしてソーは去り際に人類最後のマスターである藤立香に、自分達アベンジャーズをいつでも呼び出せる無線機を渡してそのまま別れたのだ。

 

「我があの時渡した特殊な無線機が役に立ったようだな。あの少年が我等に助けを求めたのだ」

 

ソーは北欧で共に戦った藤丸立香、マシュ・キリエライト、レオナルド・ダ・ヴィンチ、シャーロック・ホームズ、ゴルドルフ・ムジークについて出来る限り詳しくキャップ達アベンジャーズのメンバーに話した。仮に立香がアベンジャーズをいつでも呼び出せるように渡しておいた装置のお陰で、世界の壁を越えてこの彷徨海までやってこれたのだ。アベンジャーズが世界を超えてこの漂白化された世界に来たのには別の理由もある。

 

自分達アベンジャーズがいる世界も、この世界と同じように漂白化が進み、今では地球上の八割が外の景色と同じような状態になってしまった。原因を突き止めようとしても上手くいかず、そこにソーが立香に渡した特殊な無線機にSOSが響いたのだ。彷徨海の上空に出現してからに十分が経過し、そろそろこちからから通信を入れようとした。すると鈴を転がすような可愛らしい声の通信がヘリキャリアに届いた。

 

「あー、テステス。こちら彷徨海管制室。私の声はそちらに聞こえるかい?」

 

「ああ、聞こえてるよ。私はアベンジャーズのリーダーを務めるキャプテン・アメリカだ。君は確かダ・ヴィンチだったかな?ソーの話と特徴が一致している」

 

「ソー?ああ!北欧異聞帯で私達と一緒にスルトを打倒してくれたトール神だね!そう、私はダ・ヴィンチだよ。キャプテン・アメリカ、ソーの友達である君達が来てくれたのは嬉しいけど、どうやってこっちの世界に来たんだい?」

 

「君達の世界の座標と、こっちの座標を照らし合わせてワープしてきたんだよ。至高の魔術師であるドクター・ストレンジの力でこれたのさ」

 

キャップはダ・ヴィンチに対して自分達は彷徨海に入れるのかどうかを尋ねた。いきなりこんな大人数で押しかけてきたので迷惑ではなかったかとも尋ねたが、幸いダ・ヴィンチの話によると彷徨海の魔術師であるシオンと、ノウム・カルデアの司令官であるゴルドルフの許可は取れたのだそうだ。キャップは一部のメンバーと共に彷徨海へと入る事にした。キャップと共に行くのはソー、アイアンマン、ドクター・ストレンジ、ハルク、スパイダーマン、ウルヴァリン、シーハルク、ストームの9名だ。

 

 

 

*****************************************

 

 

 

 

キャップ達は彷徨海のドッグに入る。ドッグ内ではネモ・マリーン達が慌ただしく動いており、そんな忙しそうなマリーン達を見てピーターが目を丸くする。

 

「あれ?よく見ればあの子達全員同じ顔と身体じゃないか。クローンなのかな?」

 

それもその筈、ネモ・マリーンは船長であるネモの分身体であり、全員が同じ顔と肉体を持っているのだから。そんなマリーン達を見たピーターはクローンに良い想い出が無い事から、出来る限りネモ・マリーン達を避けて通る。そしてドッグの向こうからゴルドルフ、ホームズ、ダ・ヴィンチ、立香、マシュ、シオンがやってくる。キャップはアベンジャーズとX-MENの連合を代表してゴルドルフに挨拶した。

 

「初めまして、私はキャプテン・アメリカ。アベンジャーズのリーダーを務めています。貴方がノウム・カルデアの所長であるゴルドルフ・ムジーク司令官ですね?」

 

そう言ってキャップはゴルドルフに手を差し出した。ゴルドルフは満更でもないといった表情で握手に応じた。

 

「う、うむ。私がここの責任者だ。貴殿らがこの世界にやってきた理由を教えてくれないか?」

 

「はい、実は私達のメンバーの一人であるソーが藤丸立香に渡した特殊な無線機による信号をキャッチして我々アベンジャーズがここに来ました」

 

そう言ってキャップは立香と視線を合わせる。

 

「君がミスター藤丸立香だね?我々アベンジャーズは君を助けに来た。遠慮なく我々の力を頼るといい」

 

キャップの言葉を聞いた立香は目を大きく見開き、驚きの声を上げる。

 

「えっ!?俺の事を知ってるんですか!?」

 

キャップは立香に対してサムズアップしながら笑顔を見せる。

 

「勿論だとも。君はこれまで多くの困難を乗り越えてここまで来た事はソーから聞いている。君がこの世界で起きた魔術王による人理焼却を防ぎ、人理を取り戻した事や、この地球漂白化現象から地球を元に戻す為に空想樹を切除している事も知っている」

 

ソーはキャップを始めとしたアベンジャーズのメンバーに、立香がこれまで歩んできた旅路と、彼の偉業を伝えていた。

 

「立香、私達は君に協力したい。私達にできることがあれば何でも言ってくれ」

 

キャプテン・アメリカの言葉に他のメンバーも同意する様に首肯するが……

 

「いえ、これは俺たちの問題です。皆さんにこれ以上迷惑をかける訳にはいきません」

 

立香はキャプテン・アメリカに頭を下げて断る。

 

「立香、私達はヒーローだ。助けを呼ばれたからにはこうして駆け付けるのが我々の務めだし、何より君を救いたい」

 

「え……?」

 

「我々アベンジャーズは君を"人類最後のマスター"としてではなく、"一人の少年"として助けたいんだ。私は君に人理を救うマスターである事を強制しないし、させたくない。聞く所によれば君は……南極にあるカルデアに拉致同然に連れてこられ、そこで人類最後のマスターとして選ばれたそうだね?」

 

キャップの言う事は間違いではない。立香は熱心なスカウトマンからしつこく迫られ、それを了承した所、拉致同然に南極に連行され、カルデアの基地で目覚めてマシュと出会った。思えばあの日から立香の日常は終わりを迎え、人類最後のマスターとして戦う日々が始まったといっていい。自分が死ねば世界が終わる。世界の全てを背負い、七つの特異点の修復の旅路を歩み、冠位時間神殿にてゲーティアを倒し、見事人理焼却を防ぐ事ができた。

 

だがそこからが本当の意味での戦いの始まりだったのだ。人理焼却を防いでから三か月後、突如として地球は宇宙から飛来してきた空想樹によって白紙化し、カルデアの襲撃を仲間の共に逃れた立香は再び戦いに身を投じる事になったのだ。現在は彷徨海に身を置き、ノウム・カルデアのメンバーとして世界に散らばった空想樹を切除して回っている。異聞帯は並行世界論にすら切り捨てられた「行き止まりの人類史」である。異星の神の侵略兵器として異聞帯が用いられ、ノウム・カルデアは白紙化された地球…汎人類史を取り戻すべく空想樹を切除しているが、空想樹を切除する事は即ちその空想樹があった異聞帯を滅ぼすという意味でもあるのだ。

 

「はい……確かに俺は殆ど拉致に近い形でカルデアに連れて行かれました。でも、マシュと出会ってからは辛い事もあったけど楽しい事もあり、一緒に戦ってきた仲間達がいました。だから、今はもうそんなに辛くはないんですよ」

 

キャップは優しい笑みを浮かべながら「そうか……」と呟き、「では何故そんなにも悲しげな顔をしているんだい?」と尋ねる。キャップの言葉に立香はハッとした表情でキャップの方を見る。

 

「あぁ、すまない……。別に君の過去についてどうこう言いたかった訳ではない。ただ、今の君はまるで親を失った子供の様に見える」

 

キャップの言葉が立香の心に突き刺さる。先日、今まで自分が記憶操作によって両親の事を思い出せなくされ、そんな記憶操作が解けたのか両親の事を鮮明に思い出せるようになった。

 

だがそんな立香に対して残酷な事実が襲い掛かる。ムニエルの話によれば立香の両親は魔術協会の執行者の手によって事故に見せかけて殺されたのだ。慟哭する立香は両親の事を忘れられず、シミュレータールームに閉じこもって虚像の両親と暮らし始めたが、そんな生活は間違いだという事を心の底では気付いており、シミュレータール―ムに入って来たアナスタシアに連れられ、虚像の両親に別れを告げた。

 

「立香、君が背負った使命と責任は余りにも重すぎる。君のような子供が抱え込むべき物じゃない。私達アベンジャーズは君を救いたいんだ」

 

キャップは立香に語り掛ける。

 

「けど……俺はここまで来たらもう……止まれないんです……」

 

立香は拳を握りしめ、絞り出すような声で答える。

 

「俺にはもう帰る場所はありません。両親も失い、故郷も奪われ、マシュやダ・ヴィンチちゃん、ホームズ、新所長、スタッフさん、それにサーヴァントは皆家族みたいなもので、もう失う訳にはいかない。それに、今更俺が戦いをやめるなんて言った所で誰も納得しないでしょう」

 

立香の悲愴に満ちた目に、キャップは心を痛める。

 

(何という事だろう……。まだハイスクールも卒業していないような少年が人理を救う為の戦いに赴き、傷だらけになりながらも必死に戦っている。カルデアはこんな子供に過酷な運命を押し付けたと言うのか?私が見る限り彼は憔悴し、摩耗している。平穏だった日常を奪われ、いつ終わる事もない戦いの日々を送る……。ソーの話を聞いてはいたが、こうして目の前で話をしているとこの子がどれだけ傷つき、どれだけ追い詰められていたかを実感させられる)

 

キャップは立香の肩に手を置き、立香に微笑みかける。

 

「君は強い子だ。どんな困難に直面しても決して諦めずに前に進む事ができる。だからこそ、私は……私達は君を放っておけない。子供は大人を頼っていいんだ」

 

立香は涙を拭うと、笑顔でキャップに礼を言う。

 

「ありがとうございます。でも、これは俺の問題ですから」

 

キャップはそんな立香の言葉と笑顔に酷く心を痛める。もはや前に進む事しかできない、諦めるという選択肢も無いし、挫折するという結末すらも許さない。ただひたすらに人理の為に戦う……。

 

(立香……君の決意はよく分かる。だが……だが君の姿を見ていると、まるで死に急いでいるようだ)

 

キャップは立香の言葉に頷くと、ゴルドルフ達と共に中央管制室へと向かった。

 

 

 

 

**********************************************

 

 

アベンジャーズのメンバーに同行してきたスパイダーマンことピーター・パーカーは、立香と並んでノウム・カルデアの廊下を歩いていた。

 

「立香、君はこのカルデアにいるサーヴァントやスタッフの人達が好きなんだね」

 

「はい、マシュやダ・ヴィンチちゃん、シオンさん、ホームズ、ムニエルや他のスタッフの人達、サーヴァントのみんな、全員が大切な仲間で、友達で、かけがえのない存在だと思っています」

 

立香は迷いなく答え、そんな立香を見てスパイダーマンは満足げに笑う。

 

「君は楽しい家族に囲まれて幸せそうだね。羨ましいよ」

 

「いえ……俺の家族はもう……」

 

立香は暗い表情を浮かべる。そう、自分の実の両親は魔術協会の手の者によって事故に見せかけて殺されているのだ。その事実が立香の心に影を落とす。

 

「ごめん、嫌な事を思い出させちゃったかな?」

 

スパイダーマンは申し訳なさそうな顔で謝る。

 

「あ、気にしないでください。もう吹っ切れましたから」

 

立香はすぐに明るい笑みを見せる。しかし、その目の奥に宿る闇までは隠す事はできなかった。吹っ切れてなどいない、むしろ逆で、両親を殺された事で心に大きな穴が開いている。何より……昨夜の夢の中に出てきた魔術工房で両親は魔術師の手によって解剖され、死後の安らぎすらも冒涜されたのだ。その事実は確実に立香の心を蝕んでいた。そんな立香の心の傷を察したのか、スパイダーマンはお決まりの台詞を言う。

 

「親愛なる隣人、スパイダーマンがいつでも君を見守ってるから安心してくれ」

 

「……ありがとうございます」

 

(……この子、相当に過酷な戦いを強いられてきたみたいだ。まだ年端もいかない少年なのに、まるで大人のような落ち着きがある)

 

スパイダーマンは立香から感じる雰囲気から、彼が今までどんな人生を歩んできたかを何となく理解した。

 

(こんなに良い子が戦い続けるなんて……)

 

スパイダーマンは立香を不器用ながらも励ましたいと思ったが、上手い言葉が見つからず黙り込んでしまう。ピーター自身、決して幸福な人生など歩んでおらず、寧ろ傍目から見れば不幸という他ない人生を歩んできた。そんなピーターから見ても立香が置かれた立場は過酷極まるもので、ピーターは目の前の立香からすれば自分は何て幸運な人生を歩んでいるのだろうと自嘲してしまう。自分のように特別な能力も持たず、本当にただの素人の状態から人理修復の旅を歩み、世界を救い、その後も戦い続け、ついには汎人類史を取り戻し、更には漂白化された地球を元に戻すべく世界中を旅し、空想樹の切除を行っている。

 

それは自分には到底真似できない偉業であり、立香の事を素直に尊敬していた。しかし、同時に立香の境遇に同情を禁じえなかったのだ。安易な憐憫など立香が望んでいないとしても、スパイダーマンは何かしら立香にしてあげられる事は無いかと考え、ふと思いついた。

 

「ねぇ、立香くん」

 

「はい?」

 

「もし良かったらだけど、僕と友達にならないかい?」

 

「え?」

 

突然の申し出に立香は困惑するが、すぐに笑顔になって答える。

 

「はい!是非お願いします!」

 

「OK。じゃあ早速連絡先を交換しよう」

 

スパイダーマンはポケットからスマートフォンを取り出し、立香と赤外線通信を行う。

 

「これでよしっと」

 

「あの、ところで……」

 

「ん?」

 

「どうして俺なんかと友達になりたいと思ったんですか?」

 

「……そうだな、僕にとって君は絶対に友達になりたい子だからかな」

 

「絶対ですか」

 

「うん。だって君みたいな子はなかなかお目にかかれないからね」

 

「そうでしょうか」

 

「謙遜する事ないよ。君は凄いじゃないか!僕なんかより遥かに人々の為に戦っている」

 

スパイダーマンは立香の肩をポンと叩き、微笑む。

 

「僕は記者として色々な人間に会ってきた。その中には善人もいれば悪人もいた。でも、君のような人間は見たことがない。きっと、そういう人間が報われる世界を作る為なら、この身がどうなっても構わない。だから……君と友達になりたいんだ」

 

「ありがとうございます。嬉しいです」

 

立香は頭を下げ、感謝の意を示す。

 

「……実は、俺の両親はもうこの世にはいないんですよ」

 

立香は両親が死んだ経緯を話し始める。両親は南極に連れていかれた愛する息子である立香を探し、魔術協会によって殺された。しかし両親は自分の命を犠牲にしてまで自分を探そうとしてくれたのだ。その事実に立香は自分がどれだけ両親から愛されていたのかを実感する。

 

「……立香」

 

ピーターは立香にかける言葉が見つからず、沈黙する。そして同時にこうも思った。この世界はどれだけの苦しみをこの少年に課すのかと。

 

「俺は、もう両親の事は諦めていた筈なのに……。今になってこんな気持ちになるなんて思ってなかった。両親が死んでしまったという悲しみはもう乗り越えていたと思っていたのに、心の底では両親の死を受け入れていなかったみたいだ」

 

立香は俯きながら呟く。両親を失った悲しみは時間が解決すると思っていた。だがそうではなかった。立香の心の奥底で両親を喪った悲しみは消えるどころか増していく一方であった。そんな立香にスパイダーマンは優しく語り掛ける。

 

「無理に受け入れようとしないでいいんじゃないか?悲しみを受け入れるのは時間がかかるかもしれないけど、時間をかけてゆっくり受け入れるしかないんだよ」

 

「そうですね。今は両親を想うだけで十分かもしれませんね」

 

スパイダーマンは自分の経験を思い返し、立香に共感する。ピーターは立香が自分に向ける笑顔が本物なのかを疑う。

 

(この子、本当に笑っているのかな?)

 

スパイダーマンは立香の心の闇を感じ取る。しかしそれを表に出す訳にはいかない。立香は自分にとって大切な友なのだから。




キャップやスパイディは絶対に藤丸君の事を一人の少年として助けてくれると思う。ピーターも不幸人生歩んでいるから藤丸君に共感しそうだし。
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