パニッシャーが人類最後のマスターと共に戦うようです   作:ドレッジキング

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両親の死を悲しむ藤丸君を彼女が見逃す筈がないんだよなぁ……


第13話 魔性菩薩

「全く……立香は大胆過ぎるんだよな……」

 

立香に押し倒された時の事を思い出したのか、頬を赤く染める藤丸。同一の存在とはいえ、異性であるが故にああも大胆に迫られては年頃の藤丸も困ってしまう。マシュに状況を説明するにも苦労したし、マシュはマシュで立香が藤丸に迫った事に驚いていた。積極的にスキンシップを試みてくる立香だが、彼女の行動には何か裏があるのではないかと勘繰る。

 

「けど立香がそんな事を考えるわけもないしな。ただ単に俺を元気づけようとしているだけだろう」

 

そう思いつつも、藤丸は立香の積極的なアプローチに戸惑っていた。

 

「あら、マスター。ここにいらっしゃいましたか」

 

聞き覚えのある声がしたので振り返ると、そこには殺生院キアラが立っていた。彼女は艶めかしい表情と蕩けるような瞳でじっと藤丸を見つめている。

 

「えっと、キアラさん?どうしてこんなところに?」

 

キアラは微笑みながら答える。

 

「マスターにお会いしたくて。ふふ、いけませんか?」

 

そんな彼女に藤丸は少しドキッとした。

 

「あ、いえ、別にそういう訳じゃなくてですね……」

 

アルターエゴとしてこのノウム・カルデアに召喚されたとはいえ、どうもこのキアラには苦手意識を抱かずにはいられない。そもそも彼女は人類悪たるビーストであり、その本性はアルターエゴになった現在でも全く変わっていない。藤丸は足早に距離を取ろうとするが、キアラはそんな藤丸を逃がそうとはしない。

 

「マスター、何処へ行かれるのですか?」

 

「ちょ、ちょっと用事が……」

 

だがキアラは藤丸を逃さないとばかりに彼の前に回り込んだ。

 

「マスター、貴方はご両親を喪った悲しみから未だに立ち直る事ができていない。違いますか?」

 

図星を突かれたのか、藤丸は言葉に詰まる。キアラは妖しげな笑みを浮かべながら、藤丸に語り掛ける。

 

「愛するご両親の死はマスターの心を深く傷つけました。しかしそれは当然の事です。愛していた両親が突然理不尽に奪われたのですから。しかし悲しみに暮れるだけではなく、その悲しみを乗り越えようとしています。素晴らしい心がけだと私は思いますわ。ですが心の傷というものはそう簡単には癒えないもの。自力で立ち直れる方々ばかりなら私めのようなセラピストはこの世に必要ありませんし。さぁ、私の胸で存分に泣きなさいませ。私が慰めて差し上げましょう」

 

キアラは両腕を広げ、藤丸を受け入れる体勢を取るものの、藤丸はそんな彼女から逃げる。

 

「すみません、今はそんな気分じゃないんで……」

 

「ご遠慮なさらずに。ほら、来てくださいまし。大丈夫、痛くはしませんから」

 

「いや、ほんとに結構なんで……」

 

キアラから逃げようとする藤丸だが、彼女はそれを許さない。キアラは自身で「禁欲中」だと言ってはいるが、実際はそうとも言えない。いつまた魔性菩薩としての本性を現すか分からないのだ。そんな彼女が今まさにその本性を露にしようとしていた。

 

「やめてください……」

 

藤丸はキアラから距離を取り、彼女を拒絶する。しかしキアラはそんな藤丸を見ても動じない。むしろ嬉しそうな表情をしている。

 

「まぁ、マスター。そんなに照れて……。禁欲中の身なれど、愛する父母の死に慟哭するマスターの姿を見れば嫌でも体が火照ってしまいます。ふふ、そんなに焦らないでください。すぐに終わらせますから」

 

「やめて……ください……」

 

キアラは藤丸にゆっくりと近づき、彼を抱き締める。藤丸は必死に抵抗するが、キアラの怪力の前に為す術もなく捕まった。藤丸の表情は恐怖で歪んでおり、そんな彼を愛おしそうに見つめるキアラ。

 

「貴方の悲しむ顔を見れば、嫌でもこの身が疼きますわ。目の前で悲しみに暮れる人間を放置する程、私は冷血ではありません」

 

キアラの言っている事は真実であり、藤丸は未だに南極に拉致されて連れていかれた自分を探した両親が魔術協会によって口封じで消されたという事実がトラウマになっていた。シミュレータールームを出て虚像の両親に別れは告げたが、そんな程度で完全に立ち直れる筈がない。残酷な事実は藤丸の心の中に傷として深く刻まれている。そしてそんな藤丸を見たキアラは自身の魔性菩薩としての本能が刺激されたのであろう。藤丸の目からは涙が流れ落ち、零れた涙はキアラの尼服に染み込んでいく。

 

「ふふ、良い顔です。そんなに怖がる必要はないのですよ?何もかも忘れさせてあげますから」

 

キアラは藤丸の耳元に息を吹きかけると、彼は体をビクッと震わせる。

 

「お、お願いですからやめてください……!俺、そういう趣味はないので……」

 

涙目になりながら訴える藤丸に対して、キアラは妖艶な笑みを浮かべる。

 

「自分のお心に正直になってください。我慢はよくありませんよ?」

 

キアラは藤丸を壁際まで追い詰めると、彼と顔を近づける。互いに吐息が掛かる程の至近距離で見つめ合う二人。

 

「…………」

 

藤丸は無言のまま、無抵抗でキアラを見つめていた。

 

「シミュレータールームで作られた虚像のご両親に甘えるマスターの姿は大変愛おしいものでした」

 

「俺がシミュレーターにいた時の様子を見ていたのか……!?」

 

「えぇ、勿論ですとも。あの時マスターはご両親に抱きつき、涙を流されていました。そしてご両親に優しく頭を撫でられ、マスターはとかく幸せそうな表情をされておりました。あぁ……なんと愛らしく、そして美しい光景だった事か……」

 

キアラは頬を赤らめながら、シミュレータールームで両親と過ごしていた時の藤丸の様子を語る。その様子はまるで恋する乙女のようであった。

 

「そ、そんな事を言われても俺は別に嬉しくなんかないからな!大体俺にもプライバシーってものがあるんだ!!」

 

恥ずかしさのあまり、声を荒げる藤丸。そんな彼の反応を楽しむかのように、キアラは彼の首筋に舌を這わせてきたではないか。突然の事に驚いた藤丸は思わず飛び跳ねてしまう。

 

そんな藤丸の反応を見てキアラは満足げに微笑んでいた。

 

「ほ、本当にやめてください!!あなたは一体何を考えているんですか!?」

 

藤丸はキアラの胸を押し返し、距離を取ろうとする。しかしキアラは藤丸の腕を掴み、彼を引き寄せる。

 

「マスター、ご自分の悲しみから目を背けてはいけません。貴方の悲しみは私が癒します。貴方の苦しみは私の喜び。どうかこの哀れな尼僧にその悲しみを分け与えてはくれませぬか?」

 

キアラは藤丸の頬に舌を這わせてくる。

 

「お許しくださいマスター。貴方が愛する家族の死に慟哭し、シミュレータールームで虚像のご両親と生活している姿を見れば禁欲の誓いが嫌でも揺らいでしまいます。今宵はどうぞこの尼僧に情けをおかけ下さいまし」

 

キアラは藤丸の耳元で囁くと、そのまま藤丸の唇を奪う。

 

「んん!?」

 

藤丸の口内にキアラの舌が侵入し、藤丸の歯茎や口蓋を舐め回してくる。藤丸の口から唾液が零れるが、キアラは気にせず、執拗にキスを続けていく。しかし藤丸はキアラを力づくで引き離した。

 

「ぷはっ……!ちょ、ちょっと待ってくれ!いきなりこんなことをされても困るよ!こんなもので俺の悲しみは……悲しみは……」

 

キアラの強引な行動に戸惑う藤丸だが、両親を喪った残酷な事実が胸を抉る。

 

「あらあら、まあまあ。そんな悲しい事を仰らないでください。この哀れな尼僧に全てを委ねれば何もかも上手くいきますから。マスターは何も考えずに快楽に身を任せればいいのです。ほら……」

 

キアラがそう言った直後、周囲の空間から無数の白い手が伸びてきて藤丸の身体を撫で回した。その瞬間、藤丸の全身に甘い痺れが走る。

 

「うわあああっ!?」

 

藤丸は自分の身に何が起きたのか分からなかった。そして無数の白い手は藤丸の身体を愛撫し始め、藤丸は甘い刺激に悶え始める。

 

「あ、ああ……!何だか変な気分になってきた……!止めてくれ……!お願いだからもうこれ以上は触らないでくれえ!!」

 

藤丸の懇願もキアラには通じなかった。

 

「私は腐っても魔性菩薩。有情無情の分け隔てなく、これを救うのが我が誓願。さあ、マスター。この私に全てを預けなさい。さすればマスターは救済されましょう」

 

無数の白い手は藤丸に快感を送り込み、藤丸は抵抗する事ができなかった。

 

「あ……駄目だ……。もう我慢できない……」

 

全身を駆け抜ける余りの快感に藤丸はその場にへたり込む。

 

「はい、それでは、参りましょう……」

 

そう言った直後、キアラの背中には蜘蛛の糸が張り付けられた。

 

「あら……?」

 

キアラは凄まじい力で引っ張られ、藤丸と距離を取らされてしまう。地面に蹲る藤丸の隣に、天井に張り付いていたスパイダーマンが着地して寄り添う。

 

「藤丸君、大丈夫かい?」

 

「ピ、ピーターさん……?」

 

突然現れたピーターに驚く立香だったが、すぐに我に返る。

 

「あ、ありがとうございます……!」

 

自分を助けてくれたピーターに感謝する藤丸。

 

「どういたしまして。それより彼女の方をなんとかしないとね……!」

 

ピーターはずっとこちらを見ているキアラを見据えて構える。

 

「貴方は確かアベンジャーズという別世界から来た方々の中にいた……。無粋な真似はおやめください。私は悲しみに暮れるマスターを救いたいだけです。邪魔をなさるおつもりなら容赦はしませんよ?」

 

キアラは微笑みながらピーターに言う。

 

「僕も君の事は知ってるよ。元・人類悪だって?随分大層な名前だけど、未成年者を誑かして肉体関係を迫るなんてやる事がその辺の性犯罪者と変わらないよ?」

 

ピーターの言葉を受けてもキアラは余裕の笑みを崩さなかった。

 

「私はただ、マスターを救済しようとしていただけです。ご両親の死に深く傷ついたマスターを救うのはサーヴァントたる私の役目であり義務」

 

「そういうのを人の弱みに付け込むって言うんだよ。子供に性的な行為するのは立派な犯罪。僕の国では罪は重いからね」

 

「貴方の国では、でしょう?ここはカルデア。善も悪も中庸も全て内包する世界。それに、ここで私が何かしたとしても、それはカルデアが許容する範囲内です」

 

「……驚いたね。カルデアじゃ君がマスターである藤丸君に手を出しても咎められないのか。人類最後のマスターなんだからもう少し丁寧に扱ったら?」

 

「十分過ぎる程に丁寧に扱っているつもりです。ご両親を喪った悲しみに暮れるマスターを救済するのもサーヴァントである私の務め」

 

「……その割には彼は随分嫌がってたみたいだけど?しかも周囲から白い手を出して彼を拘束してたし」

 

ピーターはキアラが白い手を出して藤丸に快楽を与えていた事を指摘する。

 

「確かにそうですが、マスターが奥手なもので少々荒療治をさせていただきました。しかし、マスターは両親を亡くした事で深く傷つき、心が折れかけています。それを癒やすには時間が必要。そこで私はマスターの心の拠り所となるべく、マスターを慰めていた次第」

 

「その気持ちは分かるけど、やり過ぎは良くないよ。彼、泣いてたじゃないか」

 

「そうですか?私はマスターの悲しみを少しでも和らげようとしたのですが……」

 

「君、自分の快楽の為に彼を利用していたんじゃないの?」

 

「ふふ、ふふふ。面白い事を仰いますね。私はただ、悲しみに暮れるマスターを救おうとしただけですよ」

 

「どうだろうね。まぁ君が信用ならない相手っていうのだけは分かったよ。同時に危険な存在だって事も!」

 

スパイダーマンはそう言うと、ウェブシューターから無数の蜘蛛の糸をキアラ目掛けて射出する。射出されたウェブはキアラの身体に付着していき、彼女の全身を覆い尽くす。

 

「あら、これは……」

 

「ちょっとばかり反省してもらうよ?」

 

スパイダーマンのシューターから放たれるウェブは鋼鉄に匹敵する強靭さを持ちかなりの粘着性を持つ。ピーターのウェブは、対象を捕獲したり拘束したりする用途にも使える。キアラはピーターの糸によって動けないかに見えた。そしてピーターはウェブを更に射出し、キアラの身体を縛り上げていく。

 

「これは……亀甲縛り。まさかこのような形で経験する事になるとは思いませんでした」

 

ピーターのウェブによって雁字絡めにされてもなお、余裕な態度を見せるキアラ。拘束されているというのに彼女の顔は笑みを浮かべている。否、それだけでなく快感まで得ているようであった。

 

「あぁ……いい。とても良いですわ。縛られるのも、なかなか悪くありませんね」

 

「うーん、何でそんなに嬉しそうなのかな?もしかしてそういう特殊性癖でも持ってたりするの?」

 

ピーターはキアラの持つ変態的な性癖に若干引き気味になり、そんなピーターに対してキアラは笑顔で答える。

 

「はい。私、緊縛されるのも好きなのです。こうしているだけでゾクゾクしますわ……!」

 

ピーターのウェブで身体を拘束されているキアラは身悶えしながらそう答えた。

 

「へぇー。僕には理解できないな。縛られて喜ぶ趣味なんてさ」

 

「あなたも試してみてはいかがでしょうか?きっと病み付きになります」

 

その瞬間、ピーターの持つスパイダーセンスが反応し、周囲から出てきた無数の白い手を宙返りしつつ間一髪で回避した。

 

「危ない危ない……!拘束した程度じゃ油断はできないみたいだね」

 

だがピーターはこうしてキアラと対峙しているだけで彼女の持つ余りの危険性を感じ取った。

 

(まともに戦って勝てる相手じゃない……!一旦彼を連れて逃げないと!)

 

ピーターはこのままキアラと戦っても敗北する事を悟り、地面に蹲る藤丸の傍まで行くと即座に抱え上げて電光石火の速さでその場を離脱した。藤丸を抱えて逃げるピーターの背中をじっと見つめるキアラ。

 

「今回は邪魔が入ってしまいましたが、いずれまたお会いする事になるでしょう。その時は是非とも私の愛を受け止めてくださいませ、マスター」

 

そう言ってウェブに拘束されている状態のままキアラは姿を消した。




藤丸君の貞操の危機に颯爽と駆けつける男、スパイダーマッ!
流石にピーター単体じゃ魔性菩薩に勝てないから撤退が賢明だね

バレンタインイベントのバッドエンド見る限り、機会さえあればキアラは躊躇なく
藤丸君を堕とそうとしてくるだろうし、今作は両親が死んでいるからその悲しみに付け入る事はしてきそう……。

しかしキアラや道満って普通にマスターにも手を出してくるような奴なのによく霊基凍結されないな……(;^_^A こんなんじゃアベンジャーズがキアラや道満達を問題視するのも納得いく気が
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