パニッシャーが人類最後のマスターと共に戦うようです 作:ドレッジキング
藤丸、マシュといるパニッシャーさんに萌えるのは自分だけ?(^_^;)
日本の二次SSでパニッシャーのオリジンをクロス先のキャラ(この作品の場合ロリンチちゃん)が見て、パニッシャー誕生の瞬間に立ち会う作品ってもしかして史上初?
第15話 ハロウィン開催!英霊達の仮装
「トリック・オア・トリート!」
可愛らしい3人の娘の声が見事にハモり、廊下に響き渡った。ジャンヌ・オルタ・サンタリリィ、ジャック・ザ・リッパ―、ナーサリー・ライムの3人がお菓子欲しさにイアソンに迫っている。肝心のイアソンの方は3人に菓子を突然おねだりされて驚いている様子だ。
「!?な、なんだあ?」
そして驚くイアソンに対して藤丸は今日がどんな日であるかを伝えてくる。
「それはもちろん!ハロウィンだからね!」
藤丸の言葉にイアソンは納得したかのような表情になる。このノウム・カルデアにおいてもハロウィンやクリスマスといった行事は行われるらしい。白紙化した地球を、そして人理を取り戻す戦いの中でも定期的にイベントや催し物をして息抜きしなければ身が持たないという事だろう。サーヴァントだとてロボットではない。疲労もするし、血も流す。不満も愚痴も口にする。ストレスも溜まるとなれば適度なガス抜きが必要という事か。
「あー。早いな、もうそんな頃なのか……」
「もうそんな頃なのです!ちなみに、先輩とわたしは既にこちらの皆さんへお菓子を渡しています。イアソンさんも選びましょう!いたずらかお菓子か!」
――――"お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!"
ハロウィンの定番であるセリフである。
「んなこと急に言われてもな……。飴ちゃん常備してるタイプの英霊じゃねーし、オレ。ていうか待て、飴ちゃん常備した英霊の方が珍しくね?オレが追いつめられる感じになってるのが、そもそもおかしくないか?」
イアソンの言葉に対してジャック達は残念そうな表情になる。
「この人……お菓子、くれない?」
「うーん、そうね。困ったわ。わたしたちの方に問題があるのかもしれないわ。やっぱり仮装をしたりして―――今日がハロウィンだってことがちゃんと伝わるようにしないといけないのかも」
確かにハロウィンといえば仮装である。それぞれが思い思いの格好をして、子供達は大人達にトリック・オア・トリートと言ってお菓子を貰いに行くのだ。しかしナーサリーの言葉に対してその場にいたパニッシャーがツッコミを入れる。
「お前さん達の衣装そのものが既に仮装に見えるんだが……」
「パニッシャーさん、そこは言わないであげてください。そこも含めての仮装ですから」
サーヴァント達が纏う霊衣自体が現代とはかけ離れた恰好をしているので、パニッシャーから見れば仮装と大して変わらないように見えた。
「マシュ、ナイスフォロー!」
そう言って藤丸はマシュの肩をポンと叩いた。パニッシャーは呆れたような表情になりながら口を開く。
「そういうもんかねえ。まあ、いいや」
「か、仮装……。うう……。となると私はお役に立てません!涙を飲んで、ここはお2人に任せます!」
サンタ・リリィがそう言うと、霊基を変えたジャックとナーサリーは姿を変える。
「な、なんだあ?霊基を変えたのか―――」
サーヴァントというのは霊基を変えれば服装や身体が変化する者も多く、ジャックはフードで身体を覆った姿に、ナーサリーは本へと姿を変えた。そして二人はイアソンに対して自分達が仮装している事を主張しながら迫ってくる。
「黒い幽霊の仮装!」
「わたしは、呪いの本の仮装!」
「お前さん達はそれで仮装した"つもり"でいるのか……(呆れ)」
またしてもツッコミを入れてしまったパニッシャー。
「パニッシャーさん……冷静なツッコミはやめて差し上げましょう……」
霊基を変えて仮装したつもりというのはそうであるが、当のジャックとナーサリーは自分達が仮装した気でいるようだ。しかしイアソンは不思議そうに二人を見ている。
「……?」
そんなやり取りが続く中、ディオスクロイの二人が通り掛かる。
「フッ。なんと、恐るべき漆黒の亡霊の姿とは――」
「兄様、兄様。呪いの本から漂う瘴気も大したものです!」
「まったくだ、ポルクス。妹よ。闇のサンタクロースらしきモノも、なかなかだ。こうも恐ろしい怪異を目にしてしまったからには、我らは覚悟を決めなければならんぞ」
仮装したつもりでいるジャックやナーサリー達の事に対する気遣いなのかは知らないが、見事な仮装だとディオスクロイなりにフォローしてあげているのだろうか。
「考えてもみるがいい!これらの怪異が口々に……」
「「「トリック・オア・トリート!」」」
「ええ、兄様。そんなことがあったら、私たち……きっと、偶然にも持ち合わせていたお菓子袋をひとつずつ渡してしまいますね!」
今日がハロウィンという事もあってか、この双子神はいつもよりノリが良い。ハロウィンの日は子供にとって特別な日であり、普段よりもハイになるのは当然の事だろう。そんな様子を見ていたパニッシャーは懐から飴玉を出すと、藤丸とマシュに渡す。
「ほら、これをやろう。お前達も俺からみればまだ子供だからな」
「ありがとうございます!」
「わぁ、ありがとうございます!」
正直ハロウィンでお菓子を貰う子供の年齢よりも高い藤丸とマシュであるが、パニッシャーなりに二人に対して気遣いを見せる。パニッシャーが二人に渡した飴玉は眠気覚ましに良く利く強烈なカフェインが入っている代物であり、徹夜する時に用いるという。藤丸とマシュはパニッシャーから渡された飴玉を口に含むと、その強烈な苦味に思わず顔をしかめる。
「……っ!」
「~~!」
「お前達には少し苦かったか?俺が愛用してる飴なんだが……」
「いえ、大丈夫です!美味しいですよ!」
「おじさんの好きなものは、俺も好き!」
二人はそう言うものの、飴玉の苦味が効いているのか表情が引きつっていた。
「そ、そうかい。なら良かった」
そしてディオスクロイのポルクスはサンタリリィ、ナーサリー、ジャッ クの3人にお菓子を渡した。
「はい。3人とも、甘いモノを食べたらちゃんと歯を磨きましょうね!」
「「「はーい!ありがとう!」」」
ポルクスに菓子を貰った3人は彼女にお礼を言うと、そのまま走り去っていった。
「去っていった。……とりあえず助かったと考えていいよな、オレ。おー、怖」
イアソンは危機が去った事にとりあえず安堵している様子だ。そんなイアソンに対してカストロが声をかける。
「フッ。どうしたイアソン。顔色が悪いぞ。百戦錬磨の船長ともあろう者が、子供には無力か?」
「もう。意地悪を言ってはだめですよ、兄様。むしろ、兄様の準備が良すぎるんです。ズボラな方ならさっきのイアソンくらいの反応でも、おかしくないというか―――」
「飴を準備してない程度でズボラは酷くねえかおまえら!」
イアソンはディオスクロイの二人の言葉に対して顔を真っ青にしながら叫んだ。
「ズボラっていうとちょっと違う気がするけど、基準をどこに置くかで話変わるよね……」
「確かに―――」
「そりゃあな!お菓子袋を常備してそなカストロに比べたらね!ズボラでしょうよ、オレは!」
卑屈になりながらもツッコミを入れるイアソン。そしてそんな彼を呼ぶ鈴の音を転がすような声が廊下の向こうから聞こえてきた。
「イアソンさま~!」
「あれ?この声はメディア・リリィかな?」
廊下を走って来たメディア・リリィは何かを抱えており、彼女はイアソンの目の前まで来ると手に持った南瓜を見せにくる。
「見て下さい、この見事な南瓜!」
「な、なんだおまえそれ……でかすぎない?」
メディア・リリィが持つ南瓜は確かに通常よりも大きいサイズだった。
「ええ、大きいですよね!私もびっくりです。実は今、すぐそこで渡辺綱さまが……」
メディア・リリィの話によれば畑仕事をしていた渡辺綱が地下の菜園で手に入れた南瓜らしい。カルデアキッチンにいるエミヤとブーディカ曰く、「煮付けにすると旨い」のだとか。そして彼は「イアソン殿と一緒に召し上げるといい」と言っていたそうな。
「だ、そうです!」
「南瓜の煮付けねぇ……」
イアソンは意味ありげな表情をしていたので、藤丸は尋ねてみる。
「おや、イアソン。何か南瓜の煮付けに思うことでも?」
「あれ、イアソン様……。もしかして南瓜はお嫌いでしたか?」
がっかりしたような表情のメディア・リリィに対してイアソンは照れた表情をしながらも「いや、別に―――」と口にした。そしてそんなイアソンの様子を見ていたカストロは笑い始める。
「はっはっはっは。見ろポルクス、イアソンは相も変わらずとしか言いようがない!」
「だめです兄様!指をさして笑っては失礼です!はあ、どうして他者の感情の機微には鋭いのに、自分のことは分からないんでしょうね、兄様は……」
ポルクスの言葉に対してパニッシャーは口を挟んだ。
「自分を客観的に見るっていうのは想像以上に難易度が高い。そういう部分は人間にしても神にしてもあまり変わりはないように見えるが?」
カストロはパニッシャーの方を見ると笑みを浮かべた。
「ふむ。その通りかもしれんな」
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「なんというか、カルデアに秋の風が吹いてるね!」
「はい、先輩!ハロウィンに南瓜に繊細な男心!ちなみに――男心の部分は女心とすることもあるようですが、江戸時代は男心バージョン、『男心と秋の空』が主だったそうです。カルデアには古今東西の英霊がいらっしゃいますし、男女の枠に収まる方ばかりではありません。ですので……この場合人の心すべてという意味でいかがでしょう?」
「その方向でいこう!」
「はい!」
ハロウィンという催し物はパニッシャーの住んでいるアメリカでも毎年恒例の行事だ。
「カルデアじゃ、こういうイベントは珍しくないのか?そりゃ息抜きは必要だが、もう少し大人しくしてもいいと思うんだが」
「戦いが激しいからこそ、こういった催し物を開いて楽しむのではないでしょうか」
確かにパニッシャーがベトナムに派兵されていた時でさえ、現地の米兵達はクリスマスを祝っていた。戦いばかりで身が休まらないのでは、いずれは心身ともに疲弊してしまうだろう。パニッシャー自身、犯罪者に対する自警活動を始めて以降、まともにクリスマスもハロウィンも楽しめた時は無かった。こういったイベントは家族と共に楽しむものであり、一人で過ごすものではない。
「俺はもうクリスマスもハロウィンも心から楽しめなくなった身だ。一緒に楽しんでくれる人間はもういないからな……」
「あ……、すみません……。お辛いことを思い出させてしまいました……」
パニッシャーは首を横に振って否定する。
「いや、いい。もう慣れた事だ」
パニッシャーはふと藤丸の方を見ると、顔を俯かせていた。そう、藤丸自身の家族はもう……。
(……しまった。俺が余計な事を言ったばかりに)
パニッシャーは藤丸を慰めようと彼の肩に手を置く。
「すまん立香。今のは忘れてくれ」
そんなパニッシャーの気遣いに対して、藤丸は笑顔で答えてくれた。
「大丈夫だよおじさん。俺はもう、前を向いて歩き始めたんだ」
「……そうか。なら、良かった」
そんな二人を見ていたマシュは微笑む。だがパニッシャーから見れば未だに藤丸は両親の事を引きずっているように見えた。そしてマシュが食堂にいる仮装したサーヴァント達を指差しながら言う。
「見てください、先輩、パニッシャーさん。仮装してる英霊の方々が、たくさん!」
マシュが指差した方向を見ると、ファントム、ジルドレェ、エウリュアレ、アステリオスの4名がそれぞれ仮装をしており、道化師やミイラ男に扮していた。
「ハロウィンの仮装といえばモンスター系、という定番を抑えた見事な仮装です!」
「道化師って怖い系なのかな?」
藤丸は道化師をモンスター系に当て嵌めているマシュに対して疑問を投げかける。
「人によっては相当に苦手、と聞きますね。わたしは大丈夫です!」
「俺の故郷のアメリカにはピエロに扮した殺人鬼……ジョン・ウェイン・ゲイシーなんて奴までいる。それにピエロ恐怖症なんていう病気まで存在するぐらいだからな」
「パニッシャーさん、道化師――所謂クラウンとピエロは同じ存在に見えますが実際は違うものなのです。簡単に言えば、クラウンの種類の内の一つをピエロと呼ぶそうです」
マシュの説明を聞いたパニッシャーは納得した表情を浮かべる。
「おじさん、マシュに一本取られたね!」
藤丸が嬉しそうな表情をすると、パニッシャーは少し照れくさくなった。そして3人は他のサーヴァント達が仮装している様子を見始める。
「「ハッピーハロウィン!!」」
アン・ボニーとメアリー・リード。略してアンメアの二人が不思議の国のアリスのアリスとウサギに扮した仮装をしていた。
「わっ、わわっ。青いドレスを着た少女に紳士のウサギ!『不思議の国のアリス』の仮装です、先輩、パニッシャーさん!」
そしてアンメアは藤丸を見ると、明るく声を掛けてきた。
「マスター、気を付けてね。僕のお菓子を食べると……」
「大きくなったり小さくなったりして大変だから、やめといたほうがいいですわよ~」
「あ、言っちゃった」
「効果も『不思議の国のアリス』のまんまなの!?」
このカルデアにいるサーヴァントの力やスキルを用いれば不思議の国のアリスに出てくるお菓子と同じ効果がある代物を作り出すなど造作もないだろう。まして彷徨海という設備や資源がある環境なら尚更だ。童話の中のアイテムを現実世界で再現させられるカルデアの技術は驚嘆に値すると言っていいだろう。
「すごいです!何と興味深い……。で、ですが我慢です。ここで巨人化してしまっては些か迷惑ですし!」
そして次はファラオであるオジマンディアスと、英雄アーラシュがSF世界のキャラクターに扮した仮装をしている光景を見る。そして仮装したオジマンディアスは自らを宇宙皇帝と称して役柄になりきっている。
「何だあれは?宇宙皇帝とか抜かしてるが、ダース・シディアスの出来損ないだろ」
「だ、ダース・シディアス……?どの童話の人物かは存じませんが、"出来損ない"という単語がオジマンディアス王に聞こえたら大変な事に……」
スターウォーズのキャラクター名なのだが、流石にマシュや藤丸のいる世界には存在しない作品のようだ。そして藤丸、マシュ、パニッシャーの元に仮装したイリヤが近づいてくる。
「あ!マスターさん!マシュさん!トリック・オア・トリー……」
そう言いかけたイリヤだが、パニッシャーを見ると引きつった表情になった。
「な、なにこれ……。す、すごく怖い……」
パニッシャーは自分が怖がられている事に対して、あまり気にしていない様子だった。そもそも並行世界とはいえ冬木では一度会っておりあそこで彼女を……。
サーヴァントは基本的に記憶を引き継げないとはいうが、目の前にいるイリヤは明確にパニッシャーに対して明確に恐れの感情を露わにしている。恐らく一部とはいえ記憶ないしトラウマを引き継いでしまったのだろうか……?英霊の座のシステムについてはイマイチ分からないが、とりあえずイリヤがパニッシャーに恐怖しているのは確かなようだ。
「よう、俺に何か用か?」
パニッシャーは威圧的にイリヤに対して話しかけた。
「ひぃ……!!ご、ごめんなさい……!!」
そんなパニッシャーに対して泣きそうな表情をしたイリヤはその場から退散した。そんな彼女の後ろ姿を見てマシュは心配そうな顔を浮かべる。
「あの……、パニッシャーさん。少しだけ、やりすぎでは……」
「俺は以前、一度あのクソガキには会ってる。まぁ、こことは違う並行世界での話なんだが、そこで色々とな……」
藤丸もマシュも、パニッシャーとイリヤの関係については深く追求する事はしなかった。そして色々なサーヴァントの仮装を見物していたが、マシュ達の元に仮装したアイリスフィールがやってきた。美しい銀髪の長い髪の毛をした美女であるアイリスフィールは、露出度の高いセクシーな仮装をしている。プロポーションもかなり良い方で、藤丸とマシュは顔を赤くしていた。
「アイリさん刺激的……!」
「はい!あまりのその、大胆かつ刺激的な仮装に一部英霊および職員の方々が引き寄せられています!この勢い、マタ・ハリさんに並ぶほどの……」
「あの女、ハロウィンとサンバを間違えてないか……?」
パニッシャーのツッコミに藤丸とマシュが思わず吹き出す。
「さ、流石にそれは無いと思いますけど……。でも、確かにあの衣装だとサンバに間違われてもおかしくないかと……」
藤丸とマシュがそう言うと、パニッシャーも苦笑いを浮かべる。このカルデアも滞在していれば随分と楽しい場所なのだと分かる。パニッシャーは自分の右腕に装着しているストレンジから手渡された金色のブレスレットを見た。
(……ハロウィンにこれを使う必要はないだろう)
ハロウィンという催し物に金色のブレスレットは必要ないと考え、藤丸とマシュの二人と一緒に英霊達の仮装を見学する事にした。
穏和化したように見えるけど、藤丸君が傷付けられたらその瞬間にパニッシャーとしての顔を見せますよ〜。それを考えると今回のハロウィンの黒幕は……(^_^;)