パニッシャーが人類最後のマスターと共に戦うようです   作:ドレッジキング

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今回の特異点の黒幕モレー登場。そしてパニッシャーさんが周囲からツッコミを受けてしまう……(^_^;)


第20話 ジャック・ド・モレー

「おじさん、起きて!おじさん!」

 

藤丸はテーブルの上で寝ているパニッシャーの身体を揺すり、起こそうとする。

 

「んあ?何だぁ……?」

 

パニッシャーは欠伸をしつつ、瞼を開けた。そこには藤丸、エリザベート、ゼノビアの3人が立っていた。

 

「やっと起きたわね。この寝坊助さん。天岩戸が開いたから先に進めるわよ?」

 

どうやらチェイテシンデレラ城への道が開いたらしい。パニッシャーは寝ていたのでどういった方法で道を開けたのかは知らないが、とりあえず藤丸達と一緒に先に進む事にする。パニッシャーは藤丸達と共に盗賊団のボスであるシェヘラザードが開いた天岩戸を通っていく。

 

「おじさんはお酒を飲んで眠っていたから、エリちゃんの唄を聞けなかったね」

 

「ん?歌なんて唄ってたのかお前?」

 

パニッシャーはそう言うとエリザベートの方を見る。すると彼女は自慢げに胸を張っていた。

 

「そうよ~♪寝ていた貴方には~、私の歌声が聞こえなかったでしょうけどね~」

 

「今度聞かせてもらうとするさ」

 

こうして藤丸達は盗賊団のアジトである山岳地帯を抜け、今度は森の中へと足を踏み入れた。鬱蒼と茂った木々が行く手を阻み、森は昼間だというのに薄暗い。しかもどことなく童話に出てくるような森という感じがした。

 

「砂漠の旅が終わったと思ったら……」

 

「今度は森ね。しかもなんかメルヘン&ファンタジーな感じ!いいじゃナイ、とっても私好みよ」

 

エリザベートはそう言うが、ゼノビアはそう感じてはいないようだ。

 

「メルヘン…メルヘンなのか、コレ……?メルヘンという割には、どことなく不気味さが……」

 

「そう?とってもブラッディファンタジーで素敵だと思うけど……」

 

「お前年齢いくつだ……そういうのにときめくのは小さい子供時代だけにしておけ……」

 

パニッシャーは自分たちがいる森に対してメルヘン&ファンタジーを感じているエリザベートに対して呆れていた。

 

「いいじゃない別に。私は可愛いものが好きなの。それに、こういうのは楽しんだ者勝ちなんだから。楽しまなきゃ損よ。でしょ?まぁ、感性は人それぞれだけど、子イヌはこの森、どう?」

 

「それなりにメルヘン?」

 

「そ、そうか……そういうものなのか……。当世のセンスは私には理解し難い……」

 

ゼノビアが生きた三世紀の時代に童話やメルヘンといった概念は存在しない。それ故にメルヘン世界に喜ぶエリザベートがイマイチ理解できないのだろう。

 

「ゼノビアはこの森に来た事は?」

 

「ない、砂漠のあそこで手間取っていてな。ただ、噂だけは聞いた事がある。この森は妖しの森。一度入り込めば生きて出られる保証バッチリの安全かつデンジャーな森である、と」

 

「安全なのか危険なのかどっちなんだ?」

 

「なにそれ」

 

パニッシャーとエリザベートの二人はゼノビアの説明に困惑していた。

 

「うむ、そうだな。まさに何ソレ?だ。妖しの森はわかるが、生きて出られるのは何故だ。分からない……」

 

"生きて出られる"とは言っても『五体満足』という状態でないという意味かもしれない。もしかしたら廃人同然の状態になるとか、あるいはゾンビのような状態になってしまうのかもしれない。……最もゾンビの場合は既に死んでいるのだが。

 

「"生きて出られる"という言葉に惑わされない方がいいぞゼノビア。こういう場合は大抵、ロクでもない事になる。生きて出られると言ってもその代償に記憶を奪われるとか、持ち物を奪われるとかそういった類いのオチだろう」

 

「う、うむ……確かにその通りだ。"生きて出られる"をそのままの意味で真に受けるのは危険だ。肝に銘じておこう」

 

「まあでも嬉し楽しいハロウィンだし、そういうコトもあるんじゃ~ないかしら~♪まずはとにかく~森に入ってみましょうね~♪レッツラゴ~レッツラゴ~♪」

 

パニッシャーとゼノビアをよそに、メルヘンな森にテンションが上がっているエリザベートは相変わらず楽しそうに鼻歌を歌いながらスキップをしていた。

 

「ハァ……まあ、どの道避けられぬ森か。よし、万全の態勢を整えて……いざ、出陣!」

 

そう言うとゼノビアとエリザベートは跳躍して先に進もうとするが、先走る二人を藤丸が止める。

 

「ちょ、ちょっと待ってー!みんなで仲良く行こう!」

 

藤丸の言葉を受け、ゼノビアは即座に戻って来た。

 

「す、すまない。先走ったな。弱き者を見捨てないのが真に強き戦士女王だ。よし、共に行こう。汝の身は私が守る」

 

ゼノビアの言葉を聞いたのか、エリザベートも舞い戻って来た。

 

「待って、それは私の役割~♪」

 

二人は藤丸を護るのは自分だと言わんばかりに張り合っている。

 

「あ、ありがとう。二人とも」

 

藤丸はエリザベートとゼノビアの二人に礼を言った。

 

「どういたしまして~♪」

 

エリザベートは嬉しそうに笑っている。

 

「待て、ここは俺が立香の護衛を引き受けよう」

 

「ここはサーヴァントである私たちに任せなさい。アンタはただの人間だし、肉体の脆さは勇気や根性じゃカバーできないわよ?だから大人しく引っ込んでおきなさい」

 

エリザベートなりにパニッシャーの事を気遣っての発言なのだろう。しかしパニッシャーは引き下がらない。

 

「俺は立香を護る義務があるんだ。コイツには色々と大きい借りもあるからな……」

 

パニッシャーはエリザベートの忠告を聞き入れず、藤丸の傍に立つ。

 

「あら、そう。じゃあ勝手にしなさい。……けどなんだかアンタって子イヌの保護者みたいね。まるで本当のパパみたい」

 

エリザベートは皮肉交じりにそう言った。

 

「む……そうか?いや、俺は別にそんなつもりは……」

 

彼女の言葉にパニッシャーは困惑した。隣にいる藤丸に顔を向けると、こちらを見て微笑んでいる。

 

「え、なに?もしかして本当にそうなの?冗談のつもりだったんだけど~♪」

 

「んなわけあるか。まぁ、保護者代わりというのは間違いじゃないがな……」

 

「へぇ~、そうなんだぁ~」

 

エリザベートはニヤニヤしながらパニッシャーと藤丸を見ていた。

 

「それじゃ行きましょ!進まなきゃチェイテシンデレラ城へは辿り着けないわ!」

 

そう言ってエリザベートは森の中を進んで行き、藤丸達も彼女の後を追う形で付いて行く。森の中は不気味で、まるでモンスターでもいるような雰囲気を漂わせている。

 

「菓子のように何とも甘い匂いだな……」

 

「あら、花よ。花だわ。色とりどりの大きなメルヘンフラワー~♪」

 

そう言ってエリザベートは前方にある巨大な花……ではなく花の形をした異形のモンスターへと近づいていく。

 

「花じゃない!花じゃないから!」

 

モンスター達は巨大なヒトデのような形で、花の部分は見る者が生理的嫌悪感を催すような形と色をしている。そんなモンスターが三体もおり、エリザベートは藤丸の警告も耳に入らず、近寄っていく。そして花のモンスターはエリザベートを一瞬で丸呑みにしてしまったではないか。

 

「確かねそうね~♪丸呑みされたわ~助けて~♪」

 

花のモンスターに丸呑みされた状態にも関わらず、歌交じりの言葉を発しているせいで緊迫感ゼロに見えてしまう。

 

「全く……、ハロウィン気分で浮かれているからだ…!」

 

するとパニッシャーの右手の甲の令呪が光り輝いたではないか。

 

「来い!ガレス!!」

 

カルデアに召喚されているサーヴァント達を一時的に召喚し、敵と戦わせるシステム――所謂『シャドウサーヴァント』である。あくまでも緊急用であり、普段は魔力の消費を抑えるために使用しないのだが……。そしてパニッシャーの言葉と共にシャドウサーヴァントのガレスが出現し、花型のモンスターへと突撃していく。

 

「おじさん、ガレスを召喚できたんだ!?」

 

藤丸はガレスをシャドウサーヴァントとして召喚したパニッシャーを見て驚く。

 

「ああ。一応アイツとは契約を結んでいるんでな!」

 

シャドウサーヴァントに意思はなく、あくまで一時的な召喚によって使役される存在だ。しかし、それでもなおパニッシャーはガレスを呼び出した。ガレスは持っている槍を用いて花型のモンスターを攻撃し、瞬く間に三体とも撃破する。そしてガレスはモンスターの死体から出てきたエリザベートを救出し、彼女を抱き抱えて、パニッシャー達の元へと運ぶと、そのまま消滅した。そしてエリザベートはフラフラと起き上がる。

 

「し……死ぬかと……思ったわ~♪」

 

「こっちも心臓が止まりかけたぞ。なぜ突撃する、なぜ呑まれる……」

 

エリザベートがホイホイと花型のモンスターに近付いた事にゼノビアは呆れ顔だ。

 

「ちょっとメルヘンなお花を見つけたから、つい魔が差して……」

 

「あれをメルヘンだと思えるお前の頭の中は一体どうなっている?どう見てもただの気色悪いヒトデの魔物だっただろう」

 

パニッシャーはエリザベートに辛辣に言い放つ。

 

「もう、そんな事言わないでよ。それに、あなたもあのモンスターを倒せたんだからいいじゃない。……まぁ、こうして俯瞰してみれば確かに花じゃなくてヒトデだわ……」

 

そうしていると、森の中から獣のような声が響いてくる。森には先程のヒトデの魔物だけでなく多くの怪物が潜んでいるという事か。

 

「今の戦いで魔獣たちの注意を引いてしまったか?静かに、用心して進むことにしよう」

 

「そうね~♪」

 

「静かに、用心して、だ!」

 

「はぁい……」

 

ゼノビアに注意され、エリザベートはしょげた様子で返事をする。エリザベートは不用心にヒトデの魔物に近付いた所を丸呑みにされ、パニッシャーに助けられたのだ。彼女も反省しているのか、少し大人しくなった。気を取り直して4人は森の奥を進んで行く。だが暫く歩いている内にエリザベートはおかしい事に気付いたようだ。

 

「……あれ?」

 

「どうした?」

 

「この道、さっきも来なかった?」

 

「どこも同じような風景だ。気のせいではないか?」

 

「ううん、この枝振り、何となく覚えてる。100%かって言われたら自信はないけど」

 

エリザベートは不安そうな表情を浮かべている。

 

「念のため、何か印でも付けておこうか?」

 

藤丸がそう言うと、ゼノビアは自分の着ている布の部分を破り、その布きれを枝に巻き付けて目印にした。印を付けた後、4人は再び歩き始める。だが予想通りというべきか、布を巻いた枝の所に戻ってきてしまった。

 

「予想通りね~♪これは偶然ではないわ~♪」

 

エリザベートはいつもの調子で歌を交えて言った。

 

「しかも、巻いた布が1メートル以上も上方に位置している。私たちが1周ぐるっと回っている間に樹木が成長した、という事になる。これは……マズいぞ。方向感覚が掴めないのは魔術なり結界なりのせいかもしれないが、急速成長する木々はその厄介さを加速させる」

 

「どうしようかしら~♪子イヌ~名案を~ちょうだい~♪」

 

「名案と言われても……」

 

「いっその事火でも付けるっていうのはどうだ?森を全て焼き払えば、少なくとも迷わないで済むだろう」

 

「ちょ!?流石に森林火災なんて起こしたらダメでしょ!?」

 

「パニッシャー、そんな事は私が許さんぞ!」

 

エリザベートとゼノビアはパニッシャーの提案に驚いた。幾らなんでも力技過ぎる。

 

「冗談だ。流石にそれくらいは分かっている」

 

パニッシャーは真顔でそう言った。

 

「いや……おじさんだったら平気でやりそうなんだけど……」

 

「おいおい、俺はそこまで野蛮じゃない。ちゃんと考えて行動してるさ。さて、どうする?このまま当てもなく歩いていても埒が明かん。そろそろ何かしらの対策を練っておかなきゃな」

 

パニッシャーがそう言うと、どこからか笑い声が聞こえてきた。声からして女だ。

 

「ふっふふふ。その程度でこの迷妄の森を抜けられるとは思わないことですねー」

 

突然地面から黒い炎が噴きあがったと思うと、その場に立体映像に映った女が現れたではないか。整った顔立ちにウェーブがかったショートボブの白髪、肌は病人やゾンビを思わせる不気味な黒色だった。彼女が掛けているアンダーリムの眼鏡の奥には金色の瞳が輝いており、本人はセクシーな黒いドレスを身に纏っていた。……それに頭部には二本の角が生えている。顔だけ見れば美女ではあるのだが、あくまでも"顔だけ"見ればの話である。セクシーな衣装を纏っているが、肌の色と頭部の角、金色の瞳がこの女が人間ではない事を示していた。

 

「ふっふふふー……。無策無謀、あまりにも甘々なシロップ漬けな方針。放置プレイの予定だったけど、路線変更。容赦なく現実を突きつけるとしましょーか。あたしは……そうですね。ジェーン……と呼んでくだされば」

 

「カラミティ・ジェーン……!」

 

藤丸の言う通り、カラミティ・ジェーンという名のサーヴァントは既にカルデアに召喚されているので、名前が被っている。それを聞いた白髪の女は別の名前を挙げて。

 

「いるのかー、ジェーン。そっかー。それはややこしくなるから……じゃあ仕方ないな、ジャ……ジャック、ジャックで!」

 

「ウチには既にジャックがいるんですがそれは」

 

「ウーララ!だよねー!?これもう、しょうがねーな!あたしの名は、ジャック・ド・モレー!この特異点を引き起こした犯人であり、この特異点の主なんですぅー!」

 

特異点の黒幕という割には、今一つ威厳や凄みが足りていない。

 

「おい、モレーとか言ったか?今すぐに俺達をチェイテシンデレラ城とやらに連れていけ。そうすれば大目に見てやる」

 

パニッシャーは立体映像のモレーを取るに足らない小悪党と思い、自分なりの最大限の温情を提示する。しかし、パニッシャーのそんな態度が気に障ったのか、彼女は不機嫌な表情を浮かべた。

 

「はぁー?何言っちゃってるのかなー、キミは。そんな事したら面白くないじゃん。もっとこう、命乞いしたり、泣き叫んだり、絶望に打ちひしがれたりするのがいいんじゃん。そういうのを求めてるんだよ、あたし。わかる?」

 

モレーはパニッシャーに対して挑発的な態度を取る。パニッシャーはそんな態度に苛立ちを覚えたが、今は感情的になってはいけないと自分に言い聞かせた。

 

「それで、わざわざ我らの前に姿を現したのはどういう訳だ?」

 

ゼノビアは立体映像越しのモレーに対して問いかけると、彼女は不適な笑いを浮かべながら言う。

 

「ふっふふふー。皆さんに絶望と微かな希望を与えるためさ」

 

「どーうーいーうーこーとー♪」

 

「……そっちのエリちゃんも(・・・・・・・・・・)唄うの?なんで?まーそれはともかくだ。この迷妄の森には、あたしの魔術が敷かれている。一度、足を踏み入れたならば、もはや出ることはかなわず!」

 

モレーがドヤ顔で森についての説明をしていると、立体映像の彼女の後ろにもう一人のエリザベートがいるではないか。それを見た藤丸は仰天する。

 

「なんかいるー!?」

 

「ふっふふー、さまよってさまよって行き着く先はこの世の果ての果て……。苦しみ、藻掻き、震え、病み煩い、そして最期には絶望の嘆きが――」

 

モレーが自信満々で言っている後ろで、もう一人のエリザベートが動き回っている。モレーはその事に全く気付いていない様子だ。だが藤丸はどうしてもモレーの後ろにいるエリザベートが気になって仕方ない。

 

「あの、ムッシュ?すみませんが、人がシリアスに話しているのに目線が浮つくのは失礼かと思うのですけど?」

 

モレーの言葉に対して返答できない藤丸に対して、ゼノビアが指摘してやる事にした。

 

「……仕方あるまい。空気を読まずに、私が指摘しよう。ジャック・ド・モレー。貴様の後ろにエリザベートがいる!」

 

ゼノビアに言われてモレーはようやく後ろを向く。

 

「ぴぃやぁぁー!!ホントだーーメルシーー!!ノンノン、ちょっと出てきちゃだめだって!今は大事なお話してるから!」

 

「助けて子イヌ~♪私は~囚われの~♪」

 

「いーーいーーかーーらーー!」

 

そう言うとモレーはもう一人のエリザベートを押しのけた。

 

「と、ともかくさぁー!その森から抜けられるなんて思わないこと!永遠にさまよい続けるがいいわ!」

 

モレーの言葉を受けて、パニッシャーは携帯型の火炎放射器を懐から取り出し、森の木々に噴射し始めた。

 

「そうか、なら燃やしてしまおう。森が全部燃えれば迷う事もないからな」

 

しかしパニッシャーの暴挙に、モレーを含め、その場にいた全員がツッコミを始めた。

 

「何やってんの!?馬鹿なの!?馬鹿でしょ!?そこ、火気厳禁なんですけどぉー!!」

 

「黒イヌ!?アンタ、正気なの!?頭おかしいんじゃないの!?」

 

「パニッシャー!お前というやつは……!私の話を聞いていなかったのか!?燃やすなと言っただろう!」

 

「おじさん!!落ち着いて!お願いだから!」

 

パニッシャーはエリザベート達の罵倒を無視して、再び火炎放射器を点火する。すると、モレーが立体映像越しにパニッシャーに抗議してきた。

 

「勝手に火ィ付けないでくんない!?危ないじゃんか、もーう。まったく。キミは人の話を聞かずに行動するタイプだね。そういう奴って嫌われるよ?あたしはキミみたいなの嫌いだけど」

 

モレーは勝手に迷妄の森に火を付けて火災を引き起こそうとしたパニッシャーに対して毒を吐く。

 

「勝手にお前が俺達をこの森に迷わせてるのが悪い。なら脱出方法を探すのは当たり前だろう?」

 

「だからって森を燃やす事ないでしょ!!あーもう、信じられないわ。これじゃあ、いつまで経っても帰れないじゃない」

 

「帰る為に俺は森を燃やそうとしたんだ!それをお前たちが止めるから……」

 

「限度ってモンがあんのよ、バカ!」

 

「なんだと……!」

 

「なによ!」

 

パニッシャーとエリザベートの2人は互いに睨み合い、火花を散らしている。そんな時、モレーが口を開いた。

 

「あの~、あたしそっちのけで仲間割れしないでくれる?あと、喧嘩するなら他所行ってよね」

 

「モレーに同じだ……。お願いだから森を燃やすという短絡的な行動に走らんでくれ……」

 

そしてモレーの後ろにいるもう一人のエリザベートも立体映像に映り込んだ。

 

「助けに来なさいよね~♪」

 

「ああもう!大人しくしてなさい!!」

 

そうモレーが叫ぶと同時に立体映像が消えた。

 

「立体映像が消えたか……。しかし話には聞いていたが本当にエリザベートが2人いるとは……。人は分裂しないはずだ。なのに何故……!」

 

「映像のエリザベートを見る限りでは、所謂オルタのような"別側面"と言う感じでは無かったな。俺達と行動しているエリザベートと同じシンデレラ仕様のドレスを着ていた」

 

ゼノビアの言葉に対してエリザベートは反応する。

 

「するのよ、分裂したり合体したり。果ては私をベースにしたメカが組みあがっていたり。2機」

 

信じられないかもしれないが、サーヴァントというのは人間の常識が通用しない存在だ。オルタなり別側面なりがある時点で、分裂しても何ら不思議ではない。

 

「世迷言にしか聞こえないが……本当なんだろうな……」

 

「そうね。今回は胴体あたりですぱっと切断されて下半身から上半身が、上半身から下半身がみょむみょむと生えてきたんじゃないかしら。私ならいける!」

 

「お前の肉体はヒトデなのか?そうなのか?」

 

切った部分から増殖するとはヒトデ以外の何物でもない。しかしエリザベートはパニッシャーの言葉に不機嫌そうな顔をする。

 

「失礼ね!そんなわけないでしょ!」

 

「切断した部分から他の部分が生えてくるのはヒトデそのものだろ……。ひょっとしてさっきヒトデ型の魔物に襲われたのも、お前のその体質に関係が……」

 

「違うって言ってるでしょ!そもそも例え方がおかしいわよ!」

 

エリザベートはパニッシャーに食って掛かる。そんな時、ゼノビアが間に入って仲裁した。

 

「まぁ待て。話が進まない」

 

ゼノビアの仲裁によってエリザベートとパニッシャーは落ち着きを取り戻す。

 

「恐らくだけど……、半減している私のシンデレラとしての力。言うなればシンデレラ・パゥワーみたいなもの?彼女と一つになれば完全体になるのよ!」

 

モレーの後ろにいたもう一人のエリザベートは、今藤丸たちと行動を共にしているエリザベートの片割れという事らしい。

 

「ちなみに根拠は一切ないわ!」

 

「「「ないのか!!」」」

 

エリザベートの言葉に、藤丸、ゼノビア、パニッシャーの台詞が絶妙なタイミングでハモってしまう。

 

「まあ、いずれにせよまずはこの森を抜けてからの話だが……。しかし、あのモレーとかいう女の言葉が正しければ、我らはどうしたものか……」

 

ゼノビアが言い終わると、エリザベートは何かに気付く。

 

「……?ねえ、3人とも。音が聞こえないかしら?」

 

森の奥から何かの金属音がぶつかり合う音が聞こえてくる。音からして剣戟戦だ。しかし何故森の奥から……?

 

「剣の音からすると、魔獣同士の争いというわけでもあるまい。同じく迷子かもしれないが、何もせず、じっとしているよりは良かろう。行くぞ!」

 

「勇気凛々いざ進め~♪」

 

「いざ進め~♪」

 

藤丸はエリザベートのノリに合わせて歌を歌いながら、音のする方へと走っていき、パニッシャーも同行した。




今回ガレスちゃんを影鯖として召喚できたパニッシャーさんですけど、「アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです」の番外編を見ないと何故彼女を召喚したのかが分かりにくいと思いますね……。


それはそうと、出られない森であれば燃やすっていうのは如何にも力技……。
自然破壊はやめようね( ̄▽ ̄;)
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