パニッシャーが人類最後のマスターと共に戦うようです   作:ドレッジキング

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お待たせしました!第22話の投稿です!
今回はマーベルからゲストヴィランが登場しますよ~

そういえば二部のオープニングである逆光と躍動の歌詞にはパニッシャーさんにも当て嵌まる部分があるような気がするけど、どうなんだろう?


第22話 "赤ずきん"と"足ながおじさん" 前編

「ほら黒イヌ、起きなさい。朝ご飯の時間よ!」

 

エリザベートがそう言いながら、床で寝ているパニッシャーの体を揺すって起こそうとする。

 

「ん~……?」

 

寝ぼけ眼で目を覚ますパニッシャー。目を開けるとそこにはエリザベート、ゼノビア、藤丸、モードレッドたちがいた。

 

「コイツが家の外で唄うもんだから魔物共が寄ってきて、そんで戦闘になってたんだけどオッサンは寝てたから気付かなかったんだな」

 

どうやら話によればエリザベートが夜に家の外で唄っていたせいで森に住む魔物が寄って来てしまい、やむを得ず戦闘になったのだという。家の外で戦闘が起きていたにも関わらずパニッシャーは寝たままだったので全く気付けなかったのだ。

 

「ゼノビアも黒イヌと同じく家の中で寝てたから気付かなかったのよね~♪」

 

エリザベートはがそう言うと、ゼノビアは恥ずかしそうに頷いた。

 

「起こしてくれりゃ俺も戦闘に参加してたんだがな……」

 

「あら?もしかして私に起こされたかったワケ?」

 

エリザベートがニヤニヤしながら言うと、エリザベート以外の全員も笑った。

 

「パニッシャー、貴方の活躍の場を奪ってしまったようで申し訳ない」

 

デオンはパニッシャーに対して詫びる。

 

「いや、別に気にしてないさ。むしろこんな所で呑気に寝てて悪かったくらいだ」

 

そう言いつつパニッシャーも笑う。そして朝食の時間が来た。料理はベディヴィエールや藤太の担当のようで、テーブルには様々な種類のパンが並べられていた。そしてテーブルの上には目玉焼きとベーコンとサラダが置いてある。

 

「さぁどうぞ。お召し上がりください」

 

藤丸たちは椅子に座り朝食を食べ始める。藤太の宝具もそうだが、出される食事は意外に豪勢だ。サーヴァントは食事をしなくても活動できるが、自分から率先して料理を作る者もいる。カルデアキッチン組などがその良い例だ。やはりサーヴァントとはいえ元々は人間なので、食べなくともよい身体になろうとも美味い食事を堪能したいのであろう。そもそも人間の歴史と食の歴史は切っても切れない関係にあるのだ。人類は何千年という歴史をかけて料理というものを進化させてきたわけだし、味覚の貪欲さにかけては他の生物を凌駕する。人間が食べられる物が他の動物に比べて非常に多いというのもあるが……。

 

「美味しいですね!このトースト!」

 

藤丸は笑顔で言う。エリザベートたちも朝食を楽しんでいると、ベディヴィエールが口を開いた。

 

「それではこの森を抜ける方法ですが、この森の主を倒すことです」

 

「森の主……?」

 

藤丸はベディヴィエールの言葉に反応する。この魔物だらけの森には主がいるという事か。

 

「ええ。恐らくは貴方たちが出会ったという黒幕。ジャック・ド・モレーによって配置された敵なのでしょう。この森の主は"あしながおじさん"と"赤ずきん"。この二人がこの森の主なのです」

 

ベディヴィエールの言葉に思わず「は?」という言葉を口にする藤丸。そして他の面々も同じ反応をする。

 

「あのー、それってどういう組み合わせなんですかね……?」

 

藤丸は困惑気味に尋ねる。"あしながおじさん"と"赤ずきん"といえば有名な児童文学のキャラクターではないか。最も、この特異点の持つ性質を考えれば合っているのかもしれないが。

 

「赤ずきんとは言いますが、性別は成人男性です。そして彼は"あしながおじさん"とタッグを組んでこの森から出させないようにしているのです」

 

性別が男の"赤ずきん"とは冗談がキツイとパニッシャーは思った。

 

「えっと……その二人はサーヴァントなんですか?」

 

この特異点に召喚されたサーヴァントの面々とこの特異点の性質によって設定された彼等の配役を考えれば、"あしながおじさん"と"赤ずきん”も当然ながらサーヴァントなのだろうと藤丸は予想した。だがベディヴィエールは首を横に振る。

 

「いえ、彼等はサーヴァントではなく"人間"です。"赤ずきん"の方は魔術師のようですが、"あしながおじさん"も普通の人間とは言い難いのですが……」

 

"赤ずきん"と"あしながおじさん"の二人はサーヴァントではないようだ。"赤ずきん"は元々この特異点にいた魔術師で、ジャック・ド・モレーと手を組んだのであろうか……?

 

「これまで我等は数度、奴等と刃を交えた。正直に言えば"赤ずきん"の方は大した事はない。だが"あしながおじさん"の方は別格だ。何せ我等の攻撃の一切が通じないのだからな。人間がサーヴァントの攻撃を受けて無事でいられる筈がないにも関わらず奴は無傷だった」

 

「あのハゲ親父はオレの宝具を受けてもノーダメージだった。それどころか益々強くなりやがったんだ」

 

どうやら"あしながおじさん"とやらは相当の強敵らしい。そしてそれと同時に人間でありながらモードレッドのようなサーヴァントを圧倒する程の力の持ち主である。

 

「……連中が何者なのかはこの際、置いておこう。どうだい皆の衆、このお嬢さんとそのマスターと世界を救う為に、森を駆け抜ける旅の供回りに興じたいやつは?」

 

ナポレオンはエリザベートと藤丸を見ながら、モードレッド達に尋ねる。仲間は多いに越した事はない。

 

「もちろん構いませんが、全員というわけにはいかないようですね……」

 

「あぁ、そうだね。森の魔獣が大挙して砂漠に押し寄せたりその逆も考えられる。それを抑え込む者も必要だね。3騎、いや2騎か」

 

流石に全員で藤丸とエリザベートに同行するわけにもいかないようで、留守番をする者も必要のようだ。ベディヴィエールとデオンは互いに頷き合う。問題は誰が藤丸たちと同行するかだが……。

 

「とりあえずジャンケンで決めっか」

 

モードレッドはジャンケンで藤丸たちに同行するサーヴァントを決めるべく、藤太、ナポレオン、デオン、ベディヴィエール、綱、ロビンフッドが集まり、一斉にジャンケンを始めた。

 

「「「「「「「ジャンケンホイ!!」」」」」」

 

その結果、藤丸やエリザベートに付き添う事になったのはナポレオンとモードレッドの二人あった。

 

 

 

**************************************************************

 

 

 

「つーわけでオレと……」

 

「オレだ!よろしくな!」

 

ジャンケンに勝利したナポレオンとモードレッドは藤丸、パニッシャー、エリザベート、ゼノビアに同行する事となり、共に行動する事となった。実力的に言えば申し分ない二人であり、心強い味方が増えた事に藤丸は安堵し、喜ぶ。

 

「二人ともよろしく!」

 

「白馬の騎士は~♪もうちょっと繊細な感じの方が~♪」

 

ナポレオンは皇帝だし、モードレッドはアーサー王の嫡子ではあるが、立場は王子という感じではない。

 

「白馬なんて乗らねぇぞ、目立つし」

 

「オレは乗ってたぞ!」

 

ナポレオンを代表する絵画で有名な『サン=ベルナール 峠を越えるボナパルト』では白馬に跨ったナポレオンが描かれている。だが白馬に乗った王子様ではなく皇帝なのだが……。

 

「白馬の皇帝だもんね」

 

「だが残念ながらアーチャーでな。馬は持ってきていないのだ」

 

ナポレオンはライダークラスの適正もあり、そのクラスで呼べば馬も一緒に付いてくるのだが、今の彼はアーチャークラスで現界している。なのでこうして徒歩で歩いているのわけだ。

 

「皇帝では不足かな?灰被りのお姫様?」

 

ナポレオンは流し目でエリザベートを見ながら言う。

 

「子イヌ、私でも分かるわ。この皇帝、誰にでもこういうコト言う~♪」

 

エリザベートは女に色目を使うナポレオンに半ば辟易しているようだ。

 

「はっはっは。無闇に誰もってわけじゃあないさ」

 

ナポレオンはエリザベートにウィンクしながら答えるが、エリザベートはそれを見て露骨に嫌そうな顔をする。

 

「エリザベート、この軟派皇帝から手を出されそうになったら直ぐに俺に言え。コイツの股間のブツを俺が蹴り潰してやる」

 

「あら、それは頼もしいわね」

 

エリザベートは冗談半分に言いながら、パニッシャーにウインクする。

 

「そ、それはちょっとやり過ぎだよ……」

 

藤丸はナポレオンに対する過激な対処法に思わず自分の股間を抑える。

 

「ワォウ!こいつは物騒な旦那だ!気を付けないとな」

 

ナポレオンはパニッシャーの半分本気の冗談を笑い飛ばしながら受け流す。

 

「笑って誤魔化す皇帝殿は放置だ放置。んじゃ、迷妄の森脱出開始とするか!」

 

「ああ、それを聞きたかったのだ。どうやって脱出するつもりなんだ?」

 

「それなんだが……。あー、カルデアのマスター?」

 

「うん?」

 

「環境保護って大事だよな?」

 

モードレッドは含みのある笑いをしつつ、藤丸に尋ねる。

 

「大事だと思うけど……?」

 

(あれっ……?何か嫌な予感がするんだけど……)

 

藤丸はモードレッドの言葉を聞いて嫌な予感がしていた。

 

「その顔、もしかしてオレの考えている事がわかっちゃったか?」

 

モードレッドは満面の笑顔で藤丸に答える。そう、彼女のやろうとしている事は昨日パニッシャーがやろうとしていた事と全く同じ……。

 

「……おい、まさか……」

 

ゼノビアが言った直後、モードレッドは自分の愛剣を抜いて魔力を溜め始める。彼女がやろうとしている事は誰の目にも明らかだった。

 

「そのまさかだ!迷妄の森は方向感覚ばズラされる上に、1日経てば草木が生え替わっちまう!つまり逆に言えば、1回くらいは焼け野原になったって問題ねぇ!」

 

つまりモードレッドは自分の宝具で森を丸ごと吹き飛ばそうとしているのだ。邪魔な森を焼け野原にしてしまえば木々に邪魔される事なく前に進める。合理的ではあるが、力業過ぎる。これでは森を焼き払おうとしていたパニッシャーと同じではないか。

 

「バンゾック~♪とっても蛮族~♪でも滅茶苦茶スッキリしそうね~♪」

 

「おい、お前は昨日俺が携帯式火炎放射器で森を焼き払おうとした時は反対してた癖に、モードレッドの宝具はいいのか?」

 

やろうとしている事はモードレッドもパニッシャーも変わらないのに、どうしてこうも違うのか。

 

「だって~、あのまま黒イヌが森に火を付けてたら山火事になっちゃうでしょ?そしたら私たちも危ないじゃない♪」

 

確かにその通りだ。もし仮に森の中で火災が発生した場合、燃え広がる範囲が広いと自分たちも巻き込まれてしまうだろう。サーヴァントであるエリザベートやゼノビアが山火事で死ぬわけがないのだが、普通の人間であるパニッシャーと藤丸は危ない。森林火災に比べれば宝具で一気に吹き飛ばす方が遥かに安全だと言えるだろう。そうしてモードレッドは自らの宝具を発動させる。

 

―――『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!

 

モードレッドの宝具は周囲一帯の木々を根こそぎ吹き飛ばし、迷妄の森の一部を更地にしてしまう。彼女の宝具は対軍宝具に分類されるので、威力も申し分ない。

 

「向かう先が荒野なら方向感覚が多少狂っても問題はねぇ!」

 

そうしてモードレッド、ナポレオン、エリザベート、藤丸、パニッシャー、ゼノビアの6人はモードレッドがによって更地にされた森を走り抜ける。藤丸の魔術礼装には身体強化が含まれているので、サーヴァントと並走できるが、パニッシャーは素の身体能力だけでエリザベート達に付いていっている。

 

「アンタって速いのね黒イヌ。私たちサーヴァントと互角に渡り合えるなんて凄いわ」

 

走りながらエリザベートが感心した様子で言う。

 

「お前等サーヴァントには負ける……!」

 

だが流石に常人であるパニッシャーはエリザベート達の足の速さに付いて行くのが精一杯なようだ。

 

「ほらほら走れ走れ!モタモタしてると森が復活しちまうぞ!」

 

「い~そ~が~し~い~い~♪ とてもとてもせ~わ~し~な~い~♪」

 

「ひぃひぃ……!」

 

魔術礼装による身体強化を受けているといえど、純粋な身体能力でサーヴァントには勝てない藤丸は、既に息切れを起こしていた。が、その時ナポレオンが何かに気付いた様子で立ち止まる。

 

「ん?どうした、ナポ公」

 

「……全員その場を動くな。妙な気配がする」

 

ナポレオンの言葉を受けて全員がその場で止まる。確かに姿こそ見えないものの妙な気配はした。パニッシャーと藤丸も自分達に向けられる殺気を肌で感じ取った。

 

「……気を付けろ。これは"赤ずきん"だ。アイツは透明になれる力を持ってる。透明で姿こそ見えないが、アイツの気配なら感じ取れる。サーヴァントと違って気配遮断のスキルを持ってないから存在が丸わかりだぜ」

 

モードレッドとナポレオンは周囲を警戒する。

 

「立香、俺の傍を離れるなよ?」

 

「う、うん」

 

「何よ、ビビってるの?」

 

エリザベートはニヤニヤしながら藤丸の顔を覗き込む。

 

「べ、別に……ただちょっと緊張してるだけ」

 

藤丸は緊張を解す為に深呼吸をした。一方、モードレッドとナポレオンは周囲に気を配りながら慎重に歩く。"赤ずきん"と"足ながおじさん"はサーヴァントではなく人間らしいのだが、それにしてもナポレオンとモードレッドの緊張感の強さが尋常ではない。普通の人間であればサーヴァントに勝てる道理などないのだが、この二人にここまでの警戒心を抱かせる人間とはどのような者なのだろうか?そんな事を考えていると、空気を切り裂いて魔力を帯びた複数の弾丸が一行に襲い掛かる。音速を超える速度で飛来した弾丸に対して素早く反応したモードレッドはクラレントを用いて魔力の弾丸を斬り払う。

 

「こんなチンケな弾丸じゃオレたちを殺せねぇよ。次は当ててみろ。まぐれ当たりじゃねぇ事を祈ってるぜ」

 

挑発的な態度で言い放つモードレッドに対し、ついに襲撃者は姿を現した。透明化を解除したのであろうか。"赤ずきん"とはよく言ったもので、赤いフードを着ている。が、童話に出てくるような少女ではなく成人男性なのだ。そしてパニッシャーは目の前に現れた"赤ずきん"に見覚えがあった。

 

「お前は……フッド……!?」

 

「久しぶりじゃねぇかパニッシャー。こんな所で会うだなんてな」

 

フッドはパニッシャーの姿を見てニヤリを笑う。

 

「何よ、黒イヌはアイツと知り合いなの?」

 

「知り合いもなにも、アイツは俺が元々いた世界のヴィランだ……」

 

パニッシャーは目の前に現れたフッドと浅からぬ因縁を持つ。

 

「サーヴァントとかいう亡霊どもとつるんで馴れ合いとは、かつての処刑人パニッシャーとは思えねぇな」

 

フッドは挑発的な物言いでパニッシャーに話し掛ける。

 

「貴様は相変わらずだなフッド。どこまで行ってもチンピラのお前にとってはモレーとかいう女の使いっぱしりがお似合いだ」

 

「ゴチャゴチャうるせえぞ!!俺はテメェに用があって来た訳じゃねえんだよ!!」

 

そう言うとフッドは藤丸の方に視線を向ける。

 

「犯罪者を震え上がらせた泣く子も黙るパニッシャーが、今やそこにいる乳臭いガキの子守りとはな」

 

フッドの言葉に対して、パニッシャーは藤丸を庇うようにして立つ。

 

「この子に指一本でも触れてみろ、ただでさえ足りないお前の脳味噌の容量をゼロにしてやるぞ?それともなんだ?この俺と戦うつもりか?」

 

「ガキの前ではカッコつけなきゃいけねえってか?いい歳こいて随分甘ったれた野郎になったもんだなぁ。以前俺に死んだ家族を生き返らせてもらった時、お前は俺が蘇生させた自分の妻子を躊躇なく焼き殺しやがった。そんな腐れ外道が子守りなんぞしてるなんてお笑いだぜ」

 

その言葉を聞いた瞬間、パニッシャーの表情が変わる。

 

「貴様の勝手な都合で生き返らせただけだろうが……!」

 

「せっかく愛する家族を生き返らせてやったのに、お前はそれを拒絶し、あまつさえ妻も子供も纏めて焼き殺した。パニッシャー、そんなテメェが今更善人気取りか?」

 

その言葉に藤丸は驚愕する。

 

「おじさん、自分の家族を焼いたっていうのは……?」

 

藤丸の言葉にパニッシャーは無言だった。

 

「おいガキ。お前が慕っているパニッシャーおじさんは俺が生き返らせた自分の愛する家族を容赦なく焼却した血も涙もない極悪人なんだよ」

 

フッドから発せられた言葉を聞き、藤丸は息を呑む。




フッドのキャラ間違ってたら済みません……orz 手元の邦訳が少ないんで、言動とかキャラとか色々おかしいかも……。

パニッシャーさんはフッドに死んだ家族を生き返らせてもらったけど、傍にいたヴィランの力を借りて焼き殺したのは原作でもありました。精神攻撃は基本。



今更なんですけど、フランクって本当の意味で藤丸君と同じ「普通の人間」という事に気付きました。カドック、ゴッフ、ムニエル、カルデア職員は全員が魔術師。ロリンチちゃんはホムンクルス、マシュはデミサーヴァント、カルデアにいる英霊達は言わずもがな。魔術に無関係な普通の人間という意味ではパニッシャーと藤丸君は同じなんですよねぇ。
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