パニッシャーが人類最後のマスターと共に戦うようです 作:ドレッジキング
ちなみに「アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです」の18話に挿絵(漫画)が掲載されております。絵師様に依頼してあの場面を描いてもらいました。
藤丸、エリザベート、ゼノビア、モードレッド、ナポレオンはフッドの言葉を聞いてパニッシャーの方を見る。確かにフッドの言っている事は事実だ。パニッシャーはフッドの魔術によって蘇った自分の妻子を傍にいたヴィランを脅して焼却させた。ノーマン・オズボーンの命を狙ったパニッシャーは当然ながらオズボーンに追われる事となり、フッドもオズボーンが雇った刺客の一人だ。そしてフッドは死亡したパニッシャーの妻子を蘇らせるのと引き換えにパニッシャーが行う犯罪者に対する自警活動を永遠にやめるように要求してきたのだ。当然、パニッシャーがそんな要求を受け入れる筈もなく、フッドが蘇生させた妻のマリア、娘のリサ、息子デビッドを再びあの世に送りかえす事となったのだ。その際、フッドの力で蘇ったかつての相棒マイクロの息子も纏めて焼却したのだが……。
「……ッ!アンタ……!まさか黒イヌの奥さんと子供を……?」
「ああ、そうだとも!だがな、ソイツが素直に俺の言う事を聞かないから悪いんだ!ソイツがちゃんと約束を守っていれば、再び妻子と生活をする事ができたのに、それを焼却するなんて……」
「俺の妻子の命を弄んだ分際でよく言えたもんだな!」
そう叫ぶとパニッシャーは拳を握りしめ、それを見たフッドはニヤリと笑う。
「おいおいおい、また俺を殴るのか!? それで今度は誰を殺すつもりだ!?」
フッドの言葉に激怒したパニッシャーは懐から銃を抜き、銃口をフッドに向ける。
「あの時貴様をちゃんと殺しておくべきだったなフッド……!今度こそ貴様を地獄に送ってやる!」
「おっと!俺が一人でお前等と戦うと思ってたのか?俺には"足ながおじさん"がいるんだぜ?」
フッドの言葉と共に森の奥から貴族服を着た白人の男が姿を現す。禿げ上がった頭部が特徴的な中年の紳士だが、パニッシャーは男に見覚えがあった。
「まさかお前までいるのか?セバスチャン・ショウ……!」
パニッシャーがそう言うとショウは笑みを浮かべた。
「誰かと思えばフランク・キャッスルか。犯罪者殺しのイカれた自警団気取りの男がカルデアに組するとはな」
ショウが現れると同時に、ナポレオンとモードレッドは身構える。
「気を付けろ!あのハゲ野郎にはオレたちの攻撃が通じねぇ!!」
そう言いながらもモードレッドは剣を構えながらじりじりと距離を詰めていく。そして勢いよくショウに斬り掛かった。サーヴァントであるモードレッドの攻撃速度はゆうに音速に達している。だがそれに対してショウは余裕の笑みを崩していない。ジャンプしたモードレッドはクラレントの斬撃を真下にいるショウの頭部目掛けて振り下ろすが、信じられない事にショウはクラレントによる斬撃を二本の指だけで止めてしまった。
「くそ……!やっぱりだめか!」
「サーヴァントというのは学習能力の無い奴等だな」
ショウは余裕の表情で言うと、次の瞬間モードレッドの腹部に強烈なパンチを叩き込んだ。人間である筈のショウは信じられないパワーでサーヴァントであるはずのモードレッドを吹き飛ばす。
「がっ……!?」
吹き飛ばされたモードレッドは勢いよく木に叩きつけられる。一部の例外を除いて人間ではサーヴァントに対して無力に等しい。だがモードレッドを吹き飛ばしたセバスチャン・ショウは普通の人間などではない。
「気を付けろ!セバスチャン・ショウはミュータントだ!!」
「え?何よそのミュータントって……?」
エリザベートやゼノビアはミュータントの事など知らないので、二人共首を傾げる。が、ショウはその間にも藤丸たちに近付いてくる。
「オレもいるって事を忘れんなよ!!」
ナポレオンは自身の得物である「勝利砲」を振り回し、ショウに殴り掛かる。だがショウはそれを片手で受け止めた。
「邪魔な奴だな……」
ショウはそう言って腕を振るい、ナポレオンを投げ飛ばすと、そのまま地面に叩きつける。そしてショウの身体からプラズマのようなエネルギーが放出され、ナポレオンに直撃する。バチィッ!!という音と共に衝撃波が発生し、周囲の木々が激しく揺れる。衝撃の余波を受けた地面は大きく抉れ、砂埃が立ち込めていた。やがて視界が晴れるとそこには無傷のショウの姿があった。ナポレオンはボロボロの状態で地に伏しており、立ち上がる事も出来ないようだ。
「どういう事……!?アイツはただの人間なのに何で二人の攻撃を簡単に受け止められるの……!?」
「セバスチャン・ショウの持つミュータントパワーだ……。アイツの能力はエネルギーの吸収だ。恐らく運動エネルギーを吸収する事によってモードレッドとナポレオンの攻撃を簡単に受け止められたんだろう」
「そんな能力アリ!?ただのチートじゃん!」
藤丸はショウの持つ能力を知り、驚愕する。パニッシャーの言う通り、セバスチャン・ショウはミュータントであり、そんなショウの持つパワーがエネルギー吸収能力である。主に運動エネルギーを吸収し、自分を強化する事に用いているが、吸収できるのは運動エネルギーに限らず電気などの科学的なものや魔力といった神秘的なエネルギーまで幅広い。モードレッドたちがショウに勝てないのも彼の持つエネルギー吸収能力が大きい。
「けど~戦わないと~やられるだけよ~♪」
エリザベートはそう言って自分の履いているガラスの靴をショウ目掛けて飛ばした。が、ショウはエリザベートのガラスの靴をアッサリ受け止めると、そのまま彼女に投げ返してきた。
「ふん……くだらん真似をするな」
ショウはそのままエリザベートとの距離を詰める。が、両手に剣と槍を携えたゼノビアが迎え撃った。ゼノビアはショウ目掛けて斬撃と刺突を浴びせるが、運動エネルギーを吸収されてしまうので攻撃が通じない。
「くっ……!やはり駄目か……!」
ゼノビアはそう呟くと一旦距離を取る。エリザベートとゼノビアは協力してショウを攻撃するものの、ショウが持つミュータントパワーのせいで、かえってショウを強化させてしまう結果となってしまった。
「ちょっと~!全然効かないじゃない~!」
エリザベートは地団駄を踏みながら叫ぶが、それに対してショウは冷静に答える。
「当然だ。私のミュータントパワーの前ではあらゆる物理攻撃は無意味。特に運動エネルギーを伴うものならばな!」
ショウはゼノビアとの距離を詰めると、彼女に強烈な打撃をお見舞いする。凄まじい衝撃音が響き渡ると同時にゼノビアが吹き飛ばされるが、彼女は空中で体勢を立て直すと、再びショウに斬りかかる。だがショウはその攻撃を難なく躱すと、ゼノビアが地上に着地するのと同時に彼女の脇腹に蹴りを喰らわせた。
ゼノビアは勢いよく吹き飛び、木に激突して倒れ込む。
「ぐっ……!!」
ゼノビアは苦痛に顔を歪める。そんな彼女にショウは身体から発せられるエネルギーを放出した。放出されたエネルギーは光弾となってゼノビアを襲った。光の弾丸が命中した衝撃で周囲の木々が大きく揺れる。恐らくショウの身体から射出されるエネルギーブラストには魔力が込められており、そのお陰でサーヴァントであるモードレッドやゼノビアにダメージを与えられているのだろう。だが苦戦しつつエリザベートとゼノビアはショウに立ち向かい、そんな二人をサポートするべく指示を出す藤丸。
「二人共!闇雲に攻撃すればショウを強くするだけだ!何か別の方法を考えないと!」
「そんな事~言われても~思いつかないわよ~」
「奴の動きを止められれば話は別なんだがな……」
パニッシャーは自分と契約したとあるサーヴァントならばショウを倒せると考える。そしてシャドウサーヴァントとして"彼"を召喚しようとしたその時、藤丸の背後からフッドが現れ、藤丸を羽交い絞めにする。
「なっ!?」
驚く一同を尻目に"赤ずきん"のフッドは藤丸の首筋に銃を突きつけていた。
「動くなよ?動けばこのガキの命は無いぞ?」
藤丸を人質に取られた事で一行は手を出す事ができない。マスターである藤丸が人質に取られるという最悪の事態にパニッシャーは歯ぎしりする。
「くそっ……卑怯な真似を……!」
パニッシャーは悔しげに呟く。そんなパニッシャーに対して"赤ずきん"のフッドは余裕綽々といった表情だ。フッドは自分の被っているフードに備わった透明化機能を用いて藤丸の背後に近付いたのだ。モードレッドとナポレオンはボロボロの状態の上に、エリザベートとゼノビアはショウと戦闘中。そんな状況だからこそフッドは藤丸の隙を突けたのだ。
「ショウの強さに驚いて俺もいるって事を忘れてないか? まぁいいさ。俺は俺で好きにやらせてもらうぜ」
そう言うとフッドは藤丸をその場に跪かせ、蹴りを入れた。蹴飛ばされた事で地面に倒れる藤丸。
「ぐっ……」
藤丸は苦悶の表情を浮かべるが、それでも何とか立ち上がろうとする。だが、そんな彼の姿を見てフッドはニヤリと笑った。
「おいおい、まだ始まったばかりだぜ。もう少し楽しまないと損だろ?」
パニッシャーはフッドに蹴られた藤丸の姿を見て、自分の身体を流れる血液が沸騰してくる感覚を覚える。
「貴様……!!立香に何をする!!」
「たかがガキを蹴られた程度で何を熱くなってるんだ?」
フッドは呆れた様子で言う。が、パニッシャーは藤丸を暴行したフッドを憤怒の形相で睨んでいた。するとフッドは倒れた藤丸の髪を掴んで強引に立たせる。
「うっ……くっ……」
フッドは藤丸の髪を離すと今度は腹部を蹴り上げる。
「おらっ!!立てよ!!!」
藤丸は苦痛に顔を歪めながら立ち上がり、フッドを睨んだ。
「お?やっといい顔になってきたじゃねえか」
フッドは藤丸に銃口を向けたままニヤリと笑う。が、藤丸は素早くフッドの銃を握っている手を掴むと、一瞬で間合いを詰めて渾身の肘をフッドの胸に叩き込んだ。ドゴッ!という 鈍い音と共にフッドが後方に吹っ飛ぶ。
「がはっ!」
木に激突して吐血するフッド。
「俺も色んなサーヴァントに鍛えられてるからね!」
そう、藤丸を単なる無力な一般人の少年だと過小評価した事がフッドの致命的なミスである。藤丸は複数の特異点や異聞帯を攻略する上で常に自分の身体を鍛えており、カルデアのサーヴァント達から戦い方を伝授されているのだ。魔術的な才能こそないが、鍛えているお陰で生身の人間相手に負ける事はまず無いだろう。そんな藤丸の肘打ちをまともに受けてしまい口から血を流しながらも立ち上がるフッド。
「てめぇ……ただのガキじゃねえな……」
そう言うとフッドは懐に手を入れる。そして取り出した銃を藤丸に向けるが、パニッシャーの銃撃の方が早かった。フッドは自分の銃を吹き飛ばされた挙句、膝に銃弾を受けてしまう。膝から崩れ落ちるフッドに対してパニッシャーは距離を詰め、顔面に強烈な蹴りを入れる。
「がふっ……!」
フッドはそのまま吹っ飛ばされ、地面に倒れ伏す。
「ふん、口ほどにもないな。この程度か?」
パニッシャーはフッドを見下しながら言った。そして持っていた拳銃でフッドの顔面を殴りつける。
「お前は立香に手を出した。それがどういう事を意味しているのかは分かるな?」
フッドの顔面を執拗に拳銃で殴りつけるパニッシャー。フッドの顔面はみるみる内に変形していき、鼻や唇から出血する。するとフッドは隠し持っていたナイフを取り出し、それをパニッシャーに向けて振り回す。だがパニッシャーは難なく回避すると再びフッドの顔に蹴りを入れた。
「ぐっ……」
地面に倒れ込むフッド。パニッシャーは更なる追撃の為に気絶したフッドを殴りつけようとするが、藤丸に止められる。
「おじさん、今はエリザベートとゼノビアを助けないと……!」
藤丸の言う通り、エリザベートとゼノビアはショウの持つエネルギー吸収能力に苦戦している。ゼノビアはバリスタを召喚して魔力の矢をショウに射出するが、全て吸収されてしまい、かえってショウを強化してしまっている。
「お手上げ~♪もうダメかも~♪」
エリザベートはそう言いながらも諦めずにゼノビアに加勢する。しかしゼノビアはエリザベートを制止した。
「待て!ここは私が引き受ける!攻撃が通用せずとも時間稼ぎならできる筈だ!」
「でもそれじゃああんたが……!」
「大丈夫だ、私はそう簡単には死なん。それに私以外に誰があの怪物を止めるんだ?他に手段があるのなら話は別だが……」
ゼノビアがそう言うと、パニッシャーが声を掛けた。
「ここにいるぞ!ショウを倒せるカルデアのサーヴァントがな!来い、"呪腕のハサン"!!」
パニッシャーの令呪が光り輝き、シャドウサーヴァントである"呪腕のハサン"が姿を現した。呪腕のハサンはガレスと同じくパニッシャーと契約した数少ないカルデアのサーヴァントの一人。ハサンはアサシンクラスのサーヴァントであり、"山の翁"を襲名した暗殺者だ。
「呪腕のハサン、お前の宝具を解放しろ!」
パニッシャーの言葉と共に、呪腕のハサンは右腕に何重も巻きつけた包帯を取り外す。すると異様に長く赤い呪腕のハサンの右腕が姿を現した。生前に魔神の腕を移植したこの腕こそが呪腕のハサンの持つ宝具である。
「何を出すかと思えば……。攻撃など私には通用しないと言っただろう!」
が、ショウは呪腕のハサンの持つ宝具の意味を知らず、余裕の表情で近付いてくる。そしてその瞬間、呪腕のハサンの宝具が発動した。
――――――『
呪腕の異様に長い右腕が数メートル先にいるショウに伸び、彼の胸部に触れる。そして触れるだけで長い右腕を戻す呪腕。
「単に私の胸を触れるのが攻撃だと?笑わせるな」
「よく見てみろ。呪腕のハサンの右手には何が握られているのかを」
「何……?」
ショウは呪腕のハサンの右手に持っているドクドクと動いている物を見る。それは心臓だ。半透明ではあるが、確かに心臓が脈打っていた。
「心臓……?」
呪腕のハサンの右手に握られている半透明の心臓を不審に思うショウ。が、その時点で彼の負けは確定した。
「……お前の負けだショウ」
その瞬間、呪腕のハサンは半透明の心臓を握り潰した。それと同時にショウ自身の心臓も握り潰されてしまう。
「ガフ……!?バカな……!何故私の心臓が……!?まさかさっきのは……!」
「そうだ。これこそが呪腕のハサンが持つ『
「そうだったのか……。くそ……」
ショウはそのまま地面に倒れ伏す。心臓を握り潰された事で完全に絶命した。ショウが死亡すると同時にシャドウサーヴァントである呪腕のハサンは消え去った。
「アイツを倒すだなんて黒イヌもやるじゃない!私とゼノビアの二人がかりでも倒せなかったのに!」
エリザベートとゼノビアはパニッシャーに駆け寄る。
「おじさん、大丈夫!?」
エリザベートとゼノビアに遅れて藤丸もパニッシャーに駆け寄ってきた。
「あぁ、どうにか無事だ。全く、エネルギー吸収能力ってのは厄介だぜ」
パニッシャーは地面に倒れているショウの死体を見て毒づいた。気絶していたモードレッドとナポレオンも藤丸たちの傍に来た。
「お!あの"足ながおじさん"を倒したのか!?スゲェじゃねぇか!オレやナポ公でも歯が立たなかった相手なのによ!」
「あぁ、パニッシャーのお陰で勝つ事ができた。感謝するぞ」
「気にするな、ゼノビア。それに、まだ戦いは終わったわけじゃない。気を引き締めろ。ここからが本番だ。おそらく、この先には俺たちにとっての目的地がある」
パニッシャーの言葉に藤丸、エリザベート、ゼノビア、モードレッド、ナポレオンは力強く頷いた。
セバスチャン・ショウはX-MENの映画にも登場するんで知っている人もいると思います。流石にショウの能力じゃ呪腕の宝具は防げないだろうと考え、この決着方法にしました。(ショウは別にヒーリングファクターは持っていないので)。
藤丸君ってかなり鍛えられている筈だから、素手勝負ならパニッシャーに勝てる可能性も……?