パニッシャーが人類最後のマスターと共に戦うようです   作:ドレッジキング

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ジェヴォーダンの獣の正体って現代でも判明してないらしいですね……。


番外編⑩ ジェヴォーダンの獣④

村人たちに案内されたパニッシャー、ジャンヌ・オルタ、マリーの3人は、ジェヴォーダンの獣が農作業中の村人を次々と襲撃し、無残に絶命させてきた場所へと足を運んだ。緑豊かな畑や広大な草原が広がる農村部の一角には、かつては活気に満ちていたであろう農地が、今は不気味な静寂に包まれている。村人たちの証言によれば、過去数ヶ月の間に20名以上もの犠牲者が出ているという。そのほとんどが若い女性や子供であり、獣の凶暴さと残虐性が窺い知れた。村人たちの亡骸は既に埋葬されているとはいえ、周囲に漂う血生臭い雰囲気などは簡単に消せるものではない。

 

「ここがジェヴォーダンの獣が襲って来た場所ね」

 

「ええ、そうね。かなり沢山あるわね……」

 

ジャンヌ・オルタとマリーは周囲を注意深く観察しながら周囲を窺う。警戒を怠らないその様子にパニッシャーも思わず感心したように頷く。襲撃ポイントの数は犠牲になった村人の人数だけ存在しており、その内の一つがここである。立ち込める凄惨な雰囲気に、3人は言葉を失いつつも、事態の深刻さを痛感していた。この地方が特異点となっている以上、ジェヴォーダンの獣が単なる野生動物ではなく、聖杯や魔術に関連した力を持っているのではないかと推測するのは自然な流れであった。マリーは優美な佇まいのまま、しかし真剣な面持ちで状況を分析する。

 

「このジェヴォーダンの獣は、ただ単に人を襲うだけの怪物ではないわ。恐らく聖杯が何らかの形で関わっているか……あるいは魔術に関係しているか」

 

その言葉を受け、ジャンヌ・オルタは獣の討伐に意欲を燃やしつつ、鋭い目光を周囲に向ける。

 

「そんな獣、さっさとこっちに誘い込んで、退治しちゃいましょ。こんな田舎でウロチョロされて、いい迷惑だわ」

 

ジャンヌ・オルタの言葉にマリーも同意するように頷きながら答える。

 

「そうね。村の人達の為にも早く退治しないとね」

 

一方、パニッシャーは冷静に状況を見極めながら、的確な判断を下そうとしていた。彼の頭の中では、すでに幾つかの作戦が練られている。

 

「とはいっても、闇雲に突撃するのは賢明じゃない。まずは獣の習性や行動パターンを把握する必要がある。そのうえで、罠を仕掛けて誘き出すのが一番効果的だ」

 

マリーとジャンヌ・オルタも同意見のようで、3人で知恵を絞り合うことになった。獣は作業中の女子供を襲ってくる習性持ちなのは確かなようで、ならば村民に扮して誘い出してやるのが一番いいだろう。パニッシャーとマリーが顔を合わせると2人揃ってジャンヌ・オルタの方に顔を向ける。ジャンヌ・オルタは急に2人が顔を向けてきた事に不思議そうに見ている。

 

「な、なによ?」

 

「いや、お前さんが一番適任だと思ってな」

 

パニッシャーはニヤリと笑いながらジャンヌ・オルタに言う。マリーも微笑みながら頷く。2人の表情を見て、ジャンヌ・オルタは嫌な予感がした。そして、その予感はすぐに的中する事になる。そこから2人の行動は早かった。早速村人の女性から借りた質素な農民の服をジャンヌ・オルタに渡し、村の納屋で着替えてもらった。納屋から出てきたジャンヌ・オルタはどこか居心地の悪そうな表情を浮かべている。

 

「ちょっと!何なのよこれ!?」

 

「似合ってるじゃねえか。お前さんのその服、まさに農村に暮らす娘みたいだぜ?」

 

「ええ、とても素敵よ。これならジェヴォーダンの獣も騙せるんじゃないかしら」

ジャンヌ・オルタは2人の言葉に赤面しつつ声を荒げる。

 

「う、うるさいわね!大体なんで私がこの恰好するのよ!」

 

ジャンヌ・オルタにした理由は明白で、第一女子供を襲う習性を持つのであればパニッシャーは適任ではないし、マリーの生まれは生粋の王族ゆえに持っている気品や優雅さは農村の娘としては余りに不自然に見える。ルーラーの方のジャンヌの生前は村娘であったとはいうが、アヴェンジャーであるジャンヌ・オルタでも農村に暮らす娘の役は可能だろうと踏んで彼女が適任だと考えたのだ。ジャンヌ・オルタは不満そうな表情を浮かべるが、マリーは微笑みながらジャンヌ・オルタを宥める。

 

「ごめんなさいね。でも、貴女が一番適任だと思ったからなのよ」

 

「ふん……」

 

と言いつつ満更でもない様子である。実際、この作戦で上手く行くかどうかはともかくとして、農村の娘の役はジャンヌ・オルタにしか出来ない事だけは事実だろう。

 

「それにジャンヌ・オルタ、その服装とてもお似合いよ!まるで本当の村娘みたい」

 

マリーの賛辞に、ジャンヌ・オルタの頬は一気に紅潮した。

 

「な、何言ってんのよ!こんなボロ服、似合うわけないでしょ!?ルーラーの方の私が着た方が断然似合うに決まってんじゃない!」

 

赤面しながら叫ぶジャンヌ・オルタに、パニッシャーは呆れつつも苦笑を浮かべる。

 

「お前はルーラージャンヌから派生した存在なんだろ?アイツは元々村娘だったんだ。だからお前でも農民の役割はできると思ってな」

 

「は、はぁ!?あーハイハイ、どうせ私は贋作で偽物ですよーだ!」

 

ジャンヌ・オルタは子供っぽくそっぽを向く。そうしてジャンヌ・オルタは村娘として振舞うべく農作業を村に住む中年の女性から教えられる事となった。ルーラーの方のジャンヌの贋作とはいえど、生前の彼女のように農作業の知識を保有しているかどうかは不明だがとりあえず作業に励む村娘らしく振舞うべく仕事を教えられる事となったのだ。ジャンヌ・オルタは、村の女性から手ほどきを受けながら、農作業の基本を学んでいた。鋤を手に、畑の土を耕す彼女の姿は、一見すると本物の農民のようだ。しかし、その動作のぎこちなさは、農作業に慣れていない彼女の素性を物語っていた。

 

「ああ、そうじゃない!もっと力を込めて土を掘り起こすのよ!」

 

村の女性は、手を取るようにしてジャンヌ・オルタに指導する。彼女は戸惑いながらも、必死に教えを胸に刻みつけようとしていた。

 

「ああもう!なんで私がこんな事しなきゃならないのよ!」

 

文句を言いつつも、彼女は農作業に勤しんでいた。ぼやきつつも、ジャンヌ・オルタは黙々と作業を続ける。額に滲む汗を拭いながら、一心不乱に鋤を振るう姿は、どこか健気で愛らしげでもあった。遠くから、そんな彼女の奮闘ぶりを見守るマリーは、微笑みを浮かべていた。自らの役割を全うしようとするジャンヌ・オルタの姿勢に、彼女は心打たれずにはいられなかった。

 

「彼女も、立派にやってのけているわね」

 

マリーのつぶやきに、傍らのパニッシャーも小さく頷く。

 

「ああ。あいつは意外とまじめに取り組んでいるようだな」

 

二人の視線の先では、ジャンヌ・オルタが村の女性に習いながら、今度は家畜の世話を始めていた。ヤギや羊の群れを追いながら、彼女は必死に"村娘"を演じている。時折、動物に驚かされて、危うく本性を現しそうになるジャンヌ・オルタだったが、何とか平静を装うことに成功していた。

 

「エサをやるのは、こうするのね……」

 

ジャンヌ・オルタは、村の女性の指示通りに家畜にエサを与えていく。最初は戸惑っていた彼女も、徐々にコツをつかみ始めているようだった。農作業や放牧を通して、ジャンヌ・オルタは村の一員として溶け込もうと奮闘していた。それは、単なる変装を超えた、彼女なりの任務への真摯な姿勢の表れでもあった。

 

「ふふ、案外彼女も楽しんでいるようね」

 

マリーの言葉に、パニッシャーは頷きながら答える。

 

「あいつも、意外と農村生活が気に入ったんじゃないか?」

 

穏やかな風景の中で、懸命に働くジャンヌ・オルタの姿を見守りながら、二人は心の中で彼女の奮闘を称えていた。この平和な日常の裏に潜む、獣の脅威を取り除くために、今は皆が一丸となって努力を重ねていくのだ。マリーとパニッシャーは、村の女性から農作業の手ほどきを受けるジャンヌ・オルタの姿を、少し離れた場所から見守っていた。ジャンヌ・オルタが鋤を手に畑を耕す姿は、まるで本物の農民のようだったが、所々でぎこちなさが見受けられた。それでも、彼女なりに真摯に農作業に取り組む姿勢は、二人の目にも奮闘ぶりとして映っていた。そんな中、マリーは自分に注がれる視線の存在に気づいていた。村の至る所から、好奇心に満ちた眼差しが自分に向けられているのを感じる。パニッシャーも周囲に目を凝らし、村の家屋から覗き見する村人たちや、遠巻きにマリーを観察する村民の姿を見つけた。マリー・アントワネットは、生前フランス王妃として君臨した正真正銘の王族であった。サーヴァントとなった今でも、その気品溢れる佇まいと比類なき美貌は健在であり、このような辺鄙な田舎の村においては、まさに異彩を放つ存在だった。娯楽の乏しい18世紀のフランス農村部において、マリーのような稀有な美女が現れたことは、村人たちにとって驚きと興奮の種となっていた。彼らにとって、マリーは都会の洗練された文化や豊かさの象徴であり、自分たちとはかけ離れた存在として映っていたのだ。村人たちは、そんなマリーから目が離せないでいた。老若男女問わず、人々は彼女の一挙一動に注目し、その美しさと優雅さに心を奪われている。中には、あからさまに彼女を欲望の眼差しで見つめる男たちの姿もあった。パニッシャーは、そのような村人たちの反応に苛立ちを隠せずにいた。特に、下卑た目つきでマリーを品定めするような輩には、強い嫌悪感を抱いていた。彼は身構え、いつでもマリーを護れる態勢を整えている。

一方のマリーは、村人たちの反応をさほど気にした様子もなかった。むしろ、人々の注目を楽しんでいるようにさえ見えた。王妃としての経験から、民衆の前に立つことに慣れていたマリーにとって、村人たちの視線は心地良いものだったのかもしれない。

 

「ふふっ、みんな私のことが気になるみたいね」

 

マリーは、愛らしく微笑みながら村人たちに手を振る。その仕草は、まるで彼らを引き付ける魔法のようだった。男たちは、マリーの微笑みに心を射抜かれ、女性たちは、彼女の優雅さに憧れの眼差しを向けている。

 

「王妃さん、あまり目立ちすぎるのも考えものだ。せっかく村娘として振舞ってるアイツの足を引っ張ることになりかねん」

 

パニッシャーの忠告にも、マリーは気にした様子はない。

 

「あらパニッシャー、私は人々の幸せな笑顔が大好きなの。少しぐらい注目を集めても、構わないでしょう?」

 

そう言って、マリーは屈託のない笑顔を見せる。彼女の天性の明るさと優しさは、誰もが惹きつけられずにはいられない魅力となっていた。村人たちは、そんなマリーの一挙手一投足に釘付けになっていた。彼女が歩けば優雅に舞うように見え、微笑めば太陽が煌めくように感じられる。まるで、この村に女神が舞い降りたかのような、そんな感覚が村人たちを包み込んでいた。

 

「まったく、王妃さんは天性のアイドルだな。普通に生きている人間には真似できそうにない」

 

パニッシャーは、マリーの魅力に呆れつつも感心せずにはいられなかった。彼女の存在が、人々に夢と希望を与えているのは確かだった。一方、畑での農作業に没頭するジャンヌ・オルタは、マリーが注目を集めていることにようやく気づいたようだ。彼女は、マリーを見つめる村人たちの視線に気づくと、何やら不機嫌そうな表情を浮かべている。

 

「な、何よ!あんなに見つめられて恥ずかしくないの!?」

 

ジャンヌ・オルタの言葉に、マリーは愛らしく微笑むだけだった。

 

「ふふっ、私はみんなの視線を楽しんでいるだけよ。貴女も、もっと自信を持って」

 

マリーの言葉に、ジャンヌ・オルタは戸惑いながらも畑仕事に戻ることにした。太陽が傾きつつある午後、ジャンヌ・オルタは村の農地で汗を流していた。当初は戸惑いを隠せなかった農作業も、今では随分と板についてきたようだ。鍬を力強く振るい、土を耕す彼女の姿は、まるで本物の農民のようであった。そこへ、不意にパニッシャーが近づいてくる。彼は、土まみれになりながらも黙々と働くジャンヌ・オルタの姿を見て、皮肉を込めた声を投げかけた。

 

「おや、これはこれは。聖女サマは戦争だけじゃなく、土いじりや家畜との戯れ方も上手いときたもんだな」

 

ジャンヌ・オルタは、パニッシャーの挑発的な言葉に顔をしかめる。しかし、すぐにニヤリと笑みを浮かべると、負けじと皮肉を返した。

 

「ふん、この程度のことは朝飯前よ。アンタみたいな殺しのプロには真似できないでしょうけど」

 

二人の間には、皮肉と挑発が飛び交う。まるで、言葉の刃を交えるかのように、互いを挑発し合っているかのようだ。しかし、その言葉の端々からは、奇妙な信頼関係が垣間見える。一方、マリーは近くにいた村人たちと和やかに談笑していた。彼女の満ち溢れる優雅さと気品は、村人たちを魅了していた。まるで、現世に舞い降りた女神のようなマリーに、村人たちは心を奪われずにはいられない。そんな平穏な光景に、不意に異変が訪れた。森の奥から、低くうねるような遠吠えが響き渡ったのだ。それは、まるで地獄の底から響くような、不気味な声だった。聞くものの魂を凍りつかせるような、恐ろしげな遠吠え。村人たちは、その声に総毛立った。

 

「ま、まさか……あの化け物が……!?」

 

「い、いけない!みんな、家の中に避難するんだ!」

 

パニックに陥った村人たちは、我先にと家の中へと逃げ込んでいく。先程までのどかに談笑していた彼らの表情は、恐怖に歪んでいた。村中に、恐怖と動揺が渦巻く。化け物への恐怖心が、村人たちの心を支配していた。マリーは、パニックに陥る村人たちを制止しようとするが、彼らの恐怖心は抑えようもない。パニッシャーとジャンヌ・オルタも、村の異変に気づき、身構える。

 

「どうやら、俺たちを歓迎してくれるお客さんが来たようだな」

 

「ふん、ちょうど良い。アタシも、そろそろ退屈していたところだったのよね」

 

二人は、皮肉を込めた言葉を交わしながらも、獣の襲来に備える。彼らの瞳には、獲物を狙う猛禽のような鋭さが宿っていた。村に忍び寄る影。森から響く不気味な遠吠え。そして、恐怖に怯える村人たち。村人たちが恐怖に怯える中、ソレは現れた。森の奥から巨大な影が現れた。それは、まるで悪夢の中から抜け出してきたかのような、不気味な存在。パニッシャーとジャンヌ・オルタ、そしてマリーの三人は、目の前に現れた巨獣を見て息を呑んだ。これこそが、村を恐怖のどん底に叩き込んでいるジェヴォーダンの獣に違いない。獣の姿は、黒い煙に包まれており、輪郭がぼやけていた。まるで、闇そのものが生き物の形を取ったかのよう。その身体からは、不気味な黒煙が立ち込め、獣の全貌を隠していた。まるで、魔術によって認識を阻害されているかのようだ。パニッシャーとジャンヌ・オルタは、身構えながらも、獣の正体を見極めようとする。しかし、黒煙に阻まれ、その種類を特定することはできない。ただ、オオカミをはるかに凌ぐ巨体を持つことだけは確かだった。そして獣の双眸だけは、煌々と輝いている。まるで、獲物を狙う猛獣のような鋭い眼光だ。その瞳は、深淵の闇を宿しながらも、赤く燃えるような光を放っている。ジェヴォーダンの獣は、低く唸るような声を上げながら、ゆっくりとパニッシャーとジャンヌ・オルタに近づいてくる。まるで、獲物を物色するかのように、二人を見据えている。しかし、次の瞬間、獣の視線はマリーへと向けられた。黒煙に包まれた顔が、不気味な笑みを浮かべたかのように歪む。獣は、マリーを狙うかのように、身体を低く構えた。その時、ジャンヌ・オルタが獣に向かって叫んだ。

 

「そっちには行かせないわよ!」

 

言葉と同時に、ジャンヌ・オルタは爆発的な踏み込みで獣との距離を詰める。彼女の手には、長大な槍が握られていた。それは、旗であると同時に、鋭利な槍先を持つ武器だった。ジャンヌ・オルタは、村娘の服装のまま、獣に立ち向かう。彼女の瞳には、聖戦士のような熱い闘志が宿っていた。獣は、ジャンヌ・オルタの攻撃を受けて、苦しげに唸り声を上げる。しかし、すぐに反撃に転じた。牙を剥き、鋭い爪を振るって、ジャンヌ・オルタに襲いかかる。二つの影が、死闘を繰り広げる。ジャンヌ・オルタの槍が、閃光のように獣の身体を斬り裂く。一方、獣も牙と爪でジャンヌ・オルタに迫る。まるで、魔獣と聖女の壮絶な戦いのようだった。ジャンヌ・オルタは、身を翻しながら、巧みに獣の攻撃をかわしていく。村娘の服は、激しい戦いで裂け、彼女の本来の姿が徐々に明らかになっていく。

 

「ふん、なかなかしぶとい獣ね。でも、アタシが相手じゃ勝ち目はないわ!」

 

ジャンヌ・オルタは、獣に向かって挑発するように叫ぶ。彼女の槍が、閃光となって獣の身体を貫く。獣は、苦しげに吠え、黒煙を巻き上げながら、ジャンヌ・オルタに襲いかかる。その巨体は、まるで生きた影のようだ。黒煙に包まれた獣の姿は、まるで悪夢の具現化のよう。村人たちは、恐怖に震えながら、戦いを見守っている。彼らにとって、ジャンヌ・オルタの勇姿は、希望の光のように映っていた。一方、パニッシャーは銃を構えながら、ジャンヌ・オルタの戦いを見守っている。彼は、獣の正体を見極めようと、その動きを注意深く観察していた。

 

「油断するな。あの獣、ただの野獣じゃない。魔獣っぽい気配がする」

 

パニッシャーの言葉に、ジャンヌ・オルタは頷く。彼女も、獣の不自然な黒煙に、魔術の関与を感じ取っていた。激しい戦いが続く中、マリーは村人たちを守るために、彼らを集めて避難させようとしていた。彼女の優雅な姿は、恐怖に怯える村人たちに、安心感を与えていた。ジャンヌ・オルタと獣の戦いは、さらに激しさを増していく。二つの影が、まるで生と死の狭間で踊るかのように、激しく入り乱れる。ジャンヌ・オルタの槍が、閃光となって獣の身体を切り裂く。黒煙が切り裂かれ、獣の鮮血が地面に散る。しかし、獣はそれでも倒れない。まるで、不死身の存在であるかのように、再び立ち上がり、ジャンヌ・オルタに襲いかかる。

 

「くっ、しつこい……!でも、負けるわけにはいかないんだから!」

 

ジャンヌ・オルタは、決意を胸に、再び獣に立ち向かう。ジャンヌ・オルタと謎の巨獣との死闘は、村中の注目を集めていた。二つの影が激しく入り乱れる中、ジャンヌ・オルタの槍が閃光となって獣の身体を切り裂いていく。黒煙に包まれた獣は、苦しげに吠えながらも、なおもジャンヌ・オルタに襲いかかる。

しかし、次第に形勢は逆転していった。ジャンヌ・オルタの猛攻に、獣は次第に劣勢になっていく。そして、強力な一撃が獣の胴体を貫いた時、獣は苦悶の叫びを上げると、一目散に森の中へと逃げ出したのだった。

 

「くっ、逃げるなんて卑怯よ!待ちなさい!」

 

ジャンヌ・オルタは、獣を追いかける。しかし、獣は森の中へと姿を消してしまった。ジャンヌ・オルタは、悔しそうに唇を嚙むと、その場に立ち尽くしていた。一方、パニッシャーは冷静に状況を分析していた。戦いの一部始終を見ていた村人たちからは歓声が上がった。恐怖に怯えていた彼らにとって、ジャンヌ・オルタの勇敢な戦いぶりは、まさに希望の光だった。彼女は、一瞬にして村のヒーローとなったのだ。

 

「ありがとうございます!あなたのおかげで、村は救われました!」

 

村長は、感謝の言葉を連ねながら、ジャンヌ・オルタの手を握る。村娘の服は、激しい戦いでボロボロになっていたが、彼女の瞳には、揺るぎない誇りが宿っていた。

 

「当然でしょ。私たちはこの村を守るって決めたんだから」

 

そう言って、ジャンヌ・オルタはニヤリと笑う。パニッシャーとマリーも、彼女の奮闘ぶりに感心したように頷いていた。

 

「よくやったな、ジャンヌ。あの獣、ただのケダモノじゃない。魔術の気配がしたが、お前なら対処できると信じていたよ」

 

「ええ、ジャンヌの活躍には脱帽よ。あなたが来てくれて本当に良かった」

ジャンヌ・オルタは、二人の言葉に満足げに頷く。昂揚感に満ちた彼女は、まるで別人のようだった。

 

「まあね。でも、このままじゃ風邪引いちゃうから、そろそろ宿に戻りましょ」

そう言って、ジャンヌ・オルタは村長に一礼すると、パニッシャーとマリーを促して、宿へと向かった。村の空き家を宿としている三人は、ほっと一息つくと、早速ダ・ヴィンチに報告を入れる。

 

『やあ、3人ともお疲れ様。無事にジェヴォーダンの獣を追い払えたみたいだね』

 

笑顔のダ・ヴィンチの立体映像が浮かび上がり、彼女は3人に労いの言葉をかける。

 

「ええ、そうなんだけど……。でもね、あの獣、ただの魔獣じゃないと思うの。魔術の気配がしたんだけど」

 

ジャンヌ・オルタの報告に、ダ・ヴィンチは真剣な表情になる。

 

『そうか、やはりあの獣には謎が多いね。正体も、まだはっきりとはわからないし……』

 

「ダ・ヴィンチ、何か心当たりはある?」

 

マリーが尋ねると、ダ・ヴィンチは小さく首を傾げた。

 

『いくつか仮説はあるんだけどね。まだ確証が持てないんだ。もう少し情報が必要そうだね』

 

三人は、ダ・ヴィンチの言葉に耳を傾ける。果たして、ジェヴォーダンの獣の正体とは。そして、この特異点の謎とは一体。ダ・ヴィンチの説明に、三人の表情が次第に真剣なものになっていく。

 

「なるほど、じゃあ私たちがすべきことって……」

 

マリーの問いかけに、ダ・ヴィンチは答えた。

 

『そう、君たちには、その謎を解明してもらいたい。そして、この特異点を正すために』

 

「わかったわ。私たちに任せて」

 

ジャンヌ・オルタの力強い返事に、ダ・ヴィンチは満足げに微笑むのだった。一方、村ではジャンヌ・オルタの活躍が話題になっていた。獣を追い払った勇敢な女性として、彼女は村人たちの尊敬を集めていたのだ。村の広場では、ジャンヌ・オルタを称える宴が催されようとしていた。村人たちは、自分たちを救ってくれた恩人を、精一杯もてなしたいと考えていたのだ。

 

「ジャンヌ、あなたは村の英雄よ!」

 

「こんなご馳走、用意しちゃった!ぜひ召し上がって!」

 

村人たちに囲まれ、ジャンヌ・オルタは照れくさそうに頬を掻く。

 

「ま、まあ、当然のことをしただけよ。大げさに褒められるようなことじゃないわ」

 

そう言いながらも、彼女の表情は嬉しそうだった。村人たちに慕われる気分は、悪くないようだ。宴は、深夜まで続いた。村人たちは、ジャンヌ・オルタを中心に、賑やかに歓談していた。そんな和やかな光景を見ながら、マリーはふと、この村の平穏が続くことを祈った。一方のパニッシャーは、村の外れを見つめながら、深い考え込んでいた。

 

(ジェヴォーダンの獣……か。正体も、まだわからないが、こいつはただの魔獣じゃない。一体、何者なんだ?聖杯で作られたモンスターの類か、それとも……)




そーいや邪ンヌには村娘として生きていた時期の記憶は引き継いでいるんでしょうかね……?(^_^;) ジャンヌが生きていた時代の農業とフランス革命直前の農業だと勝手が違うと思うんで作業の仕方を教わるのは自然なのだろうか……?
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