ある日悪友がゴールドプレートになりまして   作:むがむが

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何とか次話投稿です書きたいとこまでいったら大分長くなりました








勘違いされるもの/勘違いするもの

 

 

 

 例えばそこにショーケースがあって

 

 その中に俺が欲しいものが幾つかあったとして

 

 どれがいいかと聞かれれば俺は全部というだろう

 

 たとえ全部は無理だと言われても

 

 俺は欲張りだから妥協できない

 

 どんな努力だって惜しまない

 

 欲しいものは自分が望む形で手に入れたい

 

 そんな我儘な傲慢さがきっと俺の魔法の適正にも深く根ざしているのかもしれない

 

 1つじゃ満足出来ない、もっと出来ることを増やしたい

 

 出来るなら全部試してみたい

 

 障害なんて気にしない

 

 今日の頑張りはその為の第一歩

 

 そんな思いで生み出したこの本が

 

 

 

 我儘で欲張りな俺の魔法なんだ

 

 

 

 

                      ★

 

 

 

 10分位経って柊せんせーが帰ってきた、結果は…………

 

「最低ではあるが筆記の合格ラインは超えていた、あれなら魔法文字さえ読めていれば合格できていただろう」

 

 それを聞いた瞬間俺と大賀はハイタッチと抱擁を交わす、良かった!あの日々は無駄では無かったのである。

 

 なお喜びで忘れているがこいつは筆記は絶対大丈夫だった、と言っていたのを思い出して「ギリギリじゃねぇか!」と俺は後で切れたと追記しておく。

 

「それで?どうするんだ、こいつの筆記の結果を聞いたと言うことは魔法文字を読ませるんだろうが……」

 

 ちょっと言い淀む柊せんせーの気持ちもわかる、やる意味があるのか?ということだろう、

 魔法文字は急に読めるようになるものじゃない、魔法の資質が無ければそもそも読めない。

 

 そして聖凪の面接試験今から行う大賀の再試験こそが面接試験では入試案内に書かれていたその魔法文字の解読である。

 

 流石魔法学校、入学試験にも魔法試験があるとは恐れ入る、そしてそれで弾かれる高校は絶対に第一志望にはしないほうがいい。

 

 閑話休題(それはともかく)

 

「魔法文字については確約は出来ないですけど無駄にはならないと思います」

 

 本来であれば一度落ちている大賀に魔法文字を読ませることに意味はない、読めなかったから落ちてるわけだしな、

 

 でも大賀に限ってはそもそも魔法文字が潰された状態の入試案内を持っていたせいで落ちているのでその限りでは無かったりする、まぁ詳しく省くが。

 

「ペンと紙もらっていいっすか?」

 

 つまり読める確率はそれなりにあるってこと、ならやってみる価値はあるはずだ。

 

 校長先生からペンを受け取りプレートといつもケツポケットに入れてる小型のバインダーを取り出す、そんなに容量食う魔法じゃなくて一年レベルだから俺がやったが良いだろ。

 

 付箋を貼ってあるページを捲って…………とあった。

 

「その本が真司の魔法なのか?」

 

「いや、百均の安物」

 

 後ろで大賀がずっこける、本は大事じゃ……無いわけじゃないけど重要じゃない。

 

「?水無月は魔法文字のための魔法を入れてるのか?」

 

 柊せんせーの疑問はもっとも、正直あまり有用性の高い魔法じゃないし一年で入れてる奴は珍しい、勿論俺のMPにも入ってない。

 

「なんで……」

 

 MP内の魔法を削除一部容量を解放、そしてこれにて新しく試す予定の強化系魔法はオジャン。

 

「今から入れます」

 

 

 

 

                      ★

 

 

 

 

「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」

 

「おい、なんか俺の幼馴染がヤバい扉開いてるんですけど!」

 

 突如謎の言語を高速で喋りだした幼馴染の様子に慄いてる者が1名、だが他の2人は何をしているかわかっているからこそ反応出来なかった

 

 この学園で魔法を使う者ならば誰もが行うこと、MPへの秘呪文を使ったインストール

 

 この学園で魔法を時一般的な生徒は各自に配布された基本書や蔵書室に保管された魔法書に記されている秘呪文をMPに詠唱しそれを引き出すことで使用している。

 

 入力時には高い集中力を要求されるそれは本来ならば長いもので数日、短いものでも10数分は掛かる、それを水無月真司は1分足らずで入力している…………

 

 これが水無月真司に特異性

 

 水無月真司に得意魔法は存在しない

 

 何故なら今1年が習得できる範囲の魔法はほぼ全て習熟できているから

 

 毎日図書室に通い魔法書を読み漁り、放課後実践を繰り返し秘呪文のアプローチを変えながら試行錯誤を繰り返し魔法をインストールし直して改善点をメモに纏め習熟していく。

 

 そのために毎日5時起床し大賀の姉と町内を走り肺活量を鍛えアナウンサー学校のレッスン動画で発声滑舌を鍛え門が開くとともに学園に入り終礼とともに学園を出る。

 

 そんな生活を送る全ての魔法を使ってみたいという若干努力の方向性を間違っている水無月真司の我儘を叶える為の高速詠唱と短縮詠唱、そして余った時間で練習した豊富な魔法(てふだ)

 

 それが2ーFが誇る魔法バカ(オールラウンダー)水無月真司の魔法である。

 

 

 

 

                       ★

 

 

 

 

 この間やった詠唱タイムアタックの成果はまずまずかなぁと思いながら周りみると……なにこの空気、静まりかえってんだけど…………大賀は引いてんじゃねぇ。

 

 なんか釈然としないがさっさと次に進める為にペンに魔法を込める

 

 『透明な暗号(ホワイトボードマーカー)

 

 書く文字は………………これでいっか。

 

「大賀、これ読んでみろよ」

 

 そう言って紙を大賀の前に差し出す。

 

「なんて書いてある?」

 

「私、九澄大賀は十歳の頃までおねしょをしその度姉に………………ってなんじゃこりゃ!!」

 

「読めてるな」

 

 殴りかかってくる大賀を諌めながら紙を柊せんせー達に回す、書いてあることは一語一句間違ってない。

 

 そうか……読めたのか…………じゃあもし入試の時あんなことが無ければ大賀は入学できてたのか…………。

 

 ほんの少し肩の荷がおりたような、やっぱり悔しいような不思議な気持ちになるが、今気にすることじゃないよな。

 

 俺は柊せんせーに向き直る。

 

「もう俺が大賀の入学に反対する理由はありません、さっきも言ったとおり先生達のこともバレないように大賀を出来るだけサポートします」

 

「俺もこれでも忙しい身なんでな、いつでも九澄のサポートができるわけじゃない、同級生の水無月のほうが手が回ることもあるだろう、その時は頼む」

 

「貸し1つですね」

 

 笑顔で言ったら渋い顔された失礼な。

 

「大賀」

 

「あぁん!」

 

 今度はまだちょっと怒りが収まってない大賀の方に向く、こいつ怒りが先にきて今の状況が見えてないな。

 

「入学おめでと」

 

 そう言って手を出すと大賀はやっと周りを見る余裕が出来たのか俺らを見る

 

 柊せんせーが渋い顔で頷き

 

 校長先生が

 

「合格おめでとう、本校は九澄大賀くんを歓迎します」

 

 と言った。

 

「真司!!」

 

 実感が湧いてきたんだろう俺の手を叩いて肩を抱いてくる大賀に

 

「また同級生出来んな!!」

 

「あぁまた同級生になっちゃったな」

 

 と返すのだった。

 

 あぁそうかまだこの腐れ縁はまだまだ続けてけんだなと思いながら。

 

 

 

 

                       ★

 

 

 

 

 水無月真司が退出した校長室、そこに残された2人は神妙な面持ちだった、先程水無月真司の魔法の一端を目の当たりにしたからである。

 

「驚きましたね、まさかあのようなことを入って半月の子がやってのけるなんて」

 

「プレートの容量が足りないのであれば高速で書き換えてしまえばいい、単純ですが誰もそれをしようとはしません簡単なことではないですから」

 

「なぁ、真司がさっきやってたことってそんなにヤバいことなのか?」

 

 2人の間に流れる緊張した空気の中でこの中で唯一何が起こったかわかってない九澄が割って入る。

 

 あきらかに幼馴染の話をしているのに蚊帳の外なことへの疎外感からかもしれないが

 

「いや、水無月がやったこと自体はそこまでおかしなことではない、この学園の生徒なら誰でもやっていることだからな」

 

「だがそれをあのスピードで、更に言えばあの完成度で行えるものはいないだろう」

 

 まだよくわかっていないであろう魔法使い入門の九澄に校長が補足する。

 

「九澄くん、これから貴方が本校に通うに当たってこのMP支給を支給されます」

 

 校長はそう言いながら自身のプレートを見せる、それはさっき真司が使っていたものとも柊が使っていたものとも色は違うが確かに同じものだった。

 

MP(マジックプレート)というのは使用者がプレートに必要な分の魔法術を記録しこの魔法特区で生まれる魔力を使って実行するいわば魔法の記録装置です」

 

「そして魔法によって使用する容量はことなります、大きな魔法ほど複雑な記録が必要になり容量を食い魔法を記録する際にもかなりの集中力をもとめられます」

 

「だから一年……というよりウチの生徒は自分に適正の高い魔法を最初に覚えそれを三年かけて磨いていくというのが一般的だ、入力の手間と容量を相談しながらやるより遥かに効率がいいからな」

 

「だが…………」

 

「さっき水無月(やつ)がやったのはそれとは真逆のことだ、プレートを高速で書き換えプレートに入っていなかった魔法を使ったんだ」

 

 真司のやったことは一芸特化の魔法使いが集うこの場所では異質であったし革命的でもあった。

 

 プレートを書き換えることで強引にRiのプレートで多種多様な魔法を使う、それが出来れば苦労はないというのを力づくで通すやり方。

 

「正直、俺でも同じことはできん」

 

 それはプライドの高い柊に白旗をあげさせる程のものだった。

 

「まだ水無月は原石でしか無いが…………」

 

「ただ1つ言えることは今、この校舎において素質という意味ではもっともGP(ゴールドプレート)にちかいのはあいつだ」

 

 実力でいうなら真司はまだ三年どころか二年にも及ばない

 

 だが多くの魔法を習熟することで得られる経験値は真司自身とプレートに蓄積されていく、そしてそれはプレートのレベルを上げる上でもっとも大切なことなのだ。

 

 試験においても魔法を使って戦う際にも自分に有利な魔法(てふだ)を用意出来るということなのだから。

 

 まだ九澄はピンとはきてないようだが幼馴染がやっていることがこの学園のトップ2人の目から見ても規格外なことは薄らと伝わったのだろう息を飲む。

 

「正直に言えばお前と水無月(やつ)が幼馴染だったのはラッキーだった、お前がGPを持っていることの説得力が増すからな」

 

 怪物の友人は怪物だったというのは中々の説得力のある関係性だろう。

 

「だが忘れるな水無月は一年の中でも魔法の実力が頭二つは抜けている……お前はそんな奴を超える怪物だと思われるってことだ」

 

「周囲はそういう目をお前に向けるだろう」

 

「だからボロを出さないように気を引き締めとけよ」

 

 

 

 

 

 

 

                      ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして少し難易度の上がった気がした九澄大賀の学園生活は幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな風に周りに見られてるなんて露とも思ってない幼馴染を添えて。

 

 

 

 

 

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