人類最後のマスターが車椅子だったら   作:三和

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「マスター…起きたまえマスター、こんな所で寝ていては風邪をひくぞ?」

 

揺さぶられる感覚で私は目を覚ます

 

「んあ……エミヤ…さん?」

 

 

「……マスター、また資料を読み込んでいたのか?」

 

「え〜と……はい、ごめんなさい…」

 

「根を詰めすきだ。時計を見たまえ。もう深夜だ。何時ぐらいからここに居るんだ?」

 

「……あの……夕方から……?」

 

溜息をつかれた

 

「もう君に何を言っても無駄なのは分かっている。取り敢えず送って行こう」

 

「え?いや。大丈夫ですよ。」

 

拒否をしても有無を言わさず彼はもう車椅子に手をかけている

私は抵抗を止めた。

 

無言で資料室を出る……

 

エミヤさんに迷惑をかけた自覚はあるけど同時に感謝もしていた

というのも……

 

「……マスター、また例の夢を見ていたのか?」

 

「え?そうですけど…何で分かったんですか?」

 

「うなされていたからな。それもあって起こしたんだ。そもそも食事にも来ないから皆心配していたぞ?後でちゃんと謝っておくんだ。特にマシュにはな」

 

「……」

 

「まあ今の君はマシュには会いたくないんだろうな。」

 

「……はい。」

 

別に私を先輩と慕ってくれる彼女が嫌いなわけじゃない。これは私の問題だ

 

カルデアに来てからある夢を見ることが多くなった

それは姿のはっきりしない多分サーヴァントと思われる者によってマシュが消されてしまう夢だ

 

……この夢に何か意味があるのかは分からない

でもこの夢を見た後はいつもマシュの顔を見るのがしばらく辛くなる……

 

「夢の最後はいつも通りか?」

 

「……はい。」

 

夢の最後はマシュが消された事を怒った私と同じカルデアの制服を着た少年がそのサーヴァントに殴りかかるところで終わる

 

「私からは何とも言えん、夢占いの知識も無いからな。ただ彼女には話すべきだ。私ではなく、な」

 

「う……それは分かってるんですけど……」

 

理由も無く一方的に避けられるのは相当辛いことだというのは聞くまでもなく分かる

 

「どうしてもあの姿が頭を過ぎるんです。自分でも折り合いを付けなきゃいけないと分かってるんですけど……」

 

特異点Fから帰ってきて以来所長を助けられなくて塞ぎ込んでしまった私を支えてくれたのは紛れもなく彼女なのだ。

 

「……全く。手のかかるマスターだ」

 

エミヤさんの苦笑を見て申し訳なくなる

 

特異点Fから戻ってから最初に召喚したサーヴァントが彼だったのは僥倖だったかもしれない。でもそれ以上に最初は警戒した

何せ特異点Fで戦ったサーヴァントと同じ姿をしていたのだから……

 

でも彼は厳しいときもあるけれどそれ以上に優しくてマシュとはまた違った形で私を支えてくれた

……あれから何人かサーヴァントを召喚して絆を育んだと自惚れ無しで言えなくも無いけど……やっぱりどうしても彼ばかりに今でも弱い姿を見せてしまう

 

「さて、着いたぞ」

 

気づいたら部屋の前だった

部屋のドアが横滑りして自動で開く

 

「誰か人を呼んで来よう。さすがに着替えの補助は私がする訳には行かないからな。」

 

「……あの、エミヤさん……」

 

「何だね?」

 

出て行こうとする彼を呼び止める

 

「……今夜だけ…一緒にいてもらう訳には行きませんか?」

 

またあの夢を見るかもしれない。そう考えると怖いのだ。甘えだと分かっていても今夜は一人になりたくない。

 

「……頼む相手を間違えているな。……まあいい。我がマスターの頼みだ。了解した。女性スタッフを誰か呼んでくるから待っていたまえ。」

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