「それじゃあ次は?」
「…さっきから私ばかり話してるけど…君は?」
そもそもの話…私は特異点の攻略もままならなかったし、彼からきっかけ作ってくれないと…いよいよ話す事も無くなるんだけどなぁ…
「あ、俺?冬木からの帰還後ならアルトリア来たよ。」
「…どのクラス?」
「あ、複数のクラス存在してるのは知ってるんだね…」
「…私が呼べたのは普通のセイバーだけだけどね…」
特異点でカウンターで召喚されるので良く…今思えば一人のサーヴァントが複数のクラスで存在するってだけでも珍しい気がするけど…私の印象だとそれこそバーゲンセールみたいだった…会う事があってもほとんど誰も呼べなかったけど。
「俺が呼んだのは黒い方と普通のセイバーだよ。」
「黒い方って…どれ?」
確か黒い方も色々いた筈…
「…そっちもセイバーだけど…呼べなかったのにそれも知ってるんだ…」
「アルトリアさんに関しては…何故か敵方で集中した事があってさ…」
「それは…色々な意味でアルトリアに同情するなぁ…」
うん…アレは今思い出しても私も苦笑いする事しか出来無い…アルトリアさん連れてったのは戦力的に充実してないから仕方無いし、来る事を知らなかったって言っても…やっぱり采配を誤った気がしてならない…アルトリアさん、自走式黒歴史を見ている気分だったって後でものすごく凹んでたし…攻略中はそれをおくびにも出さなかったのは本当に感謝の気持ちしか出て来ない。
ちなみに落ち込んだアルトリアさんを慰めるのは結局エミヤさんに丸投げした…正直、私からは何も言える事が無かったし…大体、普通に落ち込んでるだけならまだしも、身体の一部位を見て嫉妬の炎を燃やされてもどうすれば良いのか…エミヤさんにも『君相手では彼女もあまり素直に愚痴を吐けないだろう』…って、言われたし…
「それで…ナーサリーの後は誰が?」
「小次郎さん。」
「小次郎って…佐々木小次郎?」
「うん、まぁ…」
そこで私は言い淀む…
「歯切れ悪いけど…何かあったの?」
「いや…出て来た直後に聞いちゃったんだよね、『貴方は本当に佐々木小次郎本人ですか?』ってね。」
「え?何で?」
アレ?彼は本人から何も聞いてないのかな?
「君も会ったんだよね?どんな見た目だった?」
「青い髪の…今の世の中でも通じる若いイケメンだったかなぁ…」
「今の世の中でも通じるって時点で変…って言ったら失礼か…そうだね、巌流島の決闘の話は知ってる?」
「もちろん知ってるよ。良くドラマとかでもやってるし…」
「じゃあもう一つ聞くけど…それって佐々木小次郎視点からの話で見た事ある?」
「そう言えば…無いような…宮本武蔵から見た話は良く見るけど…」
「…実は佐々木小次郎って…いくつか逸話の残ってる宮本武蔵と違って、それ以外の活躍ってほとんど伝わってないし、そもそも実在の人かも怪しいって言われてるの…そうでなくても仮に存在してたとして…宮本武蔵と戦った時は同年代の可能性自体無いって話がある…」
「え?じゃあ実際に伝わってる年齢っていくつなの?」
「巌流島の決闘の時点で…宮本武蔵が確かギリギリ二十代、佐々木小次郎が七十代…」
「……マジ?」
「うん、マジ。そもそも佐々木小次郎は剣術指南役に就いてるの。指南役ってそれなりの剣の腕が無いとなれないの…詳しくは省くけど…少なくとも無名の筈の若手でなるのってやっぱり難しいんだよ…」
「だから…宮本武蔵より歳上?」
「根拠としては薄いけど、そう考えるとやっぱりしっくり来るんだよねぇ…だから変だな、と思ったから聞いちゃったんだよね…言ってからさすがに失言だったと後悔して謝罪したけど…ちなみに本人は笑いながら私の言葉が間違いじゃないと言ってたけどね…」
「って言うと?」
「あの人は…自分は佐々木小次郎と言う役を与えられただけのただの無名の剣士だって言ってたよ…蓋を開けて見れば無名どころか…歴史に伝わる佐々木小次郎本人を超えたとんでもない剣士だったけど…」
「そうなの?」
「いや現実には不可能だから。何の変哲も無い長いだけの刀で一太刀での多方向斬撃。所謂、多重次元屈折現象起こすとか…ちなみに本来の燕返しは…ある一方向に打ち込んだ刀の刃先をすぐに反転させて斬る、二段構えの技らしいけど…私は剣道や剣術に精通してる訳じゃないからこれ以上の説明は難しいかな…実際にどれほど有効な技なのかは分からないし…」
「…ま、難しい話は分からないけど…そう指摘しちゃったと…」
「本人は笑ってくれたけど、私は何か気不味くなっちゃってさ…あんまり交流を持つ事が無かったから結局どんな人かも詳しくは知らない…優しい人ではあったけど。」
一応廊下で会ったりなんかしたらアーチャーさんレベルで世話は焼いてくれたからね…一番色々してくれたのは…やっぱりエミヤさんだけど。