人類最後のマスターが車椅子だったら   作:三和

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二人してつい話し込んでしまい、続きはまた今度と言う事にして私たちは解散する事に…まぁ私の部屋はここだから、彼が自分の部屋に帰るだけなんだけど。

 

当然ながらまた明日、と言う約束をして彼が帰って行く……仕事中は私たちはほとんど顔を合わせない可能性の方が高いけどね。

 

とは言え、私はこのままでは寝れない…着替えなきゃならないし…布団に横になるのも自力では無理…いつもならもうとっくに紅ちゃんや武蔵さん来てる頃で彼とこんなに長く話す事も無いんだけど…今日はまだ二人が来る気配は無い。

 

……もしかして何か有った?今日は特に問題の有りそうなお客さん来てた記憶は無いんだけど…と言うより寧ろ今日泊まってるお客さん自体かなり少なかった様な…そう思ってるとドタドタとうるさい足音が聞こえて来る…

 

うるさいなぁ…お客さんからクレーム来るよ…そんな事を考えてたら私の部屋の前で足音は止まり、ハァ…ハァ…と激しい息遣いも聞こえて来る…やがて私の部屋の襖が勢い良く開いた。

 

「ハァ…ハァ…ごめん立香ちゃん、遅くなって…!」

 

武蔵さんだった…

 

「えっと…それは別に気にしてないんで良いんですけど…取り敢えず静かに…お客さんに迷惑ですから。」

 

と言うか、あまりうるさくすると終いに紅ちゃんも部屋までやって来るし、そうなると武蔵さんはもう今日は寝れなくなるだろう……霊体である武蔵さんが寝てるのも変っちゃ変だけど。

 

「う…ごめんなさい…」

 

「私に謝られても…それで、もしかして今まで紅ちゃんに怒られてたりしました?」

 

「……やっぱり分かる?」

 

「割と毎回ですし、そりゃあ…今回は新記録だと思いますけど。」

 

武蔵さんは何だかんだ仕事をサボったり、その仕事ぶり自体雑な事も少なからず有る…紅ちゃんはああ見えて仕事には厳しいので当然怒るけど無駄だと分かってるのか長々言う事は無い…ただ、仕事終わりから今までなら今日は明らかにいつもよりも説教の時間が無い。

 

「あっ、あはは…何かもう…本気で閻魔ちゃん怒らせちゃったみたいで…」

 

「真面目にやれば怒られないんですから、そうしてください。と言うか、そろそろ…紅ちゃんの負担もキツそうなので…」

 

最近何度か紅ちゃんの疲れ切った表情を見る事が多い気がする…人手は増えて来てるのに、そう言う顔を見るパターンが多いのは…寧ろ誰かが足を引っ張ってないと有り得ないと思う…

 

「う…分かってるんだけど…つい…」

 

「身内以外の人を相手にしてるんで、変に慣れてもらっても困りますけど…多少なりとも慣れて来たら楽になりますし、寧ろサボって怒られるよりはさっさと終わらせた方が休む時間も多く取れると思いますけど…基本的にする業務はいつも同じですし。」

 

まぁ、現状ここで私がやってる仕事なんて閻魔亭入り口の宿泊受付業務だけなんだけど…実際さっさと済ませた方がお客さんはスムーズに中に入れて私も一息吐けるし、何なら私自身バイトの経験ゼロって訳でも無いからその辺は分かる…

 

「そうなんだけどね…あっ、それよりちょっと良い?」

 

「……何でしょうか。」

 

はぐらかされてるのは分かるけど、この話今更しても仕方無い…もう紅ちゃんが言ってるだろうし…

 

「さっき例の彼とすれ違ったけど…駄目だよ、こんなに遅くまで男の人と一緒に居たら…」

 

……だから貴女は私の…うん、もう突っ込むの疲れた…

 

「ハイハイ、取り敢えずすみません…寝る用意手伝って貰っても良いですか?」

 

話をスルーされて不満そうな武蔵さんだけど、私は知らない。もう後は明日の仕事の事しか考えたくない…さっさと寝たい…

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