人類最後のマスターが車椅子だったら   作:三和

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「あっ!ちょっと!貴女誰!?」

 

「ちょっとマスター?何なのコイツ…」

 

ジャンヌに車椅子を押され、トイレから戻る最中…恐らくエミヤさんから逃げたのだと思われる武蔵さんに遭遇……武蔵さんが喧嘩腰に絡んでいる事も有り、今私は戦々恐々している…何せ、早くもジャンヌのこめかみに青筋が浮いてるから…

 

「えっと…この人は武蔵さん…扱い上は一応英霊になるのかな…以前ここに宿泊客として来てたんだけど…何か問題起こしたらしくて、ここを出禁にされた上に紅ちゃんに追い出されたんだけど…何故か、残留思念体としてここに残っちゃって…働いてる私と出会ったんだけど、私を補助する為に自分も働くとか言い始めてね…私をサポートしやすい様に今は思念体の自分を依代にサーヴァント化してるの。」

 

「……一体何処から、突っ込んだら良いのかしらね…」

 

経歴のカオスさにイライラも吹き飛んだのか、ジャンヌが困惑顔で呟く…まぁ、この人(?)やってる事が本当にぶっ飛んでるからね…最もその辺は、座に一切存在記録が無かった筈なのにサーヴァントとして自分の存在を世界に定着させたジャンヌも大概だとは思うけど(召喚して結構後になって本人自らが語った話だから、証拠の無い話…でも、不思議とジャンヌなら出来そうって感じる…そう考えると武蔵さんと性質は似てるかな…)

 

「てか、アンタの補助ね…その割に私、コイツに今日初めて会ったんだけど?」

 

「ちょっと無視しないでよ!?」

 

「私にばかり構いに来て自分の仕事全然しないからさ…缶詰状態にされてたの。」

 

「謹慎って訳ね…今ここに居るって事は解けたのかしら。」

 

「……いや、武蔵さんの事だから逃げたんじゃないかと…」

 

「救い難いわね…」

 

「無視しないでぇ!」

 

あ、武蔵さん泣き出した…もう収集着けられないよ、コレ…どうしよう…てか、ジャンヌは人の事言えないんじゃ…

 

「何か言いたそうね?」

 

「いや、別に…」

 

「……言っとくけど、私はここに来てから仕事…サボってないわよ?」

 

「あ、やっぱり?」

 

「自分からやるって言ったんだから一々サボらないわよ、さっさとやればすぐに終わる様な仕事ばかりだしね。」

 

「うわ~ん!」

 

……あ、これは武蔵さんにとってはトドメになるのか…でも、結局サボる武蔵さんが悪いんだしなぁ…

 

「コイツ、どうする?」

 

「何も無ければ放置するんだけど…今日お客さん泊まってるから、このままだと不味いかな…」

 

と言うか、そもそも…廊下の真ん中で蹲られると、車椅子が通れないんだよね…

 

「元々サボり癖が有る奴が謹慎処分になったんなら、監視役でも居たんじゃないの?」

 

「うん、エミヤさんが…」

 

「エミヤ?あー…アイツね…」

 

「エミヤさんの記憶も有るんだね…」

 

「私は少なくともあそこでの事は全部覚えてるわよ…もちろん、アンタたちと戦った時の事も全部ね…」

 

「……ジャンヌ、私の所に来た事…後悔してない?」

 

「ハッ…後悔?アンタに憎悪を抱いた事は有っても、後悔なんざした事も無いわよ。」

 

「そっか、うん…良かった。」

 

「アンタ、人の話聞いてなかったの?私はアンタを憎んでるって言ったんだけど?」

 

「良いよ、それでも…後悔してないならそれで良いの。」

 

「……全く、こんなだから目を離せないのよ…」

 

「んん?何か言った?」

 

「べっつに~。まぁ、何にしてもコイツ邪魔ね…通れないわ。」

 

「ジャンヌ、一つ頼んでも良いかな?」

 

「何かしら?」

 

 

 

 

「いやぁ…ごめんね?」

 

「良いわ、別に…こっちもさっさと仕事戻りたいんだから。」

 

私は今ジャンヌに背負われている。

 

「…で、車椅子置いて来たけど…良かったのかしら?」

 

「もう少ししたら武蔵さんも復活するだろうし、そしたら運んでくれるよ…それか、武蔵さんを発見したエミヤさんが運んでくれると思う。」

 

「……アンタ、性格悪くなったんじゃない?」

 

「私って割と前からこうだよ…ジャンヌはこんな私、どう思う?」

 

「そうねぇ…どちらかと言えば私好みかしらね。あの頃みたいに偽善者振ってるよりは良いと思うわよ。」

 

「偽善者か…やっぱり、そう見えた?」

 

「他人の為に自分を捨てられるとか言う奴なんて単なる偽善者よ…反吐が出るわ。」

 

「そっか…」

 

「ま、今は違うんでしょ?」

 

「どうかなぁ…」

 

「そこは即答しなさいよ、全く……ほら、着いたわよ。」

 

一度受付近くの床に下ろされる…私は受付に座っている雀さんに声を掛けた。

 

「ごめん…待たせたちゃった?」

 

「チュン!大丈夫でチュン!」

 

そして雀さんは自分の仕事に戻って行き、私はジャンヌに抱き抱えられ…受付の椅子に座る。

 

「じゃ、私は行くから…」

 

「うん、ありがとね…」

 

背を向けたジャンヌが後ろ手にヒラヒラと手を振る…ふぅ…さて、と……頑張りますかね。

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