ソードアート・オンライン〜アメイジング・フィスト〜   作:明石雪路

25 / 35
インビンシブル・ジェノサイド

 ガシャリと、カイサラが立ち上がった。左手の甲にはキューブ、宝石、水晶、種子を装備しており、キューブと水晶は光り、宝石は電気を零し、種子は血管のようなものが浮き出ている。

 

 

 一目で先ほどまでと明らかに違うということがわかる。

 

 

「ジャック殿、如何様に?」

「さっきまでと変わらない。素早さを下げて、僕とドラゴンでダメージを稼ぐ、みんな気を抜くな!」

「御意!」

 

 

 コタローとイスケは素早く動いて補足されないようにしながら粘着弾攻撃を始めた。

 

 

「ドラゴンは回復していてくれ、僕が行く」

 

 

 そういってジャックは駆けた。真正面からカイサラに接近しながらサイドスローでチャクラムを頭部めがけて投擲。躱そうが防ごうが一瞬でも隙が出来るはずだ。

 

 

 刹那、背筋が痛くなるほど冷たくなる感覚が脳髄を貫いた。

 

 

(躱さないと死ぬ!)

 

 

 全身のバネを使って姿勢を下げると、上半身があったところを豪速で何かが擦過した。

 

 

 直後に背後で爆発音。

 

 

「溜めの斬撃飛ばし……!」

 

 

牽制のチャクラムも一刀両断どころか木っ端みじんに吹っ飛ばされている。

 しかし違和感。なぜ投げられたチャクラムが当たる前に剣を振り切っているのだ?

 粘着弾で敏捷性は低下しており、間に合わないはずだ。

 

 

 どういうことかとカイサラを見て、さらに彼女の脅威を再確認することとなる。

 

 

「ジャック、不味いぞ。粘着弾が焼け溶けている!」

「これじゃあ幾ら投げても意味ないでござる!」

 

 

 シャーロットの報告のとおり、カイサラの体中に張り付いていた粘着弾は焦げ臭い煙を上げながらゆっくりと垂れている。

 

 

「……電気抵抗の熱で溶かしてるのか!」

 

 

 

 

 雷をどう打ち込むなどの戦術が高いならまだわかる。だがこの思考の拡張性は流石に……!!

 

 

 カイサラは焦げ付いたコートを脱ぎ捨てた。ぼろぼろのワイシャツの切れ目から銀色の肌が見え隠れしている。

 外見こそくたびれているものの、眼光といい佇まいといい一切の綻びを感じさせない。

 

 

 HPバーは二割ほど削れているが、残り八割がとてつもなく多く感じる。

 

 

 ここからが本領発揮ということか。

 

 

「四つ特殊行動が増えたが、何かするときは宝石が光る! よく見て動くんだ!」

「簡単に言うなってノ!」

 

 

 アルゴが煙玉を放り投げ、カイサラの視界を奪う。

 同時にシャーロットとアルゴ、忍者たちスピード組の姿が消えた。

 

 

 途端に巨大な煙の中で火花が鳴り始める。いつの間に打合せしていたのか、スピード組が速さに任せた猛攻を開始した。彼らは目にも止まらぬかまいたちとなってカイサラのHPを削り取る。カイサラは数手遅れつつも4人の攻撃を捌いていく。

 

 

(私たちは索敵スキルのmodで煙の中も視認できるが、カイサラはほとんど見えていないはずだ、できる限りHPを削る!)

 

 

 斬撃耐性をもつカイサラのために用意したシャーロットは逆刃刀、忍者たちの十手が何度もメタルのボディを打ち鳴らしていく。

 が、その攻勢はすぐに瓦解した。

 

 

「グアッ!?」

 

 

 突如としてイスケが吹っ飛ばされた。AGI型ゆえに総重量の軽いイスケはバスケットボールの様にバウンドしながら玉座の間から吹っ飛ばされた。

 カイサラは振りぬいた拳を戻り、シャーロットとコタローをオッドアイに捉える。

 

 

「イスケ!……ブッ!?」

 

 

 次に、相棒に気を取られたコタローを雷撃の槍が貫いた。軽装で布装備、状態異常耐性の低いコタローは〈麻痺〉になることを回避できず膝をつく。そこにローキックを叩きこまれ、斜め上空に蹴り飛ばされる。残った天井に思い切りぶち当たったコタローはバウンドして地面に叩きつけられそのまま動かなくなった。

 

 

「フッ!!」

「ラアアア!」

 

 

 蹴り直後の隙を突いて、シャーロットとアルゴが左右から仕掛けた。それぞれのクローとカタナがライトエフェクトを纏い、高周波の振動音を響かせる。そして。

 

 

 カイサラの片手剣ソードスキル〈ホリゾンタル〉は二人の武器を破壊しながら二人を斬り飛ばした。二人は瓦礫の山に頭から突っ込み、動かなくなった。

 否。ヒュオ、と流れる影が瓦礫の山からすり抜けた。シャーロットは折れた逆刃刀に代わって愛刀〈夢幻泡影〉を腰に差した隻腕の剣士は隠蔽スキルと独自の歩法とハイレアリティの草履によって無音で背後に回り、超低姿勢で居合の構えを取る。カイサラより速く、純白のソードスキルを纏った鞘をカタパルトとして薄刃の名剣が放たれた。ライトエフェクトさえ置いてけぼりにする居合ソードスキル〈六徳五行〉。ほとんど同時に五つの斬撃を繰り出す最高速のソードスキルが発動し、不可避の刃が牙をm

 

 

「今の私とは相性が悪かったな」

 

 

 振りぬかれた〈夢幻泡影〉は、真ッ二つにぶち折れた。

 

 

「やはりダメか」

 

 

 不可避の斬撃。すり抜けるような切れ味であろうと、攻撃の属性とそれに対する耐性というものは無視できるものではない。カイサラの衣装は切れていたものの、体が五つの小さな切れ込みが入っただけで全くダメージはなかった。

 片手剣で太ももを貫かれて動きを封じられたシャーロットはメタルの細腕で胸倉をつかまれ、適当な瓦礫の山に放り込まれた。

 

 

 

「……………!」

「あ、おい待て!」

 

 

 ドラゴンはあと少しで終わる回復も待たずにカイサラに切りかかった。

 声に出ることはないが、明らかに激高している。

力任せに振り下ろした大剣はカイサラに難なく躱され、地面に放射線状に亀裂を入れた。

 両手剣を床に亀裂を残すほど振りぬくなど、熟練の戦士であるドラゴンにとってはあり得ないことだ。続けて繰り出した横なぎも後隙が大きすぎる。結局足元を狙ったローキックで姿勢を崩され、ドールフル・ノクターンでわき腹を貫かれた。引き抜きざまにソバットを食らい地面を転がった。

 

 

 

 

 

「そして一人残った。お前を倒せば、私の計画を邪魔するものはいなくなるな」

「くそったれ……………」

 

 

 そして、一人残ったジャックは。

 

 

 超硬度の拳を握りしめた。

 




 ここでキャラのステータス比較表でも載せておこうと思います


AGI

シャーロット≧アルゴ>風魔忍軍>ジャック≧カイサラ>>>ドラゴン・ツクヨミ


STR

ドラゴン・カイサラ≧ツクヨミ>ジャック>シャーロット>アルゴ>風魔忍軍




お読みいただきありがとうございました。
よろしければ感想もしくはお気に入り登録よろしくお願いいたします。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。