世界を救った勇者は俯きながら生きている。   作:赤いUFO

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彩那は守護騎士達を人間とは思っていません。
闇の書の役割を遂行する人形認識です。


増援、助っ人、乱入

 今回の仕事を終えてザフィーラと城に戻るとシャマルが出迎えてくれた。

 

「お帰りなさい。大丈夫だった?」

 

「あぁ……」

 

 素っ気ない態度で返すアタシにシャマルが頬に触れて息を吐いた。

 

「あぁ、じゃないでしょ。頬を怪我して」

 

「別にこれくらい……」

 

「じっとしてて。すぐに治すわ」

 

 シャマルが魔法を使って頬の傷を治療する。

 治療中に主の護衛をしていたシグナムが話しかけてくる。

 

「掠り傷とはいえ、お前が負傷など珍しいな。それほどの相手だったのか?」

 

「まぁな」

 

 シグナムの質問に対して不機嫌に返す。

 強かったかと言われれば確かにこれまでに比べれば強かった。

 だけどあの程度の相手、本当ならこんな掠り傷だって負うような相手じゃない。

 だけど何度アイゼンで殴っても立ち上がってきた青と金の剣を持つ2人の女剣士。

 青の剣を持つ女の剣士が最後に突き出した刃が頬を掠めた。

 あの一瞬、その執念と呼ぶべき気迫に気圧された事に苛立ちを覚える。

 そこでザフィーラが話に入ってきた。

 

「それなりの魔力を持っていたのでな。無力化するついでに蒐集してきた。そのせいで増援を許してしまい、トドメを刺し損ねたが」

 

 何度も立ち上がってくる敵に闇の書のページを埋める意味も込めて蒐集した。

 意識を失った2人を殺そうとしたところで邪魔が入った。

 カートリッジを使い切った事と、撤退命令も下った事で逃げちまった。

 

「そうか。しかし生きているなら別の戦場で会う事もあるだろう」

 

 楽しみだと言わんばかりに少しだけ口元をつり上げるシグナム。

 正直、リーダーのこの戦闘狂気質だけは合わないと感じる。

 そうして話していると今代の主がやってきた。

 

「お帰りなさい、ヴィータちゃん。ザフィーラ」

 

 寝間着に薄い上着を羽織った、背丈がアタシと同じくらいの子供。

 この国の第二王子だ。

 生まれつき身体が弱く、今朝も体調を崩してシャマルとシグナムが付きっきりだった。

 

「主、まだ休んでないと」

 

「うん。ありがとう。でもちゃんと2人を出迎えたかったから」

 

 少しだけ青い顔をした主がアタシとザフィーラを見る。

 

「ご苦労様。怪我はない?」

 

「あぁ、はい」

 

 主に対しても素っ気ない態度を取るアタシにシグナムが念話で嗜めてくるが聞き流す。

 基本主の命しか受けないアタシらだが、王の命令を主を通して下される事で請け負う。

 まだ幼い主は戦いに行った、とは知っていても、細かな内容は知らない。

 今回、主とそう年齢の変わらない子供も殺めてきた事も。

 

「今日ね。花壇を窓から見たら大きな花が咲いてたの。後で一緒に見に行こうね、ヴィータちゃん」

 

「えぇ、はい」

 

 見た目の年齢が近いせいか、主はアタシに特に構う。

 アタシらの処遇も出来る限り厚待遇になるように王に言っていた。

 それが、少しだけ困る。

 あまり覚えてないが、今までの主はアタシらをもっと道具みたいに扱っていた筈だ。

 なのに、こうして優しくされると、どう接して良いのか分からない。

 

「ヴィータちゃん。手を繋いで貰って良いかな?」

 

「はい……」

 

 やはり素っ気ないアタシの返事に対して嬉しそうに手を握る主。

 主の心遣いが慣れない。

 慣れないけど、悪い気はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高町なのはは珍しく殺気立っている彩那を見て思わず肩を小さくして震えた。

 包帯を外して素顔を晒した表情が鋭く相手を見ている。

 もしかしたら、襲ってきた目の前の赤い少女よりも、彩那の方が恐いと感じているのかもしれない。

 

「久しぶりね、鉄槌の騎士。その顔をまた見る羽目になるとは思わなかったわ」

 

 知り合い? と思ったが相手がそれを否定する。

 

「あん? 誰だテメェ」

 

「覚えてないの? 貴女達にとってはどれくらい前かは知らないけど、随分と暢気な話だわ。だって────」

 

 彩那が聖剣の刃を指でなぞる。

 

「あの時、貴女の心臓をこの剣で貫いてやったのに」

 

 静かな声で話す彩那になのははゾクッと怖気が走った。

 

「訳のわかんねぇこと、言ってんじゃねぇ!!」

 

 赤い少女が手にしたハンマーを彩那に振るう。

 

「バウンドシールド」

 

 向かってくるハンマーに対して彩那は手の甲の部分から肘の辺りまで防御シールドを発生させる。

 

「なっ!?」

 

「強度ではなく弾力で相手を弾き飛ばす。対鉄槌の騎士(貴女)用に構築したシールドよ。やっぱり、本当に忘れてるのね」

 

 赤い少女がシールドから大きく弾き飛ばされる。

 

「高町さんはそこに居て。彼女の相手は私がするわ」

 

「そんな! 戦うなら2人で!」

 

 なのはの提案を遮り彩那は静かに告げる。

 

「足手まといよ」

 

「え?」

 

 なのはには彩那の言葉が頭で理解できても、受け入れるのに時間を要した。

 いつも何だかんだで相手の意見を尊重してくれる彩那が明確に拒絶するような事を言うとは思わなかったのだ。

 

「……すぐに終わらせるから」

 

 逃げるように赤い少女のところへ向かう。

 このまま、2人戦わせてはいけない。どっちが勝ってもきっととても悲しい事になる。

 その予感がなのはの中にはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァアアッ!!」

 

 鉄槌の騎士ヴィータが彩那に向けて槌を振るう。

 彩那がシールドで防ぐ。

 

「アイゼンッ!?」

 

 デバイスから薬莢が吐き出されると魔力が増大し、槌とシールドの接触部分から彩那に向かって爆発が生じた。

 

「ちぃっ!」

 

 爆発に逆らわず、そのまま飛ばされるが、体勢を立て直すと同時にヴィータが背後から迫っていた。

 

「墜ちろっ!」

 

「誰がっ!」

 

 聖剣で防ぎ、反対に斬り捨てようと剣を振るうが、今度は槌で弾かれる。

 互いに武器がぶつかり合い、1撃も体への攻撃を通さない。

 ヴィータの方から距離を取り、鉄球を打ってくる。

 

「魔剣の災禍をっ!」

 

 魔剣を抜き、砲撃魔法の即撃ちで迎撃する。

 ぶつかった両者の攻撃が爆発し、発生した煙で視界が一瞬奪われた。

 動きが止まるヴィータに、煙から魔力の刃が数多く飛び出てきた。

 

「チッ! ダァッ!!」

 

 追撃してくる攻撃を巨大化したハンマーで迎撃する。

 

「こんなモンでっ!!」

 

 彩那の攻撃を全て防ぐ。

 すると、ヴィータの上を取った彩那が手にした王剣を振るう。

 

「ヤロウッ!」

 

「チェーンボム」

 

 王剣から吐き出された鎖がヴィータを拘束する。

 

「バインド!? クソッ!」

 

 急いで破壊しようするが、彩那がヴィータの喉元に王剣の切っ先を突き付ける。

 

「良かった。どうやら本当に私達の事は覚えていないようね。覚えてたら、こんなにもあっさりと捕らえられなかった。────さようなら」

 

 彩那が王剣をヴィータの胸の位置にある鎖を1つ破壊する。

 すると、破壊した鎖が小さな爆発を起こした。

 

「づあっ!?」

 

 そこから連鎖的に鎖の1つ1つが爆発していき、最終的にヴィータの身体を包む規模となった。

 最後の鎖が爆発すると黒焦げになって、マンションの屋上へと落ちていく。

 しかしまだ死んではいない。

 

「まだ息があるのね」

 

 バリアジャケットの性能のお陰か、思ったよりしぶとい。

 マンションに落ちたヴィータは横に降り立つ彩那に視線を向ける。

 

(コイツ、マジでヤベェ……!)

 

 殺傷設定のまま、本気でこちらを殺しに来ているのを確信する。

 横向きに倒れていたヴィータを足で仰向けにし、腹を踏みつけてきた。

 

「う……あ……!」

 

「先ずは1体、と……」

 

 逆手に構えた剣でヴィータ喉を貫こうとする。

 その時に思い浮かべのは、優しい主の姿。

 

(はやて……ゴメン……)

 

 死を覚悟すると、踏みつけにしていた彩那が弾き飛ばされた。

 

「チッ!」

 

「ハァッ!!」

 

 救援に駆け付けたのは、シグナムだった。

 彩那をヴィータから離した連結刃を元の長剣に戻し、斬りかかる。

 体勢を崩した彩那にザフィーラも背後から拳を振るうが上空に移動して回避する。

 

「ヴィータちゃん!」

 

 倒れているヴィータにシャマルが駆け寄る。

 

「シャマ……ル……」

 

「喋らないで! すぐに治療を!」

 

 シャマルは癒しの魔法をヴィータにかける。

 結界の外から戦況を見守っていたシャマルは隙を見て相手のリンカーコアを蒐集しようとしていた。

 しかしヴィータがあまりにも劣勢に追いやられた為、こうして姿を見せる形となったのだ。

 

「ヴォルケンリッターの揃い踏み、か。いいわ、捜す手間が省けただけの事よ!」

 

 彩那は魔剣を構える。

 狙いは倒れているヴィータと治療に徹しているシャマルだ。

 いち早く気付いたザフィーラが舌打ちしてシールドを張る。

 溜めが無かった砲撃は僅かな硬直と同時に防がれた。

 

「シッ!」

 

 その間に彩那との距離を詰めたシグナムが斬り込んでくるが、聖剣で受け止める。

 3本の剣が空でぶつかり、火花を散らす。

 

「紫電一閃っ!!」

 

「くっ!?」

 

 炎を纏った攻撃を受け止めるが、押しきられると判断。

 マントの内側に隠していた誘導刃を四枚射出し、シグナムを襲わせる。

 

「やるな! レヴァンティンッ!!」

 

 彩那を力ずくで弾き飛ばすと刀身の連結を外して鞭状になった刃で迎撃する。

 体勢が崩れていた彩那にザフィーラが吠えて突っ込んでくる。

 突き出された拳に対して回し蹴りを腕に当ててその反動を利用して距離を取る。

 しかし敵の追撃は止まらず、治療をしていたヴィータも参戦してきた。

 

「ぶっ潰れろっ!!」

 

 バウンドシールドで弾くと、丁度3人に囲まれる形となる。

 

「ヴィータ。もういいのか?」

 

「そんなこ……言ってる場合じゃ、ねぇだろ。コイツだけはここで仕止める!」

 

 いくらヴォルケンリッターでもこの短時間で完全に怪我は治らない。今は外側だけ取り繕っているだけだ。

 動くと痛みが走り、どうにか塞がっている傷も開くだろう。

 それを押してもここで彩那を仕止めるべきだと勘が告げている。

 ヴォルケンリッター前衛3人に囲まれている状況に彩那は険しい表情になる。

 昔ならフォローしてくれる勇者(仲間)が居た。

 しかし今は独りだ。

 

「だから、私が独りでもやらなくちゃ」

 

 聖剣と霊剣を構える。

 かつての戦争でヴォルケンリッターに命を奪われた仲間や部下。そして無辜の人々と幼い子供達を思い出す。

 

(もう、あんな事は絶対に……!)

 

 ギリッと奥歯を噛むと、シグナムが話しかけてきた。

 

「僅かな間とはいえ、我らの攻撃にここまで耐え凌ぐとは。幼くとも優れた騎士だ。貴殿の名は?」

 

「貴方達に、名乗るつもりはないわ。すぐに破壊してやるから」

 

「……そうか、残念だ」

 

 3つの方向からヴォルケンリッターが迫ってきた。

 彩那が誰が最初に攻撃するのか予測を立てる。

 

(私がここで倒さないと……!)

 

 するとヴォルケンリッター3人は別方向から攻撃を受ける。

 ヴィータには桜色の誘導弾。

 シグナムには雷の砲撃。

 ザフィーラにはアルフが殴りかかる。

 そのどれも対処されたが。

 一瞬呆けて力を抜くと後ろからユーノが支えてきた。

 

「アヤナ、大丈夫!」

 

 フェイトが心配そうにこちらを見てきた。

 

「え、えぇ……」

 

 その態度に戸惑いつつもどうにか返事をする。

 彩那とヴィータの戦闘が始まって少し経ってからなのははフェイト達と合流した。

 突然海鳴に張られた結界と、なのはと連絡が取れなくなったことでフェイト達を先行させたのだ。

 目まぐるしく位置が入れ替わる戦いに援護が難しかったが、距離を取ってくれた事でようやく介入出来た。

 

「彩那ちゃん」

 

 なのはがデバイスを構えながら話しかける。

 

「私1人なら足手まといになっちゃうかもだけど、今はフェイトちゃん達も居る。それなら、足手まといには絶対にならないから」

 

 今彩那と同じ事をしろと言われても無理だとなのはにも理解できる。

 それは悔しいし、足手まといだと言われて哀しかった。

 だけど、今は他にも頼もしい仲間が居る。

 なのは1人では足を引っ張ってしまっても、これだけの力を合わせればきっと大丈夫だと確信する。

 

「だから、一緒に戦わせて。みんなでここを乗り切る為に」

 

「……敵わないわね」

 

 ヴォルケンリッターと戦えるのは自分だけだとなのはを足手まといと決め付けた。

 なのはを信用せずに除け者にして勝手に追い込まれてこの様だ。

 これではどちらが先達か分かりやしない。

 

(戦えるのが自分だけだなんて思い上がりは今すぐ捨てろ。私のつまらない意地でこの子達に心配をかけさせるな。そんな事より、どうすれば良いのか考えろ)

 

 互いに警戒しながら彩那が念話で指示を出す。

 

『前衛は私が務めるから援護をお願い。絶対に接近を許さないで。1度でもペースを持っていかれたら、確実に落とされる』

 

 カートリッジシステムもそうだが、近接戦闘に関しての経験値が違い過ぎる。

 

『各個撃破を狙いたいから、残りの3人をどうにか引き離して』

 

 1対1なら、向こうの戦い方を知っている彩那がまだ有利だ。

 なのは達が加わった事で殺害(破壊)は一旦置いておく事になるだろうが。

 

『お願いね。頼りにしてるから』

 

『うん!』

 

 なのはの嬉しそうな返事が返ってくる。

 彩那達の雰囲気が変わったのを感じてか、シグナムが話しかけてくる。

 

「作戦は決まったか?」

 

「別に。作戦なんて大層な物は立ててないわよ。あぁ、そう言えば、1対1の戦いでベルカの騎士に敗けはない、だったかしら? その言葉に泥を塗ってあげる」

 

 彩那の挑発にヴォルケンリッターがそれぞれ別の反応を見せる。

 呼吸を調える僅かな間。

 再び彩那が斬り込もうと動き出すと、別方向から気配を感じた。

 

「つっ!?」

 

 ギリギリで防御を間に合わせたが、彩那が蹴り飛ばされる。

 

「彩那ちゃん!?」

 

「彩那っ!?」

 

 なのはとユーノが同時に心配の声を上げる。

 姿勢を立て直して自分を蹴った相手を見た。

 

(誰?)

 

 SFチックな制服を着た仮面の男が彩那を見下ろしている。

 

(あんな人、私は知らない)

 

 今代の主かとも思ったが、ヴォルケンリッターの反応がおかしい。

 向こうも突然の乱入者に戸惑っている様子だ。

 仮面の男がヴォルケンリッターに話しかける。

 

「闇の書の騎士達よ。こんなところでモタモタとして良いのか?」

 

「何だと……」

 

「あの娘は私が抑える。後は好きにしろ」

 

 そう宣言して仮面の男が彩那に向かってきた。

 

「このっ!」

 

 こちらの斬撃を避けて、お返しにと拳を繰り出してくる。

 それをシールドで防ぐがドンドンなのは達から離されていく。

 焦って大振りに剣を振るうと、手首を掴まれて投げられた。

 

(強い!?)

 

 近接戦ならヴォルケンリッターと遜色ない使い手。

 視線をなのは達に向けると既にあちらも交戦していた。

 駆け付けようとすると、目の前の敵が邪魔をする。

 

「黙って見ていろ。全てが正しかったと理解する時が来る」

 

「邪魔よっ!!」

 

 すぐに仮面の男を無力化しようとするが、互いに決定打にならない攻防が続いている。

 

(こうなったら、後のリスクを無視してでもアレを────)

 

 切り札を切ろうとする彩那。

 しかし、なのは達の戦いの事態が動く。

 

「キャアアアアアアッ!?」

 

 なのはがヴィータのアイゼンの攻撃を胸に直撃させて地面に向かって打ち飛ばされる。

 

「なのはっ!?」

 

 なのはの撃墜に動揺するフェイト。

 それをシグナムが見逃す筈はなく、容赦なくレヴァンティンを振るう。

 それを見た彩那が仮面の男を急いで退けようとするが。

 

「バインドッ!?」

 

 一瞬の動揺を突かれてバインドで拘束される。

 強固なバインドは彩那でも簡単には解けない。

 

(違う! このバインドはっ……)

 

 魔力の流れが別方向から感じる。

 この男の仲間がまだ潜んでいる事に彩那は内心で毒づく。

 

「お前もすぐに闇の書に蒐集させる。大人しくしていろ」

 

「ふざけ────」

 

 バインドを解こうと身動ぎしていると、なのはとフェイトの苦痛の叫び声が耳に届く。

 

「あ、あ、ああああっ!?」

 

 脳裏に甦るのはあの戦争で失った人達。

 守れなかった大切な親友達。

 あの子達の為なら死んだって構わない。本気でそう思えるくらい大好きだったのに、おめおめと自分だけ生き延びて。

 

(もう、あんな思いは────)

 

 彩那は魔力による爆弾を作り、至近距離で爆発させて強引にバインドを破壊した。

 

「正気か、貴様!?」

 

 相手が驚いているが、無視して全速力で仮面の男を突破する。

 左腕が完全に折れた。

 どうでもいい。

 どうでもいい。

 自分なんかの事よりも、あの2人をっ!? 

 その考えだけで空を駆ける。

 2人を見つけた時はなのはとフェイトが肩を寄せ合うように並べられ、シャマルが手を伸ばしている瞬間だった。

 

「っ!!」

 

 更に加速し、着地の事すら考えずに突っ込んだ。

 

「キャッ!?」

 

 シャマルから小さな悲鳴が漏れた。

 彩那が間に入りシャマルに剣を向けている。

 荒い呼吸のままシャマルと横でデバイスを構えるヴィータ。

 そこで念話によるやり取りが有ったのか、その場から後ろに退くと、転移魔法で撤退を始める。

 

「ごめんなさい……」

 

 それだけを言い残して、転移する。

 するとすぐにザフィーラの相手をしていたユーノとアルフが駆け付けた。

 

「なのはっ!?」

 

「フェイトッ!?」

 

 2人がそれぞれのパートナーの下に駆け寄るが、彩那はそこから動けずにいた。

 彩那が茫然と立ち尽くしている中でアルフがフェイトを揺さぶるとその口から小さな声が漏れた。

 

「生き、てる……?」

 

「当たり前だろ! フェイトを勝手に殺すんじゃ……」

 

 アルフの怒りの声は途中で止める。

 彩那は剣を落としてよろよろと近付いた。

 右手でなのはとフェイトに触れて生きている事を確認する。

 

「生きていて……生きてる……生きてる……ちゃんと……無事でいて、くれた……!」

 

 顔をくしゃくしゃにして視線を落とす彩那。

 管理局の救護班が到着するまで、彩那の瞳から溢れた涙が地面を濡らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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