世界を救った勇者は俯きながら生きている。   作:赤いUFO

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遅れました。


番外編6:ズレた世界線(3)

(やられた!?)

 

 八神はやては地上本部襲撃に唇を噛んだ。

 敵は真正面から本部を襲ってきた。

 はやては敵が管理局と何らかの利害関係に有ると予想しており、だからこそこんな大々的な襲撃は逆に予想外だった。

 こんな真似をすれば、結果はどうあれ協力者の管理局員は間違いなく処罰が下る。

 これまで通りの支援は期待出来なくなるのだ。

 

(つまり、あちらは既に手を組んでいる誰かを切り捨てられる切り札を用意してる。もしくはその目処が立ったいうことや)

 

 そうなるまで敵を逮捕出来なかった自分達の不手際にはやては後悔から手を強く握る。

 こうなる前に犯罪者を止めるのが機動六課(わたしら)の役目だったのに。

 それをこうまで好き勝手を許しているのだ。

 大見得を切っておきながらこの体たらく。自分への怒りと恥辱で暴れ出したい気分だ。

 今手元にテバイスが無いのが心許なくて落ち着かない。

 はやては映像の中で自慢気な表情を浮かべている敵のトップである科学者を睨みつける。

 

『ではここで、我々が保有する戦力をお見せしよう』

 

 画面が切り替わり、映し出された映像は六課の宿舎だった。

 映像の中で大きな爆発が起きる。

 

「へ?」

 

 しかしそれは、六課の宿舎が攻撃されての物ではなく、宿舎を囲っているガジェットの群れが次々と破壊されていく光景だった。

 

「彩那……?」

 

 少し前に、六課の預かりとなった日本人の子供。

 少女は青と緑の剣を振るってガジェットを屠っていく。

 その速度たるや、落ちゲーの連鎖くらい気持ちいい破壊っぷりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(AMFの影響を確認。魔法を構築するのは手間だけど、身体強化なら充分に可能ね)

 

 魔力を封じていた手錠を破壊させて彩那は自分の状態を確認しつつ目の前の敵に視線を向ける。

 ボクシングのような構えを取り、一瞬だけ視線をヴィヴィオに移す。

 理由は分からないが、敵の狙いがヴィヴィオなのは明白。

 ここに戦えるのが自分しか居ない以上、この子を守れるのは綾瀬彩那(自分)だけ。

 なら、躊躇う理由はない。

 

「来ないのなら、こちらから行きましょう」

 

 床を蹴り、使い魔と思われる生物との距離を縮める。

 向こうの手足が攻撃範囲内に入るとフックが繰り出される。

 しかしその腕よりも内側に入り込み、腹に拳を突き出す。

 

「!?」

 

 先程とは逆にガリューと呼ばれた魔法生物が殴り飛ばされる。

 

(駄目ね。やっぱり魔法の構築が遅すぎる)

 

 今の攻防。癖でシールドを構築しようとしたが、AMFの影響と何より、自分のデバイスである聖剣が手元に無い事で間に合わないと判断。

 バリアジャケットである鎧も勇者の剣も無しに構築するのは手間だ。

 

「まぁ、些細な事よね」

 

 手元に武器がない? それがどうした。

 魔法の構築に時間がかかる? だからなに? 

 肉体が本来より衰えている。大した事じゃない。

 そう。不利な点をどれだけ挙げてもこの場を乗り切れない理由にはならない。

 この程度のハンデで死ぬのならとっくの昔に綾瀬彩那は死亡している。

 ようやくこちらを敵と判断したのか、体勢を立て直し、彩那を排除しようと襲いかかってくる。

 鎌のように鋭い蹴り。

 それが彩那の首を目がけて放たれる。

 だが彩那は腕で体を支える形でガリューの脚に乗り、逆にその胸を蹴りで打つ。

 威力が足らず、倒れるまでには至らなかったガリューが腕に隠してあった暗器の刃を突き出す。

 体を捻ってその刃を回避し、地面に落ちると同時に足払いをかけるが、後ろに跳んで距離を取られた。

 小さく舌打ちしてから構え直す。

 その戦闘をヴィヴィオは驚いた表情で見ていた。

 どちらが合図する訳でもなく動く。

 ガリューの攻めを彩那は全て受け流す。

 

(思ったよりも強い……だけど!)

 

 ガリューの使う刃を潜り抜け、鳩尾に肘を叩き込む。

 少しずつだが、ガリューの攻撃は捌かれ、反撃を貰う形となる。

 だからこそ、渾身の打撃で彩那を砕こうとガリューは動いた。

 放たれる必殺の拳。

 まともに喰らえば普通の人間なら頭を砕かれ、魔導師でも意識を繋ぎ留めておくことは不可能。

 たとえ防御の上からでもだ。

 その筈だった。

 

「バウンドシールド」

 

 ガリューの拳を受け止めるように置かれた掌には小さな防御魔法が展開されている。

 吸い込まれるようにガリューの拳はシールドに当たった。

 すると、ゴムタイヤを殴るような感触。

 強度ではなく弾力によってガリューの拳は弾かれた。

 予想外の感触に驚きから大きく仰け反り、バランスを崩す。

 

「終わりよ」

 

 飛行魔法による特攻でガリューの胸に体当たりをする。

 押し倒されたガリューに彩那は馬乗りになって拳を振り下ろした。

 それも1発ではなく、容赦なくラッシュを叩き込む。

 1撃1撃が先程ガリューが放った拳打と大差ない威力。

 最後の拳がガリューの胸を打つと、その体がバインドで拘束される。

 小さく息を吐いた後に魔法生物の主であろう少女に視線を向けた。

 無表情だった顔が僅かな震えと恐怖が浮かぶ。

 攻撃行動に移り、魔法の発動を感知した。

 

「クラウ・ソラ────」

 

「遅い」

 

 顎を掌で打ち、ぐらりと揺れたところをバインドをかける。

 取り敢えずこの場の危機を何とか出来た事に彩那は息を吐く。

 ヴィヴィオ達の方へ歩く。

 先程の彩那の戦闘を見て、大人達の僅かな恐怖が感じ取れる。

 彩那は茫然と見上げてくるヴィヴィオの頭を撫でた。

 

「大丈夫。恐いモノは、全部私が排除するから」

 

 誰かの為に戦うのなら、少しだけ前向きに動く事が出来る。

 自分の事なら諦めれば良いが、誰かの為なら頑張れると教えてくれた親友が居たから。

 

「私の剣はどこですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(このままじゃあ!)

 

 ジリジリと追い詰められていく状況にシャマルは焦りを感じていた。

 大量のガジェットに囲まれてのAMF下による戦力低下と2人の魔導師。

 戦況は悪く、直接的な攻撃力を持つザフィーラも腹部を斬られた。

 

「ツインブレイズ」

 

 エネルギーの双剣を操る長髪の少女が向かってくる。ザフィーラが迎撃しようと唸る。

 そこで、聞き覚えのある声が後ろからした。

 

「聖剣の守護を」

 

 青いシールドがエネルギーの刃から2人を守るように展開される。

 長髪の少女が後ろに引くとシャマル達の前にトンッと鎧姿の彩那が降り立つ。

 

「彩那ちゃ────」

 

「中の掃除に思ったより時間がかかったわ」

 

 ぼやくように呟く彩那。

 宿舎の中に侵入していたガジェットを全て破壊し終えた彩那は建物を囲うガジェットと空中に佇む敵を見る。

 

「アレらの排除は私が請け負う。貴方達はその後、好きな理由で私を拘束すればいい」

 

 理由はどうあれ、管理局員でもない彩那がこの戦闘に介入する事は許されない。

 まして彩那は保護観察という立場で六課に居たのだ。

 たとえ部隊長である八神はやてが庇ったところで管理局自体がこんな勝手を許す筈はない。

 そもそも、これだけ派手な騒ぎになっているのだ。誰の目にも触れないなど不可能だ。

 

(どう転んでも牢屋行きね)

 

 別にその事で憤りはない。

 勝手にやってる事なのだから、どう処罰されても自業自得である。

 

「AMFの影響を軽くするのが先決かな」

 

 さっき展開したシールド。敵は驚いて距離を取ってくれたがただのハリボテだった。

 もしもあのまま攻撃されてたら呆気なく破壊されていただろう。

 勿論強固な(シールド)を作る事は出来るが、その分魔力を消費する。

 だから敵の魔導師を相手にしつつガジェットを破壊し、AMFの効果を激減させる。

 

「さて。やりますか……」

 

 幸い身体強化ならそう影響もない。

 地を蹴り、1番近くにいるガジェットを斬る。

 爆発するより速く次のガジェットを斬り捨て、ただひたすらにAMFの影響を低下させる事に専念する。

 それに気付いた敵の魔導師2名が彩那を排除しようと動く。

 空中戦に移行した闘いに、振るわれる双剣を斬撃に合わせて下がりつつ、接近したガジェットを破壊する。

 現状の最優先はAMF濃度の低下。

 彩那自身の戦闘能力を十全に近くする意味合いもあるが、この場で死者を出さない為に、だ。

 2人の敵魔導師を引き付けつつ、ガジェットの群れを減らしていく。

 

「魔剣の災禍を」

 

 破壊した数が30に達した段階で12の誘導刃を生み出し、発射と共に操作する。

 敵魔導師に2つずつ。残り8つの刃が空と地上のガジェットを斬り刻んでゆく。

 

「これ以上はやらせません!」

 

 双剣を持った敵がガジェットを破壊し続ける彩那を止めようと距離を詰めてくる。

 右腕の側面にシールドを展開して防ぐが、もう1人の魔導師も仕掛けてくる。

 

「レイストーム」

 

 何かは分からないが、動きを止めるのは駄目だという直感に従い、双剣の魔導師の体を蹴ると同時に飛行魔法を切り、自由落下で回避する。

 彩那が居た場所に光の縄のようなバインドが出現した。

 地上に激突するスレスレのところで飛行魔法を再発動し、近くに居たガジェットも破壊する。

 敵の注意を引きつけつつ、機械の雑兵を蹴散らす。

 自分が操作出来るギリギリの数の誘導刃を常に射出し続ける。

 

(思ったより保たないか)

 

 射出している誘導刃は1枚で5機のガジェットを破壊するつもりだったが、2機もしくは3機が限界だった。

 やはり、魔力結合を阻害するAMFの影響は大きい。

 2人の魔導士やガジェットの群れからの集中砲火をシールドで防ぐか回避をする。

 全包囲されている状況だが、確実にAMFの影響は低下している。

 並んでいる空戦型を砲撃魔法で薙ぎ払う。

 動きを止めたその一瞬に双剣の魔導師が背後から斬りかかってくる。

 シールドを展開しようと振り向こうするが、敵の斬撃の方が僅かに────。

 

「ウォオオオオォオオッ!!」

 

 吠えたザフィーラが体当たりで敵を引かせる。

 

「すまない、遅れた」

 

 腹部を斬られたザフィーラはシャマルの治療を終えて戦闘に復帰する。

 しかし、治療と言っても表面だけ。激しく動いたり、攻撃を喰らえば、塞いだ傷は再び開く。

 それでも、小さな少女が戦っているこの場で自分が戦わずに安静にしているという選択肢はなかった。

 まさか、雲の騎士に助けられるとは思ってなかった彩那は瞬きをした後に、誤魔化すように質問を口にする。

 

「どうして人間の姿にならないの? そっちの方が戦いやすいでしょう?」

 

 狼の姿では人間形態と違って動きがかなり限定される。

 もちろん獣ならではの利点もあるだろうが、この場ではどう考えてもデメリットの方が多い。

 

「……管理局というのは中々に面倒でな」

 

 説明を放棄というよりも、この状況で説明してる暇がないと余計な会話を切る。

 ザフィーラははやての使い魔。守護獣として六課に在籍している。

 だから彼は部隊に組み込まれて居らず、はやての私的な護衛という立場にある。

 その屁理屈を通す為に常に狼の姿で居なければならず、人型で活動すると、六課の魔導師ランク制限に引っかかってしまうのだ。

 この戦闘もあくまで緊急事態による自衛の為の参戦、という形になる。

 そんな事情が彩那に理解る訳もなく、また彩那自身もどうしても知りたい訳でもない。

 意識を戦闘に戻す。

 

「魔導師2人は私が引き受ける。それでいい?」

 

「すまないが、助かる」

 

 苦い物を含むような声で肯定するザフィーラ。

 即席で連携なんて取れる気がしないし、ザフィーラは怪我の影響がある。

 彩那の実力はこの数分で充分に示した。

 お互いに役割を決めたところで彩那は魔導師2人の排除に取りかかった。

 その瞬間に、彩那に向かって長距離狙撃の魔法が伸びた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナンバーズの1人であるディエチは地上本部の襲撃で自分の役目を終えた後に別の命令を受けて六課の隊舎へと転移し、その戦闘を見ていた。

 与えられた任務は、現在姉妹達とガジェットの群れを相手に戦闘を繰り広げている謎の少女の狙撃。

 その少女は目まぐるしく動き回りつつ、ガジェットを次々と破壊している。

 データにはなかったイレギュラーな少女。

 ディエチは望遠能力に優れた眼で剣を振るう少女を捉え、狙撃のタイミングを狙っていた。

 本当に撃って良いのか。

 その疑問を胸に仕舞い、与えられた任務に集中する。

 狙いを定め、後は当たるタイミングを待つ。

 そしてそれはすぐに訪れた。

 

(ごめんね)

 

 心の中で謝罪して、背中を見せた少女に狙いを付けて指にかけた引鉄を引く。

 発射されたエネルギーは真っ直ぐと少女の体を射抜いて。

 

「え?」

 

 何が起こったのか理解するのに数秒かかった。

 少女に直撃する筈だったエネルギーは直前で出現したシールドによって防がれる。

 何故そんな事が出来たのか混乱する頭。

 少女が向かってきた狙撃からディエチの位置を割り出したのだろう、こちらに振り向く。

 望遠に優れた眼が少女の唇の動きまで正確に見えていた。

 

 ────見つけた。

 

 赤い刀身がこちらに向けられると同時に逆に狙撃し返してきた。

 その狙撃はディエチのライフルを貫通して破壊した。

 咄嗟に得物を手から放す。

 まだ捉えていた少女の唇が動く。

 

 ────動いたら撃つ。

 

 無機質な眼に射抜かれ、ディエチはその場に座り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(上手くいったかな?)

 

 ザフィーラが戦闘に復帰する少し前に離れた位置から小さな転移反応があったのに気付いたのは本当に偶然だ。

 戦闘を続けつつ狙撃手の位置の割り出しの為に1度撃たせる必要があった。

 おそらく狙うならこの場でのイレギュラーであり、最も目立った戦果を挙げている自分だろうとも。

 ザフィーラやシャマルを狙って撃ったとしても敵の位置は探れるし、テバイスの演算で割り出した位置に1射して脅す。敵の近くに当たるなら直撃するしないはどうでもいい。

 戦意を失って留まるなら最上の結果。逃げ帰っても2度目の狙撃は無いのだから良し。

 逆上して再び狙撃してくる可能性もあるが、それならそれで位置が割れてるのだから短距離転移して叩く。

 流石にこれ以上の増援をすぐには用意出来ない、と思いたい。

 敵の戦力が不明なので、そう期待するしかない。

 少なくとも、2人の魔導師を戦闘不能に追いやる時間はある筈だ。

 聖剣を待機状態に戻して、別の剣を起動させる。

 

「王剣の支配を」

 

 突撃槍を左手に持ち、短髪の少女に視線を合わせる。

 

「終わりにしましょう」

 

 先に面倒なバインド特化と思われる魔導師を叩く。

 ガジェットの数も大分減り、今なら敵の撃破はそう難しくない。

 誘導刃4枚。

 それを短髪の魔導師に向かわせる。

 先程までよりずっと速く、硬く、鋭利な魔力の刃が襲う。

 敵の回避する位置を突く形で射撃魔法を撃ち、双剣を扱う魔導師の動きを牽制する。

 

「バインドはこう使うのよ」

 

 4枚の刃が短髪の敵を囲うと爆発し、それが鎖型のバインドに変化して彼女を絡め取る。

 

「っ!?」

 

 藻掻いてバインドを解除しようとするが、その隙を彩那が見逃す筈がない。

 左手に持った王剣の切っ先を向けて突撃した。

 金の刃は短髪の魔導師の腹に突き刺さり、引き抜くと同時にバインドの鎖1つ1つが爆発を起こす。

 悲鳴を上げる間もなく、その爆発は鎖に絡め取られた魔導師の体を呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オットーッ!?」

 

 普段は感情を露わにすることのない、ナンバーズのディードは、爆発に呑まれて落下していく仲間を見て、怒りと恐怖の感情が沸き上がる。

 最も近しい姉妹がやられたことへの怒り。そして敵の殺意に塗れた攻撃への恐怖。

 確証はなかったが、これではっきりした。あの少女は非殺傷設定を使っていない。

 管理局どころか次元世界で当たり前のように使われている安全装置をこの少女は外して戦っているのだ。

 

「聖剣の守護を。霊剣の加護を」

 

 左右に持っていた赤い剣と金剣を待機状態にし、再び青い剣と新たに緑の剣を手にする。

 振り向いた少女が、次はお前だ、と言ったような気がした。

 さっきまでより速く動く少女と斬り結ぶディード。

 こちらも非殺傷設定など使っていないのだから敵がそうしても文句を言うのは筋違いだと理解している。

 普段ならば、敵が非殺傷設定を使っていないとしても。仮に勝てない相手だとしても、ディードは任務遂行の為に淡々と全力を尽くしていただろう。

 だけど今は、一刻も早くこの場から逃げ去りたい衝動に駆られていた。

 圧倒的強者が躊躇いもなく自分を殺しにくる恐怖。

 既にこれ以上の破壊行為は不可能だと判断しているのに、目標である聖王のクローンを確保したという報告は挙がってこない。

 だから逃げる事も出来ずに留まっている。

 どうすれば良いのか分からず混乱する思考。

 データリンクによって戦闘経験は他の姉妹と共有出来ても、本当に危機的状況に陥った時に戦意を支える精神的支柱の脆弱さが浮き彫りになってしまっている。

 焦りから雑になった剣筋をシールドで防ぐと、少女はディードの両腕を斬り落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵の両腕を斬り落とすと頭部に回し蹴りを叩き込んで意識を刈り取る。

 後は、短髪の魔導師共々にシャマル(湖の騎士)が何とかするだろう。

 変な話だが、昔散々彼女の治療魔法の高さに苦しめられた身としては、即死でなければ助けられるだろうという確信があった。

 その為にAMFが邪魔でガジェットの排除を優先した、という理由もある。

 残り少なくなったガジェットを片付けようとした。

 そこで慌てた声の念話が届いた

 

『すん……せ……な……敵……』

 

 届いた念話の声には覚えがある。

 隊舎内のガジェットを掃除している最中に意識を失って倒れていたので起こした六課の魔導師。

 起こした際にヴィヴィオや他の非魔導師の人達を守ってほしいと頼んでいたのだが。

 通信状態が悪いが、敵という単語は確かに聞き取れた。

 

「くそっ!」

 

 どうやって再び侵入したのかは不明だが、敵の目的がヴィヴィオなのは明白。

 再び隊舎内に戻る。

 さっき居た場所まで全速力で移動すると。外に居た敵魔導師と似た格好をした緑髪の女がヴィヴィオと紫髪の敵魔導師の少女を抱えていた。

 

「げっ! もう戻って来た!?」

 

「ヴィヴィオッ!」

 

 捕まったヴィヴィオを助けようと緑髪の女に斬りかかる。

 引きつった顔の女は2人を抱えたまま、()()()()()彩那の剣を回避した。

 

「なっ!?」

 

 流石にこの方法での逃走は想定してなかった彩那。

 敵の逃走を許した事に強く剣の柄を握りしめた。




この番外編。後もう1話だけ続くんじゃ。
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