世界を救った勇者は俯きながら生きている。   作:赤いUFO

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新年投稿1発目。
あけましておめでとうございます!
久々の本編です!おまたせしました!


元勇者VS覇王の子孫

 アミティエ・フローリアンは雨の中、海鳴の町の建物の屋上から屋上へと跳んで移動していた。

 

「キリエ、何処に……!」

 

 彼女は焦っていた。

 事件の規模はどんどん大きくなり、アミティエだけで事態を収めるのは不可能に近い。

 今はまだ魔法関係者だけに被害が留まっているが、何も知らないこの世界の一般人にまで被害が及べば、本当に取り返しがつかなくなる。

 

「その前に、あの子を見つけないと……!」

 

 管理局からの情報では、この辺りから妹の魔力反応があるという話だ。

 協力してくれる彼女らに報いたい気持ちもある。

 何よりも、自分達の事情でこの世界に迷惑をかけた罪悪感が彼女を動かしていた。

 大雨へと変わった天気。しかしアミティエは構う事なく捜索を続ける。

 そして────。

 

「見つけました!」

 

 何らかの作業に没頭している妹をとうとう発見する。

 

「キリエッ!!」

 

 キリエが立っているビルの屋上に着地するアミティエ。

 呼ばれて振り向くと、鬱陶しそうな表情をする。

 

「アミタ……」

 

「キリエ。一緒に来てください。来ないのなら全身全霊を懸けて貴女を捕まえます」

 

 右手の銃を向けるアミティエ。

 しかしキリエはそれをハッタリだと判断した。

 なんだかんだでアミティエは妹に甘い。

 威嚇はしても、直接攻撃する事はないだろうとキリエは踏んでいた。

 言葉で煙に巻き、逃げる姿勢を見せる。

 

「なっ!?」

 

 するとアミティエはキリエの太腿に向けて銃を撃った。

 とっさに動いて銃弾を躱す。

 

「ちょっ!? アミタ! 貴女今、本気で撃ったでしょう!」

 

「えぇ。私は本気です。もしもキリエがこちらの言葉を聞かないのなら、どんな手を使っても連れて行きます。これ以上、この世界に迷惑をかける訳にはいきません」

 

 小さい頃から絵本を読んで憧れていたホーランドの勇者。

 本物に会い、浮かれていたのは否定出来ない。

 しかし、彼女の言葉はアミティエの心に深く棘を刺した。

 

 "何の話し合いもせずに他所様の家族を連れ去り、用が済んだら素知らぬ顔でこの時代(せかい)を去る人間の覚悟に、どれ程の重みがあるのでしょう? "

 

 確かに、いきなり危害を加えられた側からしたら姉妹の故郷の世界の事情など知った事ではないだろう。

 それでもこの世界の人達は優しいから、謝れば赦してくれるだろうと思った。

 だがそれは酷い甘えだ。

 そう感じてしまうと、心の何処かで赦してくれる、打算で動いてしまう。

 アミティエの本気を感じ取って、キリエもふざける動きをやめる。

 

「本気なの? アミタ……」

 

「えぇ。ここで貴女を捕まえ、砕け得ぬ闇について、知ってることを全て話してもらいます」

 

 アミティエにはどうすれば償えるかなど分からない。

 だから今は、この時代の人達に協力して、この事件を終わらせる。

 先ずはそれからだ。

 

「いつもいつも良い子ぶって……! 私は絶対に故郷もパパも諦めないんだから!!」

 

 姉妹喧嘩が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユーノくん! こうして直接会うの久しぶり!」

 

「通信やメールで話せても、僕はここ最近手が離せなかったしね。ごめんね、なのは」

 

「ううん。忙しいってクロノくんから聞いてたから」

 

「あぁ、クロノ。クロノね……」

 

 クロノの名前に不機嫌そうに長い息を吐く。

 なんせ、今のユーノの職場である無限書庫。そこの整理を始めて数ヶ月。未だに終わる気配は無く、むしろ仕事が溜まっていく始末なのだ。

 その上クロノから色々と資料を探せと依頼がきて、更に整理が遅れる。

 管理局の怠慢を訴えたが、クロノには右から左へと流されてしまった。

 それでユーノは自分の伝手でスクライア一族を頼り、仕事を手伝ってもらう運びになった。

 スクライア一族が無限書庫で働く上での報酬や待遇の話し合い。

 外部の協力者である彼らが何処から何処まで触れて良いのか、というルール決め。

 それらの折り合いを引き受けていたのだ。

 肉体的にも精神的にも大変だった。

 というか、9歳の子供にやらせる事ではない。

 だが、そんな事をなのはに愚痴るのもカッコ悪いので、口にはしない。

 男の子の意地というやつだ。

 

「それで、未来から来たって人達は?」

 

「うん。向こうに。今ちょっと彩那ちゃんとアインハルトさんが模擬戦することになっちゃって」

 

「えぇっ!? なんで!?」

 

「理由は分からないけど、アインハルトさんからの提案でね」

 

「彩那はそれを了承したの?」

 

「うん」

 

 意外だった。そういう誘いは出来る限り断ると思っていたが。

 なのはに案内されるとそこには用意されたリングの左右に彩那とアインハルトを中心に人が集まっていた。

 

「彩那ちゃんがアインハルトさんの挑戦を受けるなんて意外やね。てっきり断るかと思ったわ」

 

「まぁ、巻き込んで手伝って貰ってる手前ね。なにが目的なのかはちょっと分からないけど」

 

 まさか、子供の彩那なら勝てると思った訳ではないだろう。

 もしそうなら考えが甘いし、先日の戦闘で何を見たのか、という話になる。

 

(さて。なにが目的なのかしらね……)

 

 そう考えながらバリアジャケットの、鎧を省いてインナーだけ装着する。

 今回は相手に合わせて格闘戦を中心にするつもりだ。

 

(デバイス)を使っても殺さない自信はあるけど、怪我をさせない自信はないしね)

 

 非殺傷設定が不安定な武器を使うつもりはないし、その必要もない。

 そう考えていると、なのはとユーノが近づいてきた。

 

「スクライアくん。こっちに来ていたのね」

 

「うん。今さっきね……ってなに?」

 

 じーっと見つめてくる彩那にユーノは身構える。

 

「いえ、髪伸ばしてるのかなと思って。前に会った頃より伸びてるから」

 

「あー。ただ単に切ってる余裕が無いだけだよ。ここ最近忙しくて」

 

 はぁ〜っと聞いてる方も陰鬱になりそうな息を吐く、

 

「でもユーノくんなら伸ばしても似合いそうやね。いっそそのまま伸ばしてみるか?」

 

「それ! 私も思った!」

 

 はやての案になのはが賛同する。

 ユーノはそれに明確な返事はせずに、ここに居ないフェイトの事を訊く。

 

「フェイトは?」

 

「今はシャマルの診察中や。そろそろ来るんやない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アインハルトさん……」

 

 普段は大人の見た目で闘うアインハルトは彩那に背丈を合わせる為、変身魔法を使わずにバリアジャケットを纏っている。

 軽く準備運動をしながら不安そうな顔で見てくるヴィヴィオにアインハルトは口を開く。

 

「今、こんなことしてる場合じゃないのは理解してます。でもどうしても気になって」

 

 先日の戦闘。実質的に彩那は独りで戦っていた。

 そこに、アインハルトは彩那の危うさを見たような気がした。

 自分達の実力ではあの将軍と呼んでいた老人とは実力差があり過ぎたから? 

 そうだと思う。

 頼る程にこの時代の彩那と信頼関係を構築出来てないから? 

 そうかもしれない。

 だけど、なんと言えばいいのか、彩那の戦い方は、誰も信じていないと突きつけているように思えた。

 

(と言うより、自分がやらないといけないと思っている?)

 

 杞憂なら良いが、どうしても確かめたい。

 そしてその手段をアインハルトは拳を交える事しか知らない。

 正確には、拳交える事から始める方法しか知らない、と言うべきか。

 

「えっと……よく分かりませんけど……頑張ってください!」

 

「はい!」

 

 拳をグッと握って戦意を高める。

 人2人分の間を空けて向かい合う彩那とアインハルト。

 

「剣は、使わないのですか?」

 

「えぇ。怪我をさせたくないので。徒手空拳(そちらのやり方)でやりましょう」

 

「……分かりました」

 

 挑発とも取れる彩那の言葉にアインハルトは頷く。

 合図役としてはやてが少し離れた位置から声をかける。

 

「それじゃあ、二人ともー。用意、始め!」

 

 はやての合図と共にアインハルトが掌で打ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アミティエとキリエは海鳴の空で激突していた。

 

「大体! なんでアミタまでこっちに来るのよ! パパやママはっ!」

 

「貴女を放っておけるわけないでしょう! いい加減お縄につきなさい!」

 

「嫌よ! アミタこそさっさと帰れば!」

 

 口喧嘩をしながらアミティエの銃弾を捌くキリエ。

 アミティエは銃を。キリエは剣での戦闘を得意としている。

 一見距離が取れるアミティエの方が有利に思えるが、現状はキリエが押していた。

 

(やっぱりアミタは甘い!)

 

 キリエが有利なのは、アミティエ()が手加減しているからだ。

 躊躇いと言っても良い。

 家族に攻撃する事を優しいアミティエはこの土壇場でまだ戦う事への迷いを抱えている。

 それが銃を撃つタイミングを遅らせ、威力も抑えている。

 弾幕を潜り抜け、アミティエに接近する。

 双剣を大剣にモードチェンジし、力任せに振り下ろした。

 

「くっ!?」

 

 銃を交差させて大剣を受け止める。

 耐え切れないと判断してキリエの体を蹴って距離を取ろうとするが、その前に横に避け、双剣に得物を変えて斬りかかる。

 キリエの剣を銃のまま受けて防ぐアミティエ。

 防戦一方となり捌き切れず、キリエの刃がアミティエの腹部を斬る。

 

「つっ!?」

 

 腹部を押さえるアミティエにキリエは喉元に刃を突きつけた。

 

「私の勝ちよ。甘ちゃんなアミタには、覚悟を決めた私は止められない」

 

「……覚悟?」

 

「そうよ。絶対に私達の故郷を救う覚悟。だからアミタもエルトリアを想うなら────」

 

「それで、この世界の人達は?」

 

 アミティエの指摘にキリエは息を呑んだ。

 それは彼女の頭に過ぎりながら、考えないようにしていた部分だから。

 

「砕け得ぬ闇をエルトリアに連れ帰って、エルトリアの再生を図る。確かにそうなれば私達にとっては良い結末でしょう。ですが、この世界は?」

 

「それは……っ!?」

 

 狼狽えた一瞬の隙を突き、アミティエは左腕の銃を短剣に変えて斬り上げる。

 それに気付いたキリエが後退して回避した。

 

「もしも砕け得ぬ闇が結界の外で暴れ出したら? この世界の魔法関係者以外に被害が出たら? この事件に関わった誰かが死んでしまったら? その時にキリエはどう責任を取るつもりですか?」

 

 実際、闇の欠片は今も暴れており、時空管理局とその協力者が対処しているから大事にはなっていない。

 だけどそれだけだ。

 砕け得ぬ闇が本格的に動き出したら、闇の欠片もどうなるか分からないのだ。

 管理局側も疲弊してる事もあり、これ以上事件の規模が大きくなったら対処は難しくなる。

 その責任の一端はキリエにも有るのだ。

 

「システムU-Dをエルトリアに連れ帰れば問題ないでしょう! そうすれば、全部解決するんだから!」

 

「既に、貴女はこの世界の人を傷付けてるんですよ! そんな言い訳が通用しますか!」

 

 互いに引かず、攻撃と口論は続く。

 アミティエの剣がキリエの左手に持つ短剣を弾き飛ばしたところで表情が鬼気迫る物になる。

 そして溜めていた物を吐き出す。

 

「いいじゃない! 少しくらい!!」

 

「キリエ?」

 

 力任せに振るわれる短剣をアミティエは防戦に徹する。

 

「たくさんの資源に汚染されてない水と空気! この世界には私達の世界ではもう手に入らない物が当たり前のように溢れてる!」

 

 全力で振り下ろされた剣を受け切れず、アミティエは右手に持った銃を落とす。

 

「くっ!?」

 

 それに気を取られ、一瞬だけ視線をそちらに移してしまった。

 自棄になったようにキリエの猛攻は止まらない。

 

「もう時間がないの! エルトリアもパパの身体も! だから……だから……っ!」

 

 全力を込めた攻撃で、アミティエを襲いかかる。

 

「私の邪魔を、するなぁあああぁっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(カウンターッ!?)

 

 開始早々に放たれた突きを彩那はカウンターでアインハルトの顎を打つ。

 衝撃によろけるが左足を軸に回し蹴りを繰り出すと、シールド魔法で防御される。

 

(大振りの攻撃は隙を与えるだけ! 先ずは動きの小さな攻撃を積み重ねないと!)

 

 そう判断したアインハルトは細かな連打に切り替えた。

 頭や胸を狙って拳を連打するが、全てシールドで防がれるか、回避される。

 

「ふっ!」

 

 腕を掴まれてそのまま投げ飛ばされる。

 床に叩きつけられる前に身を捻って体勢を直し、足で着地した。

 

(純粋な運動能力はこちらが上の筈なのに! 身体能力を強化しているにしても、読みが完璧過ぎる! その年齢でどんな訓練を……!?)

 

 この時代の彩那はヴィヴィオと同い年の筈。

 なのに、魔法戦闘の技術があまりに熟練され過ぎている。

 力量の差は感じていたが、いざ拳を交えるとまるで大人と子供だった。

 真実を知らないアインハルトは困惑しつつも攻めに入る。

 

「ハァッ!!」

 

 気合と共に繰り出される。

 それらは全て対処され、アインハルトの意識が攻撃に向いているのを狙って打ってくる。

 今も腹部に掌底を喰らって無理やり後退させられた。

 

(戦闘スタイルは異なりますが、ジークさんと試合した時と……!)

 

 極め技で征された時も。エレミアの力に呑まれた後も。

 アインハルトはほぼ手も足も出ずに完敗した。

 後ろに下がったアインハルトに彩那は指を突き出し、射撃魔法を撃つ。

 

「旋衝破……っ!」

 

 アインハルトは撃ち出された魔法を掴み取り、逆に投げ返す。

 

「嘘っ!?」

 

 流石にこれは予想外だった彩那だが、即座に射撃魔法で撃ち落とした。

 

「驚いたわ。そういう技もあるのね」

 

 本心から驚いた様子を見せる彩那だが、すぐにそれは消える。

 

「で? まだ続けるのかしら? なにが目的かは知らないけど、力量差は理解してくれたと思うのだけど」

 

「……続けます」

 

「そう」

 

 仕方ないと構えを取る彩那。

 

「ハァッ!!」

 

 再び攻めに入るアインハルトだが、彩那の防御を崩すには至らない。

 それらを見ていたスバルとエリオがアインハルトと同じ理由で訝しむ。

 

「スバルさんは、アインハルトさんの攻撃をあんな風に防げますか?」

 

「う〜ん。格闘と言ってもあたしとは戦闘スタイルが違うからなんとも言えないけど、あんな風に1つ1つの攻撃に対処するのは無理だと思う。なんなら、ずっとシールド張ってる方が楽」

 

「ですよね」

 

 魔力量の差ではない。決定的に戦闘経験値の違いを見せつけられている。

 あまりにも年齢にそぐわない彩那の技術に近接戦闘を得意とする2人は違和感を覚えるのだ。

 しかし、答えが出る訳もなく、試合を観戦する。

 アインハルトは果敢に拳や蹴りを繰り出すが、どれも当たらず、体力だけが奪われていく。

 

(先生……)

 

 今より未来で色々なアドバイスをくれた人。

 その子供時代。

 

(私は、ヴィヴィオさんやノーヴェさん。コロナさんやリオさん。他にもたくさんの人達に出会えたおかげで、少しだけ変われました)

 

 みんなに出会い、気にかけてくれなければ、魔法戦技の大会などに興味を持つ事も無かっただろう。

 今も淡々と日課としてトレーニングを続け、闇雲に覇王流の最強を証明する為に動いていたかもしれない。

 一緒に歩み、切磋琢磨出来る人達。支えてくれる人達。

 感謝してもし切れない色付いた大切な日々。

 

「行きますっ!!」

 

 全てを懸けた一撃。

 

(先生。貴女は今本当に周りと一緒に戦ってますか?)

 

 アインハルトにはこれだけ強い仲間が居ても、独りで戦っているように見える。

 信じず。頼らず。

 自分だけでこの事件を終わらせようとしてるように感じる。

 それが怖い。

 理解してほしい。

 それはアインハルトが伝える事でも、こんな風に伝えようとする事でもないのかもしれない。

 だけど伝えたいのだ。

 

「覇王……っ!」

 

 綾瀬彩那には、頼って良い仲間がいるのだと。

 

「断空拳っ!!」

 

 愚直なまでに真っ直ぐな拳を彩那に放った。

 

「バウンドシールド……!」

 

 彩那もこの場に適した魔法で対応する。

 本来ならすぐに拳打威力そのままに弾き飛ばされる筈のアインハルトが、シールドを破ろうと拳を押し込んでくる。

 バウンドシールドと拳の膠着。

 それはすぐに破られた。

 

「あぐ……っ!?」

 

 バウンドシールドをあと少しで突破しようとしたのに、脚腰の踏ん張りが限界となり、アインハルトの身体を弾き飛ばした。

 

「アインハルトさん!?」

 

「シャマル!」

 

「はい!」

 

 ゴロゴロとリングを転がって起き上がらないアインハルトに、ヴィヴィオを始め、この場に居る者達が駆け寄る。

 大きく息を吐く彩那に、フェイトが恐る恐る話しかける。

 

「アヤナ?」

 

「一撃貰ったわ。完封するつもりだったのに」

 

 バウンドシールドは破られなかったが、集約された衝撃だけは彩那の頬を打っていた。

 頬を撫でながら、苦笑する。

 

「油断した、なんて言い訳はしないわ。最後の拳打はすごい一撃だった。向こう見ずだとは思うけどね」

 

 おそらくは後先考えない全身全霊の一撃だったのだろう。

 そうでなければこの結果にはならなかっただろう。

 

「シャマル先生! アインハルトさんは?」

 

「大丈夫よ。軽い脳震盪。特に怪我もしてないわ」

 

 シャマルの診断にヴィヴィオが全身で安堵の息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、によ……コレ……?」

 

 アミティエを刺そうとしてキリエは、全身を鎖のバインドに捕われていた。

 

「そこまでよ。抵抗しないで」

 

 背後からティアナがキリエの背中に拳銃型のデバイスであるクロスミラージュで狙っていた。

 彼女はキャロと一緒に巨大化したフリードに乗っている。

 キリエをバインドで縛っているのはキャロだ。

 

「来てくれましたか……助かりました」

 

 安心した様子で笑みを浮かべるアミティエ。

 

「アミタ!? 貴女これを待ってたの」

 

「えぇ。キリエを見つけたと同時に見回りに出てたティアナさんとキャロさんに通信を入れてました。隙を突いて貴女を拘束してほしいと」

 

 てっきり決闘とかタイマンだと思っていたキリエは抗議する。

 

「ちょっ!? ズルい! 卑怯だわ!!」

 

 バインドを壊そうと動くキリエに、アミティエは呆れたように話す。

 

「なにが卑怯なものですか。私は言いましたよ。どんな手を使っても貴女を連れていくと。私はただ、確実性を選んだだけです」

 

 恨めしそうな眼で見てくる妹にアミティエは満面の笑みで言った。

 

「さてキリエ。色々と話してもらいますよ。もちろん、お説教もです」

 

 

 

 

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