(まさかわたしらまで彩那ちゃん達が居た世界に来ることになるなんて……)
八神はやては自分の置かれた状況に複雑な想いを抱く。
夏休み前にカレーパーティーをしようと約束し、果たされなかった事。
この世界で彩那が3人の親友を失った事。
色々な哀しい想いが渦巻く。
(もしもそれが自分やったら……)
ここに居る友達や家族を全員失ってまた独りになったらと考えると背筋が寒くなり、胃や肺が重たくなるのを感じる。
想像するだけでこれなのだ。地球に戻った時の彩那はどれだけ心を摩耗させて────。
大きな部屋の中央に置かれた長いテーブル。
その奥に座るホーランドの王様と、その左右手前に座っているのは先程のエリザ王女と反対側に座っているのはおそらくは王妃と思われる長い黒髪の女性と、その隣に座る王妃と良く似た小さな男の子。
彩那は王と向かい合う席に座り、はやて達は部屋の側面に急遽用意したと思われる椅子に座らされていた。
しかし、シグナムとザフィーラ。それとリインフォースはいつでも動けるように立っている。
その他にもホーランドの兵士と思われる者達が部屋の王の近くで立ちながら待機している。
はやては王妃を見る。
(綺麗な人やなぁ。見た目二十代前半くらいに見えるけど……)
なのはの母の桃子やフェイトの母のリンディなど、実年齢と比べて若い女性を知っている為、あの王妃もそうなのだろうと考えた。
王様が大体40前後に見えるので、歳の離れた兄妹か、逆に歳の近い親子にも見える。
そこで彩那が王妃に話しかける。
「お久し振りです。リゼリータ様。最後にお会いしたのは王との婚約が決まった時でしたか。遅くなりましたが御結婚、おめでとうございます」
「えぇ。アヤナ様の方も、思ったより元気そうで良かったわ。後で一緒にお茶でもしましょう」
「はい。喜んで。それと私に様付けはおやめください。王妃の1人となった以上、貴女の方が立場が上なのですから」
その会話に、はやてはうん? と首を傾げた。
頭の中の疑問が形になる前に彩那が王に話しかける。
「……亡くなった
「喧しいわ!」
煩わしそうに一喝する王。
その怒声に周囲から一瞬緊張が走るも、王様は高級そうな椅子の背に深くもたれかかって息を吐く。
「……アリーシャ妃は、寝室ですか?」
「いや、アリーシャは戦争が終わってしばらく後に逝った。ティファナを亡くして相当参っていたからな」
「そうですか……」
悼むように息を吐いた後に彩那の視線がリゼリータ妃の隣に座る男の子に向く。
「ではそちらが?」
男の子は緊張した面持ちで、はい! と返事した。
「ザード・イム・ホーランドです! 話に聞く勇者様にお会い出来て光栄です」
まるでヒーローにでも会った子供のように目を輝かせて彩那を見る。
その無垢な視線に耐え切れなくなり、彩那は待機状態のデバイスを取り出す。
「渡されていた4本の勇者の剣、お返しします」
「彩那ちゃん!?」
あっさりとデバイスを手放す彩那になのはが驚いて立ち上がった。
アレは謂わば親友の形見と言うべき物だ。
それを求められたからと返すのが信じられない。
「元々コレはらこの国にとって重要な
テーブルに置いたデバイスは、兵士の1人によって回収され、王の手に渡る。
戻ると言った方がいいか。
「うむ……だが、説明はしばし待て。3日後にマリアルイズ殿がこの国にやって来る。説明はその時の方が良かろう」
マリアルイズという名前にポーカーフェイスで固めていた彩那が少しだけ嫌そうに眉間のしわを寄せた。
「私、あの方苦手なんですけど」
「安心しろ、余もだ。というより、彼女とウマの合う人間などそうは居るまい」
なにか散々な言いように、はやて達は余程の変な人なのかと思った。
「お前達の屋敷はそのままにしてあるし、変わらずマーサが管理しておる。凍結されていた口座もすぐに解除させる。こちらが呼ぶまで好きに過ごすが良い。王都を出なければ基本的に行動を制限するつもりもない。そちらの者達もな」
彩那の後ろに居る友人達を指して言う。
「意外ですね。取り壊したと思ってましたが……」
「あんな大きな建物簡単に取り壊せるか馬鹿者。それにお主がこの世界に戻って来ると信じていたシンパに取り壊しを反対されていたのだ。送迎は用意しているから、大人しくしていろ」
「分かりました」
話が終わると彩那が立ち上がる。
同時にエリザが声をかけてきた。
「アヤナお姉様。わたくしとも後でお話しましょう」
「……えぇ、そう、ね」
笑みを作ってはやてらを連れて退出する。
はやて達も後へと続く。
部屋を出て少しすると、彩那が壁にもたれかかった。
手で顔を目を覆って大きく息を吐く。
「迂闊だったわ。ごめんなさい、私のミスだコレ……」
「どういうことよ?」
アリサに問われて彩那は頷く。
「私がしてた包帯、魔力を外部に悟られ難くなる物なんだけど、それ外してたからたぶんそのせいで……どうせ喚ぶのなら、私が独りの時にすればいいものを。皆まで巻き込んで……!」
苛立ちを抑え切れずに舌打ちした。
その言葉にフェイトが息を呑んだ後に反論する。
「なら良かった。彩那独りでこっちの世界に来なくて」
もしも自分達の前から突如彩那の存在が消えたら。
そしてそれがどれだけ捜索しても見つからない、手の届かない場所だったら、その時は後悔してもし切れないだろう。
「変な言い方かもしれないけど、巻き込まれて良かった」
フェイトの言葉に彩那は複雑そうに目を閉じる。
本人からすれば自分の落ち度で皆を巻き込んだ負い目があるのだろう。
そこでアインスが口を挟む。
「しかし、あの剣を渡して良かったのか?」
アレは謂わば彩那にとって親友の形見。
それに戦う為の武器をあっさりと手放したのが信じられない。
彼女は今、完全に丸腰だ。
「貴女を含めて非戦闘員が居るのよ? 下手に抵抗して戦闘になっても守り切れる自信はあるけど、人死にが出ない保証が無いでしょう?」
アリサとすずかとリインフォース・アインス。
この3人を守りながらでも戦えるが後々が面倒過ぎる。
「しばらくこの世界に滞在するなら色々と顔が利くホーランドが1番だし、ここでトラブルを起こして犯罪者になりたくないでしょう? それに、どうして今更私を喚んだのかは気になるのよ」
「あの剣を返して貰う為じゃないの?」
「アレがホーランドの国宝だとしても、その為だけにあの装置を使って私を喚び出すなんて流石にありえないわ。それも5年も後に。なにか理由があるのでしょうね。まぁもっとも、どうせ私にとって碌な話じゃないでしょうけど」
また息を吐く。
3日後に説明すると言うのだから、今は待っていた方が良いと判断した。
そこで頭の中である提案が閃く。
「スクライア君と八神さん。それとテスタロッサさんと高町さんは3日後に私と同席してマリアルイズ様と会いましょうか」
「え? そんなに怖い人なんか?」
苦手、と言っていた事から自分達に頼るくらいおっかない人物を想像する。
しかし彩那は違う違うと手を振る。
「会うだけでも勉強になる方だからよ。私は会いたくないけど、貴女達には良い経験になると思う。後学の為と思いなさい」
「どういうこと?」
「会えばわかるわ。まぁ、お楽しみってことで」
なのはの問いをはぐらかすように肩をすくめる。
そうしていると、60くらいの女性が彩那に近付いてきた。
「アヤナ様……!」
その女性が彩那の手を握って涙ぐむ。
「よくご無事で……! またお会い出来た事を感謝してもしきれません」
「マーサさん。お久し振りです。お元気そうで」
周囲が戸惑っているのを感じて彩那が説明する。
「この人はマーサさん。私達が最初にこっちへ喚ばれた時から世話役をしてくれてた人。この子達は私の故郷での友達です。今回、私に巻き込まれて」
マーサと呼んだ女性にも簡単に説明する。
「えぇ。王から聞き及んでおります。皆様も、丁重に扱うように、と。それでは、屋敷までご案内致します」
「移動がバスなのは予想外だったわ……」
正確にはバスくらいの長さのある車である。
なんとなく馬車のような移動を予想していたので意外だった。
彩那が苦笑してから話しかける。
「質問があるならしていいわよ」
そう言われて先ずははやてがはいと挙手をした。
「王様と王妃のリゼリータ、さん? が随分
信じられない内容だったので、腰が引けて微妙にぼかすような形になってしまった。
「リゼリータ様は後妻よ。あそこに居たエリザと亡くなったティファナ王女の母親であるアリーシャ様が正妻だったんだけど、生来より身体の弱い人でね。王妃としての仕事は殆ど出来なかったの」
ホーランドでは王や位の高い貴族は妻を3人以上娶るのが普通だが、現在の王はアリーシャ以外の妻を娶らなかった。
「戦争後期に実質この国を仕切っているいたアーツってジジイが亡くなってね。政務やら何やらが結構なダメージを受けたの」
アーツ、という名前にシャマルが反応する。
「聞いたことがあります。齢100を越えて、ずっとホーランド王国を支え続けた怪物だと」
「えぇ。100年以上ホーランドに仕え、国の繁栄と防衛に努めた、ホーランドにとっては紛うことなき英雄。私達の勇者召喚の儀を執り行うように進めたのもあのジジイだったと聞くし、この世界に召喚されて、1番お世話になった人よ」
説明する彩那にすずかが問いかける。
「あの……ジジイとか、お世話になったんだよね?」
「生き様は素直に凄いと思ってるけど、人格面ではまったく尊敬出来ないジジイだからね。しょうがないしょうがない」
ハッと鼻で笑う姿に、何か嫌な事でもされたんだろうか? と疑問が浮かぶ。
「話が逸れたわね。アーツ爺が亡くなって、王に信頼出来るサポート役として新しい妻を迎え入れる必要があったの。アリーシャ様は体調の問題で政務に関われる人じゃなかったし。そこで何人か候補が挙がったんだけど、選ばれたのは、当時とある政務官の秘書をしていたリゼリータ様よ。そしてアリーシャ王女の友人だった方よ」
「あぁそれで……ってうぇ〜っ!?」
亡くなった娘の友人だったと説明されてようやく脳が受け入れる。
それで驚かないかは別問題だが。
「どんな過程でそうなったん?」
「さぁ? 当時私は北側で帝国とバチバチに殺り合ってたから細かな流れは知らないの。それに私が居た頃はまだ婚約段階だったから」
正式に結婚まではともかく、子供を作ってるのは意外だった。
あの王はアリーシャ王妃以外には手を出さないと思っており、あくまでも仕事を円滑にする為の結婚だと考えていたからだ。
そこで彩那はこの世界でやらなければならない事を思い出す。
「シグナム達に提案だけど、明日あなた達の元主であるヒンメル王国の第二王子のウィル王子とその兄のラインハルト王子のお墓に行く?」
「本当か!」
ヴィータが立ち上がる。
元主の遺体はホーランドに埋葬したとは聞いていたが、ここまでそれを考えている余裕が無かった。
「私も用事があるのよ。ついでに案内するわ」
「頼む。今更だがせめて墓くらいは参りたい」
あの2人は長い闇の書の歴史の中で数少ないヴォルケンリッターを人として扱ってくれた主だ。
最期まで守り切れなかった事を謝罪したい。
それにはやても乗る
「ならわたしもみんなの今の主として御参りせなあかんな」
まだ夜天の魔導書が闇の書だった頃。
夢で騎士達の過去を見る事がたまにあった。
その過去は悲しく、家族が人間らしく扱われる事は多くないと知っている。
だから騎士達を個人として扱ってくれた彼らに感謝を伝えたかった。
本当に大事な質問を後回しにし、目的の家まで向かっていた。
「大っきい……」
着いたのは家というよりも屋敷。
20人ちょっとは住めそうな大きさがあった。
「4人で家買ったって言ってたけど、よく買えたね」
「かなり安く買い叩いたのよ。中に入って。自分の家だと思って好きな空き部屋使って良いから」
「無茶苦茶なの……」
いきなり豪邸に連れられて好きに使って良いはちょっと及び腰になる。
中に入るとマーサが彩那に説明と質問をする。
「掃除や設備の点検は業者に任せており、細かな管理は私が請け負っておりました。人を増やすならすぐにでも入れますが?」
「いえ。いきなり知らない人をたくさん呼んでも彼女達の気が休まらないでしょうから、現状このままでお願いします。自分達の事は自分達でどうにかするので」
「それは……」
何か言いたげのマーサから視線をなのは達に移す。
「そういうことでいいかしら?」
「え、と……お任せします?」
慣れない環境にそう返すしかなかった。
マーサが分かりましたと頭を下げた。
「なら、今晩の食事は私が用意しましょう。皆様、色々あってお疲れでしょうし」
「はい。お願いします」
「きもちいい〜」
5人くらい入れそうな風呂場の浴槽でなのはは脚を伸ばして浸かっていた。
フェイト、アリサの3人で浴槽で入っている。
今日は彩那とユーノ出世祝いで集まり、ミッドチルダをアリサとすずかを連れて案内する予定だった。
それがこんな事になって、頭が追いつかないというのが本音だ。
適温の湯に浸かると疲れが抜けると思考が鈍化する。
ぼんやりと天井を見ているとアリサが話しかけてきた。
「で? なにを悩んでるのよ? いや、彩那のことだってのは分かるけど」
「うん……ここの人達は彩那ちゃんをどうするつもりなのかなって」
4本の剣を返して貰う為だけに喚んだりはしないと彩那は言っていた。
実際にあの王様は彩那に何かをさせたがっている。
「今は情報が少な過ぎて私達も動けない。ここには時空管理局もないし」
本当にここが三百年前の世界なら、まだ時空管理局は存在すらしていない。
それはフェイト達にとって足場が無いに等しい。
「怖いのかも。このままなにもしなかったら、彩那ちゃんが手の届かないところへ行っちゃいそうで」
「彩那の奴、そういうところがあるもんね」
一緒に居るように見えて、何処か自分がいつ居なくなっても良い距離感を保っていると言うか。
アリサが浴槽の縁に身体を預けながら言う。
「なのはが初めて彩那を紹介してくれた時に言ったわね。あいつの心から笑ってる顔が見たいって。まだそれ、達成出来てると思ってないのよね」
ピチャピチャとゆっくり脚を上下させて言う。
「それにこの世界で彩那は大事な友達を失って。あたしらに言いたくないくらい酷い経験をさせられたのよね。そんな奴らがこれ以上あの子の人生を振り回してくるのは納得出来ない」
彩那が語る過去は断片的な物が多く、全てを知ってる訳ではない。
それでも長い間この世界で過ごして彩那なりの愛着があるのだろうとは思う。
「彩那を含めて皆が幸せになる為の頼みならあたしはどうこう言うつもりはない。その話を受けるか受けないかは彩那が決めることだから。でももし、彩那をこれ以上苦しめるなら、絶対にこの世界が許せない」
「……」
静かだが強い怒りの籠った声になのはとフェイトは息を呑んだ。
2人の怖れを感じておどけるように肩を竦める。
「ま、だからってあたしに何か出来る訳じゃないけどね。でもいざって時はふん縛ってでも彩那を止めるつもりよ」
「も〜アリサちゃん……!」
それに乗る形でなのははアリサに詰め寄った。
力を抜いて笑いながらなのはは考える。
(独りでどこかに行ったりしないよね? 彩那ちゃん……もしそうならわたしは────)
八神はやては珍しく1人庭でぼーっと夜空を見上げていた。
日本の都会と違い、満天の星空がはっきりと見える。
そんなはやてにすずかが近付いてくる。
「はやてちゃん」
「おーすずかちゃんも星見に来たんか?」
はやてが空を指差す。
「星座とか探してみたんやけど、やっぱり全然一致せんわ」
おどけるはやてに対してすずかは踏み込む。
「ずっとなにか考えてるみたいだけど、どうしたの? わたしには言えない悩み?」
その言葉にはやては驚いた様子で目を見開いた後に降参とばかりに両手を上げる。
「すずかちゃんは鋭いなぁ」
「これでも、みんなのことはちゃんと見てるつもりだよ」
これくらいは察せると包み込むような笑顔をする。
自分の両指を絡めながらはやては小さく呟く。
「わたしな、嫌な子かもしれん……」
突然の告白にすずかは目を見開いた。
「あのエリザって子ぉを見た時から、なんや胸の奥で嫌な予感がするんよ。あの子を信じたらアカンって。特に根拠も無いのに疑っとる」
彩那に対する態度に変なところはあった訳ではない。
エリザは彩那を慕っていると思う。
なのに信用出来ない。
「これが彩那ちゃんを取られる嫉妬とかやったらかわいいもんなんやけど、なんや違う気ぃするんよ」
エリザを警戒しろと頭の中の記憶が訴えてくる。
その出処が分からず困惑していた。
「今日会った、碌に話してもない子にこんな敵意を向けるとか、ちょっと自分が信じられん」
果たして疑うべきは自分の勘か。それともエリザの方か。
決められずにモヤモヤする。
そうしていると、すずかが口を開いた。
「なら次会った時に話してみようよ」
「え?」
「あの子、彩那ちゃんとお話したいみたいだったし、同席とか。知らないのなら先ず、知ることから始めよう。決めるのはそれからでも遅くないよ、きっと」
すずかの言葉を咀嚼するようにはやては何度も頷く。
「……せやな。こんな風に疑ってかかるんは失礼やもんな。あー少し楽になったわ。ありがとな、すずかちゃん」
「ううん。少しでも力になれて良かった。ホントのことを言うとね、ちょっと嬉しいんだ」
「すずかちゃん?」
「わたしとアリサちゃんはいつも待ってるだけだったから。だからこんな形だけど、皆と一緒に居られて嬉しい」
時空管理局で危ない事件に関わる友達。
怪我をしてないかとかいつも心配だった。
少しだけ関われて、近くに居られて安心している。
「だから、手伝えることがあったらなんでも言って」
知らない世界に飛ばされて、戦う術の無い彼女は現状がどれだけ不安で恐いだろう。
それでも友達の為に勇気を奮い立たせている。
自分は良い友達を持ったと感謝する。
「ふふ。なんやすずかちゃんは奥さんみたいやなぁ」
「もう。からかわないで!」
そんな風にじゃれながらも、2人は手を繋いで屋敷の中に戻った。
彩那は久し振りに戻った自室で落ち着かない気分だった。
ベッドの隅で身を丸くしている。
手元に長い間、相棒だった剣が無いからだ。
得物が無いという状況が彩那を不安にさせる。
(まるで戦争中毒者ね)
武器が手元に無いと落ち着かないなど、本当にどうかしてる。
この国が何故再び
彩那の持つ情報から推測は出来るが、やはり方法が解らない。
「でも、ここは皆が守った世界だから。もしもの時、私は────」
呟くと彩那は目を閉じて座ったまま眠るように努めた。