世界を救った勇者は俯きながら生きている。   作:赤いUFO

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大切だからこその亀裂

 あの時の事は、今でも覚えている。

 俺達はベルカ式を使うヒンメルという国に生まれた。

 だけどその国は傭兵業と魔法技術に使う鉱石の採掘で細々と存続してる国だった。

 俺らみたいなちょっと魔法の才能があるだけの孤児にとっては地獄だ。

 今までは各地の小競り合いに兵隊を貸して金を貰うのが、世界中でドンパチを始めたんだから。

 貸し出す兵隊の数が足りなくて、俺みたいな孤児は無理やり徴兵されて大した訓練も受けずに戦場に放り込まれる。

 大人曰く、現地で学べだそうだ。

 それでも現地の大人達はまだまともで、雑用をさせながら少しずつ戦場でのルールを教えてくれた。

 そして、そんな生活が耐えられずに、すぐそこまで迫っていたホーランド王国に投降しようという話になった。

 そしてやって来たホーランドの兵士にがっかりした。

 

「それじゃあボク達が皆さんを安全なところまで送り届けま〜す」

 

 仕切ってるのは10代前半の女だったから。

 きっとホーランドは俺達を真面目に迎え入れるつもりなんてないのだと思ったくらいだ。

 

「取り敢えず殿はボクと冬美。護衛は彩那と璃里でやろっか」

 

「地下洞窟を抜ければ転移の中継地点まで目と鼻の先ね。問題は私達の撤退するタイミングかしら」

 

 そんな打ち合わせをしてる中で1人が子供達で纏まっていた俺達のところへやって来る。

 

「わたしは、羽根井璃里って言うの。皆をホーランドまで絶対に送り届けるから。よろしくね」

 

 そう言って俺達を安心させる為に61人近く居た子供達1人1人と握手する手。

 それは見た目以上に硬い戦士の手だった。

 

 

 アヤナとリリィという名の2人と数名が俺達の護衛をする。

 殿を務める為に残った女2人も含めて女4人がホーランドの勇者と聞いて驚いた。

 その勇名はヒンメルでも広く知られていたからだ。

 たった4人の初陣で小国を滅ぼしたという。

 魔法で安全な道を移動しながら時折勇者2人は大人達と話したり、子供達を不安にさせないように話しかけたり、水やビスケットなどのお菓子をくれた。

 出口が近くなり、風が吹き抜ける。

 洞窟を抜けて近くの川で最後の休憩を取っていた。

 もう少し。もう少しで皆、安全な国に行ける筈だった

 そして────。

 覚えているのは、追手に現れた自分と同い年くらいの赤い三つ編みの女の子と太い筋肉の褐色肌で白髪の男。

 

雲の騎士(ヴォルケンリッター)……!?」

 

 誰かがそう呟く。

 俺でも知ってるヒンメル王国の虎の子。

 あいつらが出て来た戦場は未だ敗北無しという。

 俺達を部下に任せて勇者2人が騎士と戦う。

 しかし実力で雲の騎士が上回っている上に、俺達という護衛対象まで居たのが災いした。

 攻撃の余波で1人また1人と仲間が殺された。

 勇者は俺達を庇う度に死ぬかもしれない怪我を負う。

 弟を抱きかかえていた俺はどっちの攻撃か判らない爆発に巻き込まれて川に落ちたおかげで弟共々助かった。

 それから孤児院で過ごし、10歳の時に軍に志願した。

 大して戦果も挙げられないまま終戦になったが、それからも真面目に日々の職務に勤しんでいたおかげで実績と信頼を積み上げていった。

 

 そんな俺の前に今、あの時の騎士がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでお前らがここに居んだよ!」

 

 デバイスの剣を起動させて構えるホーランドの兵士。

 その行動に騎士達が待機状態のデバイスを手に取る。

 アリサとすずかは緊張して身体を強張らせた。

 しかしその兵士をマーサが一喝した。

 

「下がりなさい! この方々は勇者アヤナ様のお客人です! それに危害を加える行為はわたくしが許しません!」

 

「はぁっ!?」

 

 一触即発の空気の中で地下に行っていた面々が戻ってくる。

 

「なんの騒ぎかしらこれは?」

 

 不穏な空気に彩那が反応したが、ホーランドの兵士の顔を見て納得する。

 割って入ろうとするが、その前にはやてが騎士達のところへ歩を進めた。

 

「リインフォース……!」

 

「主?」

 

 泣きそうな顔でリインフォースに抱きつくはやて。

 その手は震えていた。

 見れば、なのはとフェイトも似たような表情をしている。

 今のはやて達にはこの状況を察する余裕すらない。

 彩那が突っかかってきたホーランドの兵士に話しかける。

 

「久し振りね、ロイド君。大きくなって。弟君は元気? 私のことを覚えてる?」

 

 知り合い? と疑問に思っていると彩那が雲の騎士を庇うような位置に立つ。

 

「貴方の怒りは理解するけど、彼女らは私の友人です。ここは私に免じて退いてくれないかしら?」

 

 そう言って軽く頭を下げる彩那。

 その姿に、ロイドと呼ばれた男は悔しそうに奥歯を鳴らす。

 

「なん、で……なんで貴女がそいつらと一緒に居るんですかっ!!」

 

 ヴィータ達を指差して訴えるロイドに、彩那は諭すように言う。

 

「それも含めて後で時間を取るから、その時に話をしましょう。今は堪えて。お願い」

 

 頭を下げる彩那にロイドは歯痒そうに視線を逸らす。

 少しの空白の後にデバイスを待機状態に戻し、敬礼をした。

 

「お騒がせ……しました……」

 

 そこからロイドが逃げるように去って行く。

 居なくなったのを確認してから皆の方へと近づいた。

 

「騒がせたわね」

 

「なんなんだよあいつ……!」

 

 いきなり絡んできたロイドにヴィータが不快感を露わにした。

 それを彩那が困ったように説明する。

 

「私達と貴女が初めて会った時のことを覚えてる? 私達が護衛していたヒンメル王国からの投降兵。彼はあの時の生き残りよ」

 

 彩那の説明にヴィータは短く息を止める。

 ヴィータとザフィーラが殺した他国へ逃げた裏切り者達。

 しかし当時の現状を思えば────。

 視線を下に向けるヴィータ。

 話題を変える為にシャマルが質問する。

 

「それで、いったい何の話だったんですか?」

 

 その問いに反応したのはなのはとフェイトだった。

 

「どうしよう……彩那ちゃんが……彩那ちゃんが……!」

 

 動揺を隠せずに居るなのはと辛そうに強く拳を握り込んでいるフェイト。

 はやてはリインフォースに未だしがみついているし、ユーノは難しい表情をしている。

 

「取り敢えず場所を変えましょう。これ以上騎士達がこの場に留まり続けるのは良くないと思うし。まぁあれよ……私にとって本当に碌でもない話だったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユーノ・スクライアは目の前のドラゴンに圧倒されていた。

 彩那が会うだけでも勉強になる、と言った理由を理解する。

 使い魔でもなく、プログラムによる魔法生命体でもない、純粋な生命体でありながら人語を理解し、意思疎通を可能にした存在。

 

(そういえば、彩那もあの方とは言っても、あの人とは言ってなかったっけ)

 

 ちょっとした悪戯心だったのが、説明するより実物を見た方が早いと判断したのか。少し意地が悪い。

 ユーノの時代の常識を覆す1個の存在に探究心が刺激される。

 こんな状況でなければ、もっと詳しく話を聞いて論文の1つでも書こうとしていたかもしれない。

 考古学が専門とはいえ、本質が学者のユーノは過去の滅んでいたと思われる世界に来て思わぬ出会いに興奮していたのだ。

 それとは別に彩那に突きつけてくる理不尽な要求にも怒りを覚えていた。

 マリアルイズが念話での彩那に返答を迫る。

 

『して、答えは?』

 

『その前にいくつかの質問してもよろしいですか?』

 

『構わぬ』

 

『ありがとうございます。マリアルイズ様が次元の歪みを観測したのはいつのことですか? それをアーツ殿にもお話したのも』

 

 今は亡きあの老人はこの事を知っていたと確信して問う。

 マリアルイズは少し考えるように長い首を動かしてから答えた。

 

『ふむ。人間で言う17から20年程前か。人間の時間感覚は細かくて分かりづらいな』

 

 ぼやくような答えに彩那は大きく息を吐いた。

 

『つまり15年前の勇者召喚の儀の本当の目的は、勇者を喚んで帝国を打倒する為ではなく、北の遺跡を鍵である神剣を完成させる為の物だったのですね?』

 

 確認する口調だが、彩那の中でほぼ確信しての言葉だ。

 

『おかしいと思ってはいたのです。最北端である帝国の暴走に対して、最南端にあるホーランドが何故あの時期に勇者召喚を行う必要があったのかと』

 

 少なくとも彩那達が召喚された時の帝国は遠い地の出来事(いざこざ)に過ぎなかった。

 帝国の残虐性や暴力性を考慮しても大陸の南側で最も大きな国であるホーランドがそこまで念入りになる理由としてはちょっと弱い。

 それこそ、ホーランドに被害が及ぶ前に帝国が打倒されていた可能性もあるのだ。

 

『次元断層の脅威を知っていたあの御老体は、戦争の火蓋を理由にホーランドにあるあの装置を動かす口実にする。私達を喚んだアレは、膨大な魔力(エネルギー)が必要であると同時に禁忌扱いで封印されていたと聞きます』

 

 大陸中が戦争になるとなればあの装置を使う理由に出来る。

 これは当時ホーランドの政治がアーツの独壇場だったのもあるが。

 

『喚び出した勇者のリンカーコアの成長に伴い、どこかで暗殺でもしてリンカーコアだけを回収する。だけど、ヒンメル王国や帝国が想定以上に強敵だった為に安易に私達を切ることが難しくなってしまった。帝国を排除して遺跡とやらを確保するのも計画の過程だったでしょうしね。帝国の暴走で潰された北側諸国を見殺しにしていたのも、物理的な距離以上に戦争終結後、北の遺跡の所有権を主張されたくなかったと言ったところですか』

 

「なんや、それ……」

 

 彩那の推論にはやてが怒りを滲ませて呟く。

 突然喚び出されて、家族と故郷から引き離し、利用するだけ利用して剣のパーツにする。

 次元断層を回避する為とはいえ、そんな事が許されるのか。

 

『最終的に完成した神剣をティファナ王女に握らせ、北の遺跡のコアとして封印する。全てを知ったとしても、この国……いえ、この世界の住人であるティファナ王女は了承するしかないでしょうから』

 

 もしかしたら、ティファナ自身もここまで知っていたのかもしれない。

 だからこそその負い目から自分が聖剣の生贄になる事を選んだのか。

 推論を話し終えた彩那にマリアルイズは小さく首肯した。

 

『元々、ホーランドにある南の遺跡はこの世界の外から特定の条件の存在を喚び寄せる為の物。送り還す機能なぞ無い』

 

 つまり最初から喚び寄せた勇者を元の世界に還すつもりなど無かったと言う。

 予想していた真実である為、彩那は特に驚かない。

 

『アーツの小僧は誰が神剣()を手にしても良いと思っていたようだがな。お主らの誰が生き残ろうと、結果は同じだとあやつは言っておった』

 

 10年という歳月を過ごし、故郷に帰りたいという想いはあってもこの世界に対して愛着も生まれていた。

 そんな世界が滅びの危機ともなれば、誰が生き残っても封印を受け入れたかもしれない。

 

『あやつにとって1番の予想外(イレギュラー)はホーランドとは縁もない世界から勇者が召喚されたことだ。あの剣は北の遺跡が悪用されぬよう制限として、ホーランド王家の血を引く者にしか扱えぬし、リンカーコアも封じられん』

 

 本来なら王家の血筋の中で剣の生贄となる価値のある者が召喚される筈だった。

 それが何の因果か、この世界とは関係の無い世界から幼い少女4人が喚び出された。

 

『だが計画の細かな差異はあれど、結果として遺跡の鍵は完成した。あの小僧も、人間の言う地獄とやらで高笑いをしている頃だろうさ』

 

 邪魔だった帝国を打倒し、世界を救うパーツが揃った。

 自分が死んだ後も問題なく。

 あの老人からすれば、思い通りに行き過ぎて笑いが止まらないだろう。

 

『まって……ください……』

 

 話を聞き終えて、堪え切れなくなってなのはが念話に割り込む。

 

『どうして彩那ちゃんにばかり重荷を背負わせようとするんですか!!』

 

 時折話してくれる想い出から彩那がかつての友達を大事にしていたのを知っている。

 大好きな友達を喪って、生き残るべきだったのは自分ではなかったと吐露するくらい自らを責め続けている。

 そんな女の子に、どうしてこれ以上の重荷を押し付けるような真似をするのか。

 

『他にその役目を負える者がおらん。それだけのことだ』

 

『どんな役目があったって、彩那は普通の女の子です! 私達の大切な!』

 

 フェイトも堪らずに念話でだがそう叫ぶ。

 続いてはやてが努めて冷静にホーランド王に問いかける。

 

『封印言うんは具体的にどうなるんですか? それに、遺跡とやらなら彩那ちゃんは1度、私達の世界に帰って来とりますよ』

 

 だから封印など必要ないではないかという希望的観測で口にした。

 

『規模の問題だ。前に北の遺跡が起動したのはおそらくアヤナが神剣を手にしていた偶発的な物だろう。人1人を送り出すならそれで問題ないが、世界そのものを移動させるとなると、遺跡の力をフル稼働させる必要がある。そしてもしも、北の遺跡のコアとして封印処置を行った場合、肉体は歳を取らぬまま保存される。そしてその意識は遺跡の演算装置の一部として取り込まれることとなる。立ち会った研究者達の調べでは、1度封印処置を施せば、数十年から百年は解除不可能────正確には、遺跡に取り込まれた意識を元の肉体に戻すのには、だが』

 

 つまり遺跡に封印されれば、彩那は演算装置として意識だけの存在として長い時間取り残される事となる。

 教えられた事実に、努めて冷静に話をしようとしていたはやても怒りを抑え切れなくなった。

 

『ふざけんといてください! 彩那ちゃんをなんやと思うとるんですかっ!!』

 

 これは酷い。

 彼らはどこまで勇者を────綾瀬彩那という人間を道具にするつもりなのか。

 

『アヤセアヤナがコアとならねばこの世界は崩壊する。お主らはそれを是とするか?』

 

『そういうことを言ってるんじゃないっ!』

 

 そこでこれまで黙っていたエリザが彩那の手を握る。

 

「彩那お姉様……」

 

 真っ直ぐとエリザが彩那を見る。

 その眼は、コアとなって欲しいという願いか。

 それとも別の。

 

『して、アヤセアヤナ。お主の答えは?』

 

 マリアルイズの問いに彩那は数秒考えてから答える。

 

『少し、考える時間をください……』

 

 彩那の願いに答えたのがホーランド王だった。

 

『良かろう。どの道まだ準備は整っておらんしな。1か月(ひとつき)の猶予を与える。やり残したことはその間に終わらせておくといい』

 

 まるで彩那がコアとなるのが決定事項のように言う王になのは達は怒りのままに反論しようとしたが、マリアルイズが頭を垂れるように長い首を下ろした。

 

『この世界の命運はお主にかかっておる。どうか最後の頼みを聞いて欲しい。色良い返事を期待している』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳よ」

 

「バッカじゃないのっ!!」

 

 屋敷に戻って彩那の話を聞いたアリサがテーブルを強く叩いて立ち上がる。

 その衝撃でティーカップが落ちて割れ、中の茶が足にかかったが怒りで気にならない。

 友達をここまで道具扱いされて我慢出来る程、彼女は大人ではなかった。

 アリサだけではなく、すずかや騎士達も怒りで眉間にしわを寄せている。

 

「ていうか、それでスゴスゴ戻ってきたわけ! なのは、フェイト! いつもみたいに魔法でぶっ飛ばしてきなさいよ!」

 

「言ってることが無茶苦茶だよアリサ……」

 

 アリサの怒声にフェイトが宥める。

 彼女自身、その考えが無かったかと言われれば否定はしないのだが。

 すずかが確かめるように彩那に質問する。

 

「彩那ちゃん。彩那ちゃんはその話を受けたりしないよね? わたし達と一緒に帰るんだよね?」

 

「正直、悩んでる。いや、迷ってるのかな?」

 

「おい」

 

 彩那の返しにヴィータが苛立ちのままに短く責める。

 

「世界を呑み込む程の次元断層という大災害を前に、助かる手段があるだけマシなのよ。それに、帰るにしても勇者の剣はホーランドに返したでしょう? それを取り返して北の遺跡に行くにしてもタダじゃ済まないわ」

 

 出来るか出来ないかで言えば、おそらくは可能だ。

 この戦力なら勇者の剣を取り返し、この世界を見捨てて帰る。

 それくらいはなんとかなると確信している。

 だが、ホーランドは全力で阻止して来るだろう。

 その時に自分や騎士達はともかく、なのは達も人を殺してしまう可能性が高い。

 そうなるくらいなら、向こうの言い分を全て受け入れるのがベターな選択に思える。

 

「私がコアになるなら、王様やマリアルイズ様もあなた達に手出しはしないでしょうね。元の時代に帰せると思う。それぐらいの融通は絶対に利かせる。ロイドの件を見るに、八神さん達はこの世界に長居しない方がいいと思う」

 

 ヴォルケンリッターに恨みを持っているのはロイドだけではない。

 恨み辛みで手を出して来ないとは断言出来ないのだ。

 

「それに……」

 

 彩那はエリザとザードの顔を思い浮かべる。

 この世界で大切なティファナ(親友)の妹と異母弟。

 それを見捨てるような真似は出来ないと思う自分がいる。

 なのはが小さく不安そうな声で質問する。

 

「彩那ちゃん、は……わたし達と一緒に帰るんだよね?」

 

「ごめんなさい。正直、決めかねてる」

 

「彩那ちゃんがこれ以上犠牲になる必要ない! 他の手立てを皆で探そう!」

 

 なのは自身、都合の良い解決策が転がっているのか疑問に思っている。

 それでも友達が犠牲になるよりはいいと思えた。

 

「ごめんなさい」

 

 彩那はそう返すしかなかった。

 自分が信じていない都合の良い解決策を期待する事は出来ないから。

 

「どうして……こんな時も頼ってくれないの……?」

 

 1番辛くて大変な筈なのに、自分達を帰そうと考える彩那に対して悲しくなった。

 逃げるようにして部屋を出て行くなのはをフェイトが呼び止めたが止まらなかった。

 

「彩那。私達は彩那1人が犠牲になれば全部解決なんて結末、絶対に納得しないから。それだけは覚えてて」

 

 それだけ告げるとフェイトはなのはを追って出て行く。

 その後は結局全員が口を開く気力も無く解散となった。

 全員が胸の蟠りをなに1つ解消出来ぬままに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ:機動六課のとある一幕

 

「お。キャロ、ちょっとえぇか?」

 

 はやては自販機横のベンチに座ってエリオと話していたキャロに話しかける。

 緊張した様子で姿勢を正す2人。

 

「どうしましたか? 八神部隊長」

 

「あぁ〜、緊張せんといて。ちょっと聞きたいことがあるだけやから」

 

 そう言ってはやてはキャロの膝に居るフリードを撫でる。

 

「もしかして、フリードとヴォルテールって念話とかで会話出来たりするんか?」

 

 突然の質問にキャロは目を丸くした。

 

「あの……フリードもヴォルテールも使い魔じゃないですよ?」

 

「う〜ん、やっぱりそういう反応になってまうよなぁ……」

 

 少し残念そうに肩をすくめる。

 

「信じられんかもしれへんけど、長い時間を生きた魔法生物の中には人と念話で意思疎通出来る個体も存在するんよ。わたしも1 体だけ会ったことがあるよ」

 

 あれには驚いたなぁ、と懐かしそうに目を細めた。

 

「本当ですか!?」

 

「本当。だからもしかしたらフリードやヴォルテールのどっちかが念話で会話出来るんかなーって」

 

 可能性が高いのはヴォルテールだろうか。

 そう考えていると、エリオも驚いた様子を見せている。

 

「フリードやヴォルテールもいつか僕達と念話でお話しが出来る可能性があるってことですか?」

 

「可能性はゼロやないと思うよ?」

 

 それを聞いたキャロは衝撃を受ける。

 もしかしたらいつか、フリードやヴォルテールと念話で会話出来る日が来るかもしれない。

 特に卵から一緒だったフリードには家族としての愛情が人一倍ある。

 

「わたし、これから念話でもフリード達に話しかけてみます!」

 

「あ、うん……相手にストレッチを与えん程度に頑張り?」

 

 やる気を漲らせるキャロに、ちょいミスったかな? とはやては思った。

 それ以降、フリードに念話で話しかけるキャロが度々目撃される事となった。

 

 

 

 

 




こんな状況ですが、しばらくはこの世界で日常回。
次回はなのは&フェイトVSホーランド一般兵士との模擬戦か、リゼリータ王妃とのお茶会の予定。
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