「エリザッ!!」
護衛を数人引き連れた王が勇者の剣が接続されたこの部屋にやって来た。
「なにを考えている? 貴様は自分がなにをしているのか! これが失敗すればこの世界は────」
「良いではないですか、別にこんな世界がどうなっても」
どうしてこの世界に拘るのか理解出来ないと言わんばかりの態度に王が僅かに後退る。
「ねぇお父様。本当にこの世界に存続するだけの価値がありますか? わたしはね、間違ったこの世界は正されるべきだと思うのですよ」
王女としてでなく、エリザ個人として話すその姿に王は身震いした。
戦争が終わった後に、何処か次女に対してどこか歪んでいると思っていた。
しかしそれは父である自分が思うより、ずっと深刻だったのだと思い知る。
「ですからお父様……」
エリザが聖剣を手にした。
同時に護衛がエリザを捕らえようと動く。
しかし、エリザは真っ直ぐに父の下へと駆け、その胸に聖剣の刃を突き刺した。
王の口から血が溢れる。
「エリ、ザ……お前、は……っ」
肩を掴もうとする父の手を払って聖剣を引き抜くと、そのまま床に倒れる。
絶命したのは明らかだった。
「お父様……間違いが正された次の世界で、また会いましょう」
八神はやては敵兵を2割を削ったところで汗を雑に拭う。
(思った以上に優秀やわ……)
はっきり言って侮っていた。
勇者に頼り切りの烏合の衆だと。
しかしそれは傲慢だったと思い知る。
確かに現状は優勢だが、此方に殺す意思が無いと判断すると、持久戦に切り換えてきた。
連携を上手く使って今度は向こうがこっちを足留めしてくる。
「ヴィータを向こうに行かせたんは失敗やったかなぁ?」
泣き言を言うつもりはなかったが、上がってきた息にそう思う。
『はやてちゃん! 上空から高魔力反応! 来ますです』
「へ?」
ツヴァイからの報告に呆ける間もなく、滝のような砲撃が降ってきた。
「はやてちゃんっ!?」
大急ぎでシャマルが手の形に紡いだ魔力の糸ではやてを引き寄せた。
「怪我はありませんかっ!」
「う、うん……ありがとな、シャマル」
突然振ってきた強力な砲撃。
そちらに顔を向けると、そこには青銀の竜が現れた。
「マリアルイズ、さん……」
『余程アヤセアヤナに未練があるようだな』
『お互い様でしょう?』
少しだけ毒を含むようにはやては返す。
『この世界の存亡より、あの娘の自由がそんなに大事か』
『世界の存亡に対して、彩那ちゃん独りに代償全部を押し付けるような真似は納得出来んだけです。それを許せば、きっとこの世界の人達はあの子に甘え続ける』
フェイトが言ったように、次元断層をなんとかしたとしても、その後もきっと彩那に頼る。
それが当たり前になれば、きっと彩那はそこから抜け出せなくなる。
頼られれば頼られるだけ応えようとしてしまう。
『彩那ちゃんはこの世界の戦争を終わらせる為に大好きな友達を失う代償を払ったんです。これ以上、あの子から奪わんといてください』
『なるほど。確かにホーランドを始め、この世界の人間達は全てを終えた後も縋りつく姿が容易に想像できよう』
『なら!』
『だが、事態は世界の存続である。それに押し退けて通すべき正しさなど────ない!』
マリアルイズの口が大きく開かれた。
同時にツヴァイから恐怖と焦りが合わさった声が響く。
『
「シャマルッ!」
「はい!」
マリアルイズが僅かに首を動かした後に口から放たれた砲撃。
それは間違いなくスターライトブレイカーと同等の威力を有していた。
シャマルと共に回避行動を取ってなんとか躱す。
しかし。
「ちょっ!? それ反則や!」
そのまま首を動かして砲撃が追ってきた。
「ウォオオオォオオオオォオオッ!!」
ザフィーラが最大硬度の
芯は避けた筈なのに、ザフィーラは弾かれて落下していく。
「ザフィーラッ!!」
はやてが心配で声を上げてる間、シグナムがマリアルイズに接近する。
「紫電一閃っ!!」
首を狩ろうとレヴァンティンを振り下ろすが、鱗の硬さに刃が当たった箇所が僅かにひび割れる程度で終わる。
「ちぃ!」
反撃を避ける為に距離を取るが、翼から巻き起こった風に煽られた。
風圧で身動きが取れなくなったところを抜き打ちで放たれた砲撃がシグナムを襲う。
それを割り込んだはやてとシャマルでなんとか防ぐ。
「申し訳ありません。主はやて」
「謝罪はえぇよ」
おそらくはあの巨体に相応しいリンカーコアを持っているのだろう。
それこそはやてすら霞んで見える程の。
ザフィーラも近くに合流する。
「行くよ、みんな。あの人はわたしらが引き受けるよ!」
フェイトはホーランド兵を相手に優勢ではあるが苦戦もしていた。
元より、自由な空での戦闘が本領な彼女だ。
今戦っているこの場所も広い空間ではあるが、空の広さには程遠い。
もちろん昔に比べて室内での戦闘も克服しているが、それでも得意かと言われればそうではない。
(こっちの攻撃を上手く防いでくる……!)
前の試合で見た、数人が1つの防御魔法を編んで防ぐ。
気を取られている間にバインドや射撃魔法でフェイトの機動を制限し、近接型が仕留めようとしてくる。
そのフォーメーションとチームワークの完成度に敵対しているとはいえ称賛したくなる。
動きを封じられたフェイトにレオルドが斬りかかってくる。
バルディッシュの長柄で受け止めた。
同時にフェイトはレオルドに問いかける。
「貴方は、彩那が封印されることに納得してるんですか?」
「戦闘中になにを! 私は軍人として、国の決定に従うだけだ!」
鍔迫り合いでフェイトの動きを封じようとするのを察してレオルドの腹を蹴って無理やり距離を取った。
「彩那は、貴方の大切な人だった宮代冬美の友達なんだよ! それなのに!」
目の前のレオルドは亡き勇者の1人である宮代冬美と恋人関係であったと聞く。
それなのに、彩那が封印されようとしているのを黙って見過ごすのか。
情に訴えるつもりはなかったが、つい声を荒らげてしまう。
レオルドはそこそこ強く、周囲のフォローもあって攻めきれずにいた。
バルディッシュを斧から剣の形態に変えて攻め込み、三人を戦闘不能にしたところでレオルドと再び鍔迫り合いになる。
「最初に戦死した勇者はフユミで、その遺体を持ち帰ったのがアヤセアヤナだった」
剣の打ち合いをしながら話を始める。
「アヤセアヤナに抱えられたフユミを見てこう思ったよ。どうしてフユミだったのか。どうしてアヤセアヤナはフユミの代わりに死んでくれなかったのかと」
「なに、を……言ってっ!」
いるの、と返そうとするが重い振り下ろしに体を弾かれる。
体勢を立て直して見た表情のないレオルドが不気味に映る。
「リリィもナギサも、ティファナ王女様もその身を犠牲にした。まるで彼女だけを生かすようにだ」
レオルドの言葉をフェイトは黙って聞く。
この会話にどこか説得出来る切っ掛けはないかと探しながら。
しかしその淡い期待は次の言葉で吹き飛んだ。
「だからアヤセアヤナはこの世界の為に身を捧げるべきだ!」
「なっ!?」
驚いている僅かな隙にフェイトの右腕がバインドで拘束される。
即座にバインドの破壊に入ると同時にレオルドを睨みつけた。
「本気でそんなことを思ってるの?」
今のがフェイトを拘束する為のブラフであって欲しいと心から願いつつそう問いかける。
そうでなければあまりにも。
「理不尽な言い分だとは私も思っているさ。だがアヤセアヤナが生きている時間がフユミにもあったのかとその可能性が頭を過ぎる度にアヤセアヤナの存在が妬ましく感じるようになったよ」
右腕にかけられたバインドを破壊して攻撃を回避する。
「だからせめて、アヤセアヤナは最期まで勇者の役割を全うすべきだ。そうでなければ不公平だ」
「ふざけないで……!」
怒りから吐き出すフェイト。
そして次に襲ったのは悲しみだった。
もしも宮代冬美が生きていたら、その分恋人と過ごす時間が続いていたのかもしれない。
だから、生き残った彩那に対して思うところがあるのは仕方ないのかもしれない。
「どうして……どうしてですか……!」
どうしてこの世界の人達は────。
「彩那1人を追い詰めようとするんだっ!」
右腕を拘束してるバインドを破壊した。
「オ、ラァッ!」
気迫と共に2人がかりで展開したシールドを破壊し吹き飛ばす。
しかし次から次へと兵士は補充されていく。
その事にヴィータは心の中で舌打ちする。
(キリがねぇな。こんな室内で大技をぶっ放す訳にもいかねぇしよ)
施設自体を破壊したらどんな影響があるか分からないし、下手に大技を使えば死人を出しかねない。
だからヴィータは1人1人丁寧に戦闘不能にしていた。
それでも既に半分近くは倒した筈。
敵を弾いた隙を突いてロイドが突っ込んでくる。
「何度来たって変わんねぇよ!」
ロイドとヴィータには大きな実力差がある。
因縁のある相手だが、ヴィータからすればロイドは雑兵の1人に過ぎない。
グラーフアイゼンを遠心力を利用した1撃でロイドの持つ
「あたしらに対する恨み言なら後でゆっくり聞いてやる。今は寝てろ」
そのまま槌を返して胸に攻撃を当てた。
若干距離は離れたが倒れない。
ロイドの評価する点があるとすればこのタフさか。
ここまで何度か攻撃を当てているが一向に倒れない。
しかし武器は破壊した。
これで戦闘から外れざる得ないだろう。
そう思っていると、ロイドは手にしていた剣を捨てて懐から待機状態のデバイスを取り出す。
起動させると1本の槍になった。
「アームドデバイス……そうだよな。お前は
「ホーランドは連携重視だからな。1人だけベルカ式のアームドデバイス使うと色々面倒なんだよ。だけど、ベルカ式が使えんなら、お前なんかにっ!」
地を蹴ってヴィータに迫る。
本領の術式とデバイスだけあり、さっきよりも動きが鋭く、活き活きしていた。
「ハッ! やんじゃねーかよ!」
槍を受け流しつつカウンターで槌を振るう。
鉄槌と槍が攻防を繰り返す。
ロイドの方は武器を交える度に過去の怒りが甦ってくる。
「もう少しだったんだ……」
「……」
「隊長もグレイ先輩も、他にも仲間がたくさんお前らに殺された! 弟も、あん時のことがトラウマで、今でも魘されてる時がある! 勇者様だって死ぬかもしれない怪我をした! なのにどの面下げてあの人を助けようとしてんだよ!」
「テメェこそ、そんだけ世話になっといて綾瀬を助けようとは思わなかったのかよ!」
ヴィータの指摘にロイドの表情がクシャッと歪んだ。
「思ったに決まってんだろ!」
綾瀬彩那を含めた勇者達は恩人だ。
それを遺跡の核として封印すると言われて誰が納得するのか。
「あの人がこの世界に帰って来た時、ようやく恩返しが出来ると思ったんだ! なのに……!」
かつて殺し合いをしたヴィータが彩那を助けようとして、助けられたロイドが封印の手助けをしている。
なんて皮肉。
「でも! アヤナ様が望むなら、俺は……!」
「このバカ野郎がっ!」
槌と槍がぶつかった。
なのはが彩那が入れられているポッドに近付くと、勝手に封が開き、中の液体が溢れ落ちていった。
これはなのはが知りようの無い事だが、この時にエリザが接続されていた勇者の剣を外した事で強制的に封印化が解かれたのだ。
慌てて中を覗き込む。
中には、裸の彩那が小さく咳き込んでいた。
「彩那、ちゃん……」
か細い声で呼ぶと閉じていた目が開き、なのはの方へと視線が向く。
「たかまち、さん……? ど……して……」
その声を聞いて、涙が溢れてきた。
「止めに来たんだよ。みんな、彩那ちゃんが心配で……」
「なんで……?」
あぁ、この子は本当に分かってないとちょっとだけ苛立ちが湧き上がる。
「みんな、彩那ちゃんが大好きなんだよ。決まってるでしょう」
フェイトもはやてもアリサもすずかも。ユーノや守護騎士達も。
そしてなのは達の時代で待っている皆が綾瀬彩那という人間を大切に想っている。
ただ彩那本人がその事からどこか目を背けているだけで。
彩那は合わせていた視線を逸らして呟く。
「どうすれば、良かったのかな……?」
「なにが?」
「私と居ると、あなた達もずっと今回みたいなことに巻き込むかもしれない。だから全部終わらせようって思って……」
自分の傍に居るだけでこの世界のいざこざに巻き込まれるなんて事態は避けたかった。
だから全てを終わらせるつもりでこの話を受けたのだ。
「それは、彩那ちゃん独りでやらなきゃいけないことだったの?」
対してなのは達をそれを彩那が独りで背負おうとする事に納得出来ない。
彩那が自分の顔を両手で覆う。
「だって……渚ちゃんも冬美ちゃんも璃里ちゃんも……ティファナ王女も1人で逝ったのに、私だけ皆の手を借りて助かるなんて狡いじゃない」
皆、死にたくなかった筈なのに、自分だけ生き残って。
その上今の仲間の手を借りるなんて優遇され過ぎに思える。
「いいんだよ。彩那ちゃんは、ずっと頑張ってきたんだもん。それを狡いなんて思う人が居るなら、彩那の友達でもわたし達が怒るよ」
どんなに傷付いても皆を助けようとしてくれた優しい人。
世界の命運まで背負わされて、身動きが取れなくても、なのは達を巻き込むまいとしてくれた尊い人。
でも、もういいのだ。
「一緒に背負わせてよ。巻き込んでよ。そうじゃなきゃ、わたし達、彩那ちゃんの友達だって、胸張って言えないよ」
大好きで大切なのに、大変な時に頼って貰えない。
それは凄く辛くて寂しいのだ。
これまで聞いた事がない不安そうな声で訊いてくる。
「いいのかな? 私はあなた達と一緒に居ても……生きていてもいいのかなぁ……?」
恐かった。
彩那は自分が疫病神のように思っていた。
そんな自分がこんな優しい娘達の友達として一緒に歩いて行っても良いのか。
なのはな彩那に手を差し伸べる。
「彩那ちゃん独りだけが背負わなくていい方法を考えよう。ちゃんと全部終わらせて帰ろうよ。みんなで」
それは彩那と別れた時に言ったのと同じ提案。
だけど今度は覚悟を持って手を差し伸べた。
彩那は躊躇いがちに震える手でそれを手に取ろうと────。
「え……?」
なのはの口から突然大量の血が吐き出された。
その血が彩那の顔や胸にかかる。
見ると、なのはの腹部から魔力の刃が突き出ていた。
慌ててなのはの体を抱き寄せようとする前に、魔力の刃が消え、バインドで拘束されたなのはが引き離されていく。
その人物の側に転がされたなのはは自分を刺した人の顔を見上げる。
「エリ、ザ……さん?」
「あぁ、間に合って良かったぁ。それにしてもここまで理想的な状況に持ってこれるなんて。これもティファナお姉様のお導きかもしれません。そうは思いませんか? アヤナお姉様」
これまで見た事のない冷やかで危うい瞳の光を宿していた。
その両手には勇者の剣が握られていた。
エリザはなのはの首に霊剣の刃を突き付けて彩那に話しかける。
「わたし、とても大事なお願いをしに来たんです。聞いてくれますよね? アヤナお姉様」
おまけ:前日の女子会
飛行機での移動が進み、明日には旧帝国領土に着く筈。
エリザの提案で親交と英気を養う意味も込めて同い年の少女達は飲み物とお菓子を囲んでお喋りをしていた。
ヴォイスは自動操縦に任せつつもパイロット席で仮眠を取っているし、ユーノや守護騎士達は既に休息に入っている。
シャマルからはあんまり遅くまで騒いじゃ駄目ですよ、と念押しされた上で。
最初は何気ない雑談から始まった女子会だが、次第に話題はこの場に居ない。この旅の目的である彩那に関する話が中心になっていく。
「それで彩那は私がストーカーされてた時に助けてくれたんです。本人はこっちの仕事も手伝って貰ったからお相子だって言ってましたけど」
フェイトがちょっと前のストーカー事件について語り終える。
彩那はお相子と言っていたが、仕事の頼みと個人的な頼みは別物だとフェイトは思っている。
続いてはやてが作った焼き菓子を食べつつ話をする。
「わたしの時も、仕事で指揮を取らなアカン時があったんやけど、初めてやったし、緊張しっぱなしやったけど、彩那ちゃんがサポートしてくれたなぁ。こう、相手を立たせつつサポートするの上手いんよ」
「そういうところは変わりませんね。自由奔放なナギサお姉様や気が強くて周囲と衝突しがちなフユミお姉様との緩衝役としてリリィお姉様と一緒に動いてたのを思い出します」
本人が言うように前に出るより本来、そうした縁の下の力持ちが性に合っているのだ。
そこでアリサがエリザに質問する。
「エリザさんは昔、彩那とはどう過ごしてたんですか?」
「そう、ですね……アヤナお姉様に限った話ではないですけど、お仕事でのお話を聞いたり、勉強を見て貰ったりしてましたよ。主に字の読み書きはアヤナお姉様から教わりました。フユミお姉様には計算を。リリィお姉様からは育てたお花を頂いたり、魔法の基礎理論を習ったり。ナギサお姉様からは時折故郷のお菓子を再現してみたって」
「へぇ……」
エリザの語る思い出にはやては相づちを打つ。
勇者全員と面識のあるはやては1番は特に興味深く感じた。
その後も彩那に対する話題で和やかに話していた面々だが、段々と不満点が口につく。
「こっちばっかりお世話になって、全然お返しさせてくれないんですよ!」
「せやせや! ちょっとは隙作れゆーんや!」
ヒートアップしてきて口調が強いモノへと変わっていく。
力になりたいのに、それをさせてくれない。
実際解決出来るからたちが悪く、今回みたいな事になったのだ。
粗方不満を吐き出し、飲み物の入ったボトルを飲み干す。
「はぁ〜。彩那に直接会ってぶつけようと思ってたけど、なんか色々とスッキリしたわ」
「なのはちゃんはどう? また落ち込んだりしてない?」
「もう大丈夫だってば〜!」
一応確認してくるすずかになのはは笑って流しつつも眉間にしわを寄せる。
あの時の事はなのはの中で恥ずかしい状態だったのだ。
「皆さん、本当にアヤナお姉様がお好きなんですね」
「友達だからね」
嫌いな奴と友達をやる人間は稀だろう。
というか、そんな関係を彼女らの中では友達とは呼ばない。
エリザがお菓子を摘みつつポツリと話す
「昔のアヤナお姉様はもう少し柔らかい印象だったんですよ。いつの頃からか段々と周囲に対して冷たくなったように思えます」
昔の綾瀬彩那はもっと穏やかな気性の人間だった。
どちらかと言えば合理的な判断より情を優先させるような。
それが反転したのはいつ頃だったか。
表情も今よりずっと柔らかかった筈。
そろそろ良い時間になったので、自然とお開きになっていく。
ゴミを片付けたらなのはがエリザに話しかける。
「今日はありがとうございます。昔の彩那ちゃんのことがたくさん聞けて嬉しかったです」
「ふふ。わたくしも今のアヤナお姉様のことが聞けて楽しかったですよ。アヤナお姉様を助けたら、またこうしてお喋りをしませんか?」
「はいぜひ! 彩那ちゃんも一緒に、ですね!」
「えぇもちろん。おやすみなさい、なのは様」
「おやすみなさい、エリザさん」
エリザのおやすみなさいになのはも笑顔で手を振り返した。
彩那のデレフラグ2が立ちました。(パチパチ)
あ。なのは個人にではなくみんなにですよ?