雛見沢大災害なんて起こさせない 作:アンケート
俺は現在、公由家に訪れていた。
雛見沢村の御三家として知られる家のひとつだ。力関係としては、園崎に劣るものの、村長と言う立場からかなり人望が厚いお爺さんだったと記憶している。
かくいう俺も、公由喜一郎さんのことは記憶の片隅にだが、残っていた。まぁ喜一郎さんが俺の祖父の後輩だったから、家としての繋がりがそこそこあっただけではあるが。ただ俺自身も、喜一郎さんには好印象を抱いている。朗らかな人柄に、気さくな性格は子供から見て懐きやすいものだったのだ。
「いやー、本当に久しぶりだね。影嗣さんたちは元気かい?」
「はい。喜一郎さんもご壮健でなによりです」
「いやはや、あの影嗣さんの孫とは思えんほど、礼儀正しく育ったものだね。心なしか背筋もピシッとしてしていて、まるで軍人さんみたいじゃないか」
歯を見せながら大声で笑う喜一郎さん。
よかった。園崎家とは違ってなにかしらで不興を買っているとかではなさそうだ。俺は若干、いやかなり園崎家での出来事がトラウマになってしまっていた。
「そう言っていただけると、祖父も鼻が高いでしょう。あ、これ大したものじゃないですけど」
「ん? あぁ、ありがとうね」
俺が思い出したように、菓子折りを渡すと喜一郎さんは受け取った。
中身は当然、普通の菓子箱だ。園崎家のように焼酎を詰められ、相手の顰蹙を買うなんて嫌なので、俺が商店ですり替えてきた。公由さんは中身を確認することもなく、机の上に菓子折りを置いて、茶をすする。
「で、どれくらいこっちに居るんだい?」
「一か月ほどを予定しています。久々にこちらでゆっくりしようかと」
「まぁ都会なんて暮らすだけで息苦しいからね。学校も休むのだろう?」
「はい。両親から休む旨を伝えてもらっています。かなり先生や友達が心配しているそうですが」
「ははは、いい友達に会えたんだねぇ。どうせだ。今日は平日だし、この村の分校にも遊びに行ったらどうだい? 幸嗣くんが帰ってきたと知ったら、みんな喜ぶんじゃないかな」
「私のことを覚えている子がいますかね」
俺はそう言って曖昧に笑った。
タイムスリップした影響か、俺が雛見沢にいたときの幼い記憶はかなり摩耗してしまっている。同年代の子が何人いて、どんな子たちだったのかなんて、ほとんど覚えていない。喜一郎さんみたく、出くわしさえすれば思い出す可能性もあるのだが、今のところこの村でピンときた子はいなかった。
もしかしたら、俺が誰かと仲が良かったという事実がないのかもな。それはそれで悲しい気持になる。できれば、ぼっちだったという事実は否定してもらいたいものだ。
「幸嗣くんと同年代なら、前原圭一くんという子がこの前新しく引っ越し来たよ。話したことはないが、かなり好青年だと聞いている。それに竜宮家も茨城から帰ってきたね」
「新しく引っ越してきた前原圭一と、帰ってきた竜宮……」
「どちらも村のいい子たちだよ。幸嗣くんなら仲良くなれるさ」
喜一郎さんからそう言われるが、残念ながら帰ってきた竜宮家に関しては、特に思い出せることはなかった。
「まぁ、一か月も滞在するんだ、何か困ったことがあれば相談に乗るよ」
「ありがとうございます」
ひとまず思考を中断させて、俺は喜一郎さんに頭を下げる。
雛見沢大災害がどのようの経緯で引き起こされるのか分からない以上。こういった根回しはできるだけしておくべきなのかもしれない。
2時過ぎ。お昼も公由家でごちそうになった俺は、そろそろ次の御三家に向かおうと思い、家を出ることにした。喜一郎さんは気のいい笑顔を浮かべながら、そんな俺を玄関先まで見送ってくれている。
「そうそう、御三家に挨拶周りしてるんだろう? 次は梨花ちゃまのところかい?」
「梨花ちゃま、というのは古手家のことですよね。でしたら、そうです」
俺がそういうと、玄関先で喜一郎さんは少しだけ顔を暗くした。
「そうかそうか。じゃあ、幸嗣くんは知らないと思うから教えておくが、あまりご両親について聞かないであげてくれ。今、古手家には梨花ちゃましか居ないから」
「? 分かりました」
両親がいない、というのは出張かなにかだろうか。神職の人にそんなことがあるのか分からないけど、まぁ、子供に不安を与えるようなことは何も言わない方が良いだろう。ましてや、古手梨花の嫌がることをする必要もない。
どちらにせよ、雛見沢大災害で唯一他殺体としてみ見つかった少女――古手梨花には、一度会っておかなければならないのだから。
公由喜一郎 好感度0 ⇒ 3
園崎家のトラウマにより、魅音または詩音が発症時に僅かなマイナス補正
レナとの思い出補正消失
古手神社による前にどこか寄るか?
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子供しかいないなら、晩飯用に何か買うか
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いや、このまま向かおう