ソードアート・オンライン ~より良き未来を目指して~   作:KXkxy

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大変お待たせいたしました。

引っ越し作業って大変なんですね······。ここしばらく、全くと言っていいほどPCに触る時間が取れませんでした。

つたない文章&リハビリを兼ねているので今まで以上に駄文となっているかもしれないです。不快に思われる方がおりましたら心から謝罪させていただきます。

P.S. kaito1782様、8話への感想ありがとうございます。前回更新時は忙しくて前書き後書きで書く余裕がありませんでしたので、遅ればせながらこの場をお借りしてお礼申し上げます。


009

 

 7月13日、つまり茅場さんの説明から3日後の今日、プロトタイプ·ナーヴギアが届いた。僕達の生体データに合わせるキャリブレーションを行った後、いよいよ仮想空間にダイブする。ワクワク6割、不安と緊張が2割ずつの精神状態でヘルメット状の本体を装着し、ダイブするためのボイスコマンドを呟く。

 

「リンク·スタート」

 

 瞬間、僕の視界は白く塗りつぶされる。直後、視界の中央から迫る虹色の輪。それを潜り、数秒の暗転を経て············

 

「わぉ」

 

 目を開けると、いかにも管理室という雰囲気の場所にいた。出入口らしき場所は存在しない、ドーム型の部屋。壁も床も真っ黒で、部屋の中央にはシステムコンソールらしき石碑が配置されていた。照明らしきものは見当たらないけど、視界に不具合は無い。

 

「ここで開発しろって事かな······?」

 

 その辺の説明もして欲しかったとぼやきながら、システムコンソールらしきものに近づく。よく見ると石碑の上面はキーボードになっており、適当にキーを叩くとホログラムのウィンドウが表示された。

 

「『天野君へ。作業マニュアルと君に作ってもらいたい物の一覧表だ。ここに示した物以外で作りたい物があれば申告した上で作成して欲しい。後日、適正なゲームバランスを維持できるか否かを検討する。また、君にお願いしたい内容以外に開発予定·或いは開発済みの内容についてはコンソールから閲覧できるようになっている。君の担当範囲以外でも、何かアイデアがあれば私宛にメッセージで提案して欲しい』って······こんなの仕込むくらいならナーヴギアに同封するなり、ここに仕込んであるって一言ください茅場さん······」

 

 とりあえず、マニュアルに従って作業環境を整える。と言っても、コンソールを長時間操作していても疲れないように簡素な椅子を1つ生成しただけだけど。

 

「さて、まずは······世界観の確認からかな」

 

 ざっと確認した感じだと、茅場さんからの依頼は多岐に渡る。アイテムや敵モンスター、各地で受けられるクエストなどなど、ゲームの醍醐味とすら言える代物ばかりだ。これらを十全に考えるにあたっては、まずは世界観を確認する必要がある。背景設定なんかがあるならそれを反映したアイテムとかクエストを作る参考になるし、何より世界観を壊すような物を作りたくはない。茅場さんもそれは望まないだろうし。

 

「世界観は······これかな?」

 

 コンソールを操作すると、左側に[アイテム][モンスター][クエスト]などのタブがギッシリと並んでいる。僕がアクセスできないタブは文字が灰色になっていて選択できなかった。選択できるタブから[その他概要]を選択すると、コンソールの表示が切り替わる。と言っても、タブの中で更に細かくフォルダ分けされているらしく、これまたギッシリ詰まったフォルダ名とにらめっこする羽目になった。

 

「あったあった。[世界設定]······って、うわぁ!?」

 

 フォルダを選択した瞬間、正面に巨大なホログラムが表示されて驚く。表示されたのは、概ね円錐形をした······要塞?城?。コンソール上に表示された説明を読むと、この巨大建造物は〈浮遊城アインクラッド〉といい、プレイヤーのスタートは第1層、最上階は第100層らしい。100層の中心にそびえ立つ『紅玉宮』で待ち受ける最終ボスを討伐する事がクリア条件となる。オンラインゲームのクリアっていうのがどういう物かはよく分からないけど。1人用のコンシューマーゲームならクリア=エンディングだけど、オンラインゲームは運営側がサービスを終わらせない限りはストーリーが終わろうと続く訳だし。ちなみに、層と層の間を移動する手段は各層に1つ存在する〈迷宮区〉という名前の塔のみで、塔の最上階には番人のような役割と果たす『フロアボス』が存在するらしい。また、1度到達した層であれば、各層の主街区······首都のような場所同士が連結されて、主街区中央にある『転移門』から誰でも好きな層へ移動できるようになるみたい。フィールドの大きさは第1層が最大面積で、おおよその直径は10km程度。100層へ近づくにつれて徐々に徐々に小さくなっていくようだ。これは円錐形という構造上仕方がない。

 

「けどコレ······本当にそれだけなのかな?」

 

 改めて〈アインクラッド〉の全景を観察する。最上階の100層はいい。中心に〈紅玉宮〉が存在するのが遠目にも分かる。他の層に関しては側面しか見えないため鉄っぽい板の重なりにしか見えない。けど、おおまかな輪郭からだけでも読み取れる事があった。

 

「1層が最大面積って事は、この辺りが第1層の筈······。けど、その下にも何かがある」

 

 全景を観察した結果、〈アインクラッド〉はあくまでも()()()()円錐形であり、円錐の底面から下にも構造物が伸びている。そっちは上よりも高さの短い逆円錐形になっており、側面から見ると下側が短いダイヤモンド型に近い。1層が最大面積という説明が正しいのであれば、1層から下にも何かしらが存在していると考えられる。まあ浮遊城全てを支えるための土台で、フィールドというワケではない可能性もあるけど。

 

「ま、気にしてもしょうがないか。後はこの世界の文明レベルだけど······」

 

 茅場さんの注文通りに動くためにも、文明レベルは無視できない。剣とか槍がメインの文明に銃とか爆弾を持ち込むワケにはいかないし、逆に近代クラスの文明なら剣や槍は役者不足もいいところだ。モンスターが使う武器や何かの設定にも関わってくるし、背景設定より重要とまで言えるかもしれない。

 

「さてさて、文明レベルがどのくらいかは書いてあるかなっと······」

 

 明文化はされていなくても、イメージ画像なんかがあればそこから読み取る事もできる。茅場さんの話だと、「魔法が存在しない」事くらいしか分からないからね。魔法に替わる遠距離攻撃の有無なんかも知りたいところ。

 

「っと、これかな?文章ではないみたいだけど」

 

 文章は無かったけど、イメージ画像は結構な数見つかった。各層のイメージと思しき画像が100枚。要は1層につき1つのイメージ画像が用意されていた。

 

「これ見た感じだと······文明レベルはそんなに高くなさそうかな」

 

 層ごとに特色があるから一概には言えないけど、ざっと見た限りでは建造物は大概が木や石にレンガ、高級そうな場所では大理石なんかで作られており、コンクリートらしきものは影も形も見えない。歩道は殆ど舗装されていないか、されていても精々が石畳。あくまでイメージでしかないけど、中世のヨーロッパぐらいの文明レベルかな。銃や爆弾、戦闘機みたいな近代兵器の出番は無さそう。

 

「となると、メインはやっぱり剣とか槍とかでの白兵戦かな?遠距離は石とか短剣みたいなのを投げるか、後は弓ぐらいしかなさそう。ボウガンは······とりあえず除外しておこうかな」

 

 最初は武器とか防具なんかのアイテム類を考えるのが良さそうかな。アイテム類→スキル関連→モンスター→クエストの順番が良さそう。スキルを考えるにはどんな武器があるか決めないといけないし、モンスターは武器とスキルを設定する必要がある。そしてクエストは報酬にアイテム類が必要だし、達成条件はアイテム類とモンスターが関わってくる。順番に作るならこの順が最善の筈。

 

「よし、それじゃあ始めますか!」

 

 目標は茅場さんの度肝を抜く事。あの人の予想を上回る事を目標にして頑張ろう。

 



 

「キッツ············」

 

 1時間後、僕はコンソールに突っ伏していた。

 

「茅場さんの度肝を抜くとはいったけど······コレ、思った以上に難しいよ······」

 

 どうしても『ゲーム』という事を意識すると、アイテムがそこらへんにあるゲームと似たり寄ったりになってしまう。回復薬とかの基本的なアイテムは必須級だからしょうがないけど、それ以外のアイテムの効果や何かは別だ。工夫しようと思えば幾らでも工夫できる筈なのに、どうすればより良くなるかが全く浮かんでこない。

 

「『ゲーム』と思うからいけないのかな······。いっそ、『別世界』を創ってるんだって考えてみよう」

 

 悩んだ結果、考え方を切り替えてみる事にした。茅場さんのように、今創っているのが1つの別世界だと考えれば自然とより一層の真剣みが出てきた。その世界で生活する人の立場で考えると、「こうした方が良い」とか「こういう物があったら便利かも」というアイデアが次々に湧き上がってきた。

 

「考え方をちょっと変えただけでこれかぁ······」

 

 苦笑いしながら再びコンソールを叩き始める。さっきまでの1時間が嘘のように手が動く。1つのアイデアを形にしている間にも、次々とアイデアが湧いてくる。忘れないようにメモを取る手間すら惜しみ、プログラムコードを書きながら脳内でアイデアの取捨選択をしていく。良さげな物は内容を脳内に刻み込んで忘れないようにしておき、片っ端からプログラムコードとして形にしていく。今度はその手が止まることは無かった。寧ろ誰か止めて欲しい。このままだと丸2日くらいはぶっ通しでやってもおかしくないぞ僕。

 

 幸い、夕飯前に業を煮やした藍子が殴りこんできて強制的に今日の作業を止めてくれた。どうやら木綿季と2人でダイブしていたテスト用フィールドとこの空間は出入り自由となっているらしい。確認してみたら、僕も2人がいるテスト用フィールドへ転移可能になっていた。管理者用アカウントを持っているのは僕だけみたいだけど。2人のテストは現状では「仮想空間内で現実世界と同じ様に動けるかどうかの検証」が大きいようで、重力や慣性、摩擦といった力が現実と同じ様にかかっているかのチェックが主だったとか。結果としては特に問題は無かったそうで、今日の所は茅場さんが会社から指示をしてくれたそうだけど、明日以降は僕から指示を出してほしいと言っていたらしい。まさかのテストまで全投げしてきたよあの人。信頼の証だと思えば悪い気はしないけども。

 

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