ソードアート・オンライン ~より良き未来を目指して~ 作:KXkxy
「それじゃあ2人とも、ここからここまでの練習問題を解いてみて。その間に僕は開発の方を進めちゃうから」
早いもので、僕らが茅場さんの依頼を受けてから半月ほどの時が流れた。2人の勉強も順調に進んでいる。
「ソウ······、ユウキとラン、遊べる?」
「もうちょっとだけ待っててね、トリア。あと2時間もすれば今日のノルマは終わりそうだから、その後は思いっきり遊ぼっか」
「うん······!」
トリアの変化は分かりづらいけど
「これは、こうで······、ここは、こう······」
「う~ん······」
2人はブツブツと独り言を言いながら、真剣に問題に取り組んでいる。ちなみに、今やっているのは数学······まだ小学生の内容だから算数か。2人が積極的に取り組んでくれるからか、まだ9月にもなっていないというのにも関わらず、既に今年度にやる予定だった範囲の大半が終わっている。今日の内容は『□を使った計算』。xとかyを使った方程式の基礎に繋がってくる内容だから、ここはしっかり理解してほしいところだ。
「今日の作業は······武器データの調整か」
僕は僕で、2人が問題に向き合っている間に開発作業を進める。テスターと教師役を含めると二足どころか三足の
「ソウ、私もユウも解き終わったから、見てもらってもいい?」
「りょーかい。こっちも今日のノルマは終わらせたし、ナイスタイミングだね」
1時間ほどかけて今日の作業······店売り品予定の
「(今度からはトリア用の問題も作ってこようかな······)うん、大丈夫だね。2人ともよく出来てる」
「エヘヘ······♪」
「ソウがわかりやすく教えてくれるからだよ。私たちだけだったらあんまり出来なかったと思う」
「いやいや藍子、確かに僕は分かりやすくなるように意識してはいるけど、結局は本人が頑張らないと身につかないんだよ。だからこれは2人が頑張った結果。僕がやったのは2人の頑張りをちょっと手伝っただけだよ」
本心から言う。大人数に教える学校とは異なり、2人それぞれに十分向き合える環境にあるというのもあるし、もちろん2人の努力があってこそのこの成果だ。僕の力なんて、多く見積もっても2割か3割ってところだと思う。
「それはそうかもしれないけど······ソウはもうちょっと自信を持った方が良いと思うな······」
「ボクもそう思う!学校の先生よりも分かりやすかったし」
「そりゃ、何十人って人に教える学校の先生と、2人にしか教えない僕とじゃそうなるよ。学校だとどうしても個人個人には対応しにくいからね。さ、それよりも今日の作業を終わらせちゃおうよ」
退屈を持て余したのか、トリアが舟を漕ぎ始めていた。早めに今日のノルマをこなして一緒に遊んであげないと。
「そうだね。そうしよっか」
「ソウ、今日は何やるんだっけ?」
「今日は······熟練度300から500くらいで習得できる
木綿季の質問に答える。茅場さんがテスターの数が足りないって言ってたけど、原因はこれでもかってくらい大量に作られている
僕は
木綿季は片手剣やレイピアのような、割とオーソドックスな武器種
そして藍子は僕たち2人を補うように、大型の槍や斧といった、比較的リーチのある武器種を好んで使っていた。
「熟練度300から500······。スキルの熟練度って1000が最大だったっけ?」
「そうだね。300から500だと、そろそろ連撃数が多くなったり一撃の威力が高かったりするスキルが増えてきそうな気がする」
茅場さんが設計·開発を行った各種武器スキル。それぞれの
「やぁっ!」
木綿季が握る剣が閃き、高速の5連突きから斬り下ろし、斬り上げに続いて全力の上段斬りを放つ。確か熟練度400か450で解禁される、片手直剣カテゴリの上位
「ん······。問題ない······」
居眠りから目を覚ましたトリアから見ても、特に異常は見当たらなかったらしい。システムに直接アクセスできる彼女から見て問題ないなら、もうこのスキルは完成と言ってもいいかな。
「えいっ!······ソウ、どうかな?」
「······技の立ち上がりも軌道も仕様書通りだし、硬直時間も資料の通り······。うん、大丈夫だと思うよ」
槍を手にした藍子が若干不安そうにしていたけれど、彼女の使ったスキルにも特に問題は無い。強いて言うなら硬直時間がやや長いように感じたけど、仕様書には「高威力かつ攻撃軌道にも隙が少ないため、硬直時間を長くして技後の隙を大きくしている」とあるから正式な仕様だと思う。
「じゃあ次は僕の番だね。よっ······っと!」
藍子に見守られながら、
「············うん、ソウのも問題ないと思うよ」
「ありがと、藍子」
こんな感じで、僕らは基本的に2人1組でテストを進めている。自分の動きを観察するよりは誰かの動きを観察する方がやりやすいし、異常を見つけやすいから。それに、仮想世界とはいえずっと動きっぱなしというのは疲労が溜まる。休憩を兼ねてパートナーのスキルを見て、それでも誤魔化しきれないほど疲労が溜まったら全員で休憩、という流れ。全員での休憩中はトリアを交えてお喋りタイム。そんな生活の成果が、徐々に感情を表に出すようになってきた今のトリアだった。
「それにしても······大分表情豊かになったよね、トリアちゃん」
「そうだね。って言っても、まだ僕達みたいに仲がいい人から見て表情豊かってだけで、そうじゃない人たちには全然分からないと思うけど。2人が色々とお喋りしてくれたお陰かな?」
「ソウだってお喋りしてるじゃん!この間なんて、いきなり『本、読んでみたい············』って言うからビックリしたんだよ!?」
「あ~······。僕が読んでみて面白かった本の話をしたからかな?そういえば、『内容、写して············』って言ってたっけ。本一冊まるごとデータ化するとか、どのくらい時間かかるんだろ······?」
「それ以外にも問題あるんじゃない?著作権とかもあるだろうし」
1日の締めに、皆で武器を持ってチャンバラのようなモノをやりながら雑談する。名目上は『仮想空間における運動能力のテスト』及び『痛覚を緩和·遮断するペイン·アブソーバシステムのテスト』ということにしてもらっている。
「ここ、何も無い············。3人がいないと、暇············」
「だから本が欲しいってことかぁ······。一応少しずつ進めてはいるから、もうちょっとだけ待っててもらえる?」
「うん·········♪」
チャンバラに疲れてきたらログアウト。トリアの寂しそうな顔に後ろ髪を引かれる思いを毎日味わうけど、ずっとダイブしっぱなしというわけにもいかない以上仕方がない。いつか、
今の僕らの日常はこんな感じ。朝起きてご飯を食べたらすぐにプロトタイプ·ナーヴギアでダイブ。仮想空間で授業をやって、練習問題を2人が解いている間に僕は茅場さんからの指示通りのプログラムを開発。お昼を挟んで午後は