ソードアート・オンライン ~より良き未来を目指して~   作:KXkxy

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ギ、ギリギリ間に合ったぁ!

今日という日の13時に原作に入りたかったので、若干突貫工事で仕上げました。正直、いつもはやっている読み直しを省いて投稿しているので、後々修正する可能性が高めです。

まあ原作に入ったと言っても、本格的に原作キャラが出てくるのは次の話以降になりそうですが。

わけみたま様、こう/皐月様、O,M様、アクルカ様、評価ありがとうございます。



アインクラッド編
013


 

 時の流れは早いもので、気がつけば11月。先々月······9月の始めぐらいに引っ越しが終わり、新居での生活にも慣れてきた。

 

「いよいよ今日······かぁ」

「楽しみだね、ソウ!」

「そうだね。けど藍子、テンションおかしくなってない?気持ちは分かるけどさ」

 

 朝からテンションマックスな藍子に思わず苦笑するけど、彼女の気持ちも分かる。何せ、今日は11月の6日······『ソードアート·オンライン』正式サービス開始日だ。正確には今日の午後1時から。プレイ環境も問題ない······製品版の発売日に合わせて茅場さんから郵送されてきた、多少改造したらしい人数分のプロトタイプ·ナーヴギアに、一般販売されているのと寸分違わない、同じく人数分のゲームソフト。正直、僕もワクワクしている。

 

「姉ちゃん、今からそんな感じだと、いざ始まった時にバテちゃうんじゃない?」

 

 意外にも······と言うと失礼だけど、割と落ち着いている木綿季。もちろん完全にいつも通りとはいかないけど、藍子ほどじゃない。

 

「し、仕方ないじゃない!久しぶりにトリアちゃんに会えるんだよ!?」

「ドウドウ、藍子。気持ちは痛いほどよく分かるけど、ドウドウ」

 

 興奮する藍子を全力で宥める。宥め方が完全に馬に対するそれなのは気にしないでほしい。

 

「けど、木綿季の言う通りではあるんだよね。今からそんな調子だとバテちゃう。けど自分でもどうにもできないんでしょ?」

 

 長い付き合いだ。そのくらいは何となく読み取れる。遠足前でも普段通りの生活リズムを崩さず、落ち着いて過ごせるのが藍子のはずだ。それができないくらい楽しみで仕方がないんだろう。自分でも抑えきれないくらいに。

 

「うん······。自分でもこれじゃいけないって分かってるんだけど」

「いや、しょうがないよ。正直、僕も物凄く楽しみだし」

「ボクだってそうだよ!というか、姉ちゃんやソウにも負けない自信があるよ、ボク!」

「「うん、それはなんとなく分かる」」

「即答っ!?」

 

 だってこの子、今は割と落ち着いてるけど、夕べは一切寝てないし。何なら僕らも巻き添えで寝不足気味だし。というか、何で個人部屋があるのに寝る時は僕の所に来るんだろ、2人とも······。まあ僕も、1人で寝るとちょっと落ち着かない気持ちになるからいいんだけど。

 

「まあ、それはそれとして······。一旦落ち着くためにも、今日の授業をやっちゃおうか」

 

 僕の家庭教師は未だに続いている。2人が学校に通えない上に、今まで特に問題が無かった以上、わざわざ家庭教師を雇う事もないからね。

 

「今日は······連立方程式だね」

 

 2人の吸収が早いお陰で進度もバッチリだ。算数に関してはもう中学校の内容に入っているし、国語も漢字に関しては漢検準2級程度、それ以外に関しても順調だ。英語······は、他に比べるとやや遅れ気味。いや、本格的にやるのが中学校以降って考えると早いも遅いもないんだけど。理科と社会も順調だ。

 

「うぅ······。方程式はサッパリ分かんないよぉ······」

「頑張って、ユウ。ほら、ここはこうだよ」

「ありがと~姉ちゃん······」

 

 最近は木綿季がダウンしそうになる事も増えてきたけど、その度に藍子がフォローしてくれるからかなり助かってる。僕も出来る限りはフォローしてるけど、問題を出してる側がフォローすると偶にやりすぎて答えまで教えちゃうから加減が難しい。

 



 

「終わった~!」

「お疲れ様、2人とも。ハイお茶」

「あ、ありがとうソウ」

 

 勉強時間の締めくくりとして出している練習問題を採点する前に、(ねぎら)いの意図も含めてお茶を淹れる。

 

「············うん。大きく間違ってるところは無いかな。時々ケアレスミスがあるくらい」

 

 微妙な計算ミスとか漢字のミスばかりは、気を付けていてもある程度しょうがない。見直ししても見落とす事だってあるしね。

 

「ふぅ······。いつもありがとう、ソウ」

「僕がやってる事なんて大したことないよ。2人の方がよっぽど頑張ってるし」

 

 と、時計を見ると既に正午を回っている。サービス開始は午後1時からだから、そろそろ準備をしないと間に合わないかもしれない。別に開始直後に始めなきゃいけないって訳じゃないけど、どうせなら沢山時間を使いたいからなるべく早い段階でダイブするという方針になっている。

 

「お昼はどうする?簡単なので良ければパパッと作っちゃうけど」

 

 ここ数年、隙を見て練習してきたからそこそこ食べられる味には作れるはずだ。レパートリーは決して多くないけど、サラッとお腹を満たせる物の候補はいくつかある。

 

「は~い!ボク、炒飯が食べたい!」

「その、私は何でも······。出来ればあんまり重たくないのをお願いしたいけど」

 

 ふむふむ。木綿季は炒飯、藍子はあんまり脂っこくない物、と。油控えめで野菜多めの炒飯ならどっちの条件も満たせるかな。材料はあったはずだし。

 



 

 お昼を済ませて食器を洗い、プロトタイプ·ナーヴギアの用意を整えると良い感じに午後1時が近づいていた。誰からともなくナーヴギアを頭に装着してベッドに横たわる。

 

「いや、何で2人も僕のベッドにいるのさ?普通に自分の部屋からダイブしなよ」

 

 ナチュラルにベッドに潜り込む2人に言う。割と昔から一緒に寝る事はあったし、毎晩の事だから感覚が麻痺してきたけど、年頃の男女が同じベッドで寝るというのは普通に考えてアウトだと思う。

 

「だって、ソウの部屋の方が電波良いんだもん!」

「いやそれほぼ誤差······。まあいいけどさ。そろそろ時間だし」

 

 同じ家で、部屋もすぐ近くなんだから電波の良し悪しなんて誤差だろう。けど木綿季も藍子も結構頑固だから、譲歩を引き出すのにかかる時間と手間を惜しむ事にした。今度、母さんたちから情操教育をしてもらおうかな······。望み薄だけど。

 

「「「リンク·スタート!」」」

 

 きっかり午後1時。正式サービス開始と同時に、僕らの意識は身体を離れ、仮想世界に旅立って行った。

 



 

 目を開く。最初に見えたのは、現実世界ではもう殆ど見られないだろう石畳の地面。

 

「スゥ······ハァ······。······うん。戻ってきたんだなぁ、この世界に」

 

 深呼吸を1つする。現実世界(リアル)に比べて匂いが希薄な空気に、仮想世界にやって来た······いや、戻って来たんだと実感する。

 

「······っと、いつまでもこうしてる訳にもいかないか。2人と合流しないと」

 

 事前にプレイヤーネームは教え合ってるし、現実世界(リアル)とほぼ変わらない容姿でプレイする事にしていた。合流は難しくないはずだ。

 

「って、言ってもなぁ······」

 

 周りを見ると、続々とログインしてくる多数のプレイヤー達。初回ログイン場所に設定されている、〈はじまりの街〉中央広場はあっという間に人で埋まっていまった。いくら幼馴染だからと言って、この中から特定の2人を探し出すのは難しそうだ。

 

「ふぅ······」

 

 広場のはずれにあるベンチに腰掛ける。いっその事、何か騒ぎでも起こしてくれれば合流が楽になるんだけど······。

 

「いや、そっちの方が厄介か」

 

 合流が楽になるメリットと、上手く騒ぎを解決しなければならないデメリット。明らかに後者の方が大きすぎる。

 

「よ······っと」

 

 ベンチの上で立ち上がる。周りより少しでも高い場所にいれば、多分2人の方から見つけてくれるだろう。

 

「············」

 

 なんか、広場の反対側で、凄く見覚えのある人が同じ事してるんだけど。

 

「あっ、お~いソ~ウ!こっちこっち~!」

「ユウ、落ち着いて······。みんなに見られてるから······」

 

 現実世界(リアル)と同じ顔かたちの2人······プレイヤーネーム『ユウキ』と『ラン』がそこにいた。前者が木綿季、後者が藍子だ。性格を考えれば分かるけど、大声で呼んでいるのがユウキ、隣で恥ずかしがりながらそれを(いさ)めているのがランだ。

 

「······早く行かないと、藍······じゃなくて、ランの胃に穴が開きそうだね」

 

 元々、あまり注目を集めるのが得意じゃない藍子······ランだ。ユウキの声で周りからの注目を集めている現状は辛いはず。一刻も早く合流して、もう少し人が少ない場所に移動しないと。

 

「ソウってば~!」

「分かった!分かったからちょっと待っててユウキ!」

 

 羞恥心を一時的に投げ捨てて、大声でユウキに返答してからベンチを降りて走り出す。さっきのやり取りを見ていたからか、道を開けてくれるのはありがたいけど、周りからの視線が痛い······。

 

「ユウキ、はしゃぐのはいいけど、出来ればこう、手心というか······」

 

 彼女はもう少し、自分が可愛いという事を認識して欲しい。ゲーム内という性質上、見た目通りの性別·外見とは限らないから多少はマシだけど、美少女に大声で呼ばれている男に注がれる視線の性質なんて言うまでもないだろう。もしこのゲームに視線だけでダメージを与える仕様があったなら、僕のHPはとっくにゼロになっている。

 

「お待たせユウキ。そして早速だけど移動しようか」

 

 答えは聞かない。広場の反対側に着くが早いか、ユウキの手を引きながら市場に足を向ける。ランが着いて来ているのをチラリと確認してから、若干足を速めた。今は一刻も早く、この視線地獄から逃れたい。ランと僕の考えは完全に一致していた。ユウキ?手を引かれながらも周りの風景に一喜一憂してたよ。多分手を繋いでなかったらフラフラとどこかに行って(はぐ)れてたと思う。

 



 

「さて······、まずは武器、かなぁ」

 

 広場から離れ、表通りからも少し離れた裏通り。予想以上にさっきの騒ぎが尾を引いているようで、どこに行っても向けられた視線から逃れていたらここに辿り着いた。ようやく落ち着いて今後の事を話せる。

 

「ソウ、確か茅場さんに言われて開発の方もやってたよね?安いお店とか知らないの?」

「残念ながら。僕がやったのはアイテムとかクエストの一部だけで、マップ関連には一切触らせてもらってないんだよね。クエストの配置場所すら聞いてない」

 

 多分、その辺りはβテスターの人たちの方が詳しいと思う。剣技(ソードスキル)に関してだけは僕らの方が詳しい自信があるけど。少なくとも片手直剣と短剣、槍に関しては。他にも触ってたけど、特に気に入ってメインで使ってたのはその辺りだし。

 

「そっか······。困ったね」

「まあ、茅場さんの事だからこういう裏通りにも何か配置してそうではあるけど······って、ユウキは?」

「え?ユウならそこに······って、いない!?」

 

 この通りに入った時は間違いなく3人だったのに、ちょっとランと話している間にユウキが姿を消していた。表通りの方向には僕がいたから流石に行ってないだろうし、通りの奥に行ったのかな?

 

「全くあの子は······。ごめんねソウ」

「いつもの事だし、ヘーキヘーキ。それに······」

 

 ユウキの運を考えると、この先で元βテスターの人に遭遇してたりとか、(ある)いは隠れ名店を見つけたりしていてもおかしくない。

 

「う~ん、流石にソウのそれは上手くいきすぎだと思うけど······、あり得ないって言いきれないのがユウの怖い所だよね」

「本当にね」

 

 アニメ主人公並みに天に愛されてるんじゃないかってくらいの運を持つユウキなら、本当にそれくらいやりかねない。まあ本当に運が良ければ病気にもならなかったと考えると、その分の運が戻ってきているとも言えるけど······いや、やめよう。考えても暗くなるだけだ。

 

「あっ、姉ちゃ~ん、ソ~ウ!元βテスターの人見つけたよ~!」

「「えぇ············」」

 

 なお、当の本人はいつも通りの笑顔でサラリと先駆者さん(元βテスター)を見つけていた模様。いや本当に、あの子の運命力ってどうなってるの······?

 





最後にユウキが見つけた元βテスター······一体何トさんなんだ?

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