ソードアート・オンライン ~より良き未来を目指して~ 作:KXkxy
シュウ0427様、りいのら様、ゆう様、あろがんつ様、もりまき様、評価ありがとうございます。
追記:12月15日、描写に矛盾があったため修正しました。
「ユウ、元βテスターの人って······その2人?」
彼女と一緒にいるのは、ブロンドの髪をした女性と、薄紫色の髪色をした長身の男性。もっとも、実際の性別がどうかは分からないけど。
「ううん。こっちの男の人······『ミト』さんが元βテスター!隣の人は
ニコニコと笑って話すユウキだけど、隣にいる2人は困惑しきった顔をしている。これは······多分、軽く自己紹介しただけとかそんな感じだろう。
「······ユウ、お2人に挨拶はちゃんとしたの?」
同じ結論に至ったのか、額を抑えながら問うラン。
「え、えっと······」
分かりやすく動揺して目を泳がせるユウキ。うん、これは間違いなく、テンションが上がったあまりにロクに挨拶もできてないパターンだね。
「······すみません、うちの連れが失礼をしたみたいで。僕はソウ。そっちで怒られてるのがユウキで、怒ってる方がランと言います。そちらは······?」
「え、あ······ンンッ。私はミト。こっちの女の子はアスナ。それで、用件は?」
咳払いを行い、自己紹介をしてくれる男性······男性?ところどころの所作が若干女性っぽいから、もしかすると女性が男性アバターを使ってるのかもしれない。そう考えると、さっきの咳払いも間違って女性の喋り方を出さないようにという意図があったのかな?
「えっと、僕たち、オンラインゲーム自体これが初めてで、右も左も分からないので、せめておススメのお店とかがないか訊きたかったんです」
本音を言うと戦闘に関しても訊きたかったけど、そこまで甘えるのは申し訳ないから遠慮した。βテストの時の評判を調べた限り、序盤は
「そうか······。それなら、あっちの裏通りにある武器屋がおススメだよ。品揃えは他の店と変わらないけど、少しだけ安く買えるんだ。ちょうど私達も行くところだったし、案内しようか?」
「いいんですか?助かります!」
正直、ここ〈はじまりの街〉は広い上に道が複雑で、『あっちの裏通り』なんて言われてもどこか分からない。案内してもらえるのは
「それじゃあ一緒に行こうか。······そっちの2人もね」
ミトさんに言われて振り向くと、ランによるユウキの説教は未だに終わっていなかった。
「ラン、今はそのくらいにしてあげたら?お2人を待たせるのも申し訳ないし」
「······ユウ、ログアウトしてから続きやるからね」
「は~い············」
ランはまだ言い足りなさそうだったけど、お説教の続きは
「さあ、ここだ」
ミトさんに案内されて、彼おススメの武器屋に着いた。彼曰く、この街にある武器屋はそれぞれに特徴があり、他のお店よりも若干だけど品揃えが多かったり、品揃えが若干少ない代わりに他よりも安く買えたり。これから行くお店はさっき言っていた通り、品揃えと安さを両立したような場所らしい。安さだけなら他にもっと安い所もあるけど、そういう場所では彼が使う《鎌》は売っていないんだとか。僕らはとりあえず、テストの時も一番使いやすかった武器をそれぞれ買った。つまり、僕は
「案内してくれてありがとうございます」
「いや、私達も丁度向かうところだったからね。この後はどうするんだい?」
「街の外に出てみようかと思ってます。今日のうちに戦闘の感覚も掴んでおきたいので」
「それなら、この道を真っ直ぐ行けば街の出入口だよ。周りにはあまり強いモンスターは出ないはずだけど、気をつけてね」
「何から何までありがとうございます。それじゃあ、失礼します」
ミトさんに挨拶をして別れる。ユウキとランはアスナさんと何やら話していたらしいけど、こちらの方が一段落するとランはペコリと頭を下げて、ユウキは元気に手を振ってからこっちにやって来た。
「いい人だったね、ソウ」
「そうだね。ユウキが会ったのがミトさんみたいな親切な人で良かったよ」
そんな事を話しながらフィールドに向かう。途中、道行く男性プレイヤー······偶に女性プレイヤーからも嫉妬のような視線が飛んできたけど。前者は兎も角、後者は所謂『ネカマ』っていうやつかな?ゲームの楽しみ方なんて個人の自由だし、実害さえなければ何も言わないけど。
「ブモォォッ!」
「うわっ······っとと。ハァッ!」
数分後、〈はじまりの街〉周辺フィールドにて。青イノシシ······固有名《フレンジーボア》を相手に剣を振るうユウキの姿があった。
「あのイノシシ、そんなに強くないのかな?行動が単調だし」
「そうは言うけど、こんなにリアルな感じだと結構怖いんだけど!?ってうわぁ!?」
何度目か分からないイノシシの突進を見て、慌ててコース上から身を引くユウキ。ちなみに、僕とランは見学中だ。僕らのテストはあくまでも
「落ち着いて、ユウ。あのイノシシさん、さっきから突進以外してこないし、離れてればあんまり問題ないと思うよ」
「そう言われても······っとぉ!?近づかないとボクも攻撃できないよ!」
「すれ違いざまに
僕らの意見を参考にしてくれるのか、ユウキの雰囲気が変わる。逃げ回るだけの存在から、反撃の隙を探る剣士へと。
「ブモッ!」
けど、そんな変化は所詮プログラムの塊······それも最下級のモンスターには分からなかったようだ。もう飽きるほど見た突進攻撃の前兆。それを察知した途端、ユウキは動き出す。少し脇に逸れて突進の軌道から逃れ、突撃してきたイノシシの横っ腹に一閃。片手直剣カテゴリの
「ブモォォォォ············」
どこか哀しげな鳴き声を
「なるほどね。戦闘後はこんな感じで経験値とかを教えてくれるんだ」
「むぅ~······ソウも姉ちゃんも、ちょっとくらい手伝ってくれてもいいじゃんか~!」
「元々そういう話だったでしょ、ユウ······。それにしても、
「同感。いや、茅場さんからの話で強力なのは分かってたけど、初期のスキルでこんなに威力があるとは思わなかったよ」
青イノシシこと《フレンジーボア》にユウキが普通に斬りかかった時のダメージは、そのHPの2割に届かないくらい。一方で、"スラント"を使った時はそのHPを半分近く消し飛ばしてトドメを刺している。撃った後の硬直時間で隙を晒すだけの価値は十分にあるみたいだ。
「それじゃ、次は僕の番かな。ちょうどイノシシも見つけたし」
獲物······《スモール·ダガー》を腰に差した鞘から引き抜く。一発当たりの威力はユウキの片手直剣やランの片手用槍には遠く及ばないだろうけど、短剣の利点はその取り回しの良さだ。刃の回転半径が群を抜いて小さく、一撃入れた後の隙は恐らく全武器種中でもトップクラスだ。前述した威力の低さと、リーチの短さには目をつぶる必要があるけど。
「よっ······ほいっと······」
イノシシの行動パターンはさっきのユウキを見て覚えた。突進を
「(そろそろかな······)ハァッ!」
気合いと共に、短剣スキルの
「ブモ············」
これまたさっきと同じく、哀しげな鳴き声を遺して消滅するイノシシ。心の中で謝りながら、見学していた2人の所に戻る。
「どうだった?」
「う~ん······。《短剣》スキルって、突き上げと突きおろししか最初は使えないんだっけ?」
「うん。突き上げの"ケイナイン"と突きおろしの"フェザント"の2つだけ」
前者は後者に比べてリーチがやや長めで、後者は前者に比べて威力が若干高めなのが特徴だ。と言っても、どちらもほぼ誤差レベルの違いしかないけど。
「やっぱり、ボクの使ってる武器に比べると、ソウの武器って敵に近い所からしか攻撃できないから危ないよね」
「まあ、そればっかりはどうしようもないよ。僕に一番合ってたのがこの武器なんだし」
テストの間、他の武器を試さなかったわけじゃない。寧ろ、ほぼ全ての武器種を使ったはずだ。その上で一番使いやすかったのが短剣だったワケで。
「ランは?何かあったりする?」
「ううん。確かにユウの言う通り、見てるとハラハラするくらい近い距離だったけど、そういう武器なんだからしょうがないしね。それより、次は私の番だよね?」
そう言いながら、背中に背負っていた槍を手にするラン。基本的に大人しい性格の彼女だけど、今はかなりテンションが上がっているようで、瞳孔がいつもより開いている。
「張り切ってるね~」
「ま、待ちに待った正式サービス初日だからね。ランとしては、一刻も早くトリアに会いたいところだろうけど」
彼女······トリアはテストの終わりに、僕らがログインしたらすぐに会いに来てくれると言っていた。今は一度に沢山のプレイヤーがログインしたため見つけられてないのかもしれないけど、そう遠くない未来に再会できるのはほぼ間違いない。彼女の事を特に可愛がっていたランのテンションが上がるのも仕方のないことだった。
「けど、そろそろいい時間だし、今日のところは終わりにした方がいいかもね」
視界の隅に見えている時計を確認すると、もう17時を回っている。そろそろログアウトして
「えぇ~············」
「ソウ······。もうちょっと、ダメ、かな?」
「うっ······。い、いやいや!トリアに会えてないのは僕も残念だけど、それとこれとは別問題だよ。初日からゲームに夢中になってると、明日からプレイさせてもらえなくなるかもよ?」
ランの涙目とユウキの上目遣いに危うく陥落しそうになったけど、ここで押し負けて後で父さん達に怒られたりゲーム禁止を言い渡されたりする可能性もあるため心を鬼にして拒否する。
「は~い············」
渋々と右手を振ってメニュー画面を開くユウキ。その隣ではランも心底残念そうな表情でメニュー画面を操作している。
「······あれ?」
2人が怪訝な顔をするのに時間はかからなかった。数瞬遅れて、僕もその理由を知る。
「「ねえソウ······
2人の問いには沈黙で答えるしかない。マニュアルには『メニュー画面を開き、設定タブの一番下にあるログアウトコマンドを実行する』とあったけど、設定タブを開いてもログアウトの文字は存在しなかった。
「バグ······?いや、こんな重大なバグ、茅場さんが気づかないはずがない。気づいたうえで放置してる?それとも······」
「わっ!?」
「えっ!?」
「うわっ!?」
リンゴーン、リンゴーンという重厚な鐘の音と共に、僕らの視界は青白い光で満たされた――――。
ソウ達はあくまでαテストしかやっておらず、ゲームとしてのSAOの情報は当然ながらβテスターの方が遥かに多く持っています。例外は
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